第7話 眠れる虎!目覚める時!!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゴールキックから試合再開。インターセプトした虎丸がディフェンダーを2人かわして、ゴール前へ。早速の活躍だ。
けれどシュートチャンスにも関わらず、虎丸はバックパスを出した。それを読んでカットしたデザートライオンが反撃に転じてくる。
マークをつこうにも壁山は追い付けなくて、なんとか立向居がスライディングで弾いて止めた。こぼれ球は一郎太が抑えて、コーナー付近からゴール前に上げる。
しかし鬼道へのセンタリングは読まれていた。でも、カタールディフェンスが割り込んでくる前に、飛び込んだ虎丸がパスを受けた。
「今だ!撃て虎丸!」
豪炎寺が声を張り上げる。続いてあたしも叫ぶけど、なんと虎丸は豪炎寺へパスを出した。
疲労が溜まった豪炎寺は、苦し紛れに爆熱ストームを放つけど、デザートライオンキーパーのストームライダーで止められてしまった。
惜しかった。でも、あそこで撃ったのが豪炎寺ではなく、入ったばかりの虎丸だったら、得点に繋がったんじゃないだろうか。
「虎丸、何故シュートしなかった」
「だって、豪炎寺さんの方が確実だと思って」
「決定的なチャンスだった。どうして自分で撃たなかったんだ」
「……俺が決めたら駄目なんです」
「どういう意味だ」
豪炎寺の問いかけに虎丸は答えない。ぎゅっと口を引き結ぶと、ゴールキックに備えてか行ってしまった。
「豪炎寺、やっぱり今の……」
「……この試合、勝つ為には虎丸のシュートが必要だ」
「うん……。虎丸に回すね」
「頼む」
ゴールキックで試合がまた動き出す。虎丸がシュートを撃ってくれるかの不安はあるけど、豪炎寺に頼まれたら、やるしかない。勝つ為に。
「荒波V2!虎丸っ!」
攻められる前にボールを奪うと、虎丸へ向けて力一杯パスを蹴り出せば、ディフェンスをかわして虎丸は見事受け取った。
パスを見た豪炎寺が少し下がる。これで豪炎寺はシュートを撃てる位置から外れた。これなら虎丸だってシュートを撃つだろう。
そう思っていたのに、虎丸はくるりとあたしの方へ体を向けた。
「美波さん!」
「え……!?」
確かにあたしは今フリーだけど、まさかボールが戻ってくるとは思わなかった。とりあえずボールを持ったままドリブルで上がってキープする。
皆離れた所にいて、コースも塞がれて、パスは出せそうにない。撃たなきゃ、あたしがシュートを、撃つんだ。
「ッ、炎華!」
正直やけくそな気持ちになりながら撃ったシュートは、またしても止められた。駄目だった。
けれど落ち込んではいられない。鬼道が戻れと叫んでいる。すぐさま攻撃を仕掛けてくるデザートライオンに対応するべく、全速力で自陣に走る。
立向居が吹き飛ばされて抜かれた。体勢を崩した立向居からのアイコンタクト。ありがとう、おかげで間に合った。
「食らえ!ミラージュシュート!」
「水龍!!」
大きな水の龍がシュートを呑み込む。止めきれはしなかったけど、後ろに控えるのは守兄だ。守兄が繰り出した正義の鉄拳で、得点は阻止出来た。
土方が立向居に肩を貸している。後半も残り少ない。もうロスタイムに入る。体力は皆ギリギリだけど、ここを凌げればイナズマジャパンの勝ちだ。
「皆、守りきるぞ!」
『おう!』
再びのコーナーキック。勢いよく振り上げられた足から繰り出されたのは、予想外のショートコーナーだった。
コースを切るよう鬼道の指示が飛ぶ。距離を詰めるけど、それより先にシュートを撃たれてしまった。
でもシュートは守兄の真正面だ。止められる。そう思った時、ボールの軌道が変わった。そして上へと伸びていくボールに飛び込んできた10番が、ヘディングで押し込んだ。
まさか、シュートではなくパスだったなんて。いや、今のは10番の咄嗟の判断だったのか。どっちにせよ、イナズマジャパンは同点に追い付かれてしまった。
守兄が拳を地面に叩きつける音がした。あとちょっとだったのに、ここにきて同点。そう思った瞬間、どっと汗が吹き出してきた。
2ー2、表示されてるスコアが重くのし掛かってくる。喉がからからだ。
でもまだ時間はある。最後まで諦めないのが雷門サッカーで、イナズマジャパンだ。汗で滑るハチマキを結び直して、気合いを入れる。
「ごめん、皆。守りきれなくて」
「大丈夫だよ守兄。1点、あと1点!苦しいけど取りに行こう!」
「ああ。試合はまだ終わってない!」
虚勢でもなんでもいい。大切なのは諦めない気持ちだ。
「皆諦めるな!攻め上がれ!」
疲労と体力の限界で足が重い。延長戦になれば勝てる可能性は大幅に低くなる。このプレーで、絶対に点を取らないと!
