第6話 抹茶ソフトの宇宙人
気づけばまたもや落下していた。空は淀んで、雲が厚い。天気悪いなあ。
今さらだけど、空気抵抗がほとんどないのは超次元だからなのだろうか。それとも、あいつが何かしたのか。
というかこれで何度目の落下だろう。3度目か。そろそろいい加減にして欲しい。
「落とすなら落とすと先に言えっての!」
「まあ、過ぎてしまったことを悔やんでもね……」
「そのセリフどこのイナゴの不動産」
「おだまり」
掛け合いをしてる場合か。
そうこうしているうちに、傘美野中が見えてきた。どうやら一発でちゃんと落としてくれたらしい。
あいつのことだから、奈良とか京都とか、はたまた沖縄にわざとらしくとばされたら、どうしようかと思った。
どうせなら落下以外の方法で送って欲しかったとも思うが。
まあ、今はそんなことより、
「試合、終わったみたいだね……」
「こんな方法で送られなかったら、ちょっとくらいは試合できたかもしれないのに!」
「確かにね。でも、今のあたしたちが出ても、さして変わらなかったんじゃない?」
「そうかもしれないけどさあ……!」
「そもそも変えちゃいけないんだし」
「あっ……。……うぐぐ」
「ちょっとゆみ、言い方キツいよ」
「……ごめん」
こんなところで、また仲が悪くなられたら困る。
さて、落下予測地点はフィールドのジェミニストーム側なわけだが、このままだと衝突する可能性がある。
「どうしよっか」
「何であたし見るの」
「あの時みたいに、どかしてもらおうかと」
「……そこの抹茶ソフトと愉快な仲間たちいいい!!!どけえええええ!!!」
……なんでそうなる。もっとマシな言い方はなかったのか。
一方、雷門イレブンは、ジェミニストームの猛攻の前に、倒れ伏していた。
嘲笑うかのように口角をつり上げると、レーゼは口を開いた。
「地球にはこんな言葉があ」
「そこの抹茶ソフトと愉快な仲間たちいいい!!!どけえええ!!!」
「え?」
思わず素の声が出てしまったレーゼであった。
上空から聞こえてきた声に、風を切って何かが落ちてくる音がする。
それが人だと認識した時、レーゼは演技も忘れて、ポカンと呆けた表情を浮かべた。
雷門イレブンもジェミニストームも、唖然としている。
だが雷門イレブンは、同じことを経験したことがあり、つまりは落ちてくる人が誰なのか、一拍置いて理解した。
でも何でまた空から?
悲しいかな、着地にも慣れてしまった。できればもうしたくない。
近くにいたレーゼはと言うと、これまた近くに落ちてきたかなのことを凝視していた。本当に申し訳ない。
「よせやい。そんなに見てくるなんてー」
「……なんだこれ」
素が出てるぞ。
「あー、大丈夫?」
「っ、何故空から降ってきた!」
「宇宙人に言われたくはないね!」
「それは……」
「まあ、超次元だからってことにしといてよ!頑張ってね!」
「何を、」
「それはノーコメント!」
親指を立てたかなが、ニッと笑う。そして回れ右をしたので、便乗することにする。
「「「それでは」」」
余計なことを聞かれる前に、円堂たちのところへ向かう。
何してるんだ言わんばかりの視線が突き刺さって、正直辛い。もう見なかったことにして欲しい。無理だろうけど。
なんとか気を取り直したようで、レーゼが口を開いた。
「……はあ。地球にはこんな言葉がある。“雉も鳴かずば撃たれまい”」
レーゼのシュートが傘美野中を襲い、破壊した。
……知っていながら止めようとしなかったことを、許して欲しい。
***
「あーもー!!!」
「うるさい」
「だって!」
帰宅早々ソファーにダイブして、かなは声を上げた。
みんなと一緒の時は我慢してたけど、今は不機嫌丸出しだ。
「まあまあ、落ち着いて」
「これで落ち着いていられっか!呼び出しがなければ、みんなの怪我だって軽くて済んだかもしれないのに!」
「だからその考えがだめなんでしょ。もし入院するメンバーが減ったらどうするの」
「どうもこうも……、なるようになる!」
「別のところで離脱を余儀なくされるんじゃない?」
「ぐっ」
「本当、何で連れてこられたんだか」
「……ねえ、ゆみ。もしかして元の世界に戻りたいの?」
「……りなは戻りたくないの?」
「戻りたくない、と言ったら嘘になるね」
「そっか」
「何、ゆみ。また逃げるの」
「っ、逃げるつもりなんかない!」
「どーだか」
「だから喧嘩するなって言ってるでしょ!」
普段は仲はいいのに、いきなり一触即発になったりするんだから、もう勘弁して欲しい。
「かなの気持ちもわかるよ。みんなの力になれなかったって思っちゃうんだよね」
「そうそれ!あたしたちだって雷門サッカー部なんだから、やっぱ一緒に戦いたいじゃん!」
「うんうん」
「あーもー……、疲れた!寝る!」
「え」
どすどすと苛立ちをぶつけるように足音を立てながら、かなはリビングを出て行った。
……まあ、今日はフットボールフロンティアの決勝戦もあったわけだし、疲れてるのもわかるけれども。
「ええ……、どうする?」
「……取り敢えず、お風呂湧かそうか」
「……そうだね」
「ゆみ」
「何」
「かなもちょっと寝たら機嫌直ってるよ、きっと」
「……うん」
.
