第17話 手に入れろ!世界への切符!!
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守兄が帰ってきた。十一人揃った。明王ちゃんのプレーがチームを繋いだ。新必殺技で同点に追い付いた。
確実にいい流れが来てることに自然と笑ってしまう。もちろんファイアードラゴンは反撃をしてくるだろうけど、それも含めて楽しくてしょうがない。
「勝つぞ、皆!勝って世界だ!!」
『おう!!』
豪炎寺、飛鷹。まだ皆が同じ方向を向けてる訳じゃない。それでも勝ちたい気持ちは間違いなく同じだと断言出来る。世界への挑戦権を掴み取る為に。
正義の鉄拳がゴッドブレイクを跳ね返す。弾かれたボールを奪ってキープし続けるアフロディが、楽しげに微笑んだ。
「……流石だね」
雰囲気が、変わった。来る。本能的に感じてゴッドブレイクの体勢を取るアフロディに備える。すると突然構えを解いたかと思えば、後ろから現れたのは晴矢と風介だった。
パワーの込められたボール、舞い散る金色の羽。そこに飛び込んできた灼熱の炎と静謐な氷が組み合わさる。これは、三人の連携技!
「「「カオスブレイク!!!」」」
アフロディの、晴矢の、風介の。三人の要素がごちゃ混ぜになったシュートが守兄を襲う。勢いを殺しきれずに拳が打ち砕かれていく。正義の鉄拳が、破れた。
とんでもない隠し球が出てきた。ゴッドブレイク、アトミックフレア、ノーザンインパクトを合わせた技なんて。混沌とはまさにこのことだ。
「大丈夫か!」
「すまない、止められなかった」
「カオスブレイク……流石はアフロディ達だね」
「ああ。でも次は絶対止めてみせる!」
とはいえそう何度も撃たせたくはないシュートだ。これまで以上に三人の動きには注意したい。
「豪炎寺さん!俺、タイガーストームが完成する前に試合が終わるなんて嫌ですからね!」
虎丸の声が飛び込んできて、気になって目を向ける。ポジションにつく虎丸とは対照的に、思うところがあるのか立ち尽くす豪炎寺。何か、言えることはないかな。
「豪炎寺」
「……美波か」
「あたし、豪炎寺に悔いが残るような試合をしてほしくない。そりゃあ、これが最後じゃなくなるのが一番だけど」
「……」
「後からああすればこうすればって思うこともある。それでも、今は今この時出来ることを全力でやるしかないよ」
「……そうだな」
「でも今日の豪炎寺のプレーは全力を出しきれてないように感じた。お父さんのことを気にしてるから?」
「……客席に、父さんがいる気がしたんだ。探しても見つからないから、気のせいかもしれない。……俺の弱さが幻覚でも見せたのかな」
やっと引き出せた本音。自重するような笑み。ここまで弱々しい豪炎寺は初めて見た。豪炎寺にとってお父さんがどれだけ大きな存在か、改めて思い知る。
鬼道と明王ちゃんの急かす声が飛んでくると、すまなそうに眉を下げて、豪炎寺は行ってしまった。話してばかりいられない。あたしも戻らないと。
……思い出したのは、まだ小さかった頃。何でダメなんだよ!と叫ぶ守兄。お母さんがあたし達がサッカーするのを反対してたのは、じいちゃんのことがあったから。
豪炎寺だって夕香ちゃんの事故で、一時はサッカーをやめてたんだ。なら、豪炎寺のお父さんだって……。
「とにかく上がれ!全員で押し上げるんだ!」
カオスブレイクを撃たせない。最終ラインまで踏み込ませないよう、フィールドの全員が上がり気味で攻める。
「美波ちゃん!」
「よしっ、飛鷹!」
けれど飛鷹の動きはぎこちないままだ。守兄の指示で鬼道に回す前に、チャンスウのスライディングに阻まれた。まずい!
「戻れ!」
「そこをどけ!」
「どかないっす!ザ・マウンテン!」
壁山が轟音と共に岩の塊を呼び出した。ゴール前に迫っていた晴矢を弾き返す。高く聳えるのは壁じゃない。まさしく山だ!新必殺技だ!
