第3話 呪われた監督!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……うーん」
目覚ましが鳴る音で目が覚めた。目を開けると見慣れない天井。……あれ、ここはどこ?
「あ、学校か……」
正確には宿舎に改装された校舎だ。元は1年の校舎だったのを改装して、日本代表は昨日からここに寝泊りする。
みんなで泊りだっていうから、前にもやった合宿を思い出してテンション上がって、なかなか寝付けなかったんだよね。
でも疲れはない。目は冴えてるし、今すぐにでも練習がしたくなってきた。でもまずは着替えて朝ごはんだ!
「あ、リュウジ」
「あ、美波だ。おはよう」
「おはよ。寝癖直してるの?」
「俺くせっ毛だからさー」
洗面所に行くと、リュウジに会った。寝癖がついたみたいで、直そうと悪戦苦闘している。
「美波も癖あるよね」
「そうなんだよね。一郎太はサラサラだからさ、時々羨ましくなる」
「風丸かあ。聞いてみようかな」
「あたしも聞いてみたけど、特に手入れはしてないんだって」
「一度言ってみたいよ、そういうの」
「ねー」
顔を洗って、髪を結んでいると、誰かがやってきた。飛鷹だ。
「おはよう、飛鷹」
「……おはよう」
「えーと、今日から練習だね!」
「そうだな」
「お互い頑張ろう!」
「ああ」
……会話が途切れてしまった。仲良くなりたいけど、どうしようかなあ。まあ、練習してるうちに仲良くなれるよね!
リュウジと話しながら食堂に行くと、もう大半が集まっていた。あ、味噌汁の香りがする。
「おはよう、美波ちゃん」
「士郎くんおはよう。あ、ヒロトもおはよう」
「おはよう。緑川も一緒だったのか」
「洗面所で会ったんだ。ま、ヒロトにもそのうち機会が回ってくるって。待てば海路の日和あり、だよ」
「……どういう意味かな」
「最近気づいたけど、ヒロトって結構分かりやすいよね。ね、美波?」
「え?ん?」
どういう意味だろう。ヒロトを見ると、複雑そうな顔をしてるのは分かったけど、何を思ってるかまでは分からない。
家族であるリュウジだから分かることがあるのかな?あ、逸らされた。見られてると、なんか居心地悪くなる時あるよね。
「美波、ここの席空いてるぞ」
「美波ちゃん、僕の隣も空いてるよ」
一郎太と士郎くんに声をかけられたけど、座るところはもう決めてある。
「明王ちゃーん!隣いい?」
「あっちにいけ」
「うんありがとう!」
「話聞け」
無理矢理座ると、呆れたようにため息をつかれた。でも力ずくでどかそうとしないあたり、明王ちゃんはなんだかんだ優しい。
明王ちゃんが座るテーブルには、あたし以外誰もいない。雷門、特に鬼道や士郎くんとは特に強い因縁があるし、明王ちゃん自身も1人にしろオーラを出してる。
でも、こうして日本代表に選ばれたんだ。一緒にプレーすることは必ずある。その時、あたしだけでもちゃんと連携出来たらなあ……。
鬼道が座ってる辺りから、視線を感じた気がした。
朝ごはんを食べ終わって、グラウンドで準備運動をしていると、虎丸がやってきた。何か理由があるらしくて、虎丸は家から通っている。
「時間ギリギリだけど、大丈夫?」
「す、すみません。なんか信号という信号が、みんな赤信号で」
「だーから、そんな無理してうちから通わなくても、ここに泊まればいいのに」
「ここのご飯、すっごく美味しいですよ」
そう言っても、虎丸は困ったように笑って首を振るだけだった。それを横目に明王ちゃんが嗤って、途端に場の雰囲気が悪くなる。
「なんであんな奴が、代表に選ばれたんだろうな」
「一郎太……。まあほら、実力は本物だよ!」
「サッカーは連携が基本だ。あいつにそれが出来るとは思えない」
