第6話 灼熱の獅子!デザートライオン!!
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比較的簡単かつ大量に作れるもの、ということで今日はカレーとサラダに決まった。
まずは研いだお米を炊飯器にセットして、それぞれ手分けしてただただひたすらに野菜を切っていく。単純作業だけど、量が量だから大変だ。
何せ皆、食べ盛りでよく食べる。というか食べないと体が持たない。
「マネージャー達、毎日こんなに大変なことやってるんだな」
「他にもユニフォームやタオルの洗濯、ドリンクの準備もしてんだよな」
「ボールの手入れやグラウンドの整備もだね」
「もちろんですよ!日本代表選手である皆さんに、心置きなく練習してもらえるようにするのが僕達の仕事ですから!」
「目金……いつだって頼りにしてるよ!たまにはこうやって手伝えたらいいんだけど……」
最初の頃は顔を出してたし、たまには手伝えたらと考えてはいたものの、最近は練習疲れで夕飯まで寝てることが殆どだ。正直、申し訳ない。
「もっと体力つけないとなあ……」
「お気遣いなさらず!我がイナズマジャパンの勝利が僕達にとって一番の報酬なんですから!」
「それじゃあ、なおさら次も絶対に勝たないとね!」
周囲を見渡せば、皆も頷いてくれた。支えてくれる、応援してくれる人達の為にも勝ちたい。この気持ちは、皆一緒だ。
ご飯が炊けてカレーの煮込みが終わるまでは、器具の片付けや配膳準備。あたしと士郎くんは流し担当。
あ、夕弥がつまみ食いしてる。春ちゃんがいないのをいいことに……ヒロトが気づいた。優しく注意されて流石にしょんぼりしてる。夕弥にはキツく言うよりこっちの方が効きそう。
「……こうしてると、昔を思い出すな」
「昔?」
「うん。アツヤともね、こうしてお母さんの手伝いしたなって。どっちが早いか張り合ったりして」
「士郎くん……。あ、あたしもね、守兄とやったよ!でもやってるうちに競争になっちゃうんだよね」
「それで余計に仕事を増やしちゃって怒られたり!」
「そうそう!洗濯物泡だらけにしたことある!」
「片付けしようとして余計に散らかしたこともあったなあ」
「うんうん」
一瞬しんみりした空気になるかと思ったけど、そんなことは無かった。
士郎くんがアツヤとの思い出を前向きに話せるようになれたなら、本当に良かったと思う。
「あ、でも、こういう時は夫婦みたいだねって言うのが定番かな?」
「え!?あ!?」
泡でツルッと滑って持ってたお皿がシンクに落ちる。がしゃん、と音を立てて、割れた。
「お皿があああ!?」
「あ、大変」
こんな時でも士郎くんは冷静、いやマイペースだ。ある意味凄い。
あたしはというと、思わず出してしまった指先にうっすらと赤い線が浮かんでいた。それ程痛みは無いけど……しくじったな。
「大丈夫か美波!」
「ごめん一郎太、お皿割った」
「また派手にやったな……。木野達が帰ってきたら謝るんだぞ。怪我はしてないか?」
「指ちょっと切った」
「分かった。救急箱とガムテープ持ってくるよ」
そう言うと、他の皆に説明しつつ一郎太は行ってしまった。破片を回収する為のガムテープはともかく、これくらいの怪我なら舐めておけば治るのに。
とりあえず大きな破片を拾っておこう。手を伸ばそうとしたら、横から士郎くんの手が待ったをかけた。
「僕がやるよ」
「でもあたしが割っちゃったんだし……あ、怪我なら大丈夫!一郎太は心配性なんだよ」
「でも、風丸くんの気持ちも分かるよ。美波ちゃん、危なっかしいところあるから」
「……そんなに?」
「うん」
「じゃあ……ごめんだけど、お願いします」
「ううん、僕の方こそびっくりさせちゃってごめんね」
……さっきのだってちょっとした冗談だ。そうだ、そうに違いない。なのに過剰に反応しちゃって、しろ君を謝らせてしまうなんて。
うん、気にしない気にしない。しろ君の気持ちは知ってるけど、気にし過ぎもよくない、そうに違いない、多分。
「お皿割っちゃったのもいい思い出だって話せるようになるといいよね。皆で料理したんだって」
「料理かあ……キャラバンでの合宿でもしたな」
「あ、皆で料理作ったんだっけ?いいなあ、あたしも混ざりたかった!」
後から聞いた話によると、豪炎寺はたこ焼き作りが上手いとか、鬼道が帝王学で学んだとかで世界各国の料理を作ったとか。
「塔子さんの別荘はどうだった?」
「屋内プールがあって沢山泳いで、美味しいものも沢山食べたよ!あ、プール練習とかもいいね」
「ふふ、美波ちゃんはやっぱりサッカーなんだね」
