第38話 激突!雷門VS雷門!!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
目を疑った。信じたくなかった。
どうして、こんなことになってしまったんだろう。
「ようやく私の野望が実現する時が来たのです」
喜びに打ち震えるかのように両腕を広げながら研崎はそう言うと、一郎太に目を向けた。
視線を受けた一郎太が懐から取り出したのは、最早見慣れてしまった、エイリア学園のあの黒いサッカーボール。
「再会の挨拶代わりだ」
そう一郎太が撃ったシュートはとても強力で、受け止めようとした守兄は後ろに吹っ飛んだ。
ここ暫くはフィールドプレイヤーだったし、突然だったとはいえ、守兄が押し切られるなんて。絶句するあたし達を見た一郎太の口元が、緩やかに弧を描く。
「風丸……」
「俺達と勝負しろ」
「なっ」
エイリアのによく似たユニフォームの下から漏れたのは、紫色の妖しげな光。爆発に巻き込まれて無くなったはずのエイリア石だ。……まさか、研崎が持ち出して、一郎太達に?
恭しく手を胸に当てた研崎が、口を開く。
「皆さんにはお礼を申し上げます。おかげであの無駄極まりないジェネシス計画に固執していた旦那様を――吉良星二郎を片付けることが出来たのですからね」
「まさかあの爆発は!」
「お察しの通り、私がやったのです。エイリア石を私だけのものにするために」
今度は違う意味で言葉を失った。そうか。エイリア石を手に入れるために、こいつは吉良さんに取り入ったんだ。
星の使徒研究所でのあの爆発は、持ち出したもの以外のエイリア石を消すため。あたし達を巻き込んで。……なんて奴だ。
にたりと笑った研崎は、「エイリア石の本当の価値を分かっていなかった」と言い放つ。
「ですから、この私が正しい使い方で、究極のハイソルジャーを作り上げたのです」
「まさか、風丸達が!?」
「その通り。それが、ダークエンペラーズです!」
大仰に両腕を広げる研崎に、怒りが募る。全部利用してたんだ。あたし達雷門を、吉良さんを、ヒロト達を……!!
ましてや今度はエイリア石を一郎太や染岡達に使うなんて、ハイソルジャーにするだなんて、絶対に許せないし、許さない!
一郎太と視線がかち合う。細められた目で見つめられ、言おうとした言葉が、喉に引っ掛かったように押し止められる。
その鋭い目付きは、狂気すら感じられた。
「今日は我がハイソルジャーの本当の力を証明しに来たのですよ。彼らが君達雷門イレブンを完膚なきまでに叩きのめします」
「っ、こんなの嘘だ!」
一郎太達が、敵。その事実を受け入れたくないと駆け寄る守兄の傍に行こうとしたら、鬼道に腕を強く掴まれた。
「な、鬼道!」
「……やめておけ」
どこか辛そうなその表情に、全身から力が抜けていくのを感じた。そうだ。鬼道はこれで二度目だ。
真・帝国学園で再び影山の元についた佐久間と源田を見た時の、鬼頭の絶望した表情は、今もしっかりと脳裏に焼き付いている。
あたしの腕を握る手に触れると、「すまない」と鬼道はするりと手を離す。
心配そうに近寄ってきた士郎くんが、ジャージ越しに腕をそっと撫でた。別に、これくらい平気なのに。
「お前達は騙されてるんだろ?なあ!風丸!」
表情を変えずに、一郎太が手を差し出す。それを顔を強張らせながら守兄が取ろうとすると、パンッと乾いた音を響かせながら、その手を叩いた。
「俺達は自分の意思でここにいる。……このエイリア石に触れた時、力が漲るのが感じた。求めていた、力が」
「求めていた、力」
「……俺は強くなりたかった。強くなりたくても、自分の力では越えられない限界を感じていた。でもエイリア石は信じられない程の力を与えてくれたんだ!」
エイリア石に酔いしれるよな、恍惚とした表情。こんな一郎太、見たことがない。
寒気がしたのと同時に、一郎太の言葉が深々と突き刺さった。あの日のことがフラッシュバックする。
