第5話 伝説のストライカーを探せ!
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皆の所へ戻ると、皆監督を不満そうに見ていた。……豪炎寺が離脱したのには理由がある。けど、今はまだ言えない。
そんな時、響木監督からメールが来た。どうやら北海道にある白恋中のエースストライカー、"吹雪士郎"をスカウトして戦力アップを図るようにと。
熊殺しの吹雪、1試合で10点を叩き出した、熊よりでかい、ブリザードの吹雪という異名を持つ。
キャラバン内で春ちゃんのパソコンで色々調べてみれば、凄い情報が沢山出てきたけど、確証のある情報はなかった。
「熊って大きいのだとどれくらいなんだろ」
「いや何言ってんだよ」
「だってほら一郎太、もし本当に熊よりでかかったらキャラバン乗れないじゃん」
「中学生で熊よりでかいのはいないだろ」
「……だよね」
それにしても、吹雪士郎か……。名前を聞いた時、ピンときた。この名前を、あたしは聞いたことがある。
以前北海道に行った時に出会ったしろ君。響木監督が言っていたのはしろ君のことだろう。北海道広しと言えど、"サッカーをやっている吹雪士郎"なんてそう何人もいない……筈だ、多分。
でもおかしい。しろ君はポジションはディフェンダーだと言っていた。フォワードなのは弟のアツ君――吹雪アツヤの方だ。何で?会ったのはかなり前な訳だし、数年の間に変わっててもおかしくはない……か?
でもアツ君は好戦的だからフォワードで、しろ君は大人しいっていうか受け身?受け流す?のが上手いディフェンダーって感じで……。
「うーん……」
「何を唸っているんだ」
「あ、鬼道。吹雪士郎ってどんな人かなあって。1試合で10点なんて凄いよね。鬼道は聞いた事あった?」
「いや、初めて聞いた名前だ。白恋中はフットボールフロンティアにも出場していないからな」
「そんなに凄い選手ならちょっとくらい話題になってもいいのに、北海道内での噂に留まってるみたいだよね」
「ああ。噂が本当なら間違いなく全国クラスの選手だろう」
「お、天才ゲームメーカーのお墨付きだ!」
「まだ実際に見た訳ではないのに予想だけで判断するな」
ぴしゃりと言われてしまった。手厳しいな鬼道は。
ぼんやり考えていると、塔子の携帯に電話が入った。財前総理がエイリア学園から解放されて、無事に保護されたらしい。
それでも、塔子は京都には帰らずに、一緒に戦ってくれると言ってくれた。……でも本当は会いたいんだろうな。
「ね、守兄」
「ああ。分かってる」
そして守兄の提案で、一旦総理に会いに行くことになった。国会議事堂からキャラバンに戻ってきた塔子は、どこか嬉しそうに見えた。
心機一転して北海道へキャラバンは進路を取る。山道を走っていると、キャラバンが急に止まった。
「狭いバスに乗ってばかりじゃ体が鈍るわ。トレーニングをしましょう」
チラッと監督が春ちゃんの方見ると、トレーニングメニューもあるとノートを出した。……なんか少し春ちゃん慌ててない?
けれど豪炎寺の離脱もあってか皆の間には不信感があって、結局山の自然を相手に自主トレーニングをすることになった。
「よーし!山だ!自然だ!特訓だっ!」
で、特訓とはいってもだ、
「何しようかな……」
なかなかいいアイディアが思いつかないので、山道をボールを蹴りながら歩く。
デコボコしていて結構やりにくい。思いもよらない変な方向に飛んでいくボールを追うのは、結構いいかもしれない。
「あ」
バウンドしたボールが転がっていく。下り坂になってたみたいだ。追いついた先で、茂みの向こうに鬼道と染岡が見えた。何をして……えっ?
