第8話 衝撃!エイリア学園!!

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試合が動き出す。アイスグランドでボールを奪取したしろ君が鬼道へ回したのを確認して、あたしもマークを外してオーバーラップする。

イリュージョンボールで鬼道がディフェンスを突破した。すぐさまパスが飛んできて、それをトラップするとゴール前に走る。

ボールを蹴り上げて、あたしもボールを追って跳ぶ。右足を中心に水が渦巻いた。……やるんだ、やるんだ!



「アクアストリームッ!」



オーバーヘッドキックで振り抜けば、滝のような激しい勢いの水を纏ったシュートがゴールへ突き進む。あたしの新必殺技、新しいシュート!

キーパーはまたブラックホールを繰り出して、ぶつかり合った必殺技がせめぎ合う。次の瞬間、勢いを殺し切られなかったシュートがキーパーを吹っ飛ばした。

先制点だ!そう思った時、シュートの軌道上に飛び込んできたのはレーゼで、威力が落ちたシュートはトラップされてしまった。



「まさかこれ程とはな。流石、とでも言っておこうか」

「……レーゼ」

「我々のスピードに慣れてきたか。最低限の学習能力は持っていたようだな。たが、ここまでだ!」



レーゼが足を振り抜いた。真っ直ぐに飛んだパスを受けたのは6番のミッドフィルダーで、次いで8番、そして超加速したレーゼへボールが戻る。しまった!

振り上げられた足を中心に紫の気と重力が渦巻く。前にも見たことがある体勢だ。まさか、センターサークルの近くから……!



「アストロブレイク!」



あの時と同じ、凄まじい威力のシュートが放たれた。それを防ぐべくシュートの軌道上に塔子と壁山が飛び込む。

ザ・タワーとザ・ウォール。前にエターナルブリザードのコースを変えたダブルディフェンス。

けれど二人のシュートブロックも破られ、残るは守兄だけ。でもマジン・ザ・ハンドを出すのには間に合わない……!

咄嗟に繰り出されたのは爆裂パンチ。でも、ホイッスルは無情にも鳴り響いた。0ー1、ジェミニストームの一点リードだ。


前半が終わって点差は1点。シュートを止められなかったと塔子達は悔しげだ。

でも、あの二重ディフェンスとマジン・ザ・ハンドならきっと防げる。三重なら鬼に金棒だ!

そして瞳子監督から、しろ君が後半からフォワードに上がるよう指示が出た。シュートは解禁で、点を取りにいくと。

しろ君が抜けたディフェンスはどうするのかというと、鬼道が皆は動きに対応出来てると太鼓判を押してくれた。



「俺達はスピードに対抗する特訓をしてきた。実際にやつらのスピードに慣れるには時間がかかる。だから前半は守備の人数を増やした」

「なるほど!失点のリスクを減らして!」

「スピードを把握するためか!」

「それじゃあ吹雪くんをディフェンスに専念させたのは……」

「中盤が突破されたらあのスピードでなければ防げないからでやんすね!」



そっか。特訓はしてきたけど、だからといって直ぐに対応出来る訳じゃない。やっぱり監督は凄い!

春ちゃんの最初から説明してくれればって気持ちも分かるけど、秋の言う通り自分達で答えを見つける方が力になる。

答えを知りたければ汗をかけばいい、か。与えられるのを待つばかりじゃなくて、自分で考える力ももっと身に付けないと。



「吹雪!どんどんゴールを狙っていけ!」

「うん、やってみるよ」

「あたしもボール取ったらしろ君にパスするね!」

美波は上がらないのか?前半のシュート、凄かったじゃないか!」

「ありがとう一之瀬!得点まで出来なかったのは悔しいけど、自信ついたよ!」

「いいとこまで行ってたのになあ。レーゼのブロックが無かったら絶対入ってたぜ」

「後半は染岡は決めてよね!」

「任せとけ!」

「いや、美波もある程度は上がってくれ」



意気込んでたら鬼道に上がるよう言われてしまった。何で?



「得点にこそならなかったが、ゴールを奪いかけたのも事実だ。染岡、吹雪以外に美波という攻撃パターンがあるとなれば……」

「そうか!ゴールを割りかけた美波が警戒される分、二人が動きやすくなる!」

「じゃあ注意を引きつけるような動きをすればいいって訳だね。分かった!染岡、しろ君、得点は任せたよ!」

「うん。絶対に決めてみせるよ」

「お前の頑張りは無駄にはしないぜ!」



二人と拳を合わせて気合十分!なのに鬼道は一瞬だけ微妙に浮かない表情をした。



「鬼道どうかした?」

「なんでもない」

「何か考えがあるなら言ってみてよ」



さっき言われた言葉を返せば、鬼道はバツが悪そうな顔をする。本当にどうしたの。



「お前を信じてなかった訳ではないが、せっかくの新必殺技を利用したことになる」

「え、なんだそんなこと?」

「自信が無いと言ってたのに撃たせたんだ。あまりいい気分ではないだろう」

「うーん、そりゃあ決まったら万々歳だったけど」

「ああ」

「でも色んなケースを想定してたのは流石天才ゲームメーカーだよね!」



目を見開いた鬼道に胸を張ってみせれば、少しだけ笑ってくれた。



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