一朗太に拒絶されて、サッカーに向き合えなくなったあの日。エイリア石に手を伸ばしてしまうほど追い詰められていたなんて、あの時気づけていれば……。
不甲斐ない自分に腹が立つ。大事な、幼なじみなのに。一郎太の弱音を受け止めるのが精一杯で、こんなにも力を欲していたなんて、気がつかなかった。
「(……まただ)」
また、止められなかったんだ。
ローブを脱ぎ捨てた一郎太は、得た力を誇示するように笑ってみせる。
「俺のスピードとパワーは桁違いにアップした。この力を、思う存分に使ってみたいのさ!」
「ちょっと待てよ!エイリア石の力を使って強くなっても意味がないだろ!」
「っ……そうだよ、強さは努力して身につけるものだ!」
詰まっていたものを吐き出すように息を吐いてから、数歩踏み出して、守兄に同調する。
じ、と一郎太の視線を感じて思わず半歩下がった時、それは違うと栗松が声を上げた。エイリア石の力が気に入ったと続けた染岡が、豪炎寺と士郎くんを睨み付ける。
「もう豪炎寺にも吹雪にも負けやしねえ」
「染岡くん!」
「っ……」
「お前ら……」
「貴方達にももうじき分かりますよ。誰もが取りつかれるその魅力……それがエイリア石!」
「誰がそんな石なんかに!」
「果たしてどうでしょうかね。特に、円堂美波さん。心の弱いあなたはね」
「なっ」
雷門とエイリア学園。仲間と友達の間で、ぐちゃぐちゃに考えていた時を思い出す。……ダメだ、挑発に乗ったら。思うつぼだ。
「そうだよ。あたしは弱い。でも、みんながいたから、それを受け入れられた!」
「……やっぱり凄いな、美波は。俺とは違う」
「いち」
「雷門イレブンはダークエンペラーズの記念すべき最初の相手に選ばれた。さあ、サッカーやろうぜ、円堂」
手を差し出したその姿が、まだ雷門が弱小と呼ばれていた頃、助っ人になってくれると言ってくれた時の姿と、重なった。
ぱん、と再び乾いた音が響く。今度は守兄が、はたいた音だ。
「嫌だ。こんな状態の、お前達と試合なんて!」
「あたしだって嫌だ!」
「ああ。お互いに得るものは何もない」
仲間同士がぶつかり合う、意味のない試合。嫌だという気持ちは、みんな同じ。
でも、それは予測済みだったようで、試合を断ればまた学校を破壊すると、手始めに雷門中を破壊すると言ってきた。
ボールに足をかけて、ニヤリと悪どい笑みを浮かべる染岡。躊躇いのない様子に、変わってしまったのを嫌でも思い知らされる。
拒否権は、選択肢なんて、最初から無い。後ろを振り向けば、響木監督が静かに頷いた。やるしかない。
「っ……分かった。勝負だ!」
「円堂。人間の努力には限界があることを教えてやる」
「なら、あたし達はエイリア石を使うのは間違ってるって教えてやる」
「……」
一郎太の表情がどこか寂しげに見えたのは……気のせいだ。
ベンチに集まって、試合に備える。座って靴紐を結び直して、靴下を捲ると出てきたのは、水色のミサンガ。
一郎太にミサンガを貰うのが習慣になったのは、いつからだったか。切れる度に貰って、身に付けて。
今のを貰ったのはフットボールフロンティア決勝戦前。それからの過酷な戦い続きで、もうすっかりボロボロだ。
「(一郎太と、染岡達と、また楽しくサッカーが出来ますように)」
息を吐いて、靴下を上げる。壁山を見れば、あのサッカー部の部室の看板を持っていた。
「みんな、忘れちゃったんすかね」
「それなら、あたし達が思い出させればいい!雷門のサッカーで!」
「俺達はあんなに頑張ってサッカーを続けてきたんだ。だから、エイリア石なんかに潰されるはずがない!仲間は、ずっといつまでも仲間なんだ!」
「取り戻そう、本当のみんなを!」
「アイツらは、俺がサッカーを諦めかけた時、そばにいれくれた仲間だ!今度は俺達が!」
「ああ!」
「ウチも協力するで」
「俺達も、雷門イレブンだからな!」
「ああ、もちろんだよ」
「俺もやります!」
「俺だって、雷門イレブンだ!」
この旅で新しく仲間になったしろ君、塔子、夕弥、リカ、立向居、条兄。心は同じ、雷門イレブンなんだ!