「サッカー好きだからね!皆で行きたかったし、合宿もしたかったな」
「肝試しもしたけど、美波ちゃんはお化け苦手じゃなかったっけ」
「……頑張ればいける!」
「駄目だよ、美波ちゃんは女の子なんだから」
「お、女の子って。男子に混ざってサッカーするなんて慣れっこだよ」
「そうじゃないんだけどなあ……分かってる?」
顔を覗き込まれて、そっと手を重ねられて、ドキリとした。あたしの手はしろ君の手にすっぽりと収まっている。
しろ君は小柄であたしと身長はほぼ同じだ。でもあたしよりパワーもスピードもあって、そのプレーは力強い。男の子なんだ。……何を考えてるんだ。やめよう。
「僕は美波ちゃんの隣にいたいって思うよ」
「士郎くん、それは」
「手貸してくれ、消毒するから」
「うわあ一郎太!?」
一郎太がいつの間にか戻ってきていた。しろ君の手をどかすと、指先に消毒液をどばっと。何もそんなにかけなくても。染みる。
そしてじっと見つめ合う一郎太と士郎くん。無言だけどその間では激しいやり取りが起きているようにも見える。内容は、考えたくない。
「……ポジション入れ替えるの、鬼道に提案してみようかな」
「そういう練習も面白いね。僕はミッドフィルダーをやってみようかな」
「ポジション?ああ、合宿の時のか。いいかもしれないな」
「一郎太は何やったの?」
「いや、その時は俺は審判をやってた」
「あ……うん」
「でも最後にやった試合には俺も参加したよ。楽しかった」
だからそんな顔するなよ。そう言って頭を撫でると、一郎太はまた行ってしまった。……どんな顔をしていたのか、自分では分からない。
合宿の後、守兄は合宿中に一郎太と話したことを少しだけ教えてくれた。もう大丈夫だとも。
「……自分を許すのって難しいよね」
「美波ちゃん……そうだね、でも、大丈夫だよ。風丸くんも……僕も」
僕も。小さく付け加えられた言葉に、ちょっとだけ困ったような顔のしろ君。結局しんみりした雰囲気になっちゃったな。
「……これからもさ、一緒に沢山思い出作ろうね。あたしと士郎くんと皆で!まずは世界一だ!」
「まずは、で大きく出たね」
「夢はでっかく!相手が強ければ強い程燃えるからね!絶対勝つんだ!」
「うん、そうだね!一緒に頑張ろう!」
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まずは研いだお米を炊飯器にセットして、それぞれ手分けしてただただひたすらに野菜を切っていく。単純作業だけど、量が量だから大変だ。
何せ皆、食べ盛りでよく食べる。というか食べないと体が持たない。
「マネージャー達、毎日こんなに大変なことやってるんだな」
「他にもユニフォームやタオルの洗濯、ドリンクの準備もしてんだよな」
「ボールの手入れやグラウンドの整備もだね」
「もちろんですよ!日本代表選手である皆さんに、心置きなく練習してもらえるようにするのが僕達の仕事ですから!」
「目金……いつだって頼りにしてるよ!たまにはこうやって手伝えたらいいんだけど……」
最初の頃は顔を出してたし、たまには手伝えたらと考えてはいたものの、最近は練習疲れで夕飯まで寝てることが殆どだ。正直、申し訳ない。
「もっと体力つけないとなあ……」
「お気遣いなさらず!我がイナズマジャパンの勝利が僕達にとって一番の報酬なんですから!」
「それじゃあ、なおさら次も絶対に勝たないとね!」
周囲を見渡せば、皆も頷いてくれた。支えてくれる、応援してくれる人達の為にも勝ちたい。この気持ちは、皆一緒だ。
ご飯が炊けてカレーの煮込みが終わるまでは、器具の片付けや配膳準備。あたしと士郎くんは流し担当。
あ、夕弥がつまみ食いしてる。春ちゃんがいないのをいいことに……ヒロトが気づいた。優しく注意されて流石にしょんぼりしてる。夕弥にはキツく言うよりこっちの方が効きそう。
「……こうしてると、昔を思い出すな」
「昔?」
「うん。アツヤともね、こうしてお母さんの手伝いしたなって。どっちが早いか張り合ったりして」
「士郎くん……。あ、あたしもね、守兄とやったよ!でもやってるうちに競争になっちゃうんだよね」
「それで余計に仕事を増やしちゃって怒られたり!」
「そうそう!洗濯物泡だらけにしたことある!」
「片付けしようとして余計に散らかしたこともあったなあ」
「うんうん」
一瞬しんみりした空気になるかと思ったけど、そんなことは無かった。
士郎くんがアツヤとの思い出を前向きに話せるようになれたなら、本当に良かったと思う。