その時だった。ボールを持ち込んだ虎丸が足を止めた。場所はゴール前、得点のチャンス。にも関わらずだ。
「っ、虎丸!シュート撃って!」
「……豪炎寺さん!」
ボールが宙を舞う。パスを受けた豪炎寺の目付きが鋭くなった。ああ、豪炎寺物凄く怒ってるな。怒りの炎がめらめらと燃えてるような感じ。
そしてこの状況を、激昂している豪炎寺を、あたしは何度か見た事がある。
案の定、豪炎寺は虎丸へ向けてシュートを撃った。やっぱりやった……。肩にもろに食らった虎丸は衝撃でしりもちをついた。
突然シュートをぶつけられ、いくら相手が尊敬してるという豪炎寺といえども、流石に虎丸も思うところがあったようで、抗議の声をあげた。
「何するんですか豪炎寺さん!」
「さっきから何だ、お前のプレーは!試合時間は残ってないんだぞ、精一杯ベストと思えるプレーをしろ!」
「これが俺のベストです!俺のアシストで、皆が点を取る。そうすれば俺が、皆の活躍の場を奪うこともない。皆で楽しくサッカーが出来るんです!」
それはどういう事なのか。確かに虎丸はアシストが上手い。あれを受けてシュートを決められたら、楽しいだろうし気持ちいいと思う。
けど、シュートを撃つ絶好の機会でもパスをされたらどうだろう。点を取れなくなるどころか、逆にピンチを呼び込んでしまうかもしれない。
点を取るのがそんなに大事なのだろうか。もちろん勝つには必要不可欠で重要だけど、得点に関わらないプレーは活躍とは言えないのだろうか。
華々しく活躍するのだけがサッカーじゃない。パスにドリブル、ちょっとしたプレーも全部勝利に繋がる大事なものの筈だ。
どうにも虎丸とあたし達では考え方が噛み合ってない気がする。豪炎寺もそう思ったのか、ふざけるなと、そんなのは本当のサッカーじゃないと怒鳴り付けた。
「見ろ!ここにいるのは、日本中から最強のプレイヤー達。そして、敵は世界だ!俺達は世界と戦い、勝つ為にここにいるんだ。それを忘れるな」
「そうだぞ、虎丸。全員が全力でゴールを目指さなきゃ、どんな試合にも勝てないぜ。もっとチームメイトを信じろって」
サッカーは楽しい。けれど、試合に勝てたらもっと楽しい。だから勝つ為に練習する。信じ合える仲間達と一緒に、全力で戦う。
虎丸の本当の思いが分からなかった。皆の力を信じきれてない虎丸の思いが。だから全部サッカーにぶつけて欲しい。そうすれば、あたし達は虎丸をもっと知れる。
「本当の虎丸を見せて!大丈夫、あたし達は虎丸に置いてかれたりなんかしないよ!」
「美波さん……」
「虎丸、ここにはお前のプレーを受け止められないヤワな奴は一人もいない」
「やろうぜ、虎丸!」
「いいんですか?俺、思いっきりやっちゃっても!」
「俺を驚かせてみろ」
「はい!」
大きく頷いた虎丸は笑顔だった。やっと、虎丸が分かってきた気がする。
,
けれどシュートチャンスにも関わらず、虎丸はバックパスを出した。それを読んでカットしたデザートライオンが反撃に転じてくる。
マークをつこうにも壁山は追い付けなくて、なんとか立向居がスライディングで弾いて止めた。こぼれ球は一郎太が抑えて、コーナー付近からゴール前に上げる。
しかし鬼道へのセンタリングは読まれていた。でも、カタールディフェンスが割り込んでくる前に、飛び込んだ虎丸がパスを受けた。
「今だ!撃て虎丸!」
豪炎寺が声を張り上げる。続いてあたしも叫ぶけど、なんと虎丸は豪炎寺へパスを出した。
疲労が溜まった豪炎寺は、苦し紛れに爆熱ストームを放つけど、デザートライオンキーパーのストームライダーで止められてしまった。
