第7話 眠れる虎!目覚める時!!
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度重なるラフプレーに対応しているうちに、デザートライオンの策にまんまとハマってしまった。
ただでさえ暑い中で、イナズマジャパンは戦力を大きく削られた。しかもデザートライオンはまだまだ余裕を残している。後半は始まったばかりなのに……。
ベンチへ戻ってきたヒロトと条兄に、秋達がタオルとドリンクを渡す。色白なヒロトの頬が赤く染まっていて、条兄は嫌に汗が多い。
あたしにも、何か二人に出来ることは……あ!
「そうだ!保冷剤!」
乃々美さんが持ってきてくれたお弁当には保冷剤がついていた。少し溶けてるだろうけど、まだ十分使える筈だ。
結露を拭いて、予備のタオルで保冷剤を巻く。厚さを調節して……よし、完成!
「ヒロト、条兄、大丈夫?これ保冷剤。首とか腕とか、気休めだけど冷やして」
「……ありがとう、美波ちゃん」
「ありがてえや……。あ、俺そのままでいいわ」
「冷やしすぎもダメなんだって!」
保冷剤を押し付けて、リュウジにも渡してから、フィールドに目を向ける。二人と交代で入ったのは立向居と飛鷹だ。
再び動き出した試合は、依然イナズマジャパンが押される形になった。士郎くんがスライディングを避けきれずに転倒してしまったのだ。
零れたボールは鬼道が拾って、それでも果敢に攻めていくけど、士郎くんが限界に近いのはベンチからでも分かった。
パスを求めた士郎君くんがウルフレジェンドを放つ。けれどキーパーの必殺技、ストームライダーに阻まれて、得点には繋がらなかった。
「士郎くん!」
とうとう倒れてしまった士郎くん。ぎゅっと拳を握りしめれば、持っていた保冷剤がぐしゃりと潰れた。落ち着け、落ち着け。焦ったら駄目だ。
「そろそろ限界だな。この気温の中、よく頑張ったと褒めてやろう」
「何!?」
「最後に勝つのは極限まで鍛え上げられた俺達だ」
「お前たちのチームプレーで俺達の攻撃をどこまでしのげるかな」
「チッ、好きに言ってくれるぜ」
挑発してくるデザートライオンに、明王ちゃんが悪態をつく。
さて誰が士郎くんと交代するのか。監督に呼ばれたのは虎丸だった。自分だと思っていたのか、明王ちゃんは愕然とした表情。
「円堂」
「はいっ!」
「お前も交代だ」
「分かりました!」
フィールドを見れば、夕弥が膝をついてるのが見えた。5人交代か……。じっと視線を感じてそちらを見ると、明王ちゃんが。
「行ってくるね」
「せいぜい頑張るんだな」
「言われなくたって!何かアドバイスある?」
「知らねえ」
「えー、あんなに試合見てたじゃん」
「……まだ体力あんだから走れるだけ走ればいいんじゃねえの」
「それもそうだ。明王ちゃんの分までやってくるよ」
そう言えば、フンとそっぽを向かれてしまった。機嫌を損ねてしまったようだ。
立ち上がろうとしたら、何故か引っ張られる感覚がした。目を向けると、ヒロトがあたしのユニフォームの裾を掴んでいた。
「ヒロト?どうかした?」
「……あれ?」
ぱちぱちと瞬きしたヒロトが、不思議そうに自分の手をまじまじと見つめる。どうやら無意識だったらしい。
普段大人びてるヒロトが、今はなんだか幼く見えた。ちょっと可愛いかもしれない。目金に言わせると、ギャップ萌えとかいうやつか。
「ごめん。暑さでどうかしてたみたいだ」
「謝ることないよ、全然気にしてないし。この暑さだもんね、大丈夫?」
「大丈夫。ただ……一人になりたくなかった、のかな」
ぐ、と拳を握り締めるヒロト。ヒロトが何を思ったのか、何があったのかは分からない。聞くべきじゃない。けど、こういう時にかける言葉をあたしは知っている。
「一人じゃないよ。皆が、仲間がいるんだから」
「……うん、そうだね。ありがとう」
「ヒロトの分も頑張って勝ってくるから!いってきます!」
