第7話 エースストライカーは誰だ!!

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スノボ特訓をして、実際にボールを蹴って練習しての繰り返しを続けて、自分でも強くなったことを実感する。

そんなある日、染岡がしろ君に勝負を持ちかけた。



「俺の特訓の成果を、お前相手に試そうと思ってな!」

「つまり、どっちが雷門のエースストライカーか決めようってことかな?」

「そう思ってくれていいぜ」



という訳でしろ君と染岡が、エースストライカーの座をかけて、勝負をすることになった。

しろ君は強い。でも染岡だってこの数日で確実に強くなってる。どっちが勝ってもおかしくない勝負で、ちょっと楽しみ。

ゲレンデからグラウンドへ移動する。靴紐を結び直す染岡は、自信に満ちてて気合十分だ。

ルールはシンプルに、センターからボールを蹴り合って、先にゴールを決めた方の勝ち。守兄の号令で、勝負は始まった。

先に仕掛けたのはしろ君だ。やっぱり速い。けど染岡も負けてない。ギリギリでかわされたけど、ちゃんとついていけてる。

実力はほぼ互角って言ってもいいくらい。染岡のレベルアップに、しろ君は楽しそうに笑った。



「やるじゃねーか!正直ナメてたぜ。そうじゃなきゃ面白くねェ!」



ナメてたんだ……。まあ白恋ではワンマンだったし、染岡のことを認めてくれたのは素直に嬉しい。



「もらったァ!」

「させるか!」



シュート体勢のしろ君の前に、染岡が立ち塞がる。

果たしてどっちが勝つのか。その時、勢い良く突っ込もうとしていたしろ君が、急に動きを止めた。

突然隙だらけになったしろ君は動揺していて、見つめる先には一匹のリスがいた。あのまま撃ってたら、シュートに巻き込んでたかも……。

その隙を染岡が逃す筈もなく、ボールを奪って攻めに転じる。そのまま染岡は、凄いパワーのシュートを決めてみせた。



「染岡!お前今のシュート、足に物凄いパワーが集まってたぞ!あれも特訓の成果だよな!」

「ああ。手応えあったぜ。これで豪炎寺の分もやれる!」



皆が染岡へ駆け寄る中、あたしはしろ君の方へ行く。



「今日は僕の負けだね」

「でも、リスは無事だったよ!」



木の枝を見れば、元気そうに動き回るリスの姿。まるでしろ君にありがとうって言ってるように見えた。



「気づいてたんだ」

「たまたまだよ。しろ君は優しいね」

「そんなことないよ」

「あ、でも、染岡はあれでいい奴だからね!優しいとこもあるんだよ」

「うん。早く仲良くなりたいな」

「なれるよ!ちょっと頑固だけど努力家なんだから!」

「染岡くんは凄く頑張ってるよね。スノーボードの上達も早かったし」

「雷門自慢の点取り屋だからね!もうナメてたなんて言わせないよ!」

「! ……そうだね」



目を見開いたしろ君は、マフラーをぎゅっと掴んで俯いてしまった。……ダメだ、やっぱりしろ君が分からない。




***


夜は新必殺技に向けての自主練習。最初と比べると、大分様になってきた。こっちの上達も早い。何でかっていうと、



「大分上達したね」

「ヒロトのおかげだよ!」



ヒロト君がついてくれてるからだ。……ヒロト君ってエイリア学園だよね。エイリアの敵である雷門の特訓に付き合ったりしていいのかな。



「ヒロトは何であたしの練習に付き合ってくれるの?」

「え?」



思い切って聞いてみると、ヒロト君は手を顎に当ててうんうんと考え出した。



「……美波ちゃんが可愛いからかな」

「ええ……」

「なんてね、冗談だよ」

「冗談キツいよ」



……あたしだって女子だし、可愛いって言われるのはまあ、嬉しいけど。適当にかわされたような。



「知りたいんだ、美波ちゃんのこと」

「知りたいって?」

「雷門に興味があってね」

「エイリア学園と戦ってるチームだから?」

「そうだね」

「そ、そうなんだ」



笑いながらサラッと言うからこっちの調子が狂いそうになる。興味があるのが、特訓に付き合ってくれる理由?

わざわざ雷門を強くする手伝いをするなんて、やっぱり何か目的があるのかな。それとも、それでも勝つ自信があるのか。



「ねえ、雷門ってどんなチーム?」

「力を合わせて、仲間同士助け合いながら頑張るチームかな。努力特訓激突勝利!」

「へえ……揉めたりはしないんだ」

「そんなことないよ。意見が食い違ってぶつかる時もある。でも、だからこそ分かり合って、更に強くなるんだ」

「……」

「相手を知れば、もっと凄いパワーが湧いてくるんだよ!」

「ふうん。……そういえば、雷門は監督が変わったんだってね。どんな人?」

「え、瞳子監督?ちょっと不思議だけどいつも皆のことをよく考えてくれてると思う」

「他には?」

「他にって、えっと……何か抱え込んでるみたいだから、監督も仲間だし、いつか話してくれたら嬉しい、けど」



待った。聞かれるままに沢山話しちゃったけど、これは、不味いんじゃないか。ヒロト君の見透かすような視線に心臓がバクバクと鳴る。

そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、ヒロト君は笑った。さっきとは違う、冷たい笑顔だった。



「秘密主義の監督なんて信用出来る?」



どうしてそんなこと言うんだろう。




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