惜しかった。でも、あそこで撃ったのが豪炎寺ではなく、入ったばかりの虎丸だったら、得点に繋がったんじゃないだろうか。
「虎丸、何故シュートしなかった」
「だって、豪炎寺さんの方が確実だと思って」
「決定的なチャンスだった。どうして自分で撃たなかったんだ」
「……俺が決めたら駄目なんです」
「どういう意味だ」
豪炎寺の問いかけに虎丸は答えない。ぎゅっと口を引き結ぶと、ゴールキックに備えてか行ってしまった。
「豪炎寺、やっぱり今の……」
「……この試合、勝つ為には虎丸のシュートが必要だ」
「うん……。虎丸に回すね」
「頼む」
ゴールキックで試合がまた動き出す。虎丸がシュートを撃ってくれるかの不安はあるけど、豪炎寺に頼まれたら、やるしかない。勝つ為に。
「荒波V2!虎丸っ!」
攻められる前にボールを奪うと、虎丸へ向けて力一杯パスを蹴り出せば、ディフェンスをかわして虎丸は見事受け取った。
パスを見た豪炎寺が少し下がる。これで豪炎寺はシュートを撃てる位置から外れた。これなら虎丸だってシュートを撃つだろう。
そう思っていたのに、虎丸はくるりとあたしの方へ体を向けた。
「美波さん!」
「え……!?」
確かにあたしは今フリーだけど、まさかボールが戻ってくるとは思わなかった。とりあえずボールを持ったままドリブルで上がってキープする。
皆離れた所にいて、コースも塞がれて、パスは出せそうにない。撃たなきゃ、あたしがシュートを、撃つんだ。
「ッ、炎華!」
正直やけくそな気持ちになりながら撃ったシュートは、またしても止められた。駄目だった。
けれど落ち込んではいられない。鬼道が戻れと叫んでいる。すぐさま攻撃を仕掛けてくるデザートライオンに対応するべく、全速力で自陣に走る。
立向居が吹き飛ばされて抜かれた。体勢を崩した立向居からのアイコンタクト。ありがとう、おかげで間に合った。
「食らえ!ミラージュシュート!」
「水龍!!」
大きな水の龍がシュートを呑み込む。止めきれはしなかったけど、後ろに控えるのは守兄だ。守兄が繰り出した正義の鉄拳で、得点は阻止出来た。
土方が立向居に肩を貸している。後半も残り少ない。もうロスタイムに入る。体力は皆ギリギリだけど、ここを凌げればイナズマジャパンの勝ちだ。
「皆、守りきるぞ!」
『おう!』
再びのコーナーキック。勢いよく振り上げられた足から繰り出されたのは、予想外のショートコーナーだった。
コースを切るよう鬼道の指示が飛ぶ。距離を詰めるけど、それより先にシュートを撃たれてしまった。
でもシュートは守兄の真正面だ。止められる。そう思った時、ボールの軌道が変わった。そして上へと伸びていくボールに飛び込んできた10番が、ヘディングで押し込んだ。
まさか、シュートではなくパスだったなんて。いや、今のは10番の咄嗟の判断だったのか。どっちにせよ、イナズマジャパンは同点に追い付かれてしまった。
守兄が拳を地面に叩きつける音がした。あとちょっとだったのに、ここにきて同点。そう思った瞬間、どっと汗が吹き出してきた。
2ー2、表示されてるスコアが重くのし掛かってくる。喉がからからだ。
でもまだ時間はある。最後まで諦めないのが雷門サッカーで、イナズマジャパンだ。汗で滑るハチマキを結び直して、気合いを入れる。
「ごめん、皆。守りきれなくて」
「大丈夫だよ守兄。1点、あと1点!苦しいけど取りに行こう!」
「ああ。試合はまだ終わってない!」
虚勢でもなんでもいい。大切なのは諦めない気持ちだ。
「皆諦めるな!攻め上がれ!」
疲労と体力の限界で足が重い。延長戦になれば勝てる可能性は大幅に低くなる。このプレーで、絶対に点を取らないと!
