第11話 帝国の逆襲!前編!!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何故だ……何故だ!何故お前達がアイツに従う!」
「強さだ」
「強さ?強さだけを求めた結果があの影山のチームじゃなかったのかよ!」
「そうだよ!それは間違いだったって、変わったんじゃなかったの!?」
「そうだ!俺達は、そこから新たな一歩を踏み出した筈だろ!」
「俺達を見捨てて雷門に行ったお前に何が分かる」
鬼道が帝国を見捨てた?そんなことない!鬼道はそんな薄情な奴じゃない!
あの時、怪我もあって試合に出られなかった鬼道は自分が許せなかった。チームメイトを助けられなかった自分が。
だから雷門に転校して世宇子に勝つことで、皆の敵を取ろうとした。さっ君達だって、勝ち進む度に喜んでたじゃん!
けれど源田はそれを奇麗事だと切り捨てる。世宇子に勝ちたかっただけ、強さが欲しかっただけだと。
「その為に、あの影山についてもいいのか!影山が何をやったか覚えているだろう!源田!俺達と一緒に来い!佐久間も……」
そう言って伸ばした鬼道の手を、さっ君は払った。渇いた音が響く。その表情は、冷たい。
「……あの時、俺達が病院のベッドの上でどれだけ苦しい思いをしたか、お前には分からないさ」
「動けないベッドの上で、俺達がどんな思いだったか」
「雷門イレブンに入り、勝利を掴んだお前には、絶対分からない」
「お前には、勝利の喜びがあっただろうが、俺達には敗北の屈辱しかなかったんだよ!」
「そんな言い方無いだろ!鬼道はお前達の為にも世宇子を倒そうって」
守兄の言葉を、鬼道は手を上げて制すると、深く頭を下げた。
「すまなかった」
「鬼道……」
「ふはははは!あの帝国の鬼道が!人に頭下げてるよ!あはははは!」
「っ、明王くん!」
「すまなかった。お前達の気持ちも考えず、自分だけの考えで行動してしまった。何度でも謝る。だから影山に従うのはやめてくれ!」
「遅いんだよ!」
さっ君が強力なシュートを鬼道に放つ。思わず飛び出しかけたけど、明王くんに腕を掴まれた。そのまま受けた鬼道は吹っ飛んだ。
「鬼道!大丈夫か!っ、美波!」
「ハッ、こっち気にしてる場合かよ」
「佐久間……」
「敗北の屈辱は、勝利で拭うしかない」
再びシュートが放たれ、鬼道は吹き飛ばされた。何度も何度も鬼道へ鋭いシュートが飛ぶ。
今すぐ駆け寄りたい。やめさせたい。けど、掴まれたままじゃ動けない。
「離してよ!」
「お前が行ったとこでどうなんだよ」
「止めるに決まってる!」
「止められんの?お前程度に」
「黙れハゲ!」
「ハゲじゃねえよ!」
「っ、明王く……明王ちゃん!」
「は!?」
「こう呼ばれたらの嫌かと思って」
「……いい性格してやがんな」
強くしてくれるのは影山だけなんてそんなことない。どうすれば、さっ君と源田は分かってくれる?
「俺達のサッカーは……」
「俺達のサッカー?俺達のサッカーは負けたじゃないか!!」
さっ君のシュートは、守兄が受け止めた。
「影山に従う奴らに、俺達のサッカーなんて言わせない。俺は今まで、サッカーを楽しいと思ってきた。勝ち負けはその結果だって」
「守兄……」
「だけど、今日は違う。お前達の間違いを気づかせる為には、戦って、絶対に勝ってみせる!」
そう言った守兄の顔は、決意に満ちていた。でも、どこか辛そうだった。
「あーあ、どいつもこいつもお綺麗事言いやがって。おらよ」
「おわっ」
明王ちゃんに突き飛ばされてバランスを崩す。そんなあたしを支えてくれたのは、なんとさっ君だった。
「あ、さく……さっ君?」
「美波を離せ!」
「いいじゃねえか。会いたがってたんだしよォ」
さっ君があたしに?……でも、あたしはこんな形で会いたくなかった。
「あたしもさっ君と会いたかったよ」
「……」
「けど、さっ君が影山につくならあたしはさっ君と戦う。……離して」
そう言えばさっ君は何も言わずに手を離した。
「結局美波も鬼道がいいんだな」
「っ、そうじゃない!」
「見ててくれ。俺、鬼道より強くなったんだ」
何を言っても聞いてくれない。鬼道を見ながら薄く笑うだけ。他者を見下すような目。その目は、鬼道しか映してないように見えた。
「雷門は鬼道だけのチームじゃないよ。……佐久間」
「美波の言う通りだ!見せてやるよ!俺達のサッカーを!」
「今度はお前が敗北の屈辱を味わうことだな。俺達には、秘策があるんだ」
「おおっと、それまで。敵に情報を教えちゃ駄目だぜ。ま、せいぜい頑張るんだな」