「き、鬼道……」
2人が言うことも最もだ。実際、態度はそこまで良くないとは思う。どうして、敵を作るようなことばかり言うんだろう。
暫くして、久遠監督がやってきた。監督の娘である冬花さんが新しいマネージャーとして紹介されたところで、監督はあたしたちを厳しい目付きで見た。
「これからアジア予選に向けて練習を始めるが、その前に一言、言っておく。はっきり言えば、今のお前たちでは世界には通用しない」
世界には通用しない。確かにまだまだだとは思ってたけど、ここまではっきり言われると思ってなかった。吹けば飛ぶ紙切れ、か……。
そして監督は、あたしたちを1から鍛え直すのだと言う。口答えは一切許さないとも。……想像以上にハードな練習になりそうだ。
「特に鬼道、吹雪、豪炎寺、円堂。私はお前たちを、レギュラーだと考えていない。試合に出たければ、死ぬ気でレギュラーの座を勝ち取ってみろ」
チームの司令塔である鬼道。強力なストライカーの豪炎寺と士郎くん。そして、一番後ろでゴールを任されている、キャプテンの守兄。
監督が上げたのは、エイリア学園事件の中でも特に活躍した4人だ。それすらレギュラーではないんだから、世界はどれだけ強いんだろう。
それより、ちょっとだけ気になったことが1つ。一応、ないとは思うけど、確認したい。
「あの、監督」
「……何だ」
「円堂って、どっちの円堂ですか」
「……」
「あ、あはは……守に……兄、ですよね」
空気が固まった気がする。やばい。これも口答えになるだろうか。
「……円堂美波」
「っ、はい!」
「お前は何故ここにいる」
「え、」
何故、って?
「基本的にFFIは男子の世界大会だ。その大会の代表に選ばれている。この意味が分かるか」
「い、み」
「先ほど私は日本代表を吹けば飛ぶ紙切れと言った。だがお前はさしずめ塵だ」
「……塵」
「確かに、日本の中ではそれなりの実力があると言ってもいい。だが世界となれば話は別だ。女子であるお前が、男子に混ざり世界相手にどう戦う?」
「……それは、努力して」
「努力など誰もがしている。お前に出来ることは何だ?何が出来る?私に言わせれば、何もかもが足りない」
「……」
「特別枠とはいえ、チームに必要無いと判断すれば、私は容赦なく落とす」
「……はい」
……監督の言っていることは正論だ。特別枠だからって、あたしは浮かれてた。
けど、流石に堪えたな。
.
目覚ましが鳴る音で目が覚めた。目を開けると見慣れない天井。……あれ、ここはどこ?
「あ、学校か……」
正確には宿舎に改装された校舎だ。元は1年の校舎だったのを改装して、日本代表は昨日からここに寝泊りする。
みんなで泊りだっていうから、前にもやった合宿を思い出してテンション上がって、なかなか寝付けなかったんだよね。
でも疲れはない。目は冴えてるし、今すぐにでも練習がしたくなってきた。でもまずは着替えて朝ごはんだ!
「あ、リュウジ」
「あ、美波だ。おはよう」
「おはよ。寝癖直してるの?」
「俺くせっ毛だからさー」
洗面所に行くと、リュウジに会った。寝癖がついたみたいで、直そうと悪戦苦闘している。
「美波も癖あるよね」
「そうなんだよね。一郎太はサラサラだからさ、時々羨ましくなる」
「風丸かあ。聞いてみようかな」
「あたしも聞いてみたけど、特に手入れはしてないんだって」
「一度言ってみたいよ、そういうの」
「ねー」
顔を洗って、髪を結んでいると、誰かがやってきた。飛鷹だ。
「おはよう、飛鷹」
「……おはよう」
「えーと、今日から練習だね!」
「そうだな」
「お互い頑張ろう!」
「ああ」
……会話が途切れてしまった。仲良くなりたいけど、どうしようかなあ。まあ、練習してるうちに仲良くなれるよね!
