第5話 ビッグウェイブを乗り越えろ!!
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監督の指示が飛ぶ。後半は士郎くんを中盤の底に下げて、相手の攻撃を防ぐ。虎丸は鬼道のポジションに入って、前線へのボール運びだ。
「綱海、お前は俺の指示を聞かず外へ出て特訓をしていたようだな」
「えっ、あーバレてた?」
「綱海、点を取れ。新たな必殺技でな」
新必殺技。条兄がこっそり合宿所を抜け出してたのは知ってたけど、必殺技を編み出す為だったんだ。
とはいえ、まだ全然出来てないらしい。対して監督は、それは頭にビジョンが無いからで、条兄なら倒す為にどんな必殺技が必要なのか分かる筈だと言う。
ビジョン……必殺技を完成させる為のイメージ、想像力か。
「ヒントは、あのフィールドにある。誰にだって自分だけのステージがある!!行け、海はお前のものだと証明しろ!!」
後半に向けて、皆がフィールドに散らばっていく。条兄はいうと、ヒントを探してかフィールドに寝そべっている。なんだからしいや。
後半が始まった。早速虎丸がワンツーパスをカットして、流れをこっちに引き寄せる。
再び放たれた爆熱ストームは防がれてしまったけど、食い入るようにキーパーの手元を見ていた条兄がニヤッと笑った。何か、ヒントに気づいた?
一進一退の攻防が続く中、条兄はなおも必殺技を使うキーパーの様子を伺っている。まるで、サーファーがいい波を待っているような雰囲気。
その時、条兄がパスを求めた。受けたボールをサーフボードのように操ると、両足で力一杯蹴り出す。
「うおおおお!!くらえ!!」
ツナミブーストとはまた違った回転がかかったシュート。けれどまだ必殺技には成りきれていなくて、止められてしまった。
転じてビッグウェイブスの反撃。攻め込まれたけど、ゴールを守るのは守兄だ。一度見た必殺技、メガロドンを正義の鉄拳で完璧に跳ね返した。
そしてそのまま、ボールは条兄の元へ。今度こそ掴んだのか、条兄は不敵に笑った。
「俺に乗れねえ波はねえ!!」
高く跳び上がった条兄が、大波を呼び起こした。水飛沫が飛び散って、波が轟々と唸りを上げる。
「海は、俺のモンだ!!」
条兄が放ったシュートは、今度は回転を殺されることなく、ゴールを突き破った。
新必殺技の完成、そして同点だ!
「ザ・タイフーン!!」
「うん、ぴったりなネーミングだね!」
「そうでしょうそうでしょう!」
……それにしてもこの流れ、監督はどこまで読んでいたんだろう。
ビッグウェイブスが海の男達と聞いて、人一倍闘志を燃やしていたのは条兄だ。監督は、条兄をわざと見逃していたのではと思えてくる。
試合展開を見ていた鬼道が、立ち上がって声をあげた。オーストラリアと互角に戦えているのは、監督の采配のおかげだと。
「貴方は、チームを駄目にするような監督じゃない。桜咲中で何があったんですか!」
「お前が知る必要はない」
「監督!」
「待て、鬼道。俺が説明しよう」
制止をかけた響木監督が話し始めたのは、呪われた監督の噂の真相だった。
かつて久遠監督が指導していた桜咲中は、地区予選の決勝戦まで駒を進めていた。
そして優勝候補である最強のチーム――帝国学園との決勝前日、部員たちが対戦相手と喧嘩し怪我をさせてしまったという。……恐らく影山の仕込みだとも。
無期限活動停止となり部員たちがサッカーをする場を奪われないよう、久遠監督は自分が問題を起こしたことにして決勝を棄権。その責任を問われて、指導者資格を停止された。
……明王ちゃんが言ってた通り、帝国学園が、影山が関わってたんだ。
「(鬼道……)」
帝国学園と影山。再び聞くこととなった名前に、鬼道はどう思っただろう。
影山については、愛媛で姿を消して以来話を聞かない。鬼瓦さんはあいつがこのまま終わる筈がないと追っているそうだけど、もしかしたら、このFFIでも……。
……なんて、考えすぎか。根拠のないことをあれこれ考えても仕方ない。
それから10年経って資格停止処分が解けた久遠監督に、響木監督が日本代表の監督になることを依頼した。
それは、処分を受けている間もサッカーの研究を続けていた、その情熱と指導力がこのチームに必要だと思ったから。
久遠監督に視線を向ける。監督は、フィールドを走る選手たちを真っ直ぐに見ていた。きっと、その目にはイナズマジャパンが勝つ為の道が見えている。
残り時間が少ない中、条兄がボールを奪取して突破した。繋がれたボールは壁山へ。けど全員でのマンツーマンディフェンス、パスコースがない
「一人で持ち込め!」
監督の鋭い指示が飛ぶ。その言葉に奮起した壁山は、激しくぶつかられながらも押し返して、ドリブルで振り切った
前に監督は、突っ立っているだけがディフェンスでではないと言っていた。あれは、自分で持って上がるべき場面もあるってことだったんだ。
……改めて思う。ディフェンダーだからってディフェンスばかりじゃ駄目なんだ。もっと他の技術も磨かないと。
パスを受けた虎丸がゴール前へ持ち込む。そこでシュート……と見せかけて、スライディングをかわすと、豪炎寺へパスを出した。
グッと踏み込んで跳躍した豪炎寺が、回転をかけた炎のシュートを放つ。あれは、新必殺技だ!
