第5話 雷門VS世宇子!
「……思ったより、臆病なんだね」
「なっ」
「アフロディは虚勢を張ってるだけだよ」
「……違う」
「悪役になりきてれないよ、臆病者」
「僕は臆病者なんかじゃない!」
癇に触ってしまったのか、アフロディは感情を爆発させた。その怒鳴り声も、悲鳴に似ていて、虚勢としか思えない。
自分が犯した罪を理解している。けれど、自分のしたことを否定したくない。受け入れたくない。非難されるのが、怖い。
誰かに、似てるな。
「そんなこと……そんなことが、あるものか!」
アフロディはひたすらに否定の言葉を呟いて、必死に自我を保とうとしているようだ。
綺麗な紅い瞳が爛々と輝き、ミシリという音が聞こえた。筋肉が盛り上がって……細胞が活性化してる?
あれも神のアクアの影響なのかと思うとゾッとする。肉体改造。副作用。なんて言えばいいのか。
鬼道は体力増強のドリンクと称していたけれど、実際はそんな単純なものではないだろう。どうやって作ったんだか、あれは。
殺気にも似た感情を剥き出しにするアフロディに、「これは、大好きなサッカーを守る為の戦いだ!」と円堂が叫んだ。
サッカーにおいて力を誇示しようとするアフロディと、大好きなサッカーの為に立ち向かう円堂。
一体、どちらが勝つのか。……考えなくたって、分かるよね。
「神の本気を知るがいい!」
ゴッドノウズの体勢をとるフロディを他所に、グローブのはめられた両手を見た円堂が何かに気づいた。
突然体を捻る円堂に、みんなが驚く。アフロディもせせら笑ったが、円堂の周りに気が渦巻くと、表情を変えた。
「ッ……ゴッドノウズ!」
「うおおおおっ!!!」
円堂の背後に、魔神が姿を現した。
「これが俺の……マジン・ザ・ハンドだ!」
力強いキャッチはゴッドノウズの勢いを押し殺し、円堂の手の中にボールが収まった。
さあ、
「反撃開始だ!いっけえ!」
投げられたボールを受けた鬼道は、メガクェイクで吹き飛ばされながらも、ヘディングでパスを出した。
それをりながトラップし、暫くキープした後高く蹴り上げた。一見ミスキックだけど、うちの姉がそんなミスをする筈がない。
「ファイアトルネード!」
「ツインブースト!」
あれは鬼道が前線へ上がるまでの時間稼ぎであり、豪炎寺へのパスで、
「「うおおお!」」
2人のシュートはツナミウォールを打ち破って、1点をもぎ取った。
世宇子イレブンのキックオフで試合再開するものの、動揺と焦りからか動きがぎこちない。
「僕は……僕は確かに神の力を手に入れた筈だ!ゴッドノウズ!」
アフロディのゴッドノウズも随分と威力が落ちたように見えて、円堂はマジン・ザ・ハンドでがっちりと受け止めた。
ボールを受けた鬼道が蹴り上げ、豪炎寺が追うように跳躍した。先程と同じ連携で、ギガントウォールをも破ってみせた。
「ライトウォール」
「アイスステップ!」
ゆみがボールを奪って、りながボールを運ぶ。ていうかりなはいつの間に必殺技を完成させたんだ。
ちなみにどんな必殺技かというと、足元から広がった氷が相手ディフェンスの動きを止める、と言った感じだ。
……同じ新必殺技でもこうも違うんだなあ。通用するか、しないか。前者はりなで、後者はあたし。
フォワードは、キーパーとの単純なパワー勝負だけじゃないけど、あたしはパワーでごり押しする方が得意だ。
でも、それじゃあ点は取れないわけで。
「……」
豪炎寺に強烈なマークがついていて、外そうとすればボールを取られかけるというギリギリの状態だ。
ふと、あたしの方を見た豪炎寺が、笑った。
「かな!」
「え」
マジでか。って、
「え、ちょっ!」
飛んできたボールを慌ててトラップする。連携の起点の豪炎寺を警戒していて、あたしにはマークがついていない。
「1人でやろうとするな。仲間を頼れ!」
「来い!」
ゴール前に鬼道が走り込んでいる。あたしに、豪炎寺のようにシュートを打てと。
あんな土壇場での連携。ライバルとして、仲間として、それなりの期間一緒にプレイしてきたから出来たんだろうに。
……やってみる価値は、あるか。
「期待してるよ、天才ゲームメーカー……!サンダートルネードッ!!!」
「ツインブースト!」
サンダートルネードからのツインブースト。鬼道は見事にタイミングを合わせてみせて、ギガントウォールを打ち破った。
流石としか言いようがない。とにかくこれで同点だと胸を撫で下ろしていれば、突然肩ポンをされた。
「うへえ!」と変な声を上げて振り向いたら、苦笑をした豪炎寺がいた。すみませんね慣れてなくて!悪かったな!