ボールが、滝を登ってる。あんなに勢いのある滝なのに、まさに滝登り。相当なパワーやテクニックが無いと無理だ。……流石だな、二人共。
滝かあ……。……滝。高所から落ちてくる、水。何だろう。何か、思いつきそうな気がする。
エイリア学園に対抗する為にも、新必殺技が欲しい。考えながら歩いていると、ドリブルしながら山道を駆けていた一郎太を鉢合わせた。
「っと……美波か。難しい顔してるな、考え事か」
「うん。何か思いつきそうな気がしてちょっと考え中」
「何かって?」
「まだ分かんない。シュートかドリブルかブロックがキーパーか……」
「また曖昧だな……キーパー?何で美波が?」
「実はこっそり豪炎寺と特訓したんだよ、ゴッドハンド。ほら、雷門ってキーパー守兄しかいないし」
「豪炎寺と……」
そんなこと無いだろうけど一応、だ。
「円堂は例え怪我をしたとしても、美波と交代することはないと思うぞ」
「……だよね」
「それに俺だって心配だ」
「守兄も一郎太も、相変わらず心配性だ」
サッカーをやっている以上、怪我なんてよくあることなのに。
それにしても、噂をすればなんとやらで、近くに守兄がいたとは。しかも、
「……何やってんだ?」
「さあ……」
体に縄を巻き付けて、ターザンっぽい変な特訓をしてた。超回転している。
マジン・ザ・ハンドをもっと早く出すために、回転に体を馴らしてるらしい。……何でこれに行き着いたんだろ。
「回転って体をぐぐーっと捻って気をぎゅーっと溜めてそこからばーん!ってやるんだよね」
「……やっぱりお前も大介さんの孫だな」
「え」
「ふーん。他には?美波はどう思う?」
「他に?」
近くにいた塔子はこの特訓に興味津々みたいだ。他に、他にかあ。
「あんなに速く回ってるんだし、慣らすのは必殺技の方じゃないかも」
「っていうと?」
「ほら、レーゼのシュートって速かったし、あれを見極める為?目が回っちゃうような速さにも慣れてやれ!って」
「なるほどな!よし、あたしも!」
「おい!何も塔子まで付き合うこと無いだろ」
「ザ・タワーにも役に立つ!」
縄を結び付けた塔子が、二ッと笑って飛び出していく。そしてぐるぐると回る二人。それを眺めるあたしと一郎太。
「これで本当に勝てるのか……?」
「きっと勝てるよ!気持ち、大事!」
「美波もやるか?」
「……やめとく」
.
そんな時、響木監督からメールが来た。どうやら北海道にある白恋中のエースストライカー、"吹雪士郎"をスカウトして戦力アップを図るようにと。
熊殺しの吹雪、1試合で10点を叩き出した、熊よりでかい、ブリザードの吹雪という異名を持つ。
キャラバン内で春ちゃんのパソコンで色々調べてみれば、凄い情報が沢山出てきたけど、確証のある情報はなかった。
「熊って大きいのだとどれくらいなんだろ」
「いや何言ってんだよ」
「だってほら一郎太、もし本当に熊よりでかかったらキャラバン乗れないじゃん」
「中学生で熊よりでかいのはいないだろ」
「……だよね」
それにしても、吹雪士郎か……。名前を聞いた時、ピンときた。この名前を、あたしは聞いたことがある。
以前北海道に行った時に出会ったしろ君。響木監督が言っていたのはしろ君のことだろう。北海道広しと言えど、"サッカーをやっている吹雪士郎"なんてそう何人もいない……筈だ、多分。
でもおかしい。しろ君はポジションはディフェンダーだと言っていた。フォワードなのは弟のアツ君――吹雪アツヤの方だ。何で?会ったのはかなり前な訳だし、数年の間に変わっててもおかしくはない……か?