背を向けた三人が去っていく。ひとまずあたし達も、外で待っている皆を呼びに行くことにした。
雷門側のベンチで作戦会議。佐久間が言っていた秘策というのが気がかりだ。影山もそうだけど、一体何を企んでいるのか。
瞳子監督が二人はチームメイトだったのでしょう?と問うと、鬼道は今でもチームメイトだと返す。
「今でもチームメイト、か……」
あたしだってそう。ヒロト君もリュウジも、晴君、風君、治を今でも友達だって思ってる。たとえ、雷門とエイリア学園が敵同士だとしても。
「鬼道。やろうぜ」
「だが相手は影山だ。どんな汚い手を使ってでも、勝とうとしてくる」
「どんなに汚いやり方でも、俺達は正々堂々と打ち破ってやる。なっ?皆!」
『おう!』
お互いポジションにつく。同じディフェンダーの位置についている夕弥を見ると、その顔は少し青くなっていた。
「こ、こんなおっかねえ奴らと……」
「本当はさっ君……佐久間も源田もいい奴なんだ。二人をあたしは助けたい。だから夕弥、力を貸して!」
「……あーもー!俺の力が必要ってんなら仕方ないな!協力してやるよ!」
この試合は、佐久間と源田を助けるための試合。勝って、影山なんか必要無いって証明してやる!
「佐久間、見せてやれよ。お前達の力を!」
ドリブルで上がった明王ちゃんがさっ君にボールが渡す。さっ君はゴールを、守兄を見据えると、吠えた。
「うおおおおお!!!」
「やめろ!佐久間!」
それを見た鬼道が、佐久間の元へ駆け出す。一体何!?
さっ君の指笛の音が響く。地面から飛び出してきた赤いペンギンが、佐久間の足に食らいついた。
「それは……禁断の技だ!!」
「禁断の技!?」
「皇帝ペンギン1号ッ!!」
「やめろおおおっ!!」
鬼道の声が嫌に耳についた。
→あとがき
「強さだ」
「強さ?強さだけを求めた結果があの影山のチームじゃなかったのかよ!」
「そうだよ!それは間違いだったって、変わったんじゃなかったの!?」
「そうだ!俺達は、そこから新たな一歩を踏み出した筈だろ!」
「俺達を見捨てて雷門に行ったお前に何が分かる」
鬼道が帝国を見捨てた?そんなことない!鬼道はそんな薄情な奴じゃない!
あの時、怪我もあって試合に出られなかった鬼道は自分が許せなかった。チームメイトを助けられなかった自分が。
だから雷門に転校して世宇子に勝つことで、皆の敵を取ろうとした。さっ君達だって、勝ち進む度に喜んでたじゃん!
けれど源田はそれを奇麗事だと切り捨てる。世宇子に勝ちたかっただけ、強さが欲しかっただけだと。
「その為に、あの影山についてもいいのか!影山が何をやったか覚えているだろう!源田!俺達と一緒に来い!佐久間も……」
そう言って伸ばした鬼道の手を、さっ君は払った。渇いた音が響く。その表情は、冷たい。
「……あの時、俺達が病院のベッドの上でどれだけ苦しい思いをしたか、お前には分からないさ」
「動けないベッドの上で、俺達がどんな思いだったか」
「雷門イレブンに入り、勝利を掴んだお前には、絶対分からない」
「お前には、勝利の喜びがあっただろうが、俺達には敗北の屈辱しかなかったんだよ!」
「そんな言い方無いだろ!鬼道はお前達の為にも世宇子を倒そうって」
守兄の言葉を、鬼道は手を上げて制すると、深く頭を下げた。
「すまなかった」
「鬼道……」
「ふはははは!あの帝国の鬼道が!人に頭下げてるよ!あはははは!」
「っ、明王くん!」
「すまなかった。お前達の気持ちも考えず、自分だけの考えで行動してしまった。何度でも謝る。だから影山に従うのはやめてくれ!」
「遅いんだよ!」
さっ君が強力なシュートを鬼道に放つ。思わず飛び出しかけたけど、明王くんに腕を掴まれた。そのまま受けた鬼道は吹っ飛んだ。
「鬼道!大丈夫か!っ、美波!」
「ハッ、こっち気にしてる場合かよ」
「佐久間……」
「敗北の屈辱は、勝利で拭うしかない」
再びシュートが放たれ、鬼道は吹き飛ばされた。何度も何度も鬼道へ鋭いシュートが飛ぶ。
今すぐ駆け寄りたい。やめさせたい。けど、掴まれたままじゃ動けない。
「離してよ!」
「お前が行ったとこでどうなんだよ」
「止めるに決まってる!」
「止められんの?お前程度に」
「黙れハゲ!」
「ハゲじゃねえよ!」
「っ、明王く……明王ちゃん!」
「は!?」
「こう呼ばれたらの嫌かと思って」
「……いい性格してやがんな」
強くしてくれるのは影山だけなんてそんなことない。どうすれば、さっ君と源田は分かってくれる?
