第3話 三つ子と神(笑)と
フットボールフロンティア準決勝を終え、残すところ1試合、決勝戦のみ。
ここまで来たら、というか、雷門サッカー部始動当初からの目標である優勝まであと少しだ。
それぞれが強い思いを胸に抱く中、
「ダメなんだ……ダメなんだよ……」
次の日、一番優勝を強く望んでいたやつが落ち込んでいるなんて、誰が予想出来るだろう。
「ダメって、何が?」
「なあ俺、ゴッドハンドで世宇子のシュート止められるのかな……」
「らしくないぞ。いつものお前なら、"やってみなくちゃわからない"って、真正面からぶつかっていくじゃないか」
「この決勝、絶対に負けられないんだ!"やってみなくちゃわからない"じゃダメなんだ!分かるだろ!」
円堂は鬼道に食って掛かる。まあ、鬼道は敵討ちの為に雷門に転校してきた訳で、それはそれで絶対に負けられないんだけど。
普段とは全く違う円堂の様子に、みんなただただ驚くしかない。どうやら、自信を無くしたというよりかは、不安ならしい。
ゴールキーパーはゴールを守る重要なポジションだ。いや重要じゃないポジションなんてないんだけれどさ。
昨日はフォローがあって、やっとのことでトライアングルZを止めることが出来た。でも、世宇子のシュートがあれ以上なのは間違いない。
そのことを考えると……、ということだ。
「そうヘコんでるだけ時間の無駄だよ」
「そうかもしれないけど……!」
サラッとりなが毒を吐いた。これくらいじゃ更にヘコむことはないと分かって、言ったんだと思う。多分。
「彼、今までに、あんなことあったの?」
「ううん。あんな円堂君、見たこと無い…」
秋ちゃんまでもそう言うこの状況。はてさて、どうしたものか。
放課後。作戦を練るという円堂、鬼道、豪炎寺を部室に残して、風丸と染岡の主導の元、筋トレをする。
一見集中してやっているように見えるけれど、全員が時折ちらちらと部室の方を見ている。特に円堂を案じている2年が。
「円堂たち大丈夫かな…」
「ま、アニメどおりに行けば大丈夫なんじゃない?」
「声がでかい」
「ゴメンゴメン」
笑ってはいるものの、かなも微妙そうな顔をしていた。同じクラスだし、何か思うところがあったのかもしれない。
「喋りながらやるなよ……」
「染っちごめん~」
「誰が染っちだ!」
たま○っち的なノリだな。うん。
「結構円堂悩んでるっぽいね」
「そうだな……。かなはどう思う?」
「え、あたしに聞きますか風丸さんよ」
「同じクラスだろ?」
「えー……まあ、なんとかなるさ?」
「何で疑問形……」
「ていうか、今のセリフ」
「細かいところは気にしない!」
「はいはい」
それは10年後の彼のセリフでしょうが。
「集中しろよな……」
「そうかそうか。つまり君はそういう奴なんだな」
「は?」
「byエー○ール」
「エー○ール誰だ」
「染岡はツッコミなんだな。よく分かったよ!うん!」
「何が分かったんだよ」
「染岡が染オカンという事が」
「だれがオカンだ」
「ごめん。かなっていつもこんな感じだから。気にしないで」
「あ、ああ……」
間違いなく気にしてるじゃん。かなに振り回されてる、というか遊ばれてるし。
そんな中、1年生たちが円堂たちのことを気にして、部室へ様子を見に行った。顔を見合せて、風丸と染岡とそれを追う。
部室を覗くと、「やろうぜ!」と円堂が丁度意気込んでいた。
「今さ、作戦会議やってたんだ!なっ」
「あ、ああ……」
「世宇子なんか、ぶっとばしてろうぜ!」
1年を引き連れ、部室飛び出していく。無理矢理作られた笑顔。1年ズは気づかなかったみたいだけど、あたしや他2年は気づいていた。
「円堂は壁にぶち当たったな」
「ああ」
「誰でもレベルアップすればするほど大きな壁にぶつかる。乗り越えてもっと上のレベルに行くか、そこで沈むか……。あの諦めの悪いやつがそんな簡単に沈むとは思えないが……」
「俺たちでバックアップしていこうよ。木戸川戦の時の壁山とゆみみたいにさ。きっとそういうのも、ここがポイントってことじゃない?」
自分の胸を押さえた一之瀬に、「上手く纏めたって思っただろ」と土門ツッコミを入れる。ウインクをしながら「まあね」と一之瀬は返す。
……あたしが動いたのは、いや、動けたのは、知っていたからこそだ。知っている人間として、すべきことは何だろう?
介入し過ぎずにフォローを入れるなんて巧い芸当、あたしなんかが出来るだろうか。下手をすれば、ズレが生じるかもしれない。
……せめて、今よりも沈むことがないようにしたい。
「円堂行くぞー!」
「おう!」
円堂はシュートを打ってもらい、ひたすらにそれを止めている。
「(くよくよ考えたって何も変わらない!とにかく動く!動けば何か、掴めるかもしれない!)」
「(……大丈夫だ、円堂なら)」
知っているというだけじゃない。
巡り合わせで出会って、まだまだ知り合ったばかりで、実際に関係を持ってみれば、自ずと知らない彼も見えてくる。
本来なら、画面越しでは知りうることのなかったことだ。他のやつも例外はなく、そのうちキャパオーバーしそうだ。
だけど、みんなが、円堂がどんなやつか、本質は理解してるつもりだ。最も、"つもり"なんだけど。
「ゆみ、ディフェンスの方入って!」
「はいはいっと」
.
