第1話 宇宙人が来た!

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バスを飛ばして雷門中に戻ってみると、イナズマイレブンのおじさんたちが倒れていて、校舎はただの瓦礫の山になっていた。

火来校長が言うには、宇宙人がどうとか。宇宙人って、なんだそれ。

首を傾げていると、飛行音を響かせながら、黒いサッカーボール?が飛んできた。そして、現れたのは……宇宙人?変な髪形。抹茶ソフトみたい。

この際、仮に宇宙人とする。それで、なんでこうなったのか、分からないんだが。激しく知りたいのだがっ!

宇宙人が言うには、エイリアという星から来た使徒で、地球の秩序であるサッカーで力を示すと。サッカーが地球の秩序って、意味が分からない。

サッカーをこんなことに使うなんて。ましてや、イナズマイレブンのおじさんたちを……!



「だからイナズマイレブンのおじさん達と戦ったって言うのか!だったら次は、俺達と勝負だ!」



守兄が啖呵を切るのに対して、勝負は終わったと言われた。おじさん達をボロボロにしといて、何が勝負だ。



「宇宙人だろうがなんだろうが、学校ぶっ壊されて黙ってられっか!」

「染岡……!」

「そうだそうだ!黙れ抹茶ソフト!」



グサッと言う音が聞こえたけど気にしない。少し落ち込んでたように見えたけど気にしない。



「見せてやろうぜ!俺達のサッカー!」



でも、宇宙人から放たれたシュートが、守兄がマジン・ザ・ハンドを出す前に、あたしたちを吹き飛ばした。

そのままシュートは突き進んで、サッカー部の部室に激突した。

黒いサッカーボールから放たれた紫色の光とともに、宇宙人は消えてしまった。



「っ、奴らは!?宇宙人はどこだ!」

「……消えた」

「消えた!?」



絶句する守兄。説明しようにも、消えたとしか言い様がない。あんなのを見せられたら、宇宙人だって信じるしかない。

さっきのシュートで壊された部室は、酷い有様だった。

……悔しい。40年前から、沢山の思い出が詰まった部室が、こんなことになるなんて。



「……恐ろしいシュートだったな。スピードもパワーも、あんなのは見たことがない」

「世宇子でさえ、さっきのシュートに比べたら……」

「マジン・ザ・ハンドでも止められなかったなんて」

「……いや、技を出す間もなかった。そうだろう、円堂」

「ああ」



そう。間に合わなかった。だから、あれが止められないと決まったわけじゃない。

……もし、技出せてたとしても、あのシュートを止めることは出来ていただろうか。その時、秋となっちゃんの携帯に連絡が入った。

秋に入ったのは一之瀬からの電話で、木戸川清修にも宇宙人が来たということだった。

なっちゃんには理事長から、傘美野中に宇宙人がいるということだった。



「傘美野中なら隣町だ」

「行こうぜ。助っ人に行くんだ!やられっぱなしで終われるもんか!」

「うん。行こう!」



……それにしても、あの宇宙人に既視感があったのは、気のせいだったろうか。

あたしには、宇宙人の知り合いなんかいない筈なんだけど。



***

バスを飛ばして傘美野中に向かうと、情報通り宇宙人が居た。まだ学校は無事だ。よかった、間に合った。

今にもボールを打ち込んで学校を破壊しそうなところを、守兄が止めに入る。

豪炎寺、土門、一之瀬が居ない中、傘美野中サッカー部のかわりに、あたしたちが宇宙人と戦うことになった。



「お前たちの名を聞こうか。俺たちは、雷門中サッカー部!俺はキャプテンの円堂守!」

「お前たちの次元であえて名乗るとすれば、エイリア学園とでも呼んでもらおうか」

「エイリア学園……?」

「そして、我がチームの名をジェミニストー。我が名はレーゼ!さあ、始めよう」



レーゼ。やっぱり聞いたことない。あの既視感は、勘違いだったんだろう。

審判は傘美野中サッカー部の1人がやってくれることになった。



「あ、そうだ。美波はベンチな」

「え、は!?何で!」

「だって世宇子との試合で結構体力消耗してるだろ?それに怪我するかもしれないし」

「いやいや、それは守兄ぃも同じでしょ」

美波を宇宙人なんかと戦わせる訳にはいかない」

「あたしだって戦えるよ!」

「俺はな、美波が危険な目にあうかもしれないような相手と戦わせたくないんだ。あんな抹茶ソフトみたいな髪型した宇宙人なんか、それこそ得体のしれない奴らだろ?

咄嗟に、マジン・ザ・ハンドが出せないくらいのスピードがあるシュートを打てる奴らだ。ましてや宇宙人なんて何を仕掛けてくるかわからない。

それに、きっとみんなだってそう思ってると俺は思う。だから、美波はベンチ」

「円堂の言う通りだ」

「……はーい」



こうなった守兄は、梃子でも動かないから仕方ない。というか長いよ。一郎太も加勢してるし。



「またシスコン発揮か」

「あれを仕方ないっと思えるあたり、美波も大概だよ」

「だな」



引き下がりはしたけど、納得はしてない。もし、万が一誰かが怪我したら、あたしが出てやる。



「本当に大丈夫かな、みんな……」

「大丈夫!きっと勝ちます!」

「でも、ここに来ての連戦。体がどれだけ回復しているか……」

「世宇子との試合も、激しかったしね」

「どんなサッカーだろうと、やる以上円堂たちにも勝機はある」



そうだ。試合は、勝利の女神が誰に微笑むかなんて、やってみなくちゃ分からない。

ピピーッ

ホイッスルが鳴った。試合開始だ。ボールを受け取ってドリブルで駆け上がった染岡が、ドラゴンクラッシュ放つ。

が、その間に立ったレーゼに止められ、そのまま蹴り返されてしまった。シュートは、あっという間にゴールに入った。

守兄はまたマジン・ザ・ハンドが出せなかった。ゴール前からのシュートで、距離のあったのに……。



「まだまだ!試合は始まったばかりだ!」


「……地球にはこんな言葉がある。弱い犬ほどよく吠える」



冷ややかな言い方に、苛立ちが募る。さっきっから、あたしたちのことを下に見てばっか!何様だよ!



「疾風ダッシュ!」


「っし、行け!一郎太!」


「くっ……」



相手を抜き去ったと思いきや、すぐにボールをとられ、吹き飛ばされた。鬼道、マックスも、吹っ飛んだ。



「一郎太!鬼道!マックス!」


「バカな……」



どんどんフィールドに立っている仲間たちは吹き飛ばされていく。

そして、ついに宍戸が怪我してしまった。控えはあたしだけ。交代しようとした時、豪炎寺が来た。




「遅くなってすまなかったな」

「謝るなら後!……こんな状況で託して、ごめん。怪我には気を付けて」

「ああ」



豪炎寺が脱いだジャージを受け取って、ばちん!と背中を叩く。面食らった顔をした豪炎寺は、安心させるように笑った。

……心配してるの、バレバレだったよね。



「行くぞ、円堂!」

「よーし、みんな!反撃だ!」



守兄がゴール前から駆け上がり、ボールは鬼道へ。その直ぐ後ろに守兄と豪炎寺がつく。

蹴り上げられたボールに、稲妻が落ちた。



「「「イナズマブレイク!!!」」」


「いっけえ!」



きっと決まる。その思いは、無残にも打ち砕かれる。

それを、この時のあたしは知らない。







→あとがき
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