第1話 トリップしました
「空の旅っていいね……」
「りなの目が死んでるよおおぉぉおおお!」
「普通だったら死んでる高さから落ちてるよおぉぉおおお!」
花咲3姉妹、絶賛パラシュート無しのスカイダイビングなう。恐らくだけど、気絶して雪に埋もれるまでの経緯もこんな感じだろうな。
ついでにゆみのキャラが崩壊した。かな?ああうん、いつも通りだわ。まあ確かに、普通ならこのままだと死ぬよね。
「やっぱり特典というか、体が世界に適応したのかな。多分北海道でのも、こんな感じだったんじゃ」
「そういえば、エターナルブリザードっぽいの打ててたね。もっと練習すれば完璧に出来るようになるんじゃない?」
「えーあー……」
「超次元体質いやっほおおおううっ!!」
「かな煩い」
それにしても、だ。落ちる地点が明らかに雷門中じゃない件ね。わざとだろうなこれ。何の意図があるのか。
どこかの道端みたいだが、幸か不幸か人気はない。……けどさ、
「……落ちる地点付近に人が2人いるよね。しかも――帝国学園の佐久間次郎さんと源田幸次郎さんに見えるのは気のせい?」
「タブンキノセイデゴザイマス」
「片言やめて。…まあ、十中八九本人だろうね。アイツ、何がしたいんだか」
「とりあえず……そこをどけええぇぇええっ!!!」
「「!」」
かなの叫びが聞こえたのか(よく聞こえたな)、見上げた佐久間と源田が、ギョッとしたように目を見開く(当たり前だ)。
コンクリートの地面はもう目前で、ドシャアアァァアアアッッと音を立てながら、あたし達は着地した。
怪我はしてない。だがしかし足がじんじんと痺れている。肘をぶつけると、電流が流れたような感覚になるのと同じだ。
息を整えるあたしたちに、ぽかんとこちらを見る帝国の参謀とKOG。やることは1つ。
「ご迷惑おかけしました!」
「いきなり空から降ってきてすみませんでした!」
「大声出してすみませんでした!」
「「「ではこれにておいとまさせていただきま」」」
「「ちょっと待て」」
ですよねー!!!
引き止められたあたし達は、ビルとビルの隙間に連れ込まれた。人目につきにくいからである。
というかここどこだ。2人は制服で、遠目に堅牢な砦のような建物が見えたから、帝国学園の近くなのかもしれない。
なんとなく気まずい雰囲気になる中、源田が口を開いた。
「…今、空から降ってきたよな」
「まあ…」
「何で降って来たんだ?」
「えーっと……」
「神を名乗る人物にいきなりここに落とされました」
佐久間の問いにかなが珍しく口ごもっていると、あっさりとゆみが言った。何やってんだお前は!
沈黙。後、2人は徐にポケットから携帯を取り出した。いやいやいやいや!
「待った待った!警察にかける気か!」
「ホントなんだってば!」
「いきなり空から降ってくるとか、かなり怪しいだろ」
「ああ…」
「ですよねー」
ごもっともでございますとも、ええ!佐久間の言葉が正論過ぎて突き刺さる。
「3人の言ってることは本当だよ」
「「「あ、自称神」」」
突然現れた神様(仮)に、佐久間が1歩下がった。源田も険しい表情をする。そりゃあ誰もいない所にいきなり現れたらね。
「こいつがあたし達を落としたんだよ!なんかよくわかんないけど、神!って感じするでしょ!」
「……わ、悪かったな、疑って」
「気にしてないから大丈夫。ていうか無理しなくていいよ」
「あ、ああ」
かなの強引さに引っ張られる感じになっているのに、軽くフォローを入れる。いきなり現れたのを見たものの、まだ半信半疑といったところか。
「てゆーか、いきなりこんなこと言って信じろなんて無理だよね…」
「あ、まだ名前言ってなかったね。三つ子の三女の花咲かなでっす!」
「(自己紹介いるか?まあいいか)あたしは花咲りな。長女です」
「次女の花咲ゆみ」
「……俺は佐久間次郎。帝国学園サッカー部のフォワードだ」
「同じく、帝国学園サッカー部の源田幸次郎だ。ポジションはゴールキーパーを務めている」
