第8話 真剣勝負!円堂と飛鷹!!
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「それでも、サッカーが好きだから、何度だってボールを追いかける。それに、やるからには楽しまなきゃ損だと思うんだ。飛鷹はちょっと気を張り過ぎっていうか、もっと気楽にいこうよ」
「気楽に?」
「確かに日本代表としては、実力をつけるのも勝ち負けも大事だよ。何より勝てたら嬉しい。でも強さだけが全部じゃない」
「……」
「ただがむしゃらに、夢中でボールを追いかける。それがサッカーなんだ」
「さっきはボールを蹴るのは恐いと言ってたのに今度は楽しい、か」
「恐いと楽しいは両立するの!」
怖いと楽しい、飛鷹が復唱する。そうだよ。プレーが上手くいったら楽しい、勝ったら嬉しい。敗因になるのが怖い、負けたら悔しい。
そして、その気持ちを仲間達と分かち合う。それがサッカーなんだ!
「……肝試し?」
「ごめんあたしお化け駄目だからそれは無理」
「フッ……」
「笑わないでよ!?」
あればっかりは本当に無理だしどうしても克服出来ないし怖いものは怖い。
.
「……いつも、夕方出掛けてるだろ」
「うん」
「あれは響木さんと練習をしているんだ」
「! そうだったんだ……」
ボールを蹴る時間が少なくなってないかと思ってたけど、全然杞憂だった。寧ろ反省。飛鷹は大丈夫だ。だって練習終わりもサッカーしてるんだから。
「俺は響木さんにサッカーをやってみないかと誘われた」
「うん」
「でも、やるのを選んだのは俺だ。……俺がサッカーをやりたいと思ったから、やってるんだ」
一言一言、言葉を考えながら、飛鷹は話してくれた。それがなんだか、凄く嬉しい。
「響木さんはサッカーを楽しいと言っていた。だから、俺はサッカーを楽しみたい。多分俺は、俺にとっての楽しいサッカーを、探してるんだと思う」
前を向いてそう話す飛鷹の目に、迷いはまだある。それでも真っ直ぐだ。ずっとパスが伸びていくように、真っ直ぐ。
「色々教えてくれてありがとう飛鷹!」
「お礼を言われるようなことは言ってない」
「あたしが言いたかったの!飛鷹がサッカーを楽しんでくれたら、好きになってくれたら嬉しいな」
「円堂は人のことばかりだな」
「それ一郎太にも言われたよ。……サッカーが楽しいって感じた瞬間があったらさ、教えてよ。約束ね!」
「ああ」
あたしが笑えば、飛鷹もほんの少しだけ笑ってくれた。
***
練習が終わって夕方、今日も飛鷹は出掛けている。多分、響木監督との練習だ。早く飛鷹の頑張りが実を結ぶ日が来たらいいな。
そろそろ帰って来るだろうかと思って玄関に行くと、人影が見えた。飛鷹かな。駆け寄ってみると、帰った来たのは雷雷軒に行くと行っていた守兄だった。
「お帰り守兄。なんか機嫌いいね」
「そう見えるか?」
「見える見える。何かあったの?」
「へへっ、秘密!」
腹減ったー!と食堂に行く守兄の足取りは軽い。手洗いうがいしてないような気がするけど大丈夫なのかな。あ、秋に追い返されてる。
あたしもお腹空いてきたし、飛鷹には悪いけど一足先に夕飯にしようかな……と思ってたら、丁度飛鷹も帰ってきた。
「円堂」
「あ、飛鷹。おかえり!今日も響木監督との練習だよね。遅くまでお疲れ!」
「ああ。……今日は、キャプテンと練習をしてきた」
「え、守兄と?そっか。だから守兄、嬉しそうだったんだ」
「そうなのか」
「うん。凄くご機嫌って感じ」
そう伝えると、飛鷹は照れたように頬をかいた。飛鷹も、守兄とサッカーして、何か得られたものはあったのかな。
「どうだった?守兄とのサッカーは」
「無茶苦茶だった。俺が上手くパスを出せなくても、何故か大声を出しながら受けに行って、シュートを撃ってこいとまで言ってきた」
「……守兄らしいな」
「らしい?」
「守兄はキーパーだから。キーパーはシュートを受け止めるポジション。ボール籠った気持ちごと受け止めるんだよ」
「そうか……」
飛鷹のシュートを受けて、守兄は何を感じただろう。少なくとも飛鷹は、守兄とのやり取りで、感じたものがあったみたいだ。
「……約束、だったな」
「飛鷹?」
「本当のサッカーの楽しさ、少し分かってきた気がする」
そう言って飛鷹は、フッと、ちょっとだけ笑った。そっか……そっか!