ここまで来たら、というか、雷門サッカー部始動当初からの目標である優勝まであと少しだ。
それぞれが強い思いを胸に抱く中、
「ダメなんだ……ダメなんだよ……」
次の日、一番優勝を強く望んでいたやつが落ち込んでいるなんて、誰が予想出来るだろう。
「ダメって、何が?」
「なあ俺、ゴッドハンドで世宇子のシュート止められるのかな……」
「らしくないぞ。いつものお前なら、"やってみなくちゃわからない"って、真正面からぶつかっていくじゃないか」
「この決勝、絶対に負けられないんだ!"やってみなくちゃわからない"じゃダメなんだ!分かるだろ!」
円堂は鬼道に食って掛かる。まあ、鬼道は敵討ちの為に雷門に転校してきた訳で、それはそれで絶対に負けられないんだけど。
普段とは全く違う円堂の様子に、みんなただただ驚くしかない。どうやら、自信を無くしたというよりかは、不安ならしい。
ゴールキーパーはゴールを守る重要なポジションだ。いや重要じゃないポジションなんてないんだけれどさ。
昨日はフォローがあって、やっとのことでトライアングルZを止めることが出来た。でも、世宇子のシュートがあれ以上なのは間違いない。
そのことを考えると……、ということだ。
「そうヘコんでるだけ時間の無駄だよ」
「そうかもしれないけど……!」
サラッとりなが毒を吐いた。これくらいじゃ更にヘコむことはないと分かって、言ったんだと思う。多分。
「彼、今までに、あんなことあったの?」
「ううん。あんな円堂君、見たこと無い…」
秋ちゃんまでもそう言うこの状況。はてさて、どうしたものか。
放課後。作戦を練るという円堂、鬼道、豪炎寺を部室に残して、風丸と染岡の主導の元、筋トレをする。
一見集中してやっているように見えるけれど、全員が時折ちらちらと部室の方を見ている。特に円堂を案じている2年が。
「円堂たち大丈夫かな…」
「ま、アニメどおりに行けば大丈夫なんじゃない?」
「声がでかい」
「ゴメンゴメン」
笑ってはいるものの、かなも微妙そうな顔をしていた。同じクラスだし、何か思うところがあったのかもしれない。
「喋りながらやるなよ……」
「染っちごめん~」
「誰が染っちだ!」
たま○っち的なノリだな。うん。
「結構円堂悩んでるっぽいね」
「そうだな……。かなはどう思う?」
「え、あたしに聞きますか風丸さんよ」
「同じクラスだろ?」
「えー……まあ、なんとかなるさ?」
「何で疑問形……」
「ていうか、今のセリフ」
「細かいところは気にしない!」
「はいはい」
それは10年後の彼のセリフでしょうが。
「集中しろよな……」
「そうかそうか。つまり君はそういう奴なんだな」
「は?」
「byエー○ール」
「エー○ール誰だ」
「染岡はツッコミなんだな。よく分かったよ!うん!」
「何が分かったんだよ」
「染岡が染オカンという事が」
「だれがオカンだ」
「ごめん。かなっていつもこんな感じだから。気にしないで」
「あ、ああ……」
間違いなく気にしてるじゃん。かなに振り回されてる、というか遊ばれてるし。
そんな中、1年生たちが円堂たちのことを気にして、部室へ様子を見に行った。顔を見合せて、風丸と染岡とそれを追う。
部室を覗くと、「やろうぜ!」と円堂が丁度意気込んでいた。
「今さ、作戦会議やってたんだ!なっ」
「あ、ああ……」
「世宇子なんか、ぶっとばしてろうぜ!」
1年を引き連れ、部室飛び出していく。無理矢理作られた笑顔。1年ズは気づかなかったみたいだけど、あたしや他2年は気づいていた。
「円堂は壁にぶち当たったな」
「ああ」
「誰でもレベルアップすればするほど大きな壁にぶつかる。乗り越えてもっと上のレベルに行くか、そこで沈むか……。あの諦めの悪いやつがそんな簡単に沈むとは思えないが……」
「俺たちでバックアップしていこうよ。木戸川戦の時の壁山とゆみみたいにさ。きっとそういうのも、ここがポイントってことじゃない?」
自分の胸を押さえた一之瀬に、「上手く纏めたって思っただろ」と土門ツッコミを入れる。ウインクをしながら「まあね」と一之瀬は返す。
……あたしが動いたのは、いや、動けたのは、知っていたからこそだ。知っている人間として、すべきことは何だろう?
介入し過ぎずにフォローを入れるなんて巧い芸当、あたしなんかが出来るだろうか。下手をすれば、ズレが生じるかもしれない。
……せめて、今よりも沈むことがないようにしたい。
「円堂行くぞー!」
「おう!」
円堂はシュートを打ってもらい、ひたすらにそれを止めている。
「(くよくよ考えたって何も変わらない!とにかく動く!動けば何か、掴めるかもしれない!)」
「(……大丈夫だ、円堂なら)」
知っているというだけじゃない。
巡り合わせで出会って、まだまだ知り合ったばかりで、実際に関係を持ってみれば、自ずと知らない彼も見えてくる。
本来なら、画面越しでは知りうることのなかったことだ。他のやつも例外はなく、そのうちキャパオーバーしそうだ。
だけど、みんなが、円堂がどんなやつか、本質は理解してるつもりだ。最も、"つもり"なんだけど。
「ゆみ、ディフェンスの方入って!」
「はいはいっと」
.
1/7ページ