The sister in strange world

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もう一度言おうと思う。という夢を見た。どこからが夢だったのかと言うと、最初っからで、狼士郎くんが出てきたところからだ。

ここまできて今更夢かよと思う人もいるかもしれない。けど、起きて夢だと気づいた時、あたしがどれ程安心したか。

これで学校行って、鬼道が変な格好してたり、豪炎寺や晴矢が花壇に埋まってたら……あたしは暫く不登校になってたと思う。

行って確認したら、そんなことなかったけどね。寧ろどうしたんだ?って心配された。

こんなのが現実に起きたらと考えると、寒気がする。あ、でもペンギン佐久間はちょっとだけ見てみたいかもしれない。

あと最後……ヒロトが何を言おうとしてたのかも気になる。



「はあ……」

「大丈夫か?美波

「うん……。それより守兄のクラスの小テスト大丈夫だった?」

「へっ、いや……あはは!」

「もしかしてまた追試!?もう……」



平和だなあ、としみじみ思う。あんな意味分かんない夢を見た後だしな……。



「そういえば、今日はハロウィンだね」

「えっ、そ、そうだな!」

「あー!何か隠してるでしょ!」

「隠してない隠してない!」

「双子の妹の目は誤魔化せないよ!」

「放課後にな!」

「逃げた!」



逃走した守兄を追いかけることはしない。だってもうすぐチャイム鳴るし、戻った理由もそれだろうから。

それにしても、なんだったんだろあの変な夢……。








美波ちゃあああん!」

「嘘だあああ!!!」



これをデジャブと言うのかな。デジャブ?それともデジャヴ?デジャビュ?



「久しぶりだね、美波ちゃん!」

「うん、久しぶり……」



あ!野生の士郎くんが飛び出してきた!美波はどうする?逃げる。逃げられない!

士郎くんの攻撃。勢いよく抱きつく。締め付けられている。そして地味に痛い。



「おいおい吹雪。そんなにぎゅーぎゅーしたら痛いと思うぞ」

「まあいいんじゃない?うししっ」

「って顔色悪くなってるだろ!」

「ええ加減にせい吹雪!」

「ああああの、吹雪さんそろそろ離した方が……」

「あ……。ごめんね、美波ちゃん」

「条兄に夕弥に塔子にリカに立向居まで……。何でこっちに?」

「円堂くんに呼ばれたんだよ」

「!」



聞こえた声に振り向いたら、そこにはヒロト、リュウジ、晴矢、風介がいた。

晴矢の名誉の為に言っとくと、チューリップの被り物はしてなかった。頭の炎のような癖毛は健在だけど。



「よ、久しぶり」

「久しぶりだな美波。また一段と可愛らしさに磨きがかかったな」

「何口説いてんだよ。ヒロトに潰されんぞ」

「黙れ。そういうお前の頭は今日も立派に花が咲いてるな」

「なんだと!?」

「二度あることは三度あるどころか、もう今日で何度目だよその喧嘩!」

「いいじゃないか、緑川。いつものことだろ?」

「まあ、そうなんだけどさ」

「ふ、普通だ……皆が普通……」

『え?』



じーっと皆の視線が突き刺さる。夕弥、何言ってんだコイツって目で見ないで。切実な思いなんだよこれは。



「あ、皆さん来てたんですね……って美波先輩!?」

「……春ちゃん何か企んでた?」

「そそそそうじゃないんです!ほら、ハロウィンの話をした時のことを言ったら、パーティやろうってキャプテンが!」

「守兄……」

「ハロウィンパーティやるなら、明日明後日は土日だしせっかくなら地方の方々も呼ぼうって!」

「なるほど!じゃあサッカーもやれるね!」

「そうなんですよ!」

「音無のやつなんであんなに慌ててんだ?」

「は?わかんねーの?」

「円堂さんに責任を押しつけているような…」

「舌よく回るよなあ……」

「さて、美波には何が似合うだろうか」

「もうお前黙ってろよ」

「音無さんが、衣装は用意してあるって言ってたじゃないか」

「げ、リカ何だよそのドレス!」

「もちろん仮装の為の衣装やで!なんや塔子、スーツのままでいる気かいな」

「ウェディングドレスは異常だろ!」



そっかあ……パーティか……。……皆があんな変な格好するとかは、ないよね?

守兄たちも集まってきて、春ちゃんが用意してくれたくじを引いて、それぞれ衣装に着替える。

……でさ、



「まさかのあたしがウェディングドレス……」

「やりましたね!リカさん!」

「用意した甲斐があったわ!」

「2人共まさか……くじに細工とかした?」

「してませんよー」

「してへんしてへん」



嘘だ。思いっきり目を反らしてるし、目が泳いでるよ。秋、楽しそうに髪の毛いじらないで。



「たまには髪型を変えるのもいいじゃない。ね、基山くん、可愛いでしょ?」

「えっ……ああ、うん。可愛いし似合ってるよ、美波ちゃん」

「えへへ……」

美波は嫁には出さないぞヒロトォォオオオ!!!」

「断固反対だ!!!」

「落ち着け円堂」

「風丸、諦めたんじゃなかったのか」

「「黙れシスコンビ」」

「風丸はともかく円堂もシスコンじゃんか……」

「なんか言ったか緑川」

「……なんでもないよ」

「つーかヒロトはなんなんだよ。そのタキシード?ぽいのは」

「これで新郎と答えるなら、お前に凍てつく闇の冷たさを教えてやる」

「だから黙れ」

「えっと……吸血鬼、だね」

「似合ってますね!」

「春ちゃん、まさか」

「やってませんやってません!」

「まだ何も言ってないよ……」



まあ、似合ってるし……。



「……格好いいね」

「っ……」

「何顔赤くしてんだヒロトォォオオオ!」

「まーまー、いいじゃねーか!お似合いだろ!」

「火に油を注がないで下さい綱海さん!」



わいわいがやがや。いつにも増して騒がしいけど、それ以上に凄く楽しいや。

1つ気になるのは、ヒロトの着てる服が夢に出てきたのとそっくりというか……偶然かな?



「(写真、撮ろっかな……。……あ)」



携帯を出してカメラモードにしようとしたら、間違えて画像フォルダを開いてしまった。

………あれ、



「(この写真……!)」



出てきたのは夢で撮って、実際には残ってない筈の写真ばかりだった。これって、一体どういうこと……?



「どうかした?」

「う、ううん。なんでもないよ。春ちゃん、写真撮ってもらっていい?」

「分かりました!」

「どうせならお姫様だっこしてもらいい!」

「へ!?」

「あら、いいんじゃなくて?」

「なっちゃんまで!」

「せっかくだから、そうするかい?」

「……そうだね」

「俺は認めないからなああああ!」

「誰か円堂縛れ!」

「風丸は?」

「放心してます!」

「もうほっとけよ」

「撮りますよー!」

「うん!」

「いいかな?」

「わっ……」

「ギャー!!!」

「お前は落ち着け!」

「音無、それを後で私に焼き増ししろ!」

「マジお前黙れよ」

「あははっ!」



……いつか本当にウェディングドレスを着る日が来たらいいなあ、なんて、



「はい、チーズ!」



カシャッ










→反省会(あとがき)
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