「ナイスシュート」
「あー、いやあ……。あたし1人じゃ出来なかったし、やろうとも思わなかったよ」
「意外だな」
「何おう。まあ、指示くれた豪炎寺のおかげっていうか、点取れて嬉しかったし……ありがとう!」
「! ……」
「何さ」
「いや、やっと、かなと距離を縮めることが出来たと思ったんだ」
「え」
「りなやゆみが一緒なら平気らしいが、男子が苦手みたいだからな」
「(お前みたいなイケメン限定でな)」
「あと、さっきみたいに笑ってた方が可愛いぞ」
「は……」
そう言うと、豪炎寺はさっさとポジションに戻っていった。……いや何。何!なんなの!?
……可愛い?寝言は寝て言え!シスコン野郎の癖に!あたしもシスコンだけど!よくそんな恥ずかしいこと言えたな!天然タラシか!
笑うってなんだ。今までが愛想笑いだったとでも言うのか。そりゃシュート決まって嬉しかったけど。意味分かんない。
仲間って、なんなのかな。
.
「なっ」
「アフロディは虚勢を張ってるだけだよ」
「……違う」
「悪役になりきてれないよ、臆病者」
「僕は臆病者なんかじゃない!」
癇に触ってしまったのか、アフロディは感情を爆発させた。その怒鳴り声も、悲鳴に似ていて、虚勢としか思えない。
自分が犯した罪を理解している。けれど、自分のしたことを否定したくない。受け入れたくない。非難されるのが、怖い。
誰かに、似てるな。
「そんなこと……そんなことが、あるものか!」
アフロディはひたすらに否定の言葉を呟いて、必死に自我を保とうとしているようだ。
綺麗な紅い瞳が爛々と輝き、ミシリという音が聞こえた。筋肉が盛り上がって……細胞が活性化してる?