今さらだけど、空気抵抗がほとんどないのは超次元だからなのだろうか。それとも、あいつが何かしたのか。
というかこれで何度目の落下だろう。3度目か。そろそろいい加減にして欲しい。
「落とすなら落とすと先に言えっての!」
「まあ、過ぎてしまったことを悔やんでもね……」
「そのセリフどこのイナゴの不動産」
「おだまり」
掛け合いをしてる場合か。
そうこうしているうちに、傘美野中が見えてきた。どうやら一発でちゃんと落としてくれたらしい。
あいつのことだから、奈良とか京都とか、はたまた沖縄にわざとらしくとばされたら、どうしようかと思った。
どうせなら落下以外の方法で送って欲しかったとも思うが。
まあ、今はそんなことより、
「試合、終わったみたいだね……」
「こんな方法で送られなかったら、ちょっとくらいは試合できたかもしれないのに!」
「確かにね。でも、今のあたしたちが出ても、さして変わらなかったんじゃない?」
「そうかもしれないけどさあ……!」
「そもそも変えちゃいけないんだし」
「あっ……。……うぐぐ」
「ちょっとゆみ、言い方キツいよ」
「……ごめん」
こんなところで、また仲が悪くなられたら困る。
さて、落下予測地点はフィールドのジェミニストーム側なわけだが、このままだと衝突する可能性がある。
「どうしよっか」
「何であたし見るの」
「あの時みたいに、どかしてもらおうかと」
「……そこの抹茶ソフトと愉快な仲間たちいいい!!!どけえええええ!!!」
……なんでそうなる。もっとマシな言い方はなかったのか。
一方、雷門イレブンは、ジェミニストームの猛攻の前に、倒れ伏していた。
嘲笑うかのように口角をつり上げると、レーゼは口を開いた。
「地球にはこんな言葉があ」
「そこの抹茶ソフトと愉快な仲間たちいいい!!!どけえええ!!!」
「え?」
思わず素の声が出てしまったレーゼであった。
上空から聞こえてきた声に、風を切って何かが落ちてくる音がする。
それが人だと認識した時、レーゼは演技も忘れて、ポカンと呆けた表情を浮かべた。
雷門イレブンもジェミニストームも、唖然としている。
だが雷門イレブンは、同じことを経験したことがあり、つまりは落ちてくる人が誰なのか、一拍置いて理解した。
でも何でまた空から?
悲しいかな、着地にも慣れてしまった。できればもうしたくない。
近くにいたレーゼはと言うと、これまた近くに落ちてきたかなのことを凝視していた。本当に申し訳ない。
「よせやい。そんなに見てくるなんてー」
「……なんだこれ」
素が出てるぞ。
「あー、大丈夫?」
「っ、何故空から降ってきた!」
「宇宙人に言われたくはないね!」
「それは……」
「まあ、超次元だからってことにしといてよ!頑張ってね!」
「何を、」
「それはノーコメント!」
親指を立てたかなが、ニッと笑う。そして回れ右をしたので、便乗することにする。
「「「それでは」」」
余計なことを聞かれる前に、円堂たちのところへ向かう。
何してるんだ言わんばかりの視線が突き刺さって、正直辛い。もう見なかったことにして欲しい。無理だろうけど。
なんとか気を取り直したようで、レーゼが口を開いた。
「……はあ。地球にはこんな言葉がある。“雉も鳴かずば撃たれまい”」
レーゼのシュートが傘美野中を襲い、破壊した。
……知っていながら止めようとしなかったことを、許して欲しい。
***
「あーもー!!!」
「うるさい」
「だって!」
帰宅早々ソファーにダイブして、かなは声を上げた。
みんなと一緒の時は我慢してたけど、今は不機嫌丸出しだ。
「まあまあ、落ち着いて」
「これで落ち着いていられっか!呼び出しがなければ、みんなの怪我だって軽くて済んだかもしれないのに!」
「だからその考えがだめなんでしょ。もし入院するメンバーが減ったらどうするの」
「どうもこうも……、なるようになる!」
「別のところで離脱を余儀なくされるんじゃない?」
「ぐっ」
「本当、何で連れてこられたんだか」
「……ねえ、ゆみ。もしかして元の世界に戻りたいの?」
「……りなは戻りたくないの?」
「戻りたくない、と言ったら嘘になるね」
「そっか」
「何、ゆみ。また逃げるの」
「っ、逃げるつもりなんかない!」
「どーだか」
「だから喧嘩するなって言ってるでしょ!」
普段は仲はいいのに、いきなり一触即発になったりするんだから、もう勘弁して欲しい。
「かなの気持ちもわかるよ。みんなの力になれなかったって思っちゃうんだよね」
「そうそれ!あたしたちだって雷門サッカー部なんだから、やっぱ一緒に戦いたいじゃん!」
「うんうん」
「あーもー……、疲れた!寝る!」
「え」
どすどすと苛立ちをぶつけるように足音を立てながら、かなはリビングを出て行った。
……まあ、今日はフットボールフロンティアの決勝戦もあったわけだし、疲れてるのもわかるけれども。
「ええ……、どうする?」
「……取り敢えず、お風呂湧かそうか」
「……そうだね」
「ゆみ」
「何」
「かなもちょっと寝たら機嫌直ってるよ、きっと」
「……うん」
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