第10話 かくされた力!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日、漫遊寺を発つあたし達を、漫遊寺中サッカー部が見送りに来てくれた。
けれど夕弥の姿は見えない。お別れくらい言いたかったな。残念だけど、ひねくれてる夕弥らしいっちゃらしい。
「木暮、いないな」
「もっと一緒にサッカーしたかったよ」
「でもあいつからうちのユニフォーム返してもらってないでヤンスよ?」
「まあいいわ。記念のプレゼントってことにしておきましょう」
「漫遊寺のこれからが思いやられますね」
「大丈夫だって。デザームのシュートを止めたんだよ?きっといいディフェンダーになるよ!」
「だな。俺もあれくらいのディフェンス力を身に付けたいよ」
「あたし達も負けてられない!ね、しろ君!……しろ君?」
「え?あ、ああ……そうだね。フォワードだけじゃない。ディフェンダーも、完璧に……」
俯くしろ君の表情は硬い。イプシロンに手も足も出なかったのは皆同じなんだ。皆で乗り越えてこうね。
「木暮に言っておいて下さい。サッカー頑張れって」
「あとまたサッカーやろうって!約束!」
「はい。必ず伝えます」
こう言うと夕弥は一方的に約束しやがってとか思うかもしれないけど、なんだかんだ満更でもなく思ってもくれそうな、そんな気がした。
夕弥は試合で力を発揮して、漫遊寺の人達も夕弥の実力を認めてくれた。これからが楽しみなチームだと思う。
大会には出ないって言ってたけど、いつか雷門と漫遊寺で試合をしてみたい。出来る事なら、全国の舞台で。
こうしてあたし達はキャラバンに乗り込み、漫遊寺を出た。次のイプシロン戦は10日後。次に向けて、雷門に戻って調整だ!
「いやあ、なんだかんだ言って木暮って奴は面白かったなあ」
「もっと一緒にサッカーしたかったよ」
「本当にチームに入れなくて良かったのか?」
「いやいやそれでいいのです。あんな奴がチームにいたら、宇宙人に勝てるものも勝てなくなっちゃいますからねえ」
「シビアだなあ、目金くん」
「夕弥はちょっと性格ひねくれてるだけで意外と真面目なとこもあるよ!」
「あんまりフォローになってないぞ……」
「ほら、鬼道だって最初は高笑いとかしてたし!」
「そうだったの?それもまた意外だな」
「おい……」
面白そうに笑う一之瀬につっつかれたからか、鬼道がどこか冷たい視線を刺してくる。
今となっては笑い話だけど、あのニタァって感じの悪どい笑い方はさ……。プレーは凄かったけど、痛めつけられたし。今の鬼道からは想像つかない。
いや、今の鬼道が本来の鬼道なのかもしれない。あの頃は……まだ影山の指示で動いてた訳だし。
「喧嘩を売っているつもりなら買うぞ」
「まさか。帝国学園は強かったなって思い出してただけだって」
「ならそういうことにしておこうか」
キラリとゴーグルのレンズを光らせる鬼道から目を逸らす。鬼道と喧嘩なんて勝てる気が全然しない。言葉だけでコテンパンにされそう。
帝国が強かったと思ってるのは本当だ。地区予選決勝を勝ち抜けたのは、皆で力を合わせて起こした奇跡だ。ギリギリの戦いだった。
帝国といえば、結局寺門達からの返信はまだ来ていない。まあ昨日の今日だしそんなもんか。稲妻町に戻ったら、さっ君と源田のお見舞いに行こう。こうなったら直接話を聞くのが一番だ。
もちろん半田達にも会いたい。積もる話は沢山あるんだ。長い入院生活にマックスは退屈なんだよねー、なんて言ってたりして。
早くまた、皆で一緒にサッカーしたいな。
「鬼道、美波と喧嘩するなら俺が相手だ」
「例えの話だ、例えの」
「顔色悪いけどどしたの?酔い止めならあるけど」
「……問題ない」
「キャプテンは美波ちゃんが大事なんだね」
「まあ双子だし。あたしも守兄が大事だよ」
「うん、分かるよ。……一緒にいるのが当たり前に思えるんだよね」
「……しろ君、あのね」
「あのう、お話中のところすみませんが……」
「なんだい?」
「ああ?……マジかよ!!」
後ろの席を見た染岡が声をあげた。どうしたんだろうと後ろを向いて、目に入ってきたのは……。
「あーっ!夕弥!」
「お前!」
「木暮くん!」
「うっしっしっしっし!」
なんと後部座席に夕弥が座っていた。つ、ついてきてたんだ……。いつの間にキャラバンに乗ったんだろ。全然気づかなかった。でも、
