第7話 エースストライカーは誰だ!!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日も昨日に引き続き、スノボ特訓だ。
「風を感じるんだ。それで楽しめば、体がついてくるから!」
「うん!」
しろ君の指導のおかげで、なかなかに上達は早かったように思う。滑りながら風を感じるのが気持ちいい。
コツを掴めば案外滑るのは簡単だ。でも雪玉をさけるのはやっぱり難しくて、正面衝突すること5回目。冷たい。そして痛い。
ぶつけたとこを摩る。心配して来てくれたしろ君にお礼を言いつつ立ち上がると、丁度横を守兄と一郎太が滑っていった。
「守兄も一郎太も上達早いね!」
「朝特訓したからな!」
「ああ。今なら吹雪と同じ速さで走れる気がする!」
最近元気がなかった一郎太にも、笑顔が戻ってきた。良かった!
「ちゃんと前を見ろ!」
「え、ぶふっ」
鬼道に言われて前を向いた瞬間、雪玉が顔面に衝突した。痛いのと冷たいのがいっぺんにくる。これで6回目か……。
「もっと早く言ってよ……」
「前をちゃんと見ていない方が悪い」
「否定できない。ってなんでドヤ顔するんだよ!」
「まあ吹雪の言う通り、着実に上達してるんじゃないのか」
「は……」
「戻るぞ」
そう言って、マントを翻しながらスタート位置に歩いて行く鬼道。え、今の褒められたの?
「素直じゃない……?」
と言ったら雪玉が飛んできた。なんでだよ!
夜。あたしは誰も起きていない事を確認して、静かにテントを出た。
夜といってもまだ9時過ぎ。皆練習で疲れているからすぐ寝てしまった。
マネージャーである秋、なっちゃん、春ちゃんも、朝は早いから寝てしまった。
起きているのはあたしだけ……だと思う。音を立てないように慎重に進む。行き先は、グラウンドだ。
リュウジの話だと、ジェミニストームより強いチームがあと4つもある。だからあたしも強くならなきゃならない。
この前思い付いた必殺技。次のジェミニストームとの試合までに完成させてたい。
滝を見てピンときたから、イメージとしては高くジャンプしてからのオーバーヘッドキック。
あれ程高くはないけど、1人でイナズマ落としを打つような感じで。こう、ガーッと落ちてくるようなシュート。
「よーし!」
まずは空中でボールを蹴る練習だ!
……少し、いや、あたしは少しどころかかなり甘く見てたみたいだ。空振りしまくりで、思ってたより難しい。
豪炎寺は空中という不安定な場所から、あんなに凄いシュートを打っていたのかと、改めてその凄さを知る。
あの豪炎寺だって何度も練習してやっと完成したんだから、あたしは尚更頑張らなきゃ。
「もう1回!」
諦めたらダメだ。出来るようになるまで練習あるのみ!それにしてもさっきから視線を感じる気がするような無いような。
気にせずもう一度、ボールをよく見てやってみれば、なんとかボールを蹴ることができた。やった!
ゴールからは全然違う方向に逸れちゃったし、まだ必殺技には程遠い。でも大事な一歩。さて、後は着地だ!
空中で着地の体勢に入ろうとした時、少し離れたところに人影が見えた。鮮やかな赤。そして一瞬目が合った。
あれは誰だろう。そう考えたのが間違いで、あたしは派手に着地に失敗した。お尻打った。痛い。
気を取り直しもう一度やってみる。今度はさっきより逸れなかった。うん。少し上達したかも。と思ってたら、
「頑張ってるね」
後ろから突然声をかけられて、腰を抜かしました。
「ごめんね、驚かせちゃったかな」
「ヒロト君!?」
暗闇から現れたのはヒロト君だった。何で白恋中に!