「俺達のサッカーは……」
「俺達のサッカー?俺達のサッカーは負けたじゃないか!!」
さっ君のシュートは、守兄が受け止めた。
「影山に従う奴らに、俺達のサッカーなんて言わせない。俺は今まで、サッカーを楽しいと思ってきた。勝ち負けはその結果だって」
「守兄……」
「だけど、今日は違う。お前達の間違いを気づかせる為には、戦って、絶対に勝ってみせる!」
そう言った守兄の顔は、決意に満ちていた。でも、どこか辛そうだった。
「あーあ、どいつもこいつもお綺麗事言いやがって。おらよ」
「おわっ」
明王ちゃんに突き飛ばされてバランスを崩す。そんなあたしを支えてくれたのは、なんとさっ君だった。
「あ、さく……さっ君?」
「美波を離せ!」
「いいじゃねえか。会いたがってたんだしよォ」
さっ君があたしに?……でも、あたしはこんな形で会いたくなかった。
「あたしもさっ君と会いたかったよ」
「……」
「けど、さっ君が影山につくならあたしはさっ君と戦う。……離して」
そう言えばさっ君は何も言わずに手を離した。
「結局美波も鬼道がいいんだな」
「っ、そうじゃない!」
「見ててくれ。俺、鬼道より強くなったんだ」
何を言っても聞いてくれない。鬼道を見ながら薄く笑うだけ。他者を見下すような目。その目は、鬼道しか映してないように見えた。
「雷門は鬼道だけのチームじゃないよ。……佐久間」
「美波の言う通りだ!見せてやるよ!俺達のサッカーを!」
「今度はお前が敗北の屈辱を味わうことだな。俺達には、秘策があるんだ」
「おおっと、それまで。敵に情報を教えちゃ駄目だぜ。ま、せいぜい頑張るんだな」
背を向けた三人が去っていく。ひとまずあたし達も、外で待っている皆を呼びに行くことにした。
雷門側のベンチで作戦会議。佐久間が言っていた秘策というのが気がかりだ。影山もそうだけど、一体何を企んでいるのか。
瞳子監督が二人はチームメイトだったのでしょう?と問うと、鬼道は今でもチームメイトだと返す。
「今でもチームメイト、か……」
あたしだってそう。ヒロト君もリュウジも、晴君、風君、治を今でも友達だって思ってる。たとえ、雷門とエイリア学園が敵同士だとしても。
「鬼道。やろうぜ」
「だが相手は影山だ。どんな汚い手を使ってでも、勝とうとしてくる」
「どんなに汚いやり方でも、俺達は正々堂々と打ち破ってやる。なっ?皆!」
『おう!』
お互いポジションにつく。同じディフェンダーの位置についている夕弥を見ると、その顔は少し青くなっていた。
「こ、こんなおっかねえ奴らと……」
「本当はさっ君……佐久間も源田もいい奴なんだ。二人をあたしは助けたい。だから夕弥、力を貸して!」
「……あーもー!俺の力が必要ってんなら仕方ないな!協力してやるよ!」
この試合は、佐久間と源田を助けるための試合。勝って、影山なんか必要無いって証明してやる!
「佐久間、見せてやれよ。お前達の力を!」
ドリブルで上がった明王ちゃんがさっ君にボールが渡す。さっ君はゴールを、守兄を見据えると、吠えた。
「うおおおおお!!!」
「やめろ!佐久間!」
それを見た鬼道が、佐久間の元へ駆け出す。一体何!?
さっ君の指笛の音が響く。地面から飛び出してきた赤いペンギンが、佐久間の足に食らいついた。
「それは……禁断の技だ!!」
「禁断の技!?」
「皇帝ペンギン1号ッ!!」
「やめろおおおっ!!」
鬼道の声が嫌に耳についた。
→あとがき