第4話 脅威!エイリア学園!!
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ハーフタイム、鬼道が気づいた攻撃パターンについて説明してくれた。
7番のミッドフィルダーが中盤でボールを取ったら、一度右のディフェンダーに下げて体制をディフェンスで立て直す。
左の8番のミッドフィルダーがライン際でボールを取ったら、後ろのディフェンダーを通して6番のミッドフィルダーに戻す。
ちょっと複雑だけど、覚えてしまえばこっちのものだ。次はあたしも取れる!にしても、あの短時間でここまで読み切るなんて、やっぱり鬼道は凄い。流石は天才ゲームメーカーだ。
「甘いわね。確かに鬼道君の言う通り、ジェミニストームの攻撃には一定のパターンがある」
口を挟んできた監督も気づいてたらしい。見てれば分かると言う監督、厳しいな……。
「貴方達、今自分がどんな状態かわかってるの?」
「状態?」
「今のあなた達じゃ相手のスピードについていけない。攻撃パターンがわかったぐらいで、倒せる相手じゃないのよ」
「じゃあ、どうしろっていうんですか?」
「こちらのディフェンスを全てここまであげて、全員攻撃するのよ」
監督はボードとマグネットを使って説明してくれたけど、キーパー以外が前線へ上がったフォーメーションに唖然とした。
これじゃあ、ディフェンスがいないのと同じだ。守兄を信用してない訳じゃないけど、それこそ一度でも抜かれたら終わりだ。
一郎太が抗議しても、それなら抜かれないようにすればいいと言い放って、監督は行ってしまった。
「でもまあとにかくやってみようぜ!SPフィクサーズに勝てたのも監督の作戦があったからなんだしさ!」
守兄が皆を励ますけど、流石にこの作戦には疑問しかない。このフォーメーションに一体何の意味があるっていうんだろう。
「豪炎寺はどう思う?……豪炎寺ってば。ねえ、どこ見てるの!」
「! 美波、どうした」
「いや……豪炎寺が暗い顔してたから、上の空だしさっきミス気にしてるのかと思って」
「……チャンスを物に出来ずすまない」
「ううん、誰にだってこういう時もあるよ。あたしも全然だったし、後半頑張ろう!」
「……そうだな」
豪炎寺は少しだけ笑ったけど、その笑みは弱々しい。いつもの豪炎寺とは大違いだ。
それにしても豪炎寺、なんでエイリア学園のなんか緑色顔の……エージェントって言うの?3人組見てたんだろ。何かあったのかな……?
ふと脳裏を過ったのは、病院から雷門中まで行く時のこと。そうだ、今の豪炎寺は、あの時と同じような顔をしている。
「大丈夫?」
「……ああ」
……絶対に嘘だ。
でも豪炎寺が話したがらない以上、聞く訳にもいかなくて、そのままに後半は始まった。
「皆!頼んだぞ!ゴールは任せとけ!」
「何をやっても無駄なこと。構わん、叩き潰せ」
ホイッスルが鳴って直ぐ、センターラインからいきなり放たれたシュートは、ゴールに叩き込まれた。
「守兄!」
「っ……大丈夫だ!」
こんなの、止めに入ろうとしても間に合う訳ない。全員攻撃でボールを持って上がろうにも、すぐ取られてしまってシュートを決められる。
前半であんなに点差がついてたのに、こんな作戦、こんなフォーメーションじゃ勝てる訳がない。
あたし達はまだいい。ジェミニストームは点を取るのが目的で、ボールを奪った後は真っ直ぐにゴールを狙うから、消耗は少ない。
でもこれじゃあ、シュートが打たれ放題で、守兄が持たないかもしれない。
その時だった。再び放たれたシュートに対して、守兄はゴッドハンドを繰り出した。破られはしまったけど、初めて必殺技を出せた。
「鬼道、今のシュート守兄見えてたよね」
「ああ。やはり、このフォーメーションは……」
「このフォーメーションが何か関係あるの?」
「……攻撃だけで試合を組み立てるのは不可能だ」
「うん」
「後は自分で考えろ」
「ええ……」
鬼道が何に気づいたのかはさっぱりだけど、守兄がシュートを見切り始めているのは分かった。なら、監督の狙いは、この事?