その時だった。ボールを持ち込んだ虎丸が足を止めた。場所はゴール前、得点のチャンス。にも関わらずだ。
「っ、虎丸!シュート撃って!」
「……豪炎寺さん!」
ボールが宙を舞う。パスを受けた豪炎寺の目付きが鋭くなった。ああ、豪炎寺物凄く怒ってるな。怒りの炎がめらめらと燃えてるような感じ。
そしてこの状況を、激昂している豪炎寺を、あたしは何度か見た事がある。
案の定、豪炎寺は虎丸へ向けてシュートを撃った。やっぱりやった……。肩にもろに食らった虎丸は衝撃でしりもちをついた。
突然シュートをぶつけられ、いくら相手が尊敬してるという豪炎寺といえども、流石に虎丸も思うところがあったようで、抗議の声をあげた。
「何するんですか豪炎寺さん!」
「さっきから何だ、お前のプレーは!試合時間は残ってないんだぞ、精一杯ベストと思えるプレーをしろ!」
「これが俺のベストです!俺のアシストで、皆が点を取る。そうすれば俺が、皆の活躍の場を奪うこともない。皆で楽しくサッカーが出来るんです!」
それはどういう事なのか。確かに虎丸はアシストが上手い。あれを受けてシュートを決められたら、楽しいだろうし気持ちいいと思う。
けど、シュートを撃つ絶好の機会でもパスをされたらどうだろう。点を取れなくなるどころか、逆にピンチを呼び込んでしまうかもしれない。
点を取るのがそんなに大事なのだろうか。もちろん勝つには必要不可欠で重要だけど、得点に関わらないプレーは活躍とは言えないのだろうか。
華々しく活躍するのだけがサッカーじゃない。パスにドリブル、ちょっとしたプレーも全部勝利に繋がる大事なものの筈だ。
どうにも虎丸とあたし達では考え方が噛み合ってない気がする。豪炎寺もそう思ったのか、ふざけるなと、そんなのは本当のサッカーじゃないと怒鳴り付けた。
「見ろ!ここにいるのは、日本中から最強のプレイヤー達。そして、敵は世界だ!俺達は世界と戦い、勝つ為にここにいるんだ。それを忘れるな」
「そうだぞ、虎丸。全員が全力でゴールを目指さなきゃ、どんな試合にも勝てないぜ。もっとチームメイトを信じろって」
サッカーは楽しい。けれど、試合に勝てたらもっと楽しい。だから勝つ為に練習する。信じ合える仲間達と一緒に、全力で戦う。
虎丸の本当の思いが分からなかった。皆の力を信じきれてない虎丸の思いが。だから全部サッカーにぶつけて欲しい。そうすれば、あたし達は虎丸をもっと知れる。
「本当の虎丸を見せて!大丈夫、あたし達は虎丸に置いてかれたりなんかしないよ!」
「美波さん……」
「虎丸、ここにはお前のプレーを受け止められないヤワな奴は一人もいない」
「やろうぜ、虎丸!」
「いいんですか?俺、思いっきりやっちゃっても!」
「俺を驚かせてみろ」
「はい!」
大きく頷いた虎丸は笑顔だった。やっと、虎丸が分かってきた気がする。
,