「立たないの?」
「こっ、腰が抜けて……」
そう言えば、ヒロト君は笑いだした。なんか恥ずかしいな……。
「くっ……ふふっ……」
「わ、笑うなあ!びっくりしたんだからしょうがないじゃん!」
「ははっ。そうだね、驚かせたのは俺だ。ごめんごめん」
「悪びれてないような」
「そんなことないよ。はい」
手を差し出されたので、お言葉に甘えて立たせてもらう。腕についた砂を払ってると、ヒロト君は感心したように頷いた。
「それにしても凄いね。女の子なのに」
「そんなことないよ。女の子なら塔子だってそうだし、あたしはまだまだ」
「そう?もう少し自信を持ってもいいと思うな」
「ありがとうヒロト君……じゃなくてヒロト。というか何でここに?」
「美波ちゃんが練習してるんじゃないかと思ってね、見学に」
「そんな見て面白いことはしてないけど……」
ここが白恋中か、なんて言いながら周りを見渡しているヒロト君。その姿を見て頭の中で電球がつく。そうだ!
「ヒロト!パス!」
軽く蹴り出せばきょとんとした顔でヒロト君は受けた。不意打ちになっちゃったけど、なんでもないようにトラップしたヒロト君は凄い。
「サッカーやろうよ!」
そう持ち掛ければ、ほんの少しだけ考える素振りを見せた後、いいよとヒロト君は了承してくれた。
やり始めて十数分。あたしは完全に息が上がっていた。それに対してヒロト君は肩で軽く息をしている程度。はっきりとした実力の差を感じた。
「はあ、はあ、……す、凄いや……」
「美波ちゃんだって凄いじゃないか」
サラッと褒めてくれたけど、全然そうは思えない。パワーも、コントロールも、テクニックも、全てがあたしを上回っていた。
流石エイリア学園の選手、ってこれじゃ皮肉っぽいかな。リュウジが言ってた通り、ヒロト君は多分、ジェミニストームより強いチームなんだ。
「そういえば、さっきのシュートだけどもう少し角度をつけるといいよ」
「角度?角度か……分かった!やってみる!」
「でも今日はもう休んだ方がいいんじゃないかな?」
「それもそうか。じゃあまたね、ヒロト」
「……うん。またね、美波ちゃん」
背中を向けたヒロトが歩いて行く。市街地とは逆方向だけど、どうやって帰るんだろう。
……あたしが考えても仕方ないか。明日も頑張ろうっと!
.
「風を感じるんだ。それで楽しめば、体がついてくるから!」
「うん!」
しろ君の指導のおかげで、なかなかに上達は早かったように思う。滑りながら風を感じるのが気持ちいい。
コツを掴めば案外滑るのは簡単だ。でも雪玉をさけるのはやっぱり難しくて、正面衝突すること5回目。冷たい。そして痛い。
ぶつけたとこを摩る。心配して来てくれたしろ君にお礼を言いつつ立ち上がると、丁度横を守兄と一郎太が滑っていった。
「守兄も一郎太も上達早いね!」
「朝特訓したからな!」
「ああ。今なら吹雪と同じ速さで走れる気がする!」
最近元気がなかった一郎太にも、笑顔が戻ってきた。良かった!
「ちゃんと前を見ろ!」
「え、ぶふっ」
鬼道に言われて前を向いた瞬間、雪玉が顔面に衝突した。痛いのと冷たいのがいっぺんにくる。これで6回目か……。
「もっと早く言ってよ……」
「前をちゃんと見ていない方が悪い」
「否定できない。ってなんでドヤ顔するんだよ!」
「まあ吹雪の言う通り、着実に上達してるんじゃないのか」
「は……」
「戻るぞ」
そう言って、マントを翻しながらスタート位置に歩いて行く鬼道。え、今の褒められたの?
「素直じゃない……?」
と言ったら雪玉が飛んできた。なんでだよ!
夜。あたしは誰も起きていない事を確認して、静かにテントを出た。
夜といってもまだ9時過ぎ。皆練習で疲れているからすぐ寝てしまった。
マネージャーである秋、なっちゃん、春ちゃんも、朝は早いから寝てしまった。
起きているのはあたしだけ……だと思う。音を立てないように慎重に進む。行き先は、グラウンドだ。
リュウジの話だと、ジェミニストームより強いチームがあと4つもある。だからあたしも強くならなきゃならない。
この前思い付いた必殺技。次のジェミニストームとの試合までに完成させてたい。
滝を見てピンときたから、イメージとしては高くジャンプしてからのオーバーヘッドキック。
あれ程高くはないけど、1人でイナズマ落としを打つような感じで。こう、ガーッと落ちてくるようなシュート。
「よーし!」
まずは空中でボールを蹴る練習だ!