「お前達、準備はいいか」
「響木監督」
「アイツらに見せてやれ。お前達のサッカーを!」
『はい!』
みんなで手を重ねて、意気込む。
「さあ行くぞ!みんな!」
「「「おうっ!」」」
それぞれポジションにつく。キャプテンマークを腕に付けた一郎太は、前線の位置にいた。
一郎太が、フォワード?ポジションを変えた?それなら、さっきの挨拶代わりのシュートにも納得がいく。……けど。
「(なんか、いやな予感がする)」
.
どうして、こんなことになってしまったんだろう。
「ようやく私の野望が実現する時が来たのです」
喜びに打ち震えるかのように両腕を広げながら研崎はそう言うと、一郎太に目を向けた。
視線を受けた一郎太が懐から取り出したのは、最早見慣れてしまった、エイリア学園のあの黒いサッカーボール。
「再会の挨拶代わりだ」
そう一郎太が撃ったシュートはとても強力で、受け止めようとした守兄は後ろに吹っ飛んだ。
ここ暫くはフィールドプレイヤーだったし、突然だったとはいえ、守兄が押し切られるなんて。絶句するあたし達を見た一郎太の口元が、緩やかに弧を描く。
「風丸……」
「俺達と勝負しろ」
「なっ」
エイリアのによく似たユニフォームの下から漏れたのは、紫色の妖しげな光。爆発に巻き込まれて無くなったはずのエイリア石だ。……まさか、研崎が持ち出して、一郎太達に?
恭しく手を胸に当てた研崎が、口を開く。
「皆さんにはお礼を申し上げます。おかげであの無駄極まりないジェネシス計画に固執していた旦那様を――吉良星二郎を片付けることが出来たのですからね」
「まさかあの爆発は!」
「お察しの通り、私がやったのです。エイリア石を私だけのものにするために」
今度は違う意味で言葉を失った。そうか。エイリア石を手に入れるために、こいつは吉良さんに取り入ったんだ。
星の使徒研究所でのあの爆発は、持ち出したもの以外のエイリア石を消すため。あたし達を巻き込んで。……なんて奴だ。
にたりと笑った研崎は、「エイリア石の本当の価値を分かっていなかった」と言い放つ。
「ですから、この私が正しい使い方で、究極のハイソルジャーを作り上げたのです」
「まさか、風丸達が!?」
「その通り。それが、ダークエンペラーズです!」
大仰に両腕を広げる研崎に、怒りが募る。全部利用してたんだ。あたし達雷門を、吉良さんを、ヒロト達を……!!
ましてや今度はエイリア石を一郎太や染岡達に使うなんて、ハイソルジャーにするだなんて、絶対に許せないし、許さない!
