第8話 真剣勝負!円堂と飛鷹!!
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秋に一言断りを入れてタオルを一枚借りる。道中の話題はやっぱり飛鷹だった。
「気になるか、飛鷹のこと」
「そう言う守兄こそ。明王ちゃんとは違う方向性でチームに馴染めてないよね」
「うーん。いい奴だとは思うんだけどなあ、なんか距離があるんだよな」
「せっかく仲間になったんだから仲良くなれたらいいんだけど……」
「でも飛鷹が一人でいたいなら無理はさせたくないし」
「今のところ最低限の付き合いはするって感じだよね」
「……あいつ、サッカー好きなのかな」
「分からない……けど、もしそこまででもないなら、これから好きになってくれたら嬉しいな」
「……そうだな!飛鷹にサッカーを楽しんでもらえるように頑張ろう!」
「うん!サッカーは楽しいものだからね!」
守兄はチームのキャプテンだ。あたし以上に考えることも多い。少しでも代われたら……ってやってると、また一郎太が心配するんだろうな……。
話をしながら歩いて水道に着くと、案の定、飛鷹は顔を洗っていた。守兄がタオルを渡すと、飛鷹は軽く頭を下げた。礼儀正しい、って感じはするんだけどなあ。
「ストレッチ、ちゃんとやったのか?なあ、皆と一緒に練習しようぜ」
「ありがとうございます。でも俺は一人の方が性にあってますから」
やっぱり、飛鷹は一人の方が楽なのかな。あたしは賑やかな方が好きだけど、そういう人だっているよね。
そこに口を挟んできたのは、一体いつからいたのか明王ちゃんだった。
「はっ、偉そうによう」
「不動」
「まともにパスも出来ないお前がフィールドにいたら、俺達10人で戦うようなもんだぜ」
「なっ、そんな言い方しなくても!」
「やめろ不動!飛鷹は、代表選考やカタール戦でも頑張ってたじゃないか」
「フン、このままじゃ飛鷹のせいで負けるぜ」
「なっ何その言い方!」
流石のあたしも今のにはカチンと来た。飛鷹は何も言わずにじっと明王ちゃんを見ている。飛鷹が言い返さないなら、あたしが言ってやる!
「そうだよね、明王ちゃんは試合に出てすらないもんね!だから試合に出てる選手に外からとやかく言うことしか出来ないって訳だ」
「テメェ……!!足を引っ張るような下手くそに文句言って何が悪い!勝てなきゃ意味がねえんだよ!」
「負けるって言うけど、出てない奴は試合の勝ち負けにすら関われてないじゃん!出てない癖に飛鷹に僻んで文句つけないでよ!」
「何だと!?」
睨み付けてくる明王ちゃんを負けじと睨み返す。気にしてることを突かれたからか、ちっとも怖くない。
「何だよその目は!」
「よせ、三人共!」
「とにかく、俺の足を引っ張るような真似はするなよ」
そう言い捨てると、明王ちゃんは踵を返した。続いて飛鷹も一礼して行ってしまった。……つい熱くなっちゃったな。また失敗した。
「守兄みたいに冷静に対処出来たら良かったのに……」
「気にすること無いさ。仲間が仲間に悪口言ってたら、誰だって黙ってられないって」
「そうだね……。あーもう!あたしも顔洗う!」
「あっ待て美波!」
勢いよく蛇口を捻って顔に水をかける。冷たい水が気持ちいい。ユニフォームが少し濡れたけどこの後洗濯に回すしいいや。
「……タオルは?」
「あっ……無い……どうしよう……」
「よかったら使うか」
「? ありがとう!」
いっそユニフォームで拭いてしまおうかと思っていたら、真新しいタオルが横から差し出された。
ありがたく受け取って拭く。顔を上げると、そこには豪炎寺がいた。呆れたような苦笑を浮かべている。しまった、これ豪炎寺の分のタオルだ。
「ごめん。豪炎寺も顔洗いに来てたんだよね」
「問題ない。持ってきたやつ、二枚重なってたんだ」