攻撃パターンが分かって、守兄がシュートを止める兆しが見えてきた。少しずつだけど確実にジェミニストームに手が届く所へ近づいてる。
エイリア学園を早く倒せるに越したことはないけど、今日の試合を糧に、次の勝利を確実にする為の作戦ってことだろうか。
「どうやら試合はここまでのようだ。お前達もわかったはずだ。大いなる力の前では、お前たちがいかに無力であるかが」
「何、勝った気になってんだよ……。まだ試合は終わっちゃいないぜ」
そう言う守兄は一番ボロボロで心配が募る。けれど大丈夫だと、もう点はやらないと立ち上がる守兄を見ていると、まだ戦えるとも思えてくる。
「だめだよ皆!これ以上やったら、今度は本当に円堂が!」
「円堂は言っても聞かない奴だと分かってる。とにかく1点だ!何が何でも取っていくぞ!」
「なっ、じゃあ美波はこれでいいのかよ!」
「心配してくれてありがとね、塔子。でも、守兄は諦めてない。皆も諦めてない。もちろん、あたしも」
「美波……わかった、あたしもやってやる!」
この試合は負ける。それでも、次に繋げる為に、何か爪痕を残したい。
けれど、疲労が溜まって思うように動けない体では、そう長くは持たなくて、あっという間にゴール前へ行かれてしまった。
「地球にはこんな言葉がある、井の中の蛙大海を知らず。己の無力思い知るがいい!」
レーゼを中心に重たい風が渦巻き始める。風圧が凄い。近づきでもしたら吹き飛ばされそうだ。
「アストロブレイク!」
「今度こそ……!マジン・ザ・ハンド!」
初めて見るレーゼの必殺技。対する守兄はマジン・ザ・ハンドを繰り出した。
ゴールを守ることまでは出来なかったけれど、必殺技を使わせた。初めてのシュートに対応出来た。これは大きな進歩だと思う。
試合結果は32-0。今回もまた、雷門の完敗に終わった。
エイリア学園は消えてしまった。ふいに目が合った豪炎寺の表情はどこか辛そうで、何か声をかけようとしたけど、何も言えなかった。
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7番のミッドフィルダーが中盤でボールを取ったら、一度右のディフェンダーに下げて体制をディフェンスで立て直す。
左の8番のミッドフィルダーがライン際でボールを取ったら、後ろのディフェンダーを通して6番のミッドフィルダーに戻す。
ちょっと複雑だけど、覚えてしまえばこっちのものだ。次はあたしも取れる!にしても、あの短時間でここまで読み切るなんて、やっぱり鬼道は凄い。流石は天才ゲームメーカーだ。
「甘いわね。確かに鬼道君の言う通り、ジェミニストームの攻撃には一定のパターンがある」
口を挟んできた監督も気づいてたらしい。見てれば分かると言う監督、厳しいな……。
「貴方達、今自分がどんな状態かわかってるの?」
「状態?」
「今のあなた達じゃ相手のスピードについていけない。攻撃パターンがわかったぐらいで、倒せる相手じゃないのよ」
「じゃあ、どうしろっていうんですか?」
「こちらのディフェンスを全てここまであげて、全員攻撃するのよ」
監督はボードとマグネットを使って説明してくれたけど、キーパー以外が前線へ上がったフォーメーションに唖然とした。
これじゃあ、ディフェンスがいないのと同じだ。守兄を信用してない訳じゃないけど、それこそ一度でも抜かれたら終わりだ。
一郎太が抗議しても、それなら抜かれないようにすればいいと言い放って、監督は行ってしまった。
「でもまあとにかくやってみようぜ!SPフィクサーズに勝てたのも監督の作戦があったからなんだしさ!」
守兄が皆を励ますけど、流石にこの作戦には疑問しかない。このフォーメーションに一体何の意味があるっていうんだろう。
「豪炎寺はどう思う?……豪炎寺ってば。ねえ、どこ見てるの!」
「! 美波、どうした」
「いや……豪炎寺が暗い顔してたから、上の空だしさっきミス気にしてるのかと思って」
「……チャンスを物に出来ずすまない」
「ううん、誰にだってこういう時もあるよ。あたしも全然だったし、後半頑張ろう!」
「……そうだな」
豪炎寺は少しだけ笑ったけど、その笑みは弱々しい。いつもの豪炎寺とは大違いだ。
それにしても豪炎寺、なんでエイリア学園のなんか緑色顔の……エージェントって言うの?3人組見てたんだろ。何かあったのかな……?
