第10話 かくされた力!
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「カットするんだ!」
鬼道の指示が飛ぶ。でも皆マークをつけられて、動こうにも動けなくて、そのままに抜かれてしまった。
「ガニメデプロトン!」
「っ、爆裂パンチ!」
イプシロンのフォワードがボールを浮かせると、両の手のひらに集められたエネルギーごと打ち出す。
ゴッドハンドを出すには間に合わなくて、対抗するべく守兄が咄嗟に繰り出したのは爆裂パンチ。押し返しきれずに破られてしまった。
再び雷門からのボールで試合は再開されたけど、手も足もでない。
こぼれ球をどうにか拾ってアクアストリームを撃ってはみたものの、あっさり止められてしまった。
「くそっ……」
あたしも皆も、息が切れて傷だらけだ。さっきからずっと逃げ回ってる夕弥は大丈夫そうだけど……。
……逃げ回ってる?無傷で?あれ、つまり、夕弥は相手の動きもボールの動きも見切ってるってことじゃ……!
「まもなく3分。我らは次の一撃を持ってこのゲームを終了する」
「何!?」
「また決めてるし……」
「聞けい!人間共!我らは10日の後にもう一度勝負をしてやろう」
「10日……?」
「だが、お前達は勝負のその日まで、はたして生き残っていられるかな?」
「何?どういう意味だ!」
鬼道の問いかけに、デザームは意味ありげに笑うだけで答えない。
ドオンッ
デザームがゴールからシュートを撃った。赤いオーラを纏った強烈なシュートが、土煙を上げて迫る。
土煙と風圧で立ってるのが精一杯。一目で分かる。食らったらひとたまりも無いような、凄まじい威力だ。
「ふざけるなあっ!!」
「しろ君!」
シュートへ向かって行ったしろ君は、吹き飛ばされてしまった。そしてなお突き進むその先には夕弥がいる。
「木暮!伏せてろ!」
守兄が叫ぶけど、夕弥は聞こえてないみたいだ。このままシュートの軌道上にいたら危ない!
「夕弥!避けて!」
「木暮くん!」
春ちゃんの声が聞こえる。その時、倒れていた壁山の足に夕弥は躓いてしまった。
その勢いで逆立ちをした状態でボールを足で絡め取ると、コマのように回って小さな竜巻のようなものを巻き起こす。
それが消えた時には、ボールを足に引っかけてゆっくりと回転する夕弥がいた。
「え……?」
勢いが死んだボールが転がって、夕弥が倒れ込む。今のってまさか必殺技……?しかもデザームのシュートを、止めた!?
辺りがシンと静まり返る。気づけばイプシロンはいなかった。なっちゃん曰く、丁度3分経ったらしい。有言実行された……いやそれもそうだけどそうじゃなくて!
「やったね、木暮くん!」
「お前、奴らのシュートをカットしたんだぜ!」
「凄いブロックだったよ!」
「やっぱり、意外性があったね」
「ああ!結構やるもんだな!」
「ホントだよね!補欠にしとくのもったいないよ!」
「ってことだ!お前、凄いぜ!」
「……そうさ、俺凄いんだ!うししっ」
皆に言われて、夕弥は照れくさそうに笑った。なんだ、もっと素直になればいいのに!自信をつければ夕弥はこれからもっと伸びる!
漫遊寺の人達も口々に褒めながら走ってきて……落とし穴に落ちた。でかい落とし穴に、全員落ちた。
「えええ!?」
「うっしっしっし!遅いんだよ!今頃俺が凄いってわかったのかあ!」
「グラウンド脇にまで落とし穴しかけてたの!?」
「当然だろ!どんなもんだ!」
「木暮くん!貴方を褒めてるのにその態度はなんなの!」
逃げた夕弥を春ちゃんが追いかけようとしたけど、それを「お待ちなさい」と誰かが止めた。
やってきたのは漫遊寺中サッカー部の監督。彼らがどんな選択をするか、イプシロンとの試合も、また修練だと見守っていたそうだ。
……勝つも負けるも人生の無駄にはならない、か。年の功って感じがする言葉だ。どうなるにしても自分の経験として活かせるかどうかが大事。
夕弥も同じで、春ちゃんの言葉は木暮の心にきっと響く筈だとも言ってくれた。
「監督。木暮を仲間に入れなくてもいいんですか?」
「俺も、アイツは戦力になると思うんです」
「……彼が、自分の意思で私達を行くことを望むのならね」
守兄と一郎太の言う通り、夕弥は戦力になると思う。なんてったって、デザームのシュートを止めてしまう程なんだから。
それに、あたしも夕弥ともっとサッカーやりたい。でも夕弥は元々エイリア学園と戦うのには消極的で、イプシロンにも怯えていた。
戦うかどうかを決めるのは、夕弥自身なんだ。
「ったく、しょうがない奴だな。なあ、吹雪よお。……どうした?」
「僕、役に立たなかった」
「んなこと言ったら俺だって」
「何にもできなかったんだ!こんなんじゃダメだ……完璧にならなきゃ……」
「大丈夫だよ、しろ君。イプシロンがどんなプレーをするのは分かった。次は勝てるよ!」
「……そうだね。次は、次こそは……!」
「おう!次は負けねえよ!」
次は3分でなんて終わらせない。これ以上、破壊活動もさせない!
「やっぱり、奴らと戦うにはもっとパワーが……」
一郎太の呟きが、やけに耳についた。
.
