第6話 抹茶ソフトの宇宙人
「俺たちは」
『日本一だーーーっ!!!』
もう何度目かも分からない歓声をあげる。よく飽きないものだなと思ってしまうのは、年齢からくる精神的余裕の違いか。
「日本一だーーー!」
……末の妹が当たり前のように混ざっているけど、それはまあ、個人差というやつだ。
1年生たちがトロフィーを持ち合ったり、そこから影野が掠めとったりしている。さしずめトロフィーの取り合いか。
豪炎寺は夕香ちゃんに報告する為に一足先に場を離れ、円堂は今までのことを思い返しているようだ。
それぞれ、歓喜の余韻に浸っている。
でも、学校に戻ったら、2期であるエイリア学園編の開幕だ。
学校が、部室が壊される。仲間が目の前で、傷つき、どんどん倒れていく。
それを、黙って見ていられるだろうか。
ふいに、北海道にいるであろう士郎のことを思い出した。さっき、優勝おめでとう、とメールがきたばかりだ。
この世界に来て一番最初に出会って、親身に接してくれた士郎。彼はこれからの戦いの最中、精神崩壊を引き起こしてしまう。
それは彼が乗り越えなければいけない壁だって、分かってる。変えてはいけないことも。あのままでは彼の為にならないことも。
反面、イレギュラーな存在がいる時点であたしたちの知る物語から外れているのだから、変えても許されるんじゃないかとも思う。
現に試合に出ているんだ。きっとこの先も、そういう機会は沢山あるだろう。
この世界にきてまだあまり時間は経っていないけれど、自分でも思っていた以上に彼らに情が湧いているらしい。
だから、物語を変えようとしてしまうんじゃないだろうか、と思ってしまう。
そう思うくらいなら、最初から関わることを避ければ良かったのに。
……いや、関わることは必然だったのかもしれない。どんな経緯で、トリップすることになったのかはわからない。
けれど、雷門中に来るまでの過程であれだけ振り回されたのは、意味があってのことのように思える。フラグ作成とも言う。
「考え事?」
「まあ……」
帰りのバス内でも、わいわいと話しているみんなに混じらず考えていると、ゆみにそう聞かれた。かなは寝ている。……能天気め。
「なんとなくだけど、あたしたちがこうして過ごしてることに、何か意味がある気がして」
「……なるほどね。なら、次アイツに会うことがあったら、聞き出してやろう」
「そうだね」
することもないので、ぼーっとしていると、ずしんというなにかしら落下した音と、地響きが伝わってきた。
音が聞こえたのは、雷門中のある方向から。……ああ、ついに来たのか。
バスが凄い速さで走り出す。法定速度の無視については、非常事態ということで目を瞑る。
「な、何々!?」
異変を察知したのか起きたかなに状況を説明すると、顔が強張った。
そうこうしているうちに、雷門中まで辿り着いた。目の前に広がるのは、壊された校舎。
何が起こったのか分からず呆然とする円堂たちに、校長が告げたのは、宇宙人が攻めてきた、とのこと。
そして宇宙人と戦い、ボロボロになってしまったイナズマイレブンのおじさんたち。
その時、黒いサッカーボールが飛んできた。
そして現れたのは、
「抹茶ソフトクリーム……」
……かなは空気を読んで欲しい。
「お前たちが宇宙人なのか!?」
「我々は、遠き星エイリアよりこの星に舞い降りた、星の使徒である」
要約すると、彼らはサッカーという秩序に従い力を示し、サッカーで彼らを倒さないと地球に存在できなくなると。
……サッカーは秩序、で10年後の誰かさんを思い浮かべてしまった。
まあ秩序はともかく、戦いで勝利者を決めるための手段はちょっと無理がないだろうか
激昂した円堂が声高に勝負だと啖呵を切るも、もう勝負は終わったとい一蹴された。
「宇宙人だかなんだろうが、学校壊されて黙ってられっか!」
「染岡……みんな……!見せてやろうぜ!俺たちのサッカー!」
「その必要は無い」
黒いサッカーボールがこちらに向かって放たれる。
円堂が必殺技を出し対抗しようとしたが、間に合わずにそのまま吹き飛ばされた。そして、あたしたちも。
そのまま部室に直撃し、破壊した。
「俺たちの、部室が……」
部室を壊された悲しみと、突如現れた宇宙人への怒りを滾らせるみんな。
それをどこか他人事のように感じるあたしは、やっぱり根本的なところは部外者なのかもしれない。
そんなこんなで傘美野中に宇宙人が出たという情報が入り、行くことになった。
なのに
「え」
「あ」
「うぎゃっ」
キャラバンに乗ろうとしたら、滑って転んだ。それはもう、不自然なくらい豪快に。
前にいたあたしはゆみにぶつかり、そのままバランスを崩してかなにもぶつかる。
そして、地面に空いた黒い穴に落ちた。
「「「えっ」」」
嘘でしょ。なんで、このタイミングで。
あたしたちがいれば、みんなはあそこまでに傷つかなくても済むかもしれないのに。
意味が、分からない。
「あれ?りなとゆみとかなは?」
「どこに行ったんだ?」
「……仕方が無い、先に行こう」
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『日本一だーーーっ!!!』
