第8話 真剣勝負!円堂と飛鷹!!
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今日の飛鷹は守兄に誘われてパス練だ。守兄が気にかけてるからか皆も気にしてる中、飛鷹がボールを蹴り出す。
狙うは守兄の真っ正面。だけど勢いよく飛び出したボールは、守兄の横に逸れて転がっていった。うーん、やっぱり蹴り方に癖があるな。
守兄もそれは分かってるみたいで、首を傾げながらアドバイスをする。繋ぐように、それを意識したからか、少し良くなった。
けれど飛鷹は思うところがあったみたいで、走り込みが足りないからと言って立ち去ってしまった。ああ、まただ。……虎丸の時と一緒だ。分からないなら、行動あるのみ!
「あたしちょっと行ってくる!」
「! よし、行ってこい!」
守兄に送り出されて、全力で走って飛鷹に追い付くと並走する。飛鷹はじろりと一瞬視線を向けると、また前を向いてしまった。これくらいでへこたれるもんか!
「走り込み、あたしも付き合うよ!」
「いい」
「じゃああたしが走り込みするのに飛鷹が付き合って。ちょっと話そうよ。飛鷹のこともっと教えて?」
「悪いが俺は知ってもらうような奴じゃない」
「でもあたしは飛鷹のこと知りたい。飛鷹がどういう奴かは、知ってからあたしが判断する」
「……キャプテンといいあんたといい、お人好しだな」
「そうでもないよ。あたしは飛鷹とサッカーがしたいだけ。あとあんたじゃなくて円堂美波だよ」
ドヤ顔をしてみせれば、飛鷹は大きなため息をついた。
「はあ……行くぞ、円堂」
「えっ」
「……しないのか、走り込み」
「い、行く!する!」
あたしが円堂と呼ばれるのは珍しい。ややこしくなるから、混ざらないように共通の友達には名前で呼んで欲しいと言ってるからだ。
円堂くん、円堂さんで呼び分けられる時もある。二人でいる時に円堂と呼ばれても、話の流れやニュアンスでなんとなくどっちを呼んでるかは分かる。
それでも円堂といえば守兄で。だからちょっと……嬉しいかもしれない。
「飛鷹はさ、サッカー好き?」
「……」
「あー、じゃあ始めたきっかけは?あたしは守兄がボール蹴ってるのを見て興味が湧いたから!」
「……響木さんに、やってみないかと誘われて」
「そっか!そういえば飛鷹は響木監督が推薦したんだっけ。もしかして何か他にスポーツしてた?」
「いや……どうしてそう思った」
「ボールを蹴る時に癖があるんだよね。だから何かやってたのかと思って」
そう言えば飛鷹は黙り込んでしまった。しまった。この際色々聞いてみようと思って、聞かれたくないことを聞いちゃったのか。
このままじゃ不味い。会話を続けないと。話題を変えるべく頭をフル回転させる。
「癖があるのは悪い事じゃないよ!それで上手くいくなら、飛鷹が一番やりやすいやり方がいいと思う。もし出来なければまた別の方法を考えればいいし」
「……そうか」
「あたしは飛鷹の蹴り好きだよ。力強くて格好いいと思う!」
「俺の蹴りはそんな風に褒められるようなものじゃない」
ああ言えばこう言うだ。よっぽどあの蹴りについて褒められたくないみたい。
「走り込み好きなの?」
「別に」
もしや飛鷹は走るのが好きなのかと思ったけど、そういう訳でもないらしい。
練習は選手の自主性に任せてる部分も多い。とはいえ、飛鷹は走り込みをしている分、皆と比べてボールを蹴る時間が少なくなってる気がする。
「走り込みもいいけどボールを蹴る感覚をまず身に付けないと]
「感覚……」
「飛鷹はよく途中で走り込みに行くけど……あたしには、飛鷹がボールに向き合えてないように見えた」
「なっ、そんなことは!」
そう言って飛鷹が立ち止まった。つられてあたしも立ち止まる。視線を合わせれば、身長差があるから、飛鷹が見下ろして、あたしが見上げる形になった。
暫くして、罰が悪そうに飛鷹は目を逸らした。……飛鷹は、ボール蹴るの、怖いのかな。
「ねえ飛鷹、ボール蹴るの恐い?」
「……そんなことはない」
「あたしは怖いよ」
「え……」
「怖くて当然なんだよ。パスが繋がらなかったら、抜かれたら、点を取られたら、シュートを決められなかったら」
「……」
「自分がチームが不利になるようなプレーをしてしまったら、それで負けたら。皆そうなんだよ。だから、怖さを抱えて蹴るんだ」
「怖さを抱えて、蹴る……」
「……なんてね!これは受け売り!」
思い出すのは沖縄でのこと。帰還早々、華々しい活躍をしてみせた豪炎寺と、倒れてしまった士郎くん。……あの時は、嬉しいのと辛いのと、両方だったな。
「それは誰が言ってたんだ?」
「……豪炎寺だよ。言った相手は士郎くん」
「あいつらも、そうなのか」
「そうだよ。エースも、キャプテンも、司令塔も……そうじゃなくたって、皆そう」
でも、サッカーは辛く苦しいだけじゃない。
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狙うは守兄の真っ正面。だけど勢いよく飛び出したボールは、守兄の横に逸れて転がっていった。うーん、やっぱり蹴り方に癖があるな。
守兄もそれは分かってるみたいで、首を傾げながらアドバイスをする。繋ぐように、それを意識したからか、少し良くなった。
けれど飛鷹は思うところがあったみたいで、走り込みが足りないからと言って立ち去ってしまった。ああ、まただ。……虎丸の時と一緒だ。分からないなら、行動あるのみ!
