第8話 衝撃!エイリア学園!!
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守兄が大きくボールを蹴り上げる。残り時間はもう少し。回ってきたボールを受け取って、あたしはドリブルで上がった。
「行かせるか!」
「っ!」
レーゼの苦しそうな表情に足が止まりかけたのを無理矢理動かす。ここでミスしたら駄目だ。雷門が、勝つんだ!
「マリンアクセル!染岡っ!」
「止めろ!シュートを撃たせるな!」
ゴール前に走った染岡の進路をジェミニのディフェンダーが塞ぐ。だけど、振り向いた染岡の顔は、ニッと笑っていた。
染岡が力強くボールを蹴り出す。でもその先はゴールじゃない。逆サイドでフリーのしろ君だ!
「行け!吹雪!」
「染岡……!おう!吹き荒れろ!エターナルブリザードッ!!!」
しろ君渾身のエターナルブリザードが、周囲に冷気をまき散らしながら突き進む。
ついにはキーパーを吹き飛ばして、ゴールを凍らせながら、点をもぎ取った。
「よし!」
「ナイスアシスト」
しろ君がすれ違いざまに染岡に言う。
「ったく……」
「あ、染岡照れてる」
「んな訳ねーだろバーカ」
「いたた」
落ちてきたチョップに頭を擦っていると、ホイッスルが鳴った。守兄の歓喜の声で実感が湧いてくる。試合は、雷門の勝ちだ。
「勝った!勝ったぞ!宇宙人に勝ったんだ!」
「おう!」
「あたし達は勝ったんだ!」
「ああ!」
「感無量っす!」
「ほら美波も、勝ったんだぞ俺達!」
「う、うん。そうだね」
なっちゃんがピシャリと「三度目の正直」のことわざを突きつける。レーゼは黙って下を向くだけだった。
しろ君は白恋中のメンバーに囲まれてて、塔子はお父さんである財前総理に電話している。瞳子監督もおめでとうと言ってくれた。
皆が喜んでるのに、素直に喜びきれない自分がいる。勝ったのは嬉しい。でも、暗い表情のジェミニストームを見ると、喜びが萎んでいく。
レーゼ――リュウジのあの絶望したような顔。負けた彼らはこれからどうなるんだろ。
それに、皆は戦いは終わったと思ってるけど、あたしはまだ終わってないことを知っている。
「リュウジ」
「美波……っ」
「これからリュウジ達はどうなるの?」
「それは」
「美波!」
守兄があたしを呼ぶ声が聞こえて、次の瞬間ぐいっと引っ張られた。
「離れるんだ!」
「一郎太っ……でも、まだ」
「お前達は知らないのだ、本当のエイリア学園の恐ろしさを」
「本当の恐ろしさだって?」
「我々はセカンドランクに過ぎない。我々の力など、イプシロンに比べれば……!」
その時だった。黒い靄のようなものが辺りに立ち込めて、その中から人影が現れた。
「無様だぞ、レーゼ」
「デザーム様……!」
デザーム様、と呼ばれた人の顔は見覚えがあった。記憶を掘り返す。治だ、間違いない。
「覚悟は出来ているな。お前達を追放する」
リュウジが膝をついた。物騒な言葉にあたしも怯みそうになる。追放?どういうこと?分からなくて、一郎太を振り切って彼らに駆け寄る。
「ねえ、追放ってどういうこと」
「……俺達は役目を果たせなかった。だからもう、用済みってことだよ」
「え……」
「父さんを、皆を……助けてあげて。美波なら、きっと……」
「待って!」
「美波!」
びゅんっと空気を切る音がしたと同時に、後ろに引き寄せられた。ちらっと見えたのはマント。鬼道だ。
さっきの音はデザームが蹴ったボールで、ジェミニストームのところへ飛んだボールが発光する。
光が収まった時には、もうジェミニストームはいなかった。
「嘘……」
何で、リュウジたちが。同じエイリア学園の仲間じゃないの。
「我らは、エイリア学園ファーストランクチームイプシロン。地球の民達よ、やがてエイリア学園の真の力を知るだろう」
そう告げると、デザーム達は光の中に消え去った。
「イプシロン……。エイリア学園との戦いは、まだ終わってないんだ……!」
守兄の声が聞こえるけど、あたしはそれどころじゃない。
追放されるのに、消されてしまうのに、それでもリュウジは笑ってた。
「っ……」
「どうした美波。大丈夫か?」
「……ねえ、一郎太」
「何だ?」
「絶対に、エイリア学園を倒そうね」
助けてあげてって頼まれたんだ。約束したんだ。絶対に……果たしてみせる!