ひらりと振られた豪炎寺の左手にはもう一枚タオルが。なら良かった。
「それから円堂。鬼道が探してたぞ」
「えっ鬼道が?分かった!教えてくれてありがとうな!」
先戻ってる!とグラウンドの方へ駆けていく守兄。この場にはあたしと豪炎寺だけになった。
……何でだろう。豪炎寺と二人なんて今までにも何度もあったのに、今日は何故か、気まずい気がする。多分、あたしだけだろうけど。
「そういえば、風丸と話してたみたいだな」
「え?ああ、さっきのことか。うん、ちょっとね」
「何を話してたんだ?」
「……何で?何が気になるの」
自分でもびっくりする程の冷たい声が出てきて、自分で言った癖に体が強張った。豪炎寺も驚いている。違う。そんなつもりじゃなかったのに。
「や、ごめん。でも大したことじゃないよ。ただお互いに心配してるってだけ」
「そうか。俺はてっきり風丸と進展したのかと思ったんだが」
「何それ」
「そのままの意味だ」
「……まあ、向き合わないととは思ってるよ。お互いにね」
「お互いに?」
「……曖昧にするのは良くないよなって話」
今日の豪炎寺はやけに突っ込んでくるな。普段はそんなことないのに。本当、何が気になるっていうんだろう。
何やら思案顔の豪炎寺。どう聞こうか考えてるって感じだ。これ以上話してるとボロが出そうで、豪炎寺が口を開く前に逃げようと思った時、呼び声が聞こえた。
「おーいお前ら!」
振り向くと、遠くから大きく手を振ってる土方がいた。
「これから食堂でカタール戦の映像見るんだってよ!お前らも来いよ!」
「分かった。今行く!」
豪炎寺の返事を聞いて、頷いた土方が去っていく。あたしはまだ返事してないのに。行くけども。
「行くぞ」
「うん……」
宿舎まで、会話は無かった。
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「気になるか、飛鷹のこと」
「そう言う守兄こそ。明王ちゃんとは違う方向性でチームに馴染めてないよね」
「うーん。いい奴だとは思うんだけどなあ、なんか距離があるんだよな」
「せっかく仲間になったんだから仲良くなれたらいいんだけど……」
「でも飛鷹が一人でいたいなら無理はさせたくないし」
「今のところ最低限の付き合いはするって感じだよね」
「……あいつ、サッカー好きなのかな」
「分からない……けど、もしそこまででもないなら、これから好きになってくれたら嬉しいな」
「……そうだな!飛鷹にサッカーを楽しんでもらえるように頑張ろう!」
「うん!サッカーは楽しいものだからね!」
守兄はチームのキャプテンだ。あたし以上に考えることも多い。少しでも代われたら……ってやってると、また一郎太が心配するんだろうな……。
話をしながら歩いて水道に着くと、案の定、飛鷹は顔を洗っていた。守兄がタオルを渡すと、飛鷹は軽く頭を下げた。礼儀正しい、って感じはするんだけどなあ。
「ストレッチ、ちゃんとやったのか?なあ、皆と一緒に練習しようぜ」
「ありがとうございます。でも俺は一人の方が性にあってますから」
やっぱり、飛鷹は一人の方が楽なのかな。あたしは賑やかな方が好きだけど、そういう人だっているよね。
そこに口を挟んできたのは、一体いつからいたのか明王ちゃんだった。
「はっ、偉そうによう」
「不動」
「まともにパスも出来ないお前がフィールドにいたら、俺達10人で戦うようなもんだぜ」
「なっ、そんな言い方しなくても!」
「やめろ不動!飛鷹は、代表選考やカタール戦でも頑張ってたじゃないか」
「フン、このままじゃ飛鷹のせいで負けるぜ」
「なっ何その言い方!」
流石のあたしも今のにはカチンと来た。飛鷹は何も言わずにじっと明王ちゃんを見ている。飛鷹が言い返さないなら、あたしが言ってやる!
