第4話 脅威!エイリア学園!!
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試合が終わってテレビ局を後にしたあたし達は、キャラバンまで戻ってきた。守兄はキャラバン内で手当てを受けている。
「ごめんよ、皆。あたしが一緒に戦おうなんて言わなきゃ、こんな事にはならなかったんだ!」
「塔子のせいじゃない。俺達の力がなかったんだ。円堂は、大丈夫かな……」
「かなりシュート食らってたから」
「納得いかないぜ!何なんだよ今日の監督のあの作戦は!ディフェンスをあんなとこまで上げるなんて!」
ダンッ、と染岡が木に拳を打ちつけた。染岡はかなり苛立っていて、その気持ちが伝染するように、皆は監督を不信に思っていた。
結果は32点差で前回より酷い。でも、得られた物は確かにある。……それに気づけなかったら、あたしも監督の事を疑ってただろうな。
理事長に連絡しようとした染岡を鬼道が冷静に止めて、監督の考えを説明してくれた。
前半の時点であたし達の体力は限界だった。もし後半、あのまま俺の作戦で試合を続けていたら?……半田やマックス達みたいになっていた。
それに最後の方のシュート、守兄は見えていた。だから必殺技を出せた。きっと次は止められる。
皆が監督の事を考え直してもう一度纏まろうとしていた時、監督によって、豪炎寺がチームを離れることを告げられた。
納得いかないと騒然とする中で豪炎寺はそれを受け入れると、行ってしまった。守兄は追いかけるけど、ついて行こうにも足が動かない。
豪炎寺が何度もミスをしてしまったから?本当にそれだけ?何か、もっと別なところに理由があるんじゃないか。
あのエイリア学園の緑頭、あいつらが関係してるんじゃ……。まさかエイリア学園に脅されたとか……そんな事、無いとは言い切れない。
「円堂さん」
「っ、はい!」
考え込んでいると、監督に呼ばれた。
「豪炎寺君に荷物を持って行ってあげてくれないかしら」
「分かりました。あの……」
「何かしら」
「豪炎寺をチームを外した理由は、ミスをしたからですか」
「……」
「それとも他に理由があるんですか」
「……ええ、そうよ」
やっぱりプレーじゃなかった。もっと他に、チームを離れなきゃならない理由があるんだ。
仮にエイリア学園に脅されてるとして、いつ接触されたんだろう。キャラバンに乗ってからはずっと一緒だから、その前の筈だ。
そうだよ。病院にお見舞いに行った時、豪炎寺の様子はおかしかった。せっかく夕香ちゃんが目覚めたのに。
……もし、豪炎寺の不調に、夕香ちゃんの事が関わっているとしたら。
「これからどうするんですか」
「鬼瓦さん、だったかしら。響木さんには連絡済みよ」
「じゃあ、豪炎寺に鬼瓦さんに会いにいくように言っておきます」
「……ありがとう。あとこれを渡しておいて」
渡されたのは稲妻町までの切符。受け取った切符を見つめる。豪炎寺は、これからどうするんだろう。
また、サッカーが出来なくなるの?何で豪炎寺ばっかり、こんな事になっちゃうんだ。
……考えても仕方ない。今は豪炎寺を追わないと。疲れた体で全力で走る。途中、前から守兄が来たので慌てて隠れた。多分、バレてたと思うけど。
「豪炎寺!」
「……美波か」
「これ、豪炎寺の荷物一式。あと切符、これで稲妻町まで帰れるって」
「……ああ」
「あのさ、豪炎寺。夕香ちゃんに何かあった?エイリア学園絡みで」
単刀直入に聞いてみると、ぎょっとした表情になった。
「知っていたのか……」
「ごめん、カマかけた。ほら、稲妻総合病院を出る時、様子がおかしかったからさ」
豪炎寺は夕香ちゃんの事を、凄く大切に思ってる。夕香ちゃん思いなんだ。だから本気を出し切れなかった。
人質がとられていたら誰だって本気は出せない。家族ならなおさら。あたしだって、もし守兄が人質に取られたらと思うと、ゾッとする。
「あ、そうそう監督が鬼瓦さんに連絡してくれるって。きっと夕香ちゃんの事助けてくれるよ!」
詳しい事は分からない。でも、今は難しくても、また一緒にサッカー出来る。そう励ましたかったけど、豪炎寺は俯いたままだ。
「……すまない」
いつもの豪炎寺からは信じられないような、搾り出すような弱々しい声だった。
「豪炎寺?」
「俺が、俺があの時シュートを決めてさえいれば……。俺はチームの足を引っ張ったんだ」
「そんな、豪炎寺は悪くないよ!」
「俺がもっとしっかりしていれば、こんな事にはならなかった」
「そんな事ないよ!こう言っちゃなんだけど、どの道力不足は皆同じだった。これからもっと強くなればいいんだよ!」
そう言っても悲しげに笑うだけ。夕香ちゃんの事、試合の事……豪炎寺は相当参ってるみたいで、見てられない。
「じゃあ、豪炎寺がそんなに自分を責めるなら、強くなって帰って来て」
「!」
「待ってるよ。ずっと、皆と一緒にさ!今よりも強くなって!だから豪炎寺も、絶対に、誰にも負けないくらい強くなって帰って来い!」
「美波……」
「ね!」
「……ああ、そうだな!」
その目はさっきとは違って光が宿っていた。いつもの豪炎寺の目だ。なんか、ほっとした。
「じゃ、豪炎寺!地上最強のチームになれた時、また一緒にサッカーやろうぜ!」
「ああ!」
パン、と手のひらをぶつけあう。大丈夫、別れは、出会いへのキックオフだ!