あの回転のかけ方は、ザ・タイフーンに似ている。さっきのシュートを見て直ぐ取り入れて必殺技を完成させるなんて、やっぱり豪炎寺は凄い。
シュートはネットを揺らした。よしっ、これで逆転だ!
「爆熱スクリュー!! 」
「いいね、格好いい!今日の目金は絶好調だ!」
「いついかなる時も完璧なネーミングを出来るよう鍛えてますから!」
そして、試合終了を知らせるホイッスルが鳴り響いた。日本代表イナズマジャパン、初戦突破だ!!
「世界一に向けて一歩前進!だね、鬼道!」
「ああ。それに……久遠監督なら、俺達を世界へ連れていってくれるかもしれない」
最初は意図を読めない指示や近寄りづらい雰囲気に戸惑ったけど、もうこのチームに、監督を信用してない人はいない。
久遠監督の元でなら、あたし達は今よりもっとずっと強くなれる。それこそ、世界一になれるくらいに。そう思える。
……でも、
「(最後のチャンス、虎丸は何で自分でシュートを打たなかったんだろう)」
→あとがき
「綱海、お前は俺の指示を聞かず外へ出て特訓をしていたようだな」
「えっ、あーバレてた?」
「綱海、点を取れ。新たな必殺技でな」
新必殺技。条兄がこっそり合宿所を抜け出してたのは知ってたけど、必殺技を編み出す為だったんだ。
とはいえ、まだ全然出来てないらしい。対して監督は、それは頭にビジョンが無いからで、条兄なら倒す為にどんな必殺技が必要なのか分かる筈だと言う。
ビジョン……必殺技を完成させる為のイメージ、想像力か。
「ヒントは、あのフィールドにある。誰にだって自分だけのステージがある!!行け、海はお前のものだと証明しろ!!」
後半に向けて、皆がフィールドに散らばっていく。条兄はいうと、ヒントを探してかフィールドに寝そべっている。なんだからしいや。
後半が始まった。早速虎丸がワンツーパスをカットして、流れをこっちに引き寄せる。
再び放たれた爆熱ストームは防がれてしまったけど、食い入るようにキーパーの手元を見ていた条兄がニヤッと笑った。何か、ヒントに気づいた?
一進一退の攻防が続く中、条兄はなおも必殺技を使うキーパーの様子を伺っている。まるで、サーファーがいい波を待っているような雰囲気。
その時、条兄がパスを求めた。受けたボールをサーフボードのように操ると、両足で力一杯蹴り出す。
「うおおおお!!くらえ!!」
ツナミブーストとはまた違った回転がかかったシュート。けれどまだ必殺技には成りきれていなくて、止められてしまった。
転じてビッグウェイブスの反撃。攻め込まれたけど、ゴールを守るのは守兄だ。一度見た必殺技、メガロドンを正義の鉄拳で完璧に跳ね返した。
そしてそのまま、ボールは条兄の元へ。今度こそ掴んだのか、条兄は不敵に笑った。
「俺に乗れねえ波はねえ!!」
高く跳び上がった条兄が、大波を呼び起こした。水飛沫が飛び散って、波が轟々と唸りを上げる。
「海は、俺のモンだ!!」
条兄が放ったシュートは、今度は回転を殺されることなく、ゴールを突き破った。
新必殺技の完成、そして同点だ!