もう何度目かも分からない歓声をあげる。よく飽きないものだなと思ってしまうのは、年齢からくる精神的余裕の違いか。
「日本一だーーー!」
……末の妹が当たり前のように混ざっているけど、それはまあ、個人差というやつだ。
1年生たちがトロフィーを持ち合ったり、そこから影野が掠めとったりしている。さしずめトロフィーの取り合いか。
豪炎寺は夕香ちゃんに報告する為に一足先に場を離れ、円堂は今までのことを思い返しているようだ。
それぞれ、歓喜の余韻に浸っている。
でも、学校に戻ったら、2期であるエイリア学園編の開幕だ。
学校が、部室が壊される。仲間が目の前で、傷つき、どんどん倒れていく。
それを、黙って見ていられるだろうか。
ふいに、北海道にいるであろう士郎のことを思い出した。さっき、優勝おめでとう、とメールがきたばかりだ。
この世界に来て一番最初に出会って、親身に接してくれた士郎。彼はこれからの戦いの最中、精神崩壊を引き起こしてしまう。
それは彼が乗り越えなければいけない壁だって、分かってる。変えてはいけないことも。あのままでは彼の為にならないことも。
反面、イレギュラーな存在がいる時点であたしたちの知る物語から外れているのだから、変えても許されるんじゃないかとも思う。
現に試合に出ているんだ。きっとこの先も、そういう機会は沢山あるだろう。
この世界にきてまだあまり時間は経っていないけれど、自分でも思っていた以上に彼らに情が湧いているらしい。
だから、物語を変えようとしてしまうんじゃないだろうか、と思ってしまう。
そう思うくらいなら、最初から関わることを避ければ良かったのに。
……いや、関わることは必然だったのかもしれない。どんな経緯で、トリップすることになったのかはわからない。
けれど、雷門中に来るまでの過程であれだけ振り回されたのは、意味があってのことのように思える。フラグ作成とも言う。
「考え事?」
「まあ……」
帰りのバス内でも、わいわいと話しているみんなに混じらず考えていると、ゆみにそう聞かれた。かなは寝ている。……能天気め。
「なんとなくだけど、あたしたちがこうして過ごしてることに、何か意味がある気がして」
「……なるほどね。なら、次アイツに会うことがあったら、聞き出してやろう」
「そうだね」
することもないので、ぼーっとしていると、ずしんというなにかしら落下した音と、地響きが伝わってきた。
音が聞こえたのは、雷門中のある方向から。……ああ、ついに来たのか。
バスが凄い速さで走り出す。法定速度の無視については、非常事態ということで目を瞑る。
「な、何々!?」
異変を察知したのか起きたかなに状況を説明すると、顔が強張った。
そうこうしているうちに、雷門中まで辿り着いた。目の前に広がるのは、壊された校舎。
何が起こったのか分からず呆然とする円堂たちに、校長が告げたのは、宇宙人が攻めてきた、とのこと。
そして宇宙人と戦い、ボロボロになってしまったイナズマイレブンのおじさんたち。
その時、黒いサッカーボールが飛んできた。
そして現れたのは、
「抹茶ソフトクリーム……」
……かなは空気を読んで欲しい。
「お前たちが宇宙人なのか!?」
「我々は、遠き星エイリアよりこの星に舞い降りた、星の使徒である」
要約すると、彼らはサッカーという秩序に従い力を示し、サッカーで彼らを倒さないと地球に存在できなくなると。
……サッカーは秩序、で10年後の誰かさんを思い浮かべてしまった。
まあ秩序はともかく、戦いで勝利者を決めるための手段はちょっと無理がないだろうか
激昂した円堂が声高に勝負だと啖呵を切るも、もう勝負は終わったとい一蹴された。
「宇宙人だかなんだろうが、学校壊されて黙ってられっか!」
「染岡……みんな……!見せてやろうぜ!俺たちのサッカー!」
「その必要は無い」
黒いサッカーボールがこちらに向かって放たれる。
円堂が必殺技を出し対抗しようとしたが、間に合わずにそのまま吹き飛ばされた。そして、あたしたちも。
そのまま部室に直撃し、破壊した。
「俺たちの、部室が……」
部室を壊された悲しみと、突如現れた宇宙人への怒りを滾らせるみんな。
それをどこか他人事のように感じるあたしは、やっぱり根本的なところは部外者なのかもしれない。
そんなこんなで傘美野中に宇宙人が出たという情報が入り、行くことになった。
なのに
「え」
「あ」
「うぎゃっ」
キャラバンに乗ろうとしたら、滑って転んだ。それはもう、不自然なくらい豪快に。
前にいたあたしはゆみにぶつかり、そのままバランスを崩してかなにもぶつかる。
そして、地面に空いた黒い穴に落ちた。
「「「えっ」」」
嘘でしょ。なんで、このタイミングで。
あたしたちがいれば、みんなはあそこまでに傷つかなくても済むかもしれないのに。
意味が、分からない。
「あれ?りなとゆみとかなは?」
「どこに行ったんだ?」
「……仕方が無い、先に行こう」
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