第9話 代表交代!?最強の挑戦者たち!!
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夕飯時の食堂は、新しい必殺技の話題で持ちきりだ。
しろ君と土方はまだ手探りの段階だけど、一郎太はイメージは出来てきて後は練習あるのみらしい。
「どんな必殺技になりそう?」
「それは……秘密だ」
「えー」
「近いうちにお披露目するから楽しみに待っててくれ」
ニヤッと楽しそうに笑う一郎太。これは自信有りっぽい。期待して待ってよう。
あ、壁山が明日も特訓だって条兄に言われて食欲無くしてる。あっちの方は前途多難だな……。10皿目のおかわりは完食出来るのか。
「冬花さん、あたしもおかわりー!」
「はい。美波さんも沢山食べるんですね」
「壁山も言ってたけど食べなきゃ持たないんだよね……」
走り回るのにもどう動くか考えるのにも、とにもかくにもエネルギーがいる。今日使った分、体がエネルギーを欲してるって感じ。
さて、おかわりだ!箸を持ち直した時、視界の端でこそりと影が動いた。まさか。
「……夕弥、何かした?」
「してないしてない!」
本当に?と聞く前に、土方が悲鳴をあげた。指差して笑う夕弥の片手にはタバスコで、直ぐに春ちゃんとの追いかけっこが始まる。
で、あたしの分は。まだ使ってない箸で端っこをちょっとつまむと、舌がピリッとした。仕方ない、これは立向居に食べてもらおう。
「ごめんなさい。私がちゃんと見てれば……」
「いいっていいって!夕弥のイタズラはいつもの事だし、冬花さんは悪くないよ。立向居ー!」
「あ、美波さん。どうかしましたか?」
「ごめんだけどこれ食べてもらっていい?夕弥のせいで辛いんだ」
「えっ、いいんですか?」
辛いと聞いて目を輝かせた立向居は、ニコニコと食べ始めた。もう少し刺激があってもいいと言うんだから立向居の舌は不思議だ。
「立向居くんは辛党なんですか?」
「うん。それもとびっきりのね」
食べたら火を吹くような辛いカレーを平然と食べる立向居に、皆で唖然としたのが懐かしいや。
それにしても、あまり箸が進んでないリュウジは大丈夫だろうか。前は壁山相手に競うくらいの勢いだったのに。
何か声をかけるべきか考えてると、丁度ヒロトと目が合った。同じことを考えてたのか、小さく頷いたヒロトが立ち上がる。ここは、ヒロトに任せよう。
お風呂に入って、部屋のベッドに寝転ぶ。お腹いっぱいだし疲れてるけど、どうしてもリュウジが気になって眠気が来ない。
窓からグラウンドを見ると、ユニフォーム姿のリュウジが出てきたところだった。コーンを並べると、ボールを蹴り出す。ヒロトの言う通り、夜も練習してたんだ。
……くたくたになれば、眠気も来るよね。ユニフォームに着替えてハチマキをしめると、あたしは部屋を出た。
食堂で借りたボトルを何本か抱えて宿舎を出る。グラウンドに行くと、既に一人増えていた。ヒロトだ。
「リュウジ!ヒロト!」
「美波!?何で……」
「あたしも練習したくなった!邪魔はしないからさ、ね」
「それはいいけど……」
「ヒロトもいい?」
「もちろん」
といっても何をやろうとか考えて出てきた訳じゃない。何しよう。とりあえず足の甲にボールを乗せて、何度かリフティング。
それから頭の中で皆をイメージしながらドリブル。夕弥をかわすと土方が来て、飛んで来た条兄のフォローに一郎太が入るから……ここだ!
「炎華!」
足を振り抜いて放ったシュートは、炎の花びらを散らしながら、無人のゴールに突き刺さった。うん、悪くないかも!