鬼道の指示が飛ぶ。でも皆マークをつけられて、動こうにも動けなくて、そのままに抜かれてしまった。
「ガニメデプロトン!」
「っ、爆裂パンチ!」
イプシロンのフォワードがボールを浮かせると、両の手のひらに集められたエネルギーごと打ち出す。
ゴッドハンドを出すには間に合わなくて、対抗するべく守兄が咄嗟に繰り出したのは爆裂パンチ。押し返しきれずに破られてしまった。
再び雷門からのボールで試合は再開されたけど、手も足もでない。
こぼれ球をどうにか拾ってアクアストリームを撃ってはみたものの、あっさり止められてしまった。
「くそっ……」
あたしも皆も、息が切れて傷だらけだ。さっきからずっと逃げ回ってる夕弥は大丈夫そうだけど……。
……逃げ回ってる?無傷で?あれ、つまり、夕弥は相手の動きもボールの動きも見切ってるってことじゃ……!
「まもなく3分。我らは次の一撃を持ってこのゲームを終了する」
「何!?」
「また決めてるし……」
「聞けい!人間共!我らは10日の後にもう一度勝負をしてやろう」
「10日……?」
「だが、お前達は勝負のその日まで、はたして生き残っていられるかな?」
「何?どういう意味だ!」
鬼道の問いかけに、デザームは意味ありげに笑うだけで答えない。
ドオンッ
デザームがゴールからシュートを撃った。赤いオーラを纏った強烈なシュートが、土煙を上げて迫る。
土煙と風圧で立ってるのが精一杯。一目で分かる。食らったらひとたまりも無いような、凄まじい威力だ。
「ふざけるなあっ!!」
「しろ君!」
シュートへ向かって行ったしろ君は、吹き飛ばされてしまった。そしてなお突き進むその先には夕弥がいる。
「木暮!伏せてろ!」
守兄が叫ぶけど、夕弥は聞こえてないみたいだ。このままシュートの軌道上にいたら危ない!
「夕弥!避けて!」
「木暮くん!」
春ちゃんの声が聞こえる。その時、倒れていた壁山の足に夕弥は躓いてしまった。
その勢いで逆立ちをした状態でボールを足で絡め取ると、コマのように回って小さな竜巻のようなものを巻き起こす。
それが消えた時には、ボールを足に引っかけてゆっくりと回転する夕弥がいた。
「え……?」
勢いが死んだボールが転がって、夕弥が倒れ込む。今のってまさか必殺技……?しかもデザームのシュートを、止めた!?
辺りがシンと静まり返る。気づけばイプシロンはいなかった。なっちゃん曰く、丁度3分経ったらしい。有言実行された……いやそれもそうだけどそうじゃなくて!
「やったね、木暮くん!」
「お前、奴らのシュートをカットしたんだぜ!」
「凄いブロックだったよ!」
「やっぱり、意外性があったね」
「ああ!結構やるもんだな!」
「ホントだよね!補欠にしとくのもったいないよ!」
「ってことだ!お前、凄いぜ!」
「……そうさ、俺凄いんだ!うししっ」
皆に言われて、夕弥は照れくさそうに笑った。なんだ、もっと素直になればいいのに!自信をつければ夕弥はこれからもっと伸びる!
漫遊寺の人達も口々に褒めながら走ってきて……落とし穴に落ちた。でかい落とし穴に、全員落ちた。
「えええ!?」
「うっしっしっし!遅いんだよ!今頃俺が凄いってわかったのかあ!」
「グラウンド脇にまで落とし穴しかけてたの!?」
「当然だろ!どんなもんだ!」
「木暮くん!貴方を褒めてるのにその態度はなんなの!」
逃げた夕弥を春ちゃんが追いかけようとしたけど、それを「お待ちなさい」と誰かが止めた。
やってきたのは漫遊寺中サッカー部の監督。彼らがどんな選択をするか、イプシロンとの試合も、また修練だと見守っていたそうだ。
……勝つも負けるも人生の無駄にはならない、か。年の功って感じがする言葉だ。どうなるにしても自分の経験として活かせるかどうかが大事。
夕弥も同じで、春ちゃんの言葉は木暮の心にきっと響く筈だとも言ってくれた。
「監督。木暮を仲間に入れなくてもいいんですか?」
「俺も、アイツは戦力になると思うんです」
「……彼が、自分の意思で私達を行くことを望むのならね」
守兄と一郎太の言う通り、夕弥は戦力になると思う。なんてったって、デザームのシュートを止めてしまう程なんだから。
それに、あたしも夕弥ともっとサッカーやりたい。でも夕弥は元々エイリア学園と戦うのには消極的で、イプシロンにも怯えていた。
戦うかどうかを決めるのは、夕弥自身なんだ。
「ったく、しょうがない奴だな。なあ、吹雪よお。……どうした?」
「僕、役に立たなかった」
「んなこと言ったら俺だって」
「何にもできなかったんだ!こんなんじゃダメだ……完璧にならなきゃ……」
「大丈夫だよ、しろ君。イプシロンがどんなプレーをするのは分かった。次は勝てるよ!」
「……そうだね。次は、次こそは……!」
「おう!次は負けねえよ!」
次は3分でなんて終わらせない。これ以上、破壊活動もさせない!
「やっぱり、奴らと戦うにはもっとパワーが……」
一郎太の呟きが、やけに耳についた。
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