「また一緒にサッカー出来るね!」
とにかく今はそれが嬉しかった。
→あとがき
けれど夕弥の姿は見えない。お別れくらい言いたかったな。残念だけど、ひねくれてる夕弥らしいっちゃらしい。
「木暮、いないな」
「もっと一緒にサッカーしたかったよ」
「でもあいつからうちのユニフォーム返してもらってないでヤンスよ?」
「まあいいわ。記念のプレゼントってことにしておきましょう」
「漫遊寺のこれからが思いやられますね」
「大丈夫だって。デザームのシュートを止めたんだよ?きっといいディフェンダーになるよ!」
「だな。俺もあれくらいのディフェンス力を身に付けたいよ」
「あたし達も負けてられない!ね、しろ君!……しろ君?」
「え?あ、ああ……そうだね。フォワードだけじゃない。ディフェンダーも、完璧に……」
俯くしろ君の表情は硬い。イプシロンに手も足も出なかったのは皆同じなんだ。皆で乗り越えてこうね。
「木暮に言っておいて下さい。サッカー頑張れって」
「あとまたサッカーやろうって!約束!」
「はい。必ず伝えます」
こう言うと夕弥は一方的に約束しやがってとか思うかもしれないけど、なんだかんだ満更でもなく思ってもくれそうな、そんな気がした。
夕弥は試合で力を発揮して、漫遊寺の人達も夕弥の実力を認めてくれた。これからが楽しみなチームだと思う。
大会には出ないって言ってたけど、いつか雷門と漫遊寺で試合をしてみたい。出来る事なら、全国の舞台で。
こうしてあたし達はキャラバンに乗り込み、漫遊寺を出た。次のイプシロン戦は10日後。次に向けて、雷門に戻って調整だ!
「いやあ、なんだかんだ言って木暮って奴は面白かったなあ」
「もっと一緒にサッカーしたかったよ」
「本当にチームに入れなくて良かったのか?」
「いやいやそれでいいのです。あんな奴がチームにいたら、宇宙人に勝てるものも勝てなくなっちゃいますからねえ」
「シビアだなあ、目金くん」
「夕弥はちょっと性格ひねくれてるだけで意外と真面目なとこもあるよ!」
「あんまりフォローになってないぞ……」
「ほら、鬼道だって最初は高笑いとかしてたし!」
「そうだったの?それもまた意外だな」
「おい……」
面白そうに笑う一之瀬につっつかれたからか、鬼道がどこか冷たい視線を刺してくる。
今となっては笑い話だけど、あのニタァって感じの悪どい笑い方はさ……。プレーは凄かったけど、痛めつけられたし。今の鬼道からは想像つかない。
いや、今の鬼道が本来の鬼道なのかもしれない。あの頃は……まだ影山の指示で動いてた訳だし。
「喧嘩を売っているつもりなら買うぞ」
「まさか。帝国学園は強かったなって思い出してただけだって」
「ならそういうことにしておこうか」
キラリとゴーグルのレンズを光らせる鬼道から目を逸らす。鬼道と喧嘩なんて勝てる気が全然しない。言葉だけでコテンパンにされそう。
帝国が強かったと思ってるのは本当だ。地区予選決勝を勝ち抜けたのは、皆で力を合わせて起こした奇跡だ。ギリギリの戦いだった。
帝国といえば、結局寺門達からの返信はまだ来ていない。まあ昨日の今日だしそんなもんか。稲妻町に戻ったら、さっ君と源田のお見舞いに行こう。こうなったら直接話を聞くのが一番だ。
もちろん半田達にも会いたい。積もる話は沢山あるんだ。長い入院生活にマックスは退屈なんだよねー、なんて言ってたりして。
早くまた、皆で一緒にサッカーしたいな。
「鬼道、美波と喧嘩するなら俺が相手だ」
「例えの話だ、例えの」
「顔色悪いけどどしたの?酔い止めならあるけど」
「……問題ない」
「キャプテンは美波ちゃんが大事なんだね」
「まあ双子だし。あたしも守兄が大事だよ」
「うん、分かるよ。……一緒にいるのが当たり前に思えるんだよね」
「……しろ君、あのね」
「あのう、お話中のところすみませんが……」
「なんだい?」
「ああ?……マジかよ!!」
後ろの席を見た染岡が声をあげた。どうしたんだろうと後ろを向いて、目に入ってきたのは……。
「あーっ!夕弥!」
「お前!」
「木暮くん!」
「うっしっしっしっし!」
なんと後部座席に夕弥が座っていた。つ、ついてきてたんだ……。いつの間にキャラバンに乗ったんだろ。全然気づかなかった。でも、
「また一緒にサッカー出来るね!」
とにかく今はそれが嬉しかった。
→あとがき