「あたしちょっと行ってくる!」
「! よし、行ってこい!」
守兄に送り出されて、全力で走って飛鷹に追い付くと並走する。飛鷹はじろりと一瞬視線を向けると、また前を向いてしまった。これくらいでへこたれるもんか!
「走り込み、あたしも付き合うよ!」
「いい」
「じゃああたしが走り込みするのに飛鷹が付き合って。ちょっと話そうよ。飛鷹のこともっと教えて?」
「悪いが俺は知ってもらうような奴じゃない」
「でもあたしは飛鷹のこと知りたい。飛鷹がどういう奴かは、知ってからあたしが判断する」
「……キャプテンといいあんたといい、お人好しだな」
「そうでもないよ。あたしは飛鷹とサッカーがしたいだけ。あとあんたじゃなくて円堂美波だよ」
ドヤ顔をしてみせれば、飛鷹は大きなため息をついた。
「はあ……行くぞ、円堂」
「えっ」
「……しないのか、走り込み」
「い、行く!する!」
あたしが円堂と呼ばれるのは珍しい。ややこしくなるから、混ざらないように共通の友達には名前で呼んで欲しいと言ってるからだ。
円堂くん、円堂さんで呼び分けられる時もある。二人でいる時に円堂と呼ばれても、話の流れやニュアンスでなんとなくどっちを呼んでるかは分かる。
それでも円堂といえば守兄で。だからちょっと……嬉しいかもしれない。
「飛鷹はさ、サッカー好き?」
「……」
「あー、じゃあ始めたきっかけは?あたしは守兄がボール蹴ってるのを見て興味が湧いたから!」
「……響木さんに、やってみないかと誘われて」
「そっか!そういえば飛鷹は響木監督が推薦したんだっけ。もしかして何か他にスポーツしてた?」
「いや……どうしてそう思った」
「ボールを蹴る時に癖があるんだよね。だから何かやってたのかと思って」
そう言えば飛鷹は黙り込んでしまった。しまった。この際色々聞いてみようと思って、聞かれたくないことを聞いちゃったのか。
このままじゃ不味い。会話を続けないと。話題を変えるべく頭をフル回転させる。
「癖があるのは悪い事じゃないよ!それで上手くいくなら、飛鷹が一番やりやすいやり方がいいと思う。もし出来なければまた別の方法を考えればいいし」
「……そうか」
「あたしは飛鷹の蹴り好きだよ。力強くて格好いいと思う!」
「俺の蹴りはそんな風に褒められるようなものじゃない」
ああ言えばこう言うだ。よっぽどあの蹴りについて褒められたくないみたい。
「走り込み好きなの?」
「別に」
もしや飛鷹は走るのが好きなのかと思ったけど、そういう訳でもないらしい。
練習は選手の自主性に任せてる部分も多い。とはいえ、飛鷹は走り込みをしている分、皆と比べてボールを蹴る時間が少なくなってる気がする。
「走り込みもいいけどボールを蹴る感覚をまず身に付けないと]
「感覚……」
「飛鷹はよく途中で走り込みに行くけど……あたしには、飛鷹がボールに向き合えてないように見えた」
「なっ、そんなことは!」
そう言って飛鷹が立ち止まった。つられてあたしも立ち止まる。視線を合わせれば、身長差があるから、飛鷹が見下ろして、あたしが見上げる形になった。
暫くして、罰が悪そうに飛鷹は目を逸らした。……飛鷹は、ボール蹴るの、怖いのかな。
「ねえ飛鷹、ボール蹴るの恐い?」
「……そんなことはない」
「あたしは怖いよ」
「え……」
「怖くて当然なんだよ。パスが繋がらなかったら、抜かれたら、点を取られたら、シュートを決められなかったら」
「……」
「自分がチームが不利になるようなプレーをしてしまったら、それで負けたら。皆そうなんだよ。だから、怖さを抱えて蹴るんだ」
「怖さを抱えて、蹴る……」
「……なんてね!これは受け売り!」
思い出すのは沖縄でのこと。帰還早々、華々しい活躍をしてみせた豪炎寺と、倒れてしまった士郎くん。……あの時は、嬉しいのと辛いのと、両方だったな。
「それは誰が言ってたんだ?」
「……豪炎寺だよ。言った相手は士郎くん」
「あいつらも、そうなのか」
「そうだよ。エースも、キャプテンも、司令塔も……そうじゃなくたって、皆そう」
でも、サッカーは辛く苦しいだけじゃない。
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