「ザ・タイフーン!!」
「うん、ぴったりなネーミングだね!」
「そうでしょうそうでしょう!」
……それにしてもこの流れ、監督はどこまで読んでいたんだろう。
ビッグウェイブスが海の男達と聞いて、人一倍闘志を燃やしていたのは条兄だ。監督は、条兄をわざと見逃していたのではと思えてくる。
試合展開を見ていた鬼道が、立ち上がって声をあげた。オーストラリアと互角に戦えているのは、監督の采配のおかげだと。
「貴方は、チームを駄目にするような監督じゃない。桜咲中で何があったんですか!」
「お前が知る必要はない」
「監督!」
「待て、鬼道。俺が説明しよう」
制止をかけた響木監督が話し始めたのは、呪われた監督の噂の真相だった。
かつて久遠監督が指導していた桜咲中は、地区予選の決勝戦まで駒を進めていた。
そして優勝候補である最強のチーム――帝国学園との決勝前日、部員たちが対戦相手と喧嘩し怪我をさせてしまったという。……恐らく影山の仕込みだとも。
無期限活動停止となり部員たちがサッカーをする場を奪われないよう、久遠監督は自分が問題を起こしたことにして決勝を棄権。その責任を問われて、指導者資格を停止された。
……明王ちゃんが言ってた通り、帝国学園が、影山が関わってたんだ。
「(鬼道……)」
帝国学園と影山。再び聞くこととなった名前に、鬼道はどう思っただろう。
影山については、愛媛で姿を消して以来話を聞かない。鬼瓦さんはあいつがこのまま終わる筈がないと追っているそうだけど、もしかしたら、このFFIでも……。
……なんて、考えすぎか。根拠のないことをあれこれ考えても仕方ない。
それから10年経って資格停止処分が解けた久遠監督に、響木監督が日本代表の監督になることを依頼した。
それは、処分を受けている間もサッカーの研究を続けていた、その情熱と指導力がこのチームに必要だと思ったから。
久遠監督に視線を向ける。監督は、フィールドを走る選手たちを真っ直ぐに見ていた。きっと、その目にはイナズマジャパンが勝つ為の道が見えている。
残り時間が少ない中、条兄がボールを奪取して突破した。繋がれたボールは壁山へ。けど全員でのマンツーマンディフェンス、パスコースがない
「一人で持ち込め!」
監督の鋭い指示が飛ぶ。その言葉に奮起した壁山は、激しくぶつかられながらも押し返して、ドリブルで振り切った
前に監督は、突っ立っているだけがディフェンスでではないと言っていた。あれは、自分で持って上がるべき場面もあるってことだったんだ。
……改めて思う。ディフェンダーだからってディフェンスばかりじゃ駄目なんだ。もっと他の技術も磨かないと。
パスを受けた虎丸がゴール前へ持ち込む。そこでシュート……と見せかけて、スライディングをかわすと、豪炎寺へパスを出した。
グッと踏み込んで跳躍した豪炎寺が、回転をかけた炎のシュートを放つ。あれは、新必殺技だ!
あの回転のかけ方は、ザ・タイフーンに似ている。さっきのシュートを見て直ぐ取り入れて必殺技を完成させるなんて、やっぱり豪炎寺は凄い。
シュートはネットを揺らした。よしっ、これで逆転だ!
「爆熱スクリュー!! 」
「いいね、格好いい!今日の目金は絶好調だ!」
「いついかなる時も完璧なネーミングを出来るよう鍛えてますから!」
そして、試合終了を知らせるホイッスルが鳴り響いた。日本代表イナズマジャパン、初戦突破だ!!
「世界一に向けて一歩前進!だね、鬼道!」
「ああ。それに……久遠監督なら、俺達を世界へ連れていってくれるかもしれない」
最初は意図を読めない指示や近寄りづらい雰囲気に戸惑ったけど、もうこのチームに、監督を信用してない人はいない。
久遠監督の元でなら、あたし達は今よりもっとずっと強くなれる。それこそ、世界一になれるくらいに。そう思える。
……でも、
「(最後のチャンス、虎丸は何で自分でシュートを打たなかったんだろう)」
→あとがき