……少し、いや、あたしは少しどころかかなり甘く見てたみたいだ。空振りしまくりで、思ってたより難しい。
豪炎寺は空中という不安定な場所から、あんなに凄いシュートを打っていたのかと、改めてその凄さを知る。
あの豪炎寺だって何度も練習してやっと完成したんだから、あたしは尚更頑張らなきゃ。
「もう1回!」
諦めたらダメだ。出来るようになるまで練習あるのみ!それにしてもさっきから視線を感じる気がするような無いような。
気にせずもう一度、ボールをよく見てやってみれば、なんとかボールを蹴ることができた。やった!
ゴールからは全然違う方向に逸れちゃったし、まだ必殺技には程遠い。でも大事な一歩。さて、後は着地だ!
空中で着地の体勢に入ろうとした時、少し離れたところに人影が見えた。鮮やかな赤。そして一瞬目が合った。
あれは誰だろう。そう考えたのが間違いで、あたしは派手に着地に失敗した。お尻打った。痛い。
気を取り直しもう一度やってみる。今度はさっきより逸れなかった。うん。少し上達したかも。と思ってたら、
「頑張ってるね」
後ろから突然声をかけられて、腰を抜かしました。
「ごめんね、驚かせちゃったかな」
「ヒロト君!?」
暗闇から現れたのはヒロト君だった。何で白恋中に!
「立たないの?」
「こっ、腰が抜けて……」
そう言えば、ヒロト君は笑いだした。なんか恥ずかしいな……。
「くっ……ふふっ……」
「わ、笑うなあ!びっくりしたんだからしょうがないじゃん!」
「ははっ。そうだね、驚かせたのは俺だ。ごめんごめん」
「悪びれてないような」
「そんなことないよ。はい」
手を差し出されたので、お言葉に甘えて立たせてもらう。腕についた砂を払ってると、ヒロト君は感心したように頷いた。
「それにしても凄いね。女の子なのに」
「そんなことないよ。女の子なら塔子だってそうだし、あたしはまだまだ」
「そう?もう少し自信を持ってもいいと思うな」
「ありがとうヒロト君……じゃなくてヒロト。というか何でここに?」
「美波ちゃんが練習してるんじゃないかと思ってね、見学に」
「そんな見て面白いことはしてないけど……」
ここが白恋中か、なんて言いながら周りを見渡しているヒロト君。その姿を見て頭の中で電球がつく。そうだ!
「ヒロト!パス!」
軽く蹴り出せばきょとんとした顔でヒロト君は受けた。不意打ちになっちゃったけど、なんでもないようにトラップしたヒロト君は凄い。
「サッカーやろうよ!」
そう持ち掛ければ、ほんの少しだけ考える素振りを見せた後、いいよとヒロト君は了承してくれた。
やり始めて十数分。あたしは完全に息が上がっていた。それに対してヒロト君は肩で軽く息をしている程度。はっきりとした実力の差を感じた。
「はあ、はあ、……す、凄いや……」
「美波ちゃんだって凄いじゃないか」
サラッと褒めてくれたけど、全然そうは思えない。パワーも、コントロールも、テクニックも、全てがあたしを上回っていた。
流石エイリア学園の選手、ってこれじゃ皮肉っぽいかな。リュウジが言ってた通り、ヒロト君は多分、ジェミニストームより強いチームなんだ。
「そういえば、さっきのシュートだけどもう少し角度をつけるといいよ」
「角度?角度か……分かった!やってみる!」
「でも今日はもう休んだ方がいいんじゃないかな?」
「それもそうか。じゃあまたね、ヒロト」
「……うん。またね、美波ちゃん」
背中を向けたヒロトが歩いて行く。市街地とは逆方向だけど、どうやって帰るんだろう。
……あたしが考えても仕方ないか。明日も頑張ろうっと!
.