「それは良かった!きっとこれからもっと楽しくなるよ!絶対!」
「やけに自信満々だな」
「えっ、そりゃあ飛鷹がサッカーを楽しんでくれてるのが嬉しくて嬉しくて」
「なんだそれ」
「何だも何も嬉しいの!にしても飛鷹が笑ってるの初めて見たかも」
「! ……部屋に戻る」
「あっ、ちょっと!もう夕飯だよ!ねえ、悪気は無かったんだって!飛鷹ってば!」
そっぽを向いて歩き出した飛鷹を追いかける。横顔がちょっと笑ってるから、本気で怒ってる訳じゃない。
また少し飛鷹と仲良くなれた気がして、それが無性に嬉しかった。
→あとがき
「気楽に?」
「確かに日本代表としては、実力をつけるのも勝ち負けも大事だよ。何より勝てたら嬉しい。でも強さだけが全部じゃない」
「……」
「ただがむしゃらに、夢中でボールを追いかける。それがサッカーなんだ」
「さっきはボールを蹴るのは恐いと言ってたのに今度は楽しい、か」
「恐いと楽しいは両立するの!」
怖いと楽しい、飛鷹が復唱する。そうだよ。プレーが上手くいったら楽しい、勝ったら嬉しい。敗因になるのが怖い、負けたら悔しい。
そして、その気持ちを仲間達と分かち合う。それがサッカーなんだ!
「……肝試し?」
「ごめんあたしお化け駄目だからそれは無理」
「フッ……」
「笑わないでよ!?」
あればっかりは本当に無理だしどうしても克服出来ないし怖いものは怖い。
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「……いつも、夕方出掛けてるだろ」
「うん」
「あれは響木さんと練習をしているんだ」
「! そうだったんだ……」
ボールを蹴る時間が少なくなってないかと思ってたけど、全然杞憂だった。寧ろ反省。飛鷹は大丈夫だ。だって練習終わりもサッカーしてるんだから。
「俺は響木さんにサッカーをやってみないかと誘われた」
「うん」
「でも、やるのを選んだのは俺だ。……俺がサッカーをやりたいと思ったから、やってるんだ」
一言一言、言葉を考えながら、飛鷹は話してくれた。それがなんだか、凄く嬉しい。
「響木さんはサッカーを楽しいと言っていた。だから、俺はサッカーを楽しみたい。多分俺は、俺にとっての楽しいサッカーを、探してるんだと思う」
前を向いてそう話す飛鷹の目に、迷いはまだある。それでも真っ直ぐだ。ずっとパスが伸びていくように、真っ直ぐ。
「色々教えてくれてありがとう飛鷹!」
「お礼を言われるようなことは言ってない」
「あたしが言いたかったの!飛鷹がサッカーを楽しんでくれたら、好きになってくれたら嬉しいな」
「円堂は人のことばかりだな」
「それ一郎太にも言われたよ。……サッカーが楽しいって感じた瞬間があったらさ、教えてよ。約束ね!」
「ああ」
あたしが笑えば、飛鷹もほんの少しだけ笑ってくれた。
***
練習が終わって夕方、今日も飛鷹は出掛けている。多分、響木監督との練習だ。早く飛鷹の頑張りが実を結ぶ日が来たらいいな。
そろそろ帰って来るだろうかと思って玄関に行くと、人影が見えた。飛鷹かな。駆け寄ってみると、帰った来たのは雷雷軒に行くと行っていた守兄だった。
「お帰り守兄。なんか機嫌いいね」
「そう見えるか?」
「見える見える。何かあったの?」
「へへっ、秘密!」
腹減ったー!と食堂に行く守兄の足取りは軽い。手洗いうがいしてないような気がするけど大丈夫なのかな。あ、秋に追い返されてる。
あたしもお腹空いてきたし、飛鷹には悪いけど一足先に夕飯にしようかな……と思ってたら、丁度飛鷹も帰ってきた。
「円堂」
「あ、飛鷹。おかえり!今日も響木監督との練習だよね。遅くまでお疲れ!」
「ああ。……今日は、キャプテンと練習をしてきた」
「え、守兄と?そっか。だから守兄、嬉しそうだったんだ」
「そうなのか」
「うん。凄くご機嫌って感じ」
そう伝えると、飛鷹は照れたように頬をかいた。飛鷹も、守兄とサッカーして、何か得られたものはあったのかな。
「どうだった?守兄とのサッカーは」
「無茶苦茶だった。俺が上手くパスを出せなくても、何故か大声を出しながら受けに行って、シュートを撃ってこいとまで言ってきた」
「……守兄らしいな」
「らしい?」
「守兄はキーパーだから。キーパーはシュートを受け止めるポジション。ボール籠った気持ちごと受け止めるんだよ」
「そうか……」
飛鷹のシュートを受けて、守兄は何を感じただろう。少なくとも飛鷹は、守兄とのやり取りで、感じたものがあったみたいだ。
「……約束、だったな」
「飛鷹?」
「本当のサッカーの楽しさ、少し分かってきた気がする」
そう言って飛鷹は、フッと、ちょっとだけ笑った。そっか……そっか!
「それは良かった!きっとこれからもっと楽しくなるよ!絶対!」
「やけに自信満々だな」
「えっ、そりゃあ飛鷹がサッカーを楽しんでくれてるのが嬉しくて嬉しくて」
「なんだそれ」
「何だも何も嬉しいの!にしても飛鷹が笑ってるの初めて見たかも」
「! ……部屋に戻る」
「あっ、ちょっと!もう夕飯だよ!ねえ、悪気は無かったんだって!飛鷹ってば!」
そっぽを向いて歩き出した飛鷹を追いかける。横顔がちょっと笑ってるから、本気で怒ってる訳じゃない。
また少し飛鷹と仲良くなれた気がして、それが無性に嬉しかった。
→あとがき