あの場面なら、このタイミングなら。豪炎寺なら、鬼道なら、士郎くんなら。皆の動きを想像してボールを蹴る。あくまで想像、だけど。
全員分やって一段落ついたところで二人の方を見ると、どうもヒロトの方が優勢で、一枚上手みたいだった。
リュウジのドリブルはブロックされて、ディフェンスはヒロトに突破される。
膝に手を置いて息を切らせるリュウジに対して、ヒロトはまだ余裕がありそうだ。……あんな闇雲なプレーをしなきゃ、リュウジだって対等に戦えるのに。
「どうした緑川、もう終わりなのか」
「いいよもう!どうせ俺なんて、これ以上やったって!」
静かに問いかけたヒロトに、リュウジはそう吐き捨てた。そもそもセカンドランクチームいた自分が選ばれたのが間違いだったと。
……エイリア学園でセカンドランクだったリュウジと、マスターランクでジェネシスに選ばれたヒロト。
代表になってからも、リュウジはエイリア学園だった頃のランク差に、コンプレックスを抱き続けてたのかもしれない。
同じ園で過ごしてた皆が、いつからランク付けをして競い合うようになったのかは知らない。けどそれはそう短くはない間のことで、簡単には元に戻れない訳で。
思えば、エイリア学園が無くなってから、こうして召集されるまでの間のヒロト達のことを、あたしは殆ど知らない。
二人は今、どんな思いでサッカーをしてるのだろう。
それを知らないあたしに、かける言葉なんて見つかる筈も無かった。
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しろ君と土方はまだ手探りの段階だけど、一郎太はイメージは出来てきて後は練習あるのみらしい。
「どんな必殺技になりそう?」
「それは……秘密だ」
「えー」
「近いうちにお披露目するから楽しみに待っててくれ」
ニヤッと楽しそうに笑う一郎太。これは自信有りっぽい。期待して待ってよう。
あ、壁山が明日も特訓だって条兄に言われて食欲無くしてる。あっちの方は前途多難だな……。10皿目のおかわりは完食出来るのか。
「冬花さん、あたしもおかわりー!」
「はい。美波さんも沢山食べるんですね」
「壁山も言ってたけど食べなきゃ持たないんだよね……」
走り回るのにもどう動くか考えるのにも、とにもかくにもエネルギーがいる。今日使った分、体がエネルギーを欲してるって感じ。
さて、おかわりだ!箸を持ち直した時、視界の端でこそりと影が動いた。まさか。
「……夕弥、何かした?」
「してないしてない!」
本当に?と聞く前に、土方が悲鳴をあげた。指差して笑う夕弥の片手にはタバスコで、直ぐに春ちゃんとの追いかけっこが始まる。
で、あたしの分は。まだ使ってない箸で端っこをちょっとつまむと、舌がピリッとした。仕方ない、これは立向居に食べてもらおう。
「ごめんなさい。私がちゃんと見てれば……」
「いいっていいって!夕弥のイタズラはいつもの事だし、冬花さんは悪くないよ。立向居ー!」
「あ、美波さん。どうかしましたか?」
「ごめんだけどこれ食べてもらっていい?夕弥のせいで辛いんだ」
「えっ、いいんですか?」
辛いと聞いて目を輝かせた立向居は、ニコニコと食べ始めた。もう少し刺激があってもいいと言うんだから立向居の舌は不思議だ。
「立向居くんは辛党なんですか?」
「うん。それもとびっきりのね」
食べたら火を吹くような辛いカレーを平然と食べる立向居に、皆で唖然としたのが懐かしいや。
それにしても、あまり箸が進んでないリュウジは大丈夫だろうか。前は壁山相手に競うくらいの勢いだったのに。
何か声をかけるべきか考えてると、丁度ヒロトと目が合った。同じことを考えてたのか、小さく頷いたヒロトが立ち上がる。ここは、ヒロトに任せよう。
お風呂に入って、部屋のベッドに寝転ぶ。お腹いっぱいだし疲れてるけど、どうしてもリュウジが気になって眠気が来ない。
窓からグラウンドを見ると、ユニフォーム姿のリュウジが出てきたところだった。コーンを並べると、ボールを蹴り出す。ヒロトの言う通り、夜も練習してたんだ。
……くたくたになれば、眠気も来るよね。ユニフォームに着替えてハチマキをしめると、あたしは部屋を出た。
食堂で借りたボトルを何本か抱えて宿舎を出る。グラウンドに行くと、既に一人増えていた。ヒロトだ。
「リュウジ!ヒロト!」
「美波!?何で……」
「あたしも練習したくなった!邪魔はしないからさ、ね」
「それはいいけど……」
「ヒロトもいい?」
「もちろん」
といっても何をやろうとか考えて出てきた訳じゃない。何しよう。とりあえず足の甲にボールを乗せて、何度かリフティング。
それから頭の中で皆をイメージしながらドリブル。夕弥をかわすと土方が来て、飛んで来た条兄のフォローに一郎太が入るから……ここだ!
「炎華!」
足を振り抜いて放ったシュートは、炎の花びらを散らしながら、無人のゴールに突き刺さった。うん、悪くないかも!
あの場面なら、このタイミングなら。豪炎寺なら、鬼道なら、士郎くんなら。皆の動きを想像してボールを蹴る。あくまで想像、だけど。
全員分やって一段落ついたところで二人の方を見ると、どうもヒロトの方が優勢で、一枚上手みたいだった。
リュウジのドリブルはブロックされて、ディフェンスはヒロトに突破される。
膝に手を置いて息を切らせるリュウジに対して、ヒロトはまだ余裕がありそうだ。……あんな闇雲なプレーをしなきゃ、リュウジだって対等に戦えるのに。
「どうした緑川、もう終わりなのか」
「いいよもう!どうせ俺なんて、これ以上やったって!」
静かに問いかけたヒロトに、リュウジはそう吐き捨てた。そもそもセカンドランクチームいた自分が選ばれたのが間違いだったと。
……エイリア学園でセカンドランクだったリュウジと、マスターランクでジェネシスに選ばれたヒロト。
代表になってからも、リュウジはエイリア学園だった頃のランク差に、コンプレックスを抱き続けてたのかもしれない。
同じ園で過ごしてた皆が、いつからランク付けをして競い合うようになったのかは知らない。けどそれはそう短くはない間のことで、簡単には元に戻れない訳で。
思えば、エイリア学園が無くなってから、こうして召集されるまでの間のヒロト達のことを、あたしは殆ど知らない。
二人は今、どんな思いでサッカーをしてるのだろう。
それを知らないあたしに、かける言葉なんて見つかる筈も無かった。
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