→あとがき
「行かせるか!」
「っ!」
レーゼの苦しそうな表情に足が止まりかけたのを無理矢理動かす。ここでミスしたら駄目だ。雷門が、勝つんだ!
「マリンアクセル!染岡っ!」
「止めろ!シュートを撃たせるな!」
ゴール前に走った染岡の進路をジェミニのディフェンダーが塞ぐ。だけど、振り向いた染岡の顔は、ニッと笑っていた。
染岡が力強くボールを蹴り出す。でもその先はゴールじゃない。逆サイドでフリーのしろ君だ!
「行け!吹雪!」
「染岡……!おう!吹き荒れろ!エターナルブリザードッ!!!」
しろ君渾身のエターナルブリザードが、周囲に冷気をまき散らしながら突き進む。
ついにはキーパーを吹き飛ばして、ゴールを凍らせながら、点をもぎ取った。
「よし!」
「ナイスアシスト」
しろ君がすれ違いざまに染岡に言う。
「ったく……」
「あ、染岡照れてる」
「んな訳ねーだろバーカ」
「いたた」
落ちてきたチョップに頭を擦っていると、ホイッスルが鳴った。守兄の歓喜の声で実感が湧いてくる。試合は、雷門の勝ちだ。
「勝った!勝ったぞ!宇宙人に勝ったんだ!」
「おう!」
「あたし達は勝ったんだ!」
「ああ!」
「感無量っす!」
「ほら美波も、勝ったんだぞ俺達!」
「う、うん。そうだね」
なっちゃんがピシャリと「三度目の正直」のことわざを突きつける。レーゼは黙って下を向くだけだった。
しろ君は白恋中のメンバーに囲まれてて、塔子はお父さんである財前総理に電話している。瞳子監督もおめでとうと言ってくれた。
皆が喜んでるのに、素直に喜びきれない自分がいる。勝ったのは嬉しい。でも、暗い表情のジェミニストームを見ると、喜びが萎んでいく。
レーゼ――リュウジのあの絶望したような顔。負けた彼らはこれからどうなるんだろ。
それに、皆は戦いは終わったと思ってるけど、あたしはまだ終わってないことを知っている。
「リュウジ」
「美波……っ」
「これからリュウジ達はどうなるの?」
「それは」
「美波!」
守兄があたしを呼ぶ声が聞こえて、次の瞬間ぐいっと引っ張られた。
「離れるんだ!」
「一郎太っ……でも、まだ」
「お前達は知らないのだ、本当のエイリア学園の恐ろしさを」
「本当の恐ろしさだって?」
「我々はセカンドランクに過ぎない。我々の力など、イプシロンに比べれば……!」
その時だった。黒い靄のようなものが辺りに立ち込めて、その中から人影が現れた。
「無様だぞ、レーゼ」
「デザーム様……!」
デザーム様、と呼ばれた人の顔は見覚えがあった。記憶を掘り返す。治だ、間違いない。
「覚悟は出来ているな。お前達を追放する」
リュウジが膝をついた。物騒な言葉にあたしも怯みそうになる。追放?どういうこと?分からなくて、一郎太を振り切って彼らに駆け寄る。
「ねえ、追放ってどういうこと」
「……俺達は役目を果たせなかった。だからもう、用済みってことだよ」
「え……」
「父さんを、皆を……助けてあげて。美波なら、きっと……」
「待って!」
「美波!」
びゅんっと空気を切る音がしたと同時に、後ろに引き寄せられた。ちらっと見えたのはマント。鬼道だ。
さっきの音はデザームが蹴ったボールで、ジェミニストームのところへ飛んだボールが発光する。
光が収まった時には、もうジェミニストームはいなかった。
「嘘……」
何で、リュウジたちが。同じエイリア学園の仲間じゃないの。
「我らは、エイリア学園ファーストランクチームイプシロン。地球の民達よ、やがてエイリア学園の真の力を知るだろう」
そう告げると、デザーム達は光の中に消え去った。
「イプシロン……。エイリア学園との戦いは、まだ終わってないんだ……!」
守兄の声が聞こえるけど、あたしはそれどころじゃない。
追放されるのに、消されてしまうのに、それでもリュウジは笑ってた。
「っ……」
「どうした美波。大丈夫か?」
「……ねえ、一郎太」
「何だ?」
「絶対に、エイリア学園を倒そうね」
助けてあげてって頼まれたんだ。約束したんだ。絶対に……果たしてみせる!
→あとがき