「いってらっしゃい、美波ちゃん」
靴紐を結び直して、虎丸とフィールドに向かう。際には既に士郎くんと夕弥が来ていた。
「士郎くん、夕弥、お疲れ。後は任せて!」
「美波ちゃん……」
「後は、任せたからな……」
「おうっ!」
二人共ふらふらで、付き添いの目金が肩を貸した。特に雪国育ちの士郎くんにとって、この暑さは凄くしんどかったと思う。ここまで本当に頑張ってくれた。
真っ赤な頬に手を伸ばす。熱い。熱が籠ってるんだ。……いや何してるんだろうあたし。慌てて手を引っ込める前に、すり、と士郎君があたしの手に頬をすり寄せた。
「し、士郎くん!?」
「美波ちゃんの手、冷たくて気持ちいい」
「さっきまで保冷剤持ってたから………」
ふにゃりと笑った士郎くんに、前みたいにドキッとした。これはあれ、あれか、色っぽい的なやつ。よく分からないけど。知らないけど。
元々そうだったような気がしないでもないけど、最近の士郎くんはもっと距離が近くなった気がする。駄目だ。考えるな。
「保冷剤!士郎くんと夕弥のも用意してあるから!使ってね!」
「うん、ありがとう」
「……美波さあそういうの良くないと思う」
「何も言わないで夕弥頼むから」
「美波、虎丸」
「あ、守兄」
「そろそろポジションについてくれ。あと吹雪と木暮は早くベンチに行って休んだ方がいいんじゃないか」
「うんうんそうだよね!キャプテンの言う通りだよね!吹雪さん目金さん行くよ!」
「そ、そうですね!」
バテてたのはどこへやら、すたこらと走る夕弥を目金が追う。士郎くんは目金と夕弥に半ば引きずられてたようにも見えたけど、大丈夫だろうか。
虎丸はというと、一連のやり取りに呆気にとられた表情だ。守兄を見て、士郎くん達を見て、あたしを見る。……いたたまれない。
「……さ、頼んだぞ虎丸」
「は、はい!」
考えるのを止めたらしい虎丸は、自分のポジションに一直線に行ってしまった。あたしも守兄が口を開く前に走ってポジションについた。
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ただでさえ暑い中で、イナズマジャパンは戦力を大きく削られた。しかもデザートライオンはまだまだ余裕を残している。後半は始まったばかりなのに……。
ベンチへ戻ってきたヒロトと条兄に、秋達がタオルとドリンクを渡す。色白なヒロトの頬が赤く染まっていて、条兄は嫌に汗が多い。
あたしにも、何か二人に出来ることは……あ!
「そうだ!保冷剤!」
乃々美さんが持ってきてくれたお弁当には保冷剤がついていた。少し溶けてるだろうけど、まだ十分使える筈だ。
結露を拭いて、予備のタオルで保冷剤を巻く。厚さを調節して……よし、完成!
「ヒロト、条兄、大丈夫?これ保冷剤。首とか腕とか、気休めだけど冷やして」
「……ありがとう、美波ちゃん」
「ありがてえや……。あ、俺そのままでいいわ」
「冷やしすぎもダメなんだって!」
保冷剤を押し付けて、リュウジにも渡してから、フィールドに目を向ける。二人と交代で入ったのは立向居と飛鷹だ。
再び動き出した試合は、依然イナズマジャパンが押される形になった。士郎くんがスライディングを避けきれずに転倒してしまったのだ。
零れたボールは鬼道が拾って、それでも果敢に攻めていくけど、士郎くんが限界に近いのはベンチからでも分かった。
パスを求めた士郎君くんがウルフレジェンドを放つ。けれどキーパーの必殺技、ストームライダーに阻まれて、得点には繋がらなかった。
「士郎くん!」
とうとう倒れてしまった士郎くん。ぎゅっと拳を握りしめれば、持っていた保冷剤がぐしゃりと潰れた。落ち着け、落ち着け。焦ったら駄目だ。
「そろそろ限界だな。この気温の中、よく頑張ったと褒めてやろう」
「何!?」
「最後に勝つのは極限まで鍛え上げられた俺達だ」
「お前たちのチームプレーで俺達の攻撃をどこまでしのげるかな」
「チッ、好きに言ってくれるぜ」