でもアツ君は好戦的だからフォワードで、しろ君は大人しいっていうか受け身?受け流す?のが上手いディフェンダーって感じで……。
「うーん……」
「何を唸っているんだ」
「あ、鬼道。吹雪士郎ってどんな人かなあって。1試合で10点なんて凄いよね。鬼道は聞いた事あった?」
「いや、初めて聞いた名前だ。白恋中はフットボールフロンティアにも出場していないからな」
「そんなに凄い選手ならちょっとくらい話題になってもいいのに、北海道内での噂に留まってるみたいだよね」
「ああ。噂が本当なら間違いなく全国クラスの選手だろう」
「お、天才ゲームメーカーのお墨付きだ!」
「まだ実際に見た訳ではないのに予想だけで判断するな」
ぴしゃりと言われてしまった。手厳しいな鬼道は。
ぼんやり考えていると、塔子の携帯に電話が入った。財前総理がエイリア学園から解放されて、無事に保護されたらしい。
それでも、塔子は京都には帰らずに、一緒に戦ってくれると言ってくれた。……でも本当は会いたいんだろうな。
「ね、守兄」
「ああ。分かってる」
そして守兄の提案で、一旦総理に会いに行くことになった。国会議事堂からキャラバンに戻ってきた塔子は、どこか嬉しそうに見えた。
心機一転して北海道へキャラバンは進路を取る。山道を走っていると、キャラバンが急に止まった。
「狭いバスに乗ってばかりじゃ体が鈍るわ。トレーニングをしましょう」
チラッと監督が春ちゃんの方見ると、トレーニングメニューもあるとノートを出した。……なんか少し春ちゃん慌ててない?
けれど豪炎寺の離脱もあってか皆の間には不信感があって、結局山の自然を相手に自主トレーニングをすることになった。
「よーし!山だ!自然だ!特訓だっ!」
で、特訓とはいってもだ、
「何しようかな……」
なかなかいいアイディアが思いつかないので、山道をボールを蹴りながら歩く。
デコボコしていて結構やりにくい。思いもよらない変な方向に飛んでいくボールを追うのは、結構いいかもしれない。
「あ」
バウンドしたボールが転がっていく。下り坂になってたみたいだ。追いついた先で、茂みの向こうに鬼道と染岡が見えた。何をして……えっ?
ボールが、滝を登ってる。あんなに勢いのある滝なのに、まさに滝登り。相当なパワーやテクニックが無いと無理だ。……流石だな、二人共。
滝かあ……。……滝。高所から落ちてくる、水。何だろう。何か、思いつきそうな気がする。
エイリア学園に対抗する為にも、新必殺技が欲しい。考えながら歩いていると、ドリブルしながら山道を駆けていた一郎太を鉢合わせた。
「っと……美波か。難しい顔してるな、考え事か」
「うん。何か思いつきそうな気がしてちょっと考え中」
「何かって?」
「まだ分かんない。シュートかドリブルかブロックがキーパーか……」
「また曖昧だな……キーパー?何で美波が?」
「実はこっそり豪炎寺と特訓したんだよ、ゴッドハンド。ほら、雷門ってキーパー守兄しかいないし」
「豪炎寺と……」
そんなこと無いだろうけど一応、だ。
「円堂は例え怪我をしたとしても、美波と交代することはないと思うぞ」
「……だよね」
「それに俺だって心配だ」
「守兄も一郎太も、相変わらず心配性だ」
サッカーをやっている以上、怪我なんてよくあることなのに。
それにしても、噂をすればなんとやらで、近くに守兄がいたとは。しかも、
「……何やってんだ?」
「さあ……」
体に縄を巻き付けて、ターザンっぽい変な特訓をしてた。超回転している。
マジン・ザ・ハンドをもっと早く出すために、回転に体を馴らしてるらしい。……何でこれに行き着いたんだろ。
「回転って体をぐぐーっと捻って気をぎゅーっと溜めてそこからばーん!ってやるんだよね」
「……やっぱりお前も大介さんの孫だな」
「え」
「ふーん。他には?美波はどう思う?」
「他に?」
近くにいた塔子はこの特訓に興味津々みたいだ。他に、他にかあ。
「あんなに速く回ってるんだし、慣らすのは必殺技の方じゃないかも」
「っていうと?」
「ほら、レーゼのシュートって速かったし、あれを見極める為?目が回っちゃうような速さにも慣れてやれ!って」
「なるほどな!よし、あたしも!」
「おい!何も塔子まで付き合うこと無いだろ」
「ザ・タワーにも役に立つ!」
縄を結び付けた塔子が、二ッと笑って飛び出していく。そしてぐるぐると回る二人。それを眺めるあたしと一郎太。
「これで本当に勝てるのか……?」
「きっと勝てるよ!気持ち、大事!」
「美波もやるか?」
「……やめとく」
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