「「「(学校はともかく、部活とかポジションとかは必要な情報なのだろうか……)」」」
そんなにサッカーが重要な世界なのか…と思う三つ子であった。ちゃんちゃん。
「それにしても、空から降ってくるなんてな…」
「正直自分でも驚いてるよ」
「りなは軽く目が死んでたよねー」
「言うな」
「大変だったな」
「現在進行形で巻き込まれてる君らもね。…なんかごめん」
「いや、大丈夫だ」
「ちょっとちょっと、神様の存在忘れてません?」
「あ、そういえば居たんだね。もういなくなったと思ってたよ」
「次女さん酷いな」
「いきなり落としたなら当然の反応だと思うが」
「下手したら死んでいたかもしれないしな」
「え、あ、はい…そうですね…」
「「「(2人ともめっちゃいい人だ…)」」」
至極真面目に言う2人に、神様(仮)は体を縮こまらせた。いい人オーラ凄い。
「本当、驚かせてごめん」
「いや、いいんだ。ある意味貴重な体験だからな」
「そりゃね…」
「理由は分からないが、花咲も大変だっただろう」
「現在進行形で巻き込まれてる源田もね」
「あ、あたし達のことは花咲じゃなくて名前で呼んでよ!名字一緒だから紛らわしいし」
「いいのか?」
「いつもそうだし、これも何かの縁でしょ」
「分かった」
「じゃあ、名前で呼ぶな」
「あのー、そろそろ」
「「あ゙?」」
「酷い」
「まあまあ。……で、次はどこに落とす気?」
「今度は絶対に雷門中さ」
「雷門?」
訝しげに神様(仮)を見る佐久間。次は、とあたしが言ったから、今のとは別にまた落とされたことが分かった筈。
「何で雷門なんだ?」
「その方が都合がいいんだ。さ、行こうか」
「…ていうか何であたしたちがあんたに振り回されないといけないの」
「諸事情だよ。暫くは元の生活に戻れないことを、覚悟しておいて欲しい」
「はあ!?ちょっとそれ――」
かなが怒鳴り付けようとしたその瞬間、視界が真っ白になった。
(……俺たち、白昼夢でも見たのか?)
(ああ…)
「りなの目が死んでるよおおぉぉおおお!」
「普通だったら死んでる高さから落ちてるよおぉぉおおお!」
花咲3姉妹、絶賛パラシュート無しのスカイダイビングなう。恐らくだけど、気絶して雪に埋もれるまでの経緯もこんな感じだろうな。
ついでにゆみのキャラが崩壊した。かな?ああうん、いつも通りだわ。まあ確かに、普通ならこのままだと死ぬよね。
「やっぱり特典というか、体が世界に適応したのかな。多分北海道でのも、こんな感じだったんじゃ」
「そういえば、エターナルブリザードっぽいの打ててたね。もっと練習すれば完璧に出来るようになるんじゃない?」
「えーあー……」
「超次元体質いやっほおおおううっ!!」
「かな煩い」
それにしても、だ。落ちる地点が明らかに雷門中じゃない件ね。わざとだろうなこれ。何の意図があるのか。
どこかの道端みたいだが、幸か不幸か人気はない。……けどさ、
「……落ちる地点付近に人が2人いるよね。しかも――帝国学園の佐久間次郎さんと源田幸次郎さんに見えるのは気のせい?」
「タブンキノセイデゴザイマス」
「片言やめて。…まあ、十中八九本人だろうね。アイツ、何がしたいんだか」
「とりあえず……そこをどけええぇぇええっ!!!」
「「!」」
かなの叫びが聞こえたのか(よく聞こえたな)、見上げた佐久間と源田が、ギョッとしたように目を見開く(当たり前だ)。
コンクリートの地面はもう目前で、ドシャアアァァアアアッッと音を立てながら、あたし達は着地した。
怪我はしてない。だがしかし足がじんじんと痺れている。肘をぶつけると、電流が流れたような感覚になるのと同じだ。
息を整えるあたしたちに、ぽかんとこちらを見る帝国の参謀とKOG。やることは1つ。
「ご迷惑おかけしました!」
「いきなり空から降ってきてすみませんでした!」
「大声出してすみませんでした!」
「「「ではこれにておいとまさせていただきま」」」
「「ちょっと待て」」
ですよねー!!!