あれも神のアクアの影響なのかと思うとゾッとする。肉体改造。副作用。なんて言えばいいのか。
鬼道は体力増強のドリンクと称していたけれど、実際はそんな単純なものではないだろう。どうやって作ったんだか、あれは。
殺気にも似た感情を剥き出しにするアフロディに、「これは、大好きなサッカーを守る為の戦いだ!」と円堂が叫んだ。
サッカーにおいて力を誇示しようとするアフロディと、大好きなサッカーの為に立ち向かう円堂。
一体、どちらが勝つのか。……考えなくたって、分かるよね。
「神の本気を知るがいい!」
ゴッドノウズの体勢をとるフロディを他所に、グローブのはめられた両手を見た円堂が何かに気づいた。
突然体を捻る円堂に、みんなが驚く。アフロディもせせら笑ったが、円堂の周りに気が渦巻くと、表情を変えた。
「ッ……ゴッドノウズ!」
「うおおおおっ!!!」
円堂の背後に、魔神が姿を現した。
「これが俺の……マジン・ザ・ハンドだ!」
力強いキャッチはゴッドノウズの勢いを押し殺し、円堂の手の中にボールが収まった。
さあ、
「反撃開始だ!いっけえ!」
投げられたボールを受けた鬼道は、メガクェイクで吹き飛ばされながらも、ヘディングでパスを出した。
それをりながトラップし、暫くキープした後高く蹴り上げた。一見ミスキックだけど、うちの姉がそんなミスをする筈がない。
「ファイアトルネード!」
「ツインブースト!」
あれは鬼道が前線へ上がるまでの時間稼ぎであり、豪炎寺へのパスで、
「「うおおお!」」
2人のシュートはツナミウォールを打ち破って、1点をもぎ取った。
世宇子イレブンのキックオフで試合再開するものの、動揺と焦りからか動きがぎこちない。
「僕は……僕は確かに神の力を手に入れた筈だ!ゴッドノウズ!」
アフロディのゴッドノウズも随分と威力が落ちたように見えて、円堂はマジン・ザ・ハンドでがっちりと受け止めた。
ボールを受けた鬼道が蹴り上げ、豪炎寺が追うように跳躍した。先程と同じ連携で、ギガントウォールをも破ってみせた。
「ライトウォール」
「アイスステップ!」
ゆみがボールを奪って、りながボールを運ぶ。ていうかりなはいつの間に必殺技を完成させたんだ。
ちなみにどんな必殺技かというと、足元から広がった氷が相手ディフェンスの動きを止める、と言った感じだ。
……同じ新必殺技でもこうも違うんだなあ。通用するか、しないか。前者はりなで、後者はあたし。
フォワードは、キーパーとの単純なパワー勝負だけじゃないけど、あたしはパワーでごり押しする方が得意だ。
でも、それじゃあ点は取れないわけで。
「……」
豪炎寺に強烈なマークがついていて、外そうとすればボールを取られかけるというギリギリの状態だ。
ふと、あたしの方を見た豪炎寺が、笑った。
「かな!」
「え」
マジでか。って、
「え、ちょっ!」
飛んできたボールを慌ててトラップする。連携の起点の豪炎寺を警戒していて、あたしにはマークがついていない。
「1人でやろうとするな。仲間を頼れ!」
「来い!」
ゴール前に鬼道が走り込んでいる。あたしに、豪炎寺のようにシュートを打てと。
あんな土壇場での連携。ライバルとして、仲間として、それなりの期間一緒にプレイしてきたから出来たんだろうに。
……やってみる価値は、あるか。
「期待してるよ、天才ゲームメーカー……!サンダートルネードッ!!!」
「ツインブースト!」
サンダートルネードからのツインブースト。鬼道は見事にタイミングを合わせてみせて、ギガントウォールを打ち破った。
流石としか言いようがない。とにかくこれで同点だと胸を撫で下ろしていれば、突然肩ポンをされた。
「うへえ!」と変な声を上げて振り向いたら、苦笑をした豪炎寺がいた。すみませんね慣れてなくて!悪かったな!
「ナイスシュート」
「あー、いやあ……。あたし1人じゃ出来なかったし、やろうとも思わなかったよ」
「意外だな」
「何おう。まあ、指示くれた豪炎寺のおかげっていうか、点取れて嬉しかったし……ありがとう!」
「! ……」
「何さ」
「いや、やっと、かなと距離を縮めることが出来たと思ったんだ」
「え」
「りなやゆみが一緒なら平気らしいが、男子が苦手みたいだからな」
「(お前みたいなイケメン限定でな)」
「あと、さっきみたいに笑ってた方が可愛いぞ」
「は……」
そう言うと、豪炎寺はさっさとポジションに戻っていった。……いや何。何!なんなの!?
……可愛い?寝言は寝て言え!シスコン野郎の癖に!あたしもシスコンだけど!よくそんな恥ずかしいこと言えたな!天然タラシか!
笑うってなんだ。今までが愛想笑いだったとでも言うのか。そりゃシュート決まって嬉しかったけど。意味分かんない。
仲間って、なんなのかな。
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