「そうだよね、明王ちゃんは試合に出てすらないもんね!だから試合に出てる選手に外からとやかく言うことしか出来ないって訳だ」
「テメェ……!!足を引っ張るような下手くそに文句言って何が悪い!勝てなきゃ意味がねえんだよ!」
「負けるって言うけど、出てない奴は試合の勝ち負けにすら関われてないじゃん!出てない癖に飛鷹に僻んで文句つけないでよ!」
「何だと!?」
睨み付けてくる明王ちゃんを負けじと睨み返す。気にしてることを突かれたからか、ちっとも怖くない。
「何だよその目は!」
「よせ、三人共!」
「とにかく、俺の足を引っ張るような真似はするなよ」
そう言い捨てると、明王ちゃんは踵を返した。続いて飛鷹も一礼して行ってしまった。……つい熱くなっちゃったな。また失敗した。
「守兄みたいに冷静に対処出来たら良かったのに……」
「気にすること無いさ。仲間が仲間に悪口言ってたら、誰だって黙ってられないって」
「そうだね……。あーもう!あたしも顔洗う!」
「あっ待て美波!」
勢いよく蛇口を捻って顔に水をかける。冷たい水が気持ちいい。ユニフォームが少し濡れたけどこの後洗濯に回すしいいや。
「……タオルは?」
「あっ……無い……どうしよう……」
「よかったら使うか」
「? ありがとう!」
いっそユニフォームで拭いてしまおうかと思っていたら、真新しいタオルが横から差し出された。
ありがたく受け取って拭く。顔を上げると、そこには豪炎寺がいた。呆れたような苦笑を浮かべている。しまった、これ豪炎寺の分のタオルだ。
「ごめん。豪炎寺も顔洗いに来てたんだよね」
「問題ない。持ってきたやつ、二枚重なってたんだ」
ひらりと振られた豪炎寺の左手にはもう一枚タオルが。なら良かった。
「それから円堂。鬼道が探してたぞ」
「えっ鬼道が?分かった!教えてくれてありがとうな!」
先戻ってる!とグラウンドの方へ駆けていく守兄。この場にはあたしと豪炎寺だけになった。
……何でだろう。豪炎寺と二人なんて今までにも何度もあったのに、今日は何故か、気まずい気がする。多分、あたしだけだろうけど。
「そういえば、風丸と話してたみたいだな」
「え?ああ、さっきのことか。うん、ちょっとね」
「何を話してたんだ?」
「……何で?何が気になるの」
自分でもびっくりする程の冷たい声が出てきて、自分で言った癖に体が強張った。豪炎寺も驚いている。違う。そんなつもりじゃなかったのに。
「や、ごめん。でも大したことじゃないよ。ただお互いに心配してるってだけ」
「そうか。俺はてっきり風丸と進展したのかと思ったんだが」
「何それ」
「そのままの意味だ」
「……まあ、向き合わないととは思ってるよ。お互いにね」
「お互いに?」
「……曖昧にするのは良くないよなって話」
今日の豪炎寺はやけに突っ込んでくるな。普段はそんなことないのに。本当、何が気になるっていうんだろう。
何やら思案顔の豪炎寺。どう聞こうか考えてるって感じだ。これ以上話してるとボロが出そうで、豪炎寺が口を開く前に逃げようと思った時、呼び声が聞こえた。
「おーいお前ら!」
振り向くと、遠くから大きく手を振ってる土方がいた。
「これから食堂でカタール戦の映像見るんだってよ!お前らも来いよ!」
「分かった。今行く!」
豪炎寺の返事を聞いて、頷いた土方が去っていく。あたしはまだ返事してないのに。行くけども。
「行くぞ」
「うん……」
宿舎まで、会話は無かった。
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