ふと脳裏を過ったのは、病院から雷門中まで行く時のこと。そうだ、今の豪炎寺は、あの時と同じような顔をしている。
「大丈夫?」
「……ああ」
……絶対に嘘だ。
でも豪炎寺が話したがらない以上、聞く訳にもいかなくて、そのままに後半は始まった。
「皆!頼んだぞ!ゴールは任せとけ!」
「何をやっても無駄なこと。構わん、叩き潰せ」
ホイッスルが鳴って直ぐ、センターラインからいきなり放たれたシュートは、ゴールに叩き込まれた。
「守兄!」
「っ……大丈夫だ!」
こんなの、止めに入ろうとしても間に合う訳ない。全員攻撃でボールを持って上がろうにも、すぐ取られてしまってシュートを決められる。
前半であんなに点差がついてたのに、こんな作戦、こんなフォーメーションじゃ勝てる訳がない。
あたし達はまだいい。ジェミニストームは点を取るのが目的で、ボールを奪った後は真っ直ぐにゴールを狙うから、消耗は少ない。
でもこれじゃあ、シュートが打たれ放題で、守兄が持たないかもしれない。
その時だった。再び放たれたシュートに対して、守兄はゴッドハンドを繰り出した。破られはしまったけど、初めて必殺技を出せた。
「鬼道、今のシュート守兄見えてたよね」
「ああ。やはり、このフォーメーションは……」
「このフォーメーションが何か関係あるの?」
「……攻撃だけで試合を組み立てるのは不可能だ」
「うん」
「後は自分で考えろ」
「ええ……」
鬼道が何に気づいたのかはさっぱりだけど、守兄がシュートを見切り始めているのは分かった。なら、監督の狙いは、この事?
攻撃パターンが分かって、守兄がシュートを止める兆しが見えてきた。少しずつだけど確実にジェミニストームに手が届く所へ近づいてる。
エイリア学園を早く倒せるに越したことはないけど、今日の試合を糧に、次の勝利を確実にする為の作戦ってことだろうか。
「どうやら試合はここまでのようだ。お前達もわかったはずだ。大いなる力の前では、お前たちがいかに無力であるかが」
「何、勝った気になってんだよ……。まだ試合は終わっちゃいないぜ」
そう言う守兄は一番ボロボロで心配が募る。けれど大丈夫だと、もう点はやらないと立ち上がる守兄を見ていると、まだ戦えるとも思えてくる。
「だめだよ皆!これ以上やったら、今度は本当に円堂が!」
「円堂は言っても聞かない奴だと分かってる。とにかく1点だ!何が何でも取っていくぞ!」
「なっ、じゃあ美波はこれでいいのかよ!」
「心配してくれてありがとね、塔子。でも、守兄は諦めてない。皆も諦めてない。もちろん、あたしも」
「美波……わかった、あたしもやってやる!」
この試合は負ける。それでも、次に繋げる為に、何か爪痕を残したい。
けれど、疲労が溜まって思うように動けない体では、そう長くは持たなくて、あっという間にゴール前へ行かれてしまった。
「地球にはこんな言葉がある、井の中の蛙大海を知らず。己の無力思い知るがいい!」
レーゼを中心に重たい風が渦巻き始める。風圧が凄い。近づきでもしたら吹き飛ばされそうだ。
「アストロブレイク!」
「今度こそ……!マジン・ザ・ハンド!」
初めて見るレーゼの必殺技。対する守兄はマジン・ザ・ハンドを繰り出した。
ゴールを守ることまでは出来なかったけれど、必殺技を使わせた。初めてのシュートに対応出来た。これは大きな進歩だと思う。
試合結果は32-0。今回もまた、雷門の完敗に終わった。
エイリア学園は消えてしまった。ふいに目が合った豪炎寺の表情はどこか辛そうで、何か声をかけようとしたけど、何も言えなかった。
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