リュウジと話しながら食堂に行くと、もう大半が集まっていた。あ、味噌汁の香りがする。
「おはよう、美波ちゃん」
「士郎くんおはよう。あ、ヒロトもおはよう」
「おはよう。緑川も一緒だったのか」
「洗面所で会ったんだ。ま、ヒロトにもそのうち機会が回ってくるって。待てば海路の日和あり、だよ」
「……どういう意味かな」
「最近気づいたけど、ヒロトって結構分かりやすいよね。ね、美波?」
「え?ん?」
どういう意味だろう。ヒロトを見ると、複雑そうな顔をしてるのは分かったけど、何を思ってるかまでは分からない。
家族であるリュウジだから分かることがあるのかな?あ、逸らされた。見られてると、なんか居心地悪くなる時あるよね。
「美波、ここの席空いてるぞ」
「美波ちゃん、僕の隣も空いてるよ」
一郎太と士郎くんに声をかけられたけど、座るところはもう決めてある。
「明王ちゃーん!隣いい?」
「あっちにいけ」
「うんありがとう!」
「話聞け」
無理矢理座ると、呆れたようにため息をつかれた。でも力ずくでどかそうとしないあたり、明王ちゃんはなんだかんだ優しい。
明王ちゃんが座るテーブルには、あたし以外誰もいない。雷門、特に鬼道や士郎くんとは特に強い因縁があるし、明王ちゃん自身も1人にしろオーラを出してる。
でも、こうして日本代表に選ばれたんだ。一緒にプレーすることは必ずある。その時、あたしだけでもちゃんと連携出来たらなあ……。
鬼道が座ってる辺りから、視線を感じた気がした。
朝ごはんを食べ終わって、グラウンドで準備運動をしていると、虎丸がやってきた。何か理由があるらしくて、虎丸は家から通っている。
「時間ギリギリだけど、大丈夫?」
「す、すみません。なんか信号という信号が、みんな赤信号で」
「だーから、そんな無理してうちから通わなくても、ここに泊まればいいのに」
「ここのご飯、すっごく美味しいですよ」
そう言っても、虎丸は困ったように笑って首を振るだけだった。それを横目に明王ちゃんが嗤って、途端に場の雰囲気が悪くなる。
「なんであんな奴が、代表に選ばれたんだろうな」
「一郎太……。まあほら、実力は本物だよ!」
「サッカーは連携が基本だ。あいつにそれが出来るとは思えない」
「き、鬼道……」
2人が言うことも最もだ。実際、態度はそこまで良くないとは思う。どうして、敵を作るようなことばかり言うんだろう。
暫くして、久遠監督がやってきた。監督の娘である冬花さんが新しいマネージャーとして紹介されたところで、監督はあたしたちを厳しい目付きで見た。
「これからアジア予選に向けて練習を始めるが、その前に一言、言っておく。はっきり言えば、今のお前たちでは世界には通用しない」
世界には通用しない。確かにまだまだだとは思ってたけど、ここまではっきり言われると思ってなかった。吹けば飛ぶ紙切れ、か……。
そして監督は、あたしたちを1から鍛え直すのだと言う。口答えは一切許さないとも。……想像以上にハードな練習になりそうだ。
「特に鬼道、吹雪、豪炎寺、円堂。私はお前たちを、レギュラーだと考えていない。試合に出たければ、死ぬ気でレギュラーの座を勝ち取ってみろ」
チームの司令塔である鬼道。強力なストライカーの豪炎寺と士郎くん。そして、一番後ろでゴールを任されている、キャプテンの守兄。
監督が上げたのは、エイリア学園事件の中でも特に活躍した4人だ。それすらレギュラーではないんだから、世界はどれだけ強いんだろう。
それより、ちょっとだけ気になったことが1つ。一応、ないとは思うけど、確認したい。
「あの、監督」
「……何だ」
「円堂って、どっちの円堂ですか」
「……」
「あ、あはは……守に……兄、ですよね」
空気が固まった気がする。やばい。これも口答えになるだろうか。
「……円堂美波」
「っ、はい!」
「お前は何故ここにいる」
「え、」
何故、って?
「基本的にFFIは男子の世界大会だ。その大会の代表に選ばれている。この意味が分かるか」
「い、み」
「先ほど私は日本代表を吹けば飛ぶ紙切れと言った。だがお前はさしずめ塵だ」
「……塵」
「確かに、日本の中ではそれなりの実力があると言ってもいい。だが世界となれば話は別だ。女子であるお前が、男子に混ざり世界相手にどう戦う?」
「……それは、努力して」
「努力など誰もがしている。お前に出来ることは何だ?何が出来る?私に言わせれば、何もかもが足りない」
「……」
「特別枠とはいえ、チームに必要無いと判断すれば、私は容赦なく落とす」
「……はい」
……監督の言っていることは正論だ。特別枠だからって、あたしは浮かれてた。
けど、流石に堪えたな。
.
1/5ページ