「ナイス、壁山くん!」
「凄いよ壁山!壁が山に進化した!」
「俺だって勝ちたい気持ちは負けてないっす!」
胸を張る壁山は自信に満ちていて、さっきの竜巻落としといい、後輩の成長に驚かされっぱなしだ。
アフロディ、晴矢、風介の動きに細心の注意を払ってコースを塞ぐ。チャンスウはどこからでもセンタリングを上げてくる。三人を揃えたくない。
「一郎太!」
「ああ!飛鷹!」
一郎太のパスを、飛鷹は空振りした。触れられることなく外へと転がっていくボールが、寂しそうに見えた。
「飛鷹……」
飛鷹は完全に勢いに飲まれていた。それでも久遠監督が下げないということは、飛鷹が勝つ為に必要だってことだ。それに、飛鷹は気づいてるだろうか。
「何を怖がってるんだ、飛鷹!」
「え……そんなことは」
「いいか飛鷹、失敗したって格好悪くなんかない。もっと格好悪いのは失敗を恐れて全力のプレーをしていない今のお前だ」
「そうだよ!あたし、知ってるよ。今自分に出来ることを頑張る飛鷹は格好いいって!」
「キャプテン……円堂……」
「前にも言ったよね。怖さを抱えて蹴るんだって。飛鷹も逃げないで立ち向かってよ!」
「そうさ!思いっきりプレーしてみろ!失敗したっていいじゃないか!」
「失敗したっていい……」
「ああ!今のお前を、全部プレーにぶつけてみろよ!」
「見せてよ、飛鷹のサッカー!」
「! ……分かったよキャプテン、円堂。やってやる!」
飛鷹の顔つきが変わった。飛鷹はもう大丈夫、そう思った。
ファイアードラコンのコーナーキック。この絶好のチャンスを逃す筈もなく、カオスブレイクの構え。そこへ飛び込んだのは飛鷹で。
「失敗がなんだ!俺は飛鷹征也だ!!」
大きな鷹が、羽を広げて飛び立ったように見えた。
鋭い蹴りが空間を切り裂いた。吹き荒れた風が三人を蹴散らす。裂け目に吸い込まれたボールは、飛鷹の足元に収まっていた。
「飛鷹!すげえ必殺技だな!格好良かったぜ!」
「ナイスディフェンスだったよ!飛鷹!」
「皆行け!速攻だ!」
飛鷹が引き寄せてくれた流れ、絶対止めさせない!
「マリンアクセル!豪炎寺!」
「ヒロト!」
相手選手をかわすようにパスを受けたヒロトが身を翻した。
「行くぞ!!流星ブレードV2!!」
「進化した……!」
流星ブレードは、今度こそゴールを破って得点してみせた。三度目の正直!これでまた同点!
流れが、思いが伝わっていくように、この局面に来てチーム全体が更に進化してる。……皆、凄いなあ。
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確実にいい流れが来てることに自然と笑ってしまう。もちろんファイアードラゴンは反撃をしてくるだろうけど、それも含めて楽しくてしょうがない。
「勝つぞ、皆!勝って世界だ!!」
『おう!!』
豪炎寺、飛鷹。まだ皆が同じ方向を向けてる訳じゃない。それでも勝ちたい気持ちは間違いなく同じだと断言出来る。世界への挑戦権を掴み取る為に。
正義の鉄拳がゴッドブレイクを跳ね返す。弾かれたボールを奪ってキープし続けるアフロディが、楽しげに微笑んだ。
「……流石だね」
雰囲気が、変わった。来る。本能的に感じてゴッドブレイクの体勢を取るアフロディに備える。すると突然構えを解いたかと思えば、後ろから現れたのは晴矢と風介だった。
パワーの込められたボール、舞い散る金色の羽。そこに飛び込んできた灼熱の炎と静謐な氷が組み合わさる。これは、三人の連携技!