こうして……あたしは豪炎寺と別れた。
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「ごめんよ、皆。あたしが一緒に戦おうなんて言わなきゃ、こんな事にはならなかったんだ!」
「塔子のせいじゃない。俺達の力がなかったんだ。円堂は、大丈夫かな……」
「かなりシュート食らってたから」
「納得いかないぜ!何なんだよ今日の監督のあの作戦は!ディフェンスをあんなとこまで上げるなんて!」
ダンッ、と染岡が木に拳を打ちつけた。染岡はかなり苛立っていて、その気持ちが伝染するように、皆は監督を不信に思っていた。
結果は32点差で前回より酷い。でも、得られた物は確かにある。……それに気づけなかったら、あたしも監督の事を疑ってただろうな。
理事長に連絡しようとした染岡を鬼道が冷静に止めて、監督の考えを説明してくれた。
前半の時点であたし達の体力は限界だった。もし後半、あのまま俺の作戦で試合を続けていたら?……半田やマックス達みたいになっていた。
それに最後の方のシュート、守兄は見えていた。だから必殺技を出せた。きっと次は止められる。
皆が監督の事を考え直してもう一度纏まろうとしていた時、監督によって、豪炎寺がチームを離れることを告げられた。
納得いかないと騒然とする中で豪炎寺はそれを受け入れると、行ってしまった。守兄は追いかけるけど、ついて行こうにも足が動かない。
豪炎寺が何度もミスをしてしまったから?本当にそれだけ?何か、もっと別なところに理由があるんじゃないか。
あのエイリア学園の緑頭、あいつらが関係してるんじゃ……。まさかエイリア学園に脅されたとか……そんな事、無いとは言い切れない。
「円堂さん」
「っ、はい!」
考え込んでいると、監督に呼ばれた。
「豪炎寺君に荷物を持って行ってあげてくれないかしら」
「分かりました。あの……」
「何かしら」
「豪炎寺をチームを外した理由は、ミスをしたからですか」
「……」
「それとも他に理由があるんですか」
「……ええ、そうよ」
やっぱりプレーじゃなかった。もっと他に、チームを離れなきゃならない理由があるんだ。
仮にエイリア学園に脅されてるとして、いつ接触されたんだろう。キャラバンに乗ってからはずっと一緒だから、その前の筈だ。
そうだよ。病院にお見舞いに行った時、豪炎寺の様子はおかしかった。せっかく夕香ちゃんが目覚めたのに。
……もし、豪炎寺の不調に、夕香ちゃんの事が関わっているとしたら。
「これからどうするんですか」
「鬼瓦さん、だったかしら。響木さんには連絡済みよ」
「じゃあ、豪炎寺に鬼瓦さんに会いにいくように言っておきます」
「……ありがとう。あとこれを渡しておいて」
渡されたのは稲妻町までの切符。受け取った切符を見つめる。豪炎寺は、これからどうするんだろう。
また、サッカーが出来なくなるの?何で豪炎寺ばっかり、こんな事になっちゃうんだ。
……考えても仕方ない。今は豪炎寺を追わないと。疲れた体で全力で走る。途中、前から守兄が来たので慌てて隠れた。多分、バレてたと思うけど。
「豪炎寺!」
「……美波か」
「これ、豪炎寺の荷物一式。あと切符、これで稲妻町まで帰れるって」
「……ああ」
「あのさ、豪炎寺。夕香ちゃんに何かあった?エイリア学園絡みで」
単刀直入に聞いてみると、ぎょっとした表情になった。
「知っていたのか……」
「ごめん、カマかけた。ほら、稲妻総合病院を出る時、様子がおかしかったからさ」
豪炎寺は夕香ちゃんの事を、凄く大切に思ってる。夕香ちゃん思いなんだ。だから本気を出し切れなかった。
人質がとられていたら誰だって本気は出せない。家族ならなおさら。あたしだって、もし守兄が人質に取られたらと思うと、ゾッとする。
「あ、そうそう監督が鬼瓦さんに連絡してくれるって。きっと夕香ちゃんの事助けてくれるよ!」
詳しい事は分からない。でも、今は難しくても、また一緒にサッカー出来る。そう励ましたかったけど、豪炎寺は俯いたままだ。
「……すまない」
いつもの豪炎寺からは信じられないような、搾り出すような弱々しい声だった。
「豪炎寺?」
「俺が、俺があの時シュートを決めてさえいれば……。俺はチームの足を引っ張ったんだ」
「そんな、豪炎寺は悪くないよ!」
「俺がもっとしっかりしていれば、こんな事にはならなかった」
「そんな事ないよ!こう言っちゃなんだけど、どの道力不足は皆同じだった。これからもっと強くなればいいんだよ!」
そう言っても悲しげに笑うだけ。夕香ちゃんの事、試合の事……豪炎寺は相当参ってるみたいで、見てられない。
「じゃあ、豪炎寺がそんなに自分を責めるなら、強くなって帰って来て」
「!」
「待ってるよ。ずっと、皆と一緒にさ!今よりも強くなって!だから豪炎寺も、絶対に、誰にも負けないくらい強くなって帰って来い!」
「美波……」
「ね!」
「……ああ、そうだな!」
その目はさっきとは違って光が宿っていた。いつもの豪炎寺の目だ。なんか、ほっとした。
「じゃ、豪炎寺!地上最強のチームになれた時、また一緒にサッカーやろうぜ!」
「ああ!」
パン、と手のひらをぶつけあう。大丈夫、別れは、出会いへのキックオフだ!
こうして……あたしは豪炎寺と別れた。
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