引き止められたあたし達は、ビルとビルの隙間に連れ込まれた。人目につきにくいからである。
というかここどこだ。2人は制服で、遠目に堅牢な砦のような建物が見えたから、帝国学園の近くなのかもしれない。
なんとなく気まずい雰囲気になる中、源田が口を開いた。
「…今、空から降ってきたよな」
「まあ…」
「何で降って来たんだ?」
「えーっと……」
「神を名乗る人物にいきなりここに落とされました」
佐久間の問いにかなが珍しく口ごもっていると、あっさりとゆみが言った。何やってんだお前は!
沈黙。後、2人は徐にポケットから携帯を取り出した。いやいやいやいや!
「待った待った!警察にかける気か!」
「ホントなんだってば!」
「いきなり空から降ってくるとか、かなり怪しいだろ」
「ああ…」
「ですよねー」
ごもっともでございますとも、ええ!佐久間の言葉が正論過ぎて突き刺さる。
「3人の言ってることは本当だよ」
「「「あ、自称神」」」
突然現れた神様(仮)に、佐久間が1歩下がった。源田も険しい表情をする。そりゃあ誰もいない所にいきなり現れたらね。
「こいつがあたし達を落としたんだよ!なんかよくわかんないけど、神!って感じするでしょ!」
「……わ、悪かったな、疑って」
「気にしてないから大丈夫。ていうか無理しなくていいよ」
「あ、ああ」
かなの強引さに引っ張られる感じになっているのに、軽くフォローを入れる。いきなり現れたのを見たものの、まだ半信半疑といったところか。
「てゆーか、いきなりこんなこと言って信じろなんて無理だよね…」
「あ、まだ名前言ってなかったね。三つ子の三女の花咲かなでっす!」
「(自己紹介いるか?まあいいか)あたしは花咲りな。長女です」
「次女の花咲ゆみ」
「……俺は佐久間次郎。帝国学園サッカー部のフォワードだ」
「同じく、帝国学園サッカー部の源田幸次郎だ。ポジションはゴールキーパーを務めている」
「「「(学校はともかく、部活とかポジションとかは必要な情報なのだろうか……)」」」
そんなにサッカーが重要な世界なのか…と思う三つ子であった。ちゃんちゃん。
「それにしても、空から降ってくるなんてな…」
「正直自分でも驚いてるよ」
「りなは軽く目が死んでたよねー」
「言うな」
「大変だったな」
「現在進行形で巻き込まれてる君らもね。…なんかごめん」
「いや、大丈夫だ」
「ちょっとちょっと、神様の存在忘れてません?」
「あ、そういえば居たんだね。もういなくなったと思ってたよ」
「次女さん酷いな」
「いきなり落としたなら当然の反応だと思うが」
「下手したら死んでいたかもしれないしな」
「え、あ、はい…そうですね…」
「「「(2人ともめっちゃいい人だ…)」」」
至極真面目に言う2人に、神様(仮)は体を縮こまらせた。いい人オーラ凄い。
「本当、驚かせてごめん」
「いや、いいんだ。ある意味貴重な体験だからな」
「そりゃね…」
「理由は分からないが、花咲も大変だっただろう」
「現在進行形で巻き込まれてる源田もね」
「あ、あたし達のことは花咲じゃなくて名前で呼んでよ!名字一緒だから紛らわしいし」
「いいのか?」
「いつもそうだし、これも何かの縁でしょ」
「分かった」
「じゃあ、名前で呼ぶな」
「あのー、そろそろ」
「「あ゙?」」
「酷い」
「まあまあ。……で、次はどこに落とす気?」
「今度は絶対に雷門中さ」
「雷門?」
訝しげに神様(仮)を見る佐久間。次は、とあたしが言ったから、今のとは別にまた落とされたことが分かった筈。
「何で雷門なんだ?」
「その方が都合がいいんだ。さ、行こうか」
「…ていうか何であたしたちがあんたに振り回されないといけないの」
「諸事情だよ。暫くは元の生活に戻れないことを、覚悟しておいて欲しい」
「はあ!?ちょっとそれ――」
かなが怒鳴り付けようとしたその瞬間、視界が真っ白になった。
(……俺たち、白昼夢でも見たのか?)
(ああ…)