「「「カオスブレイク!!!」」」
アフロディの、晴矢の、風介の。三人の要素がごちゃ混ぜになったシュートが守兄を襲う。勢いを殺しきれずに拳が打ち砕かれていく。正義の鉄拳が、破れた。
とんでもない隠し球が出てきた。ゴッドブレイク、アトミックフレア、ノーザンインパクトを合わせた技なんて。混沌とはまさにこのことだ。
「大丈夫か!」
「すまない、止められなかった」
「カオスブレイク……流石はアフロディ達だね」
「ああ。でも次は絶対止めてみせる!」
とはいえそう何度も撃たせたくはないシュートだ。これまで以上に三人の動きには注意したい。
「豪炎寺さん!俺、タイガーストームが完成する前に試合が終わるなんて嫌ですからね!」
虎丸の声が飛び込んできて、気になって目を向ける。ポジションにつく虎丸とは対照的に、思うところがあるのか立ち尽くす豪炎寺。何か、言えることはないかな。
「豪炎寺」
「……美波か」
「あたし、豪炎寺に悔いが残るような試合をしてほしくない。そりゃあ、これが最後じゃなくなるのが一番だけど」
「……」
「後からああすればこうすればって思うこともある。それでも、今は今この時出来ることを全力でやるしかないよ」
「……そうだな」
「でも今日の豪炎寺のプレーは全力を出しきれてないように感じた。お父さんのことを気にしてるから?」
「……客席に、父さんがいる気がしたんだ。探しても見つからないから、気のせいかもしれない。……俺の弱さが幻覚でも見せたのかな」
やっと引き出せた本音。自重するような笑み。ここまで弱々しい豪炎寺は初めて見た。豪炎寺にとってお父さんがどれだけ大きな存在か、改めて思い知る。
鬼道と明王ちゃんの急かす声が飛んでくると、すまなそうに眉を下げて、豪炎寺は行ってしまった。話してばかりいられない。あたしも戻らないと。
……思い出したのは、まだ小さかった頃。何でダメなんだよ!と叫ぶ守兄。お母さんがあたし達がサッカーするのを反対してたのは、じいちゃんのことがあったから。
豪炎寺だって夕香ちゃんの事故で、一時はサッカーをやめてたんだ。なら、豪炎寺のお父さんだって……。
「とにかく上がれ!全員で押し上げるんだ!」
カオスブレイクを撃たせない。最終ラインまで踏み込ませないよう、フィールドの全員が上がり気味で攻める。
「美波ちゃん!」
「よしっ、飛鷹!」
けれど飛鷹の動きはぎこちないままだ。守兄の指示で鬼道に回す前に、チャンスウのスライディングに阻まれた。まずい!
「戻れ!」
「そこをどけ!」
「どかないっす!ザ・マウンテン!」
壁山が轟音と共に岩の塊を呼び出した。ゴール前に迫っていた晴矢を弾き返す。高く聳えるのは壁じゃない。まさしく山だ!新必殺技だ!
「ナイス、壁山くん!」
「凄いよ壁山!壁が山に進化した!」
「俺だって勝ちたい気持ちは負けてないっす!」
胸を張る壁山は自信に満ちていて、さっきの竜巻落としといい、後輩の成長に驚かされっぱなしだ。
アフロディ、晴矢、風介の動きに細心の注意を払ってコースを塞ぐ。チャンスウはどこからでもセンタリングを上げてくる。三人を揃えたくない。
「一郎太!」
「ああ!飛鷹!」
一郎太のパスを、飛鷹は空振りした。触れられることなく外へと転がっていくボールが、寂しそうに見えた。
「飛鷹……」
飛鷹は完全に勢いに飲まれていた。それでも久遠監督が下げないということは、飛鷹が勝つ為に必要だってことだ。それに、飛鷹は気づいてるだろうか。
「何を怖がってるんだ、飛鷹!」
「え……そんなことは」
「いいか飛鷹、失敗したって格好悪くなんかない。もっと格好悪いのは失敗を恐れて全力のプレーをしていない今のお前だ」
「そうだよ!あたし、知ってるよ。今自分に出来ることを頑張る飛鷹は格好いいって!」
「キャプテン……円堂……」
「前にも言ったよね。怖さを抱えて蹴るんだって。飛鷹も逃げないで立ち向かってよ!」
「そうさ!思いっきりプレーしてみろ!失敗したっていいじゃないか!」
「失敗したっていい……」
「ああ!今のお前を、全部プレーにぶつけてみろよ!」
「見せてよ、飛鷹のサッカー!」
「! ……分かったよキャプテン、円堂。やってやる!」
飛鷹の顔つきが変わった。飛鷹はもう大丈夫、そう思った。
ファイアードラコンのコーナーキック。この絶好のチャンスを逃す筈もなく、カオスブレイクの構え。そこへ飛び込んだのは飛鷹で。
「失敗がなんだ!俺は飛鷹征也だ!!」
大きな鷹が、羽を広げて飛び立ったように見えた。
鋭い蹴りが空間を切り裂いた。吹き荒れた風が三人を蹴散らす。裂け目に吸い込まれたボールは、飛鷹の足元に収まっていた。
「飛鷹!すげえ必殺技だな!格好良かったぜ!」
「ナイスディフェンスだったよ!飛鷹!」
「皆行け!速攻だ!」
飛鷹が引き寄せてくれた流れ、絶対止めさせない!
「マリンアクセル!豪炎寺!」
「ヒロト!」
相手選手をかわすようにパスを受けたヒロトが身を翻した。
「行くぞ!!流星ブレードV2!!」
「進化した……!」
流星ブレードは、今度こそゴールを破って得点してみせた。三度目の正直!これでまた同点!
流れが、思いが伝わっていくように、この局面に来てチーム全体が更に進化してる。……皆、凄いなあ。
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