「あ、でも、こういう時は夫婦みたいだねって言うのが定番かな?」
「え!?あ!?」
泡でツルッと滑って持ってたお皿がシンクに落ちる。がしゃん、と音を立てて、割れた。
「お皿があああ!?」
「あ、大変」
こんな時でも士郎くんは冷静、いやマイペースだ。ある意味凄い。
あたしはというと、思わず出してしまった指先にうっすらと赤い線が浮かんでいた。それ程痛みは無いけど……しくじったな。
「大丈夫か美波!」
「ごめん一郎太、お皿割った」
「また派手にやったな……。木野達が帰ってきたら謝るんだぞ。怪我はしてないか?」
「指ちょっと切った」
「分かった。救急箱とガムテープ持ってくるよ」
そう言うと、他の皆に説明しつつ一郎太は行ってしまった。破片を回収する為のガムテープはともかく、これくらいの怪我なら舐めておけば治るのに。
とりあえず大きな破片を拾っておこう。手を伸ばそうとしたら、横から士郎くんの手が待ったをかけた。
「僕がやるよ」
「でもあたしが割っちゃったんだし……あ、怪我なら大丈夫!一郎太は心配性なんだよ」
「でも、風丸くんの気持ちも分かるよ。美波ちゃん、危なっかしいところあるから」
「……そんなに?」
「うん」
「じゃあ……ごめんだけど、お願いします」
「ううん、僕の方こそびっくりさせちゃってごめんね」
……さっきのだってちょっとした冗談だ。そうだ、そうに違いない。なのに過剰に反応しちゃって、しろ君を謝らせてしまうなんて。
うん、気にしない気にしない。しろ君の気持ちは知ってるけど、気にし過ぎもよくない、そうに違いない、多分。
「お皿割っちゃったのもいい思い出だって話せるようになるといいよね。皆で料理したんだって」
「料理かあ……キャラバンでの合宿でもしたな」
「あ、皆で料理作ったんだっけ?いいなあ、あたしも混ざりたかった!」
後から聞いた話によると、豪炎寺はたこ焼き作りが上手いとか、鬼道が帝王学で学んだとかで世界各国の料理を作ったとか。
「塔子さんの別荘はどうだった?」
「屋内プールがあって沢山泳いで、美味しいものも沢山食べたよ!あ、プール練習とかもいいね」
「ふふ、美波ちゃんはやっぱりサッカーなんだね」
「サッカー好きだからね!皆で行きたかったし、合宿もしたかったな」
「肝試しもしたけど、美波ちゃんはお化け苦手じゃなかったっけ」
「……頑張ればいける!」
「駄目だよ、美波ちゃんは女の子なんだから」
「お、女の子って。男子に混ざってサッカーするなんて慣れっこだよ」
「そうじゃないんだけどなあ……分かってる?」
顔を覗き込まれて、そっと手を重ねられて、ドキリとした。あたしの手はしろ君の手にすっぽりと収まっている。
しろ君は小柄であたしと身長はほぼ同じだ。でもあたしよりパワーもスピードもあって、そのプレーは力強い。男の子なんだ。……何を考えてるんだ。やめよう。
「僕は美波ちゃんの隣にいたいって思うよ」
「士郎くん、それは」
「手貸してくれ、消毒するから」
「うわあ一郎太!?」
一郎太がいつの間にか戻ってきていた。しろ君の手をどかすと、指先に消毒液をどばっと。何もそんなにかけなくても。染みる。
そしてじっと見つめ合う一郎太と士郎くん。無言だけどその間では激しいやり取りが起きているようにも見える。内容は、考えたくない。
「……ポジション入れ替えるの、鬼道に提案してみようかな」
「そういう練習も面白いね。僕はミッドフィルダーをやってみようかな」
「ポジション?ああ、合宿の時のか。いいかもしれないな」
「一郎太は何やったの?」
「いや、その時は俺は審判をやってた」
「あ……うん」
「でも最後にやった試合には俺も参加したよ。楽しかった」
だからそんな顔するなよ。そう言って頭を撫でると、一郎太はまた行ってしまった。……どんな顔をしていたのか、自分では分からない。
合宿の後、守兄は合宿中に一郎太と話したことを少しだけ教えてくれた。もう大丈夫だとも。
「……自分を許すのって難しいよね」
「美波ちゃん……そうだね、でも、大丈夫だよ。風丸くんも……僕も」
僕も。小さく付け加えられた言葉に、ちょっとだけ困ったような顔のしろ君。結局しんみりした雰囲気になっちゃったな。
「……これからもさ、一緒に沢山思い出作ろうね。あたしと士郎くんと皆で!まずは世界一だ!」
「まずは、で大きく出たね」
「夢はでっかく!相手が強ければ強い程燃えるからね!絶対勝つんだ!」
「うん、そうだね!一緒に頑張ろう!」
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