挑発してくるデザートライオンに、明王ちゃんが悪態をつく。
さて誰が士郎くんと交代するのか。監督に呼ばれたのは虎丸だった。自分だと思っていたのか、明王ちゃんは愕然とした表情。
「円堂」
「はいっ!」
「お前も交代だ」
「分かりました!」
フィールドを見れば、夕弥が膝をついてるのが見えた。5人交代か……。じっと視線を感じてそちらを見ると、明王ちゃんが。
「行ってくるね」
「せいぜい頑張るんだな」
「言われなくたって!何かアドバイスある?」
「知らねえ」
「えー、あんなに試合見てたじゃん」
「……まだ体力あんだから走れるだけ走ればいいんじゃねえの」
「それもそうだ。明王ちゃんの分までやってくるよ」
そう言えば、フンとそっぽを向かれてしまった。機嫌を損ねてしまったようだ。
立ち上がろうとしたら、何故か引っ張られる感覚がした。目を向けると、ヒロトがあたしのユニフォームの裾を掴んでいた。
「ヒロト?どうかした?」
「……あれ?」
ぱちぱちと瞬きしたヒロトが、不思議そうに自分の手をまじまじと見つめる。どうやら無意識だったらしい。
普段大人びてるヒロトが、今はなんだか幼く見えた。ちょっと可愛いかもしれない。目金に言わせると、ギャップ萌えとかいうやつか。
「ごめん。暑さでどうかしてたみたいだ」
「謝ることないよ、全然気にしてないし。この暑さだもんね、大丈夫?」
「大丈夫。ただ……一人になりたくなかった、のかな」
ぐ、と拳を握り締めるヒロト。ヒロトが何を思ったのか、何があったのかは分からない。聞くべきじゃない。けど、こういう時にかける言葉をあたしは知っている。
「一人じゃないよ。皆が、仲間がいるんだから」
「……うん、そうだね。ありがとう」
「ヒロトの分も頑張って勝ってくるから!いってきます!」
「いってらっしゃい、美波ちゃん」
靴紐を結び直して、虎丸とフィールドに向かう。際には既に士郎くんと夕弥が来ていた。
「士郎くん、夕弥、お疲れ。後は任せて!」
「美波ちゃん……」
「後は、任せたからな……」
「おうっ!」
二人共ふらふらで、付き添いの目金が肩を貸した。特に雪国育ちの士郎くんにとって、この暑さは凄くしんどかったと思う。ここまで本当に頑張ってくれた。
真っ赤な頬に手を伸ばす。熱い。熱が籠ってるんだ。……いや何してるんだろうあたし。慌てて手を引っ込める前に、すり、と士郎君があたしの手に頬をすり寄せた。
「し、士郎くん!?」
「美波ちゃんの手、冷たくて気持ちいい」
「さっきまで保冷剤持ってたから………」
ふにゃりと笑った士郎くんに、前みたいにドキッとした。これはあれ、あれか、色っぽい的なやつ。よく分からないけど。知らないけど。
元々そうだったような気がしないでもないけど、最近の士郎くんはもっと距離が近くなった気がする。駄目だ。考えるな。
「保冷剤!士郎くんと夕弥のも用意してあるから!使ってね!」
「うん、ありがとう」
「……美波さあそういうの良くないと思う」
「何も言わないで夕弥頼むから」
「美波、虎丸」
「あ、守兄」
「そろそろポジションについてくれ。あと吹雪と木暮は早くベンチに行って休んだ方がいいんじゃないか」
「うんうんそうだよね!キャプテンの言う通りだよね!吹雪さん目金さん行くよ!」
「そ、そうですね!」
バテてたのはどこへやら、すたこらと走る夕弥を目金が追う。士郎くんは目金と夕弥に半ば引きずられてたようにも見えたけど、大丈夫だろうか。
虎丸はというと、一連のやり取りに呆気にとられた表情だ。守兄を見て、士郎くん達を見て、あたしを見る。……いたたまれない。
「……さ、頼んだぞ虎丸」
「は、はい!」
考えるのを止めたらしい虎丸は、自分のポジションに一直線に行ってしまった。あたしも守兄が口を開く前に走ってポジションについた。
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