一郎太と視線がかち合う。細められた目で見つめられ、言おうとした言葉が、喉に引っ掛かったように押し止められる。
その鋭い目付きは、狂気すら感じられた。
「今日は我がハイソルジャーの本当の力を証明しに来たのですよ。彼らが君達雷門イレブンを完膚なきまでに叩きのめします」
「っ、こんなの嘘だ!」
一郎太達が、敵。その事実を受け入れたくないと駆け寄る守兄の傍に行こうとしたら、鬼道に腕を強く掴まれた。
「な、鬼道!」
「……やめておけ」
どこか辛そうなその表情に、全身から力が抜けていくのを感じた。そうだ。鬼道はこれで二度目だ。
真・帝国学園で再び影山の元についた佐久間と源田を見た時の、鬼頭の絶望した表情は、今もしっかりと脳裏に焼き付いている。
あたしの腕を握る手に触れると、「すまない」と鬼道はするりと手を離す。
心配そうに近寄ってきた士郎くんが、ジャージ越しに腕をそっと撫でた。別に、これくらい平気なのに。
「お前達は騙されてるんだろ?なあ!風丸!」
表情を変えずに、一郎太が手を差し出す。それを顔を強張らせながら守兄が取ろうとすると、パンッと乾いた音を響かせながら、その手を叩いた。
「俺達は自分の意思でここにいる。……このエイリア石に触れた時、力が漲るのが感じた。求めていた、力が」
「求めていた、力」
「……俺は強くなりたかった。強くなりたくても、自分の力では越えられない限界を感じていた。でもエイリア石は信じられない程の力を与えてくれたんだ!」
エイリア石に酔いしれるよな、恍惚とした表情。こんな一郎太、見たことがない。
寒気がしたのと同時に、一郎太の言葉が深々と突き刺さった。あの日のことがフラッシュバックする。
一朗太に拒絶されて、サッカーに向き合えなくなったあの日。エイリア石に手を伸ばしてしまうほど追い詰められていたなんて、あの時気づけていれば……。
不甲斐ない自分に腹が立つ。大事な、幼なじみなのに。一郎太の弱音を受け止めるのが精一杯で、こんなにも力を欲していたなんて、気がつかなかった。
「(……まただ)」
また、止められなかったんだ。
ローブを脱ぎ捨てた一郎太は、得た力を誇示するように笑ってみせる。
「俺のスピードとパワーは桁違いにアップした。この力を、思う存分に使ってみたいのさ!」
「ちょっと待てよ!エイリア石の力を使って強くなっても意味がないだろ!」
「っ……そうだよ、強さは努力して身につけるものだ!」
詰まっていたものを吐き出すように息を吐いてから、数歩踏み出して、守兄に同調する。
じ、と一郎太の視線を感じて思わず半歩下がった時、それは違うと栗松が声を上げた。エイリア石の力が気に入ったと続けた染岡が、豪炎寺と士郎くんを睨み付ける。
「もう豪炎寺にも吹雪にも負けやしねえ」
「染岡くん!」
「っ……」
「お前ら……」
「貴方達にももうじき分かりますよ。誰もが取りつかれるその魅力……それがエイリア石!」
「誰がそんな石なんかに!」
「果たしてどうでしょうかね。特に、円堂美波さん。心の弱いあなたはね」
「なっ」
雷門とエイリア学園。仲間と友達の間で、ぐちゃぐちゃに考えていた時を思い出す。……ダメだ、挑発に乗ったら。思うつぼだ。
「そうだよ。あたしは弱い。でも、みんながいたから、それを受け入れられた!」
「……やっぱり凄いな、美波は。俺とは違う」
「いち」
「雷門イレブンはダークエンペラーズの記念すべき最初の相手に選ばれた。さあ、サッカーやろうぜ、円堂」
手を差し出したその姿が、まだ雷門が弱小と呼ばれていた頃、助っ人になってくれると言ってくれた時の姿と、重なった。
ぱん、と再び乾いた音が響く。今度は守兄が、はたいた音だ。
「嫌だ。こんな状態の、お前達と試合なんて!」
「あたしだって嫌だ!」
「ああ。お互いに得るものは何もない」
仲間同士がぶつかり合う、意味のない試合。嫌だという気持ちは、みんな同じ。
でも、それは予測済みだったようで、試合を断ればまた学校を破壊すると、手始めに雷門中を破壊すると言ってきた。
ボールに足をかけて、ニヤリと悪どい笑みを浮かべる染岡。躊躇いのない様子に、変わってしまったのを嫌でも思い知らされる。
拒否権は、選択肢なんて、最初から無い。後ろを振り向けば、響木監督が静かに頷いた。やるしかない。
「っ……分かった。勝負だ!」
「円堂。人間の努力には限界があることを教えてやる」
「なら、あたし達はエイリア石を使うのは間違ってるって教えてやる」
「……」
一郎太の表情がどこか寂しげに見えたのは……気のせいだ。
ベンチに集まって、試合に備える。座って靴紐を結び直して、靴下を捲ると出てきたのは、水色のミサンガ。
一郎太にミサンガを貰うのが習慣になったのは、いつからだったか。切れる度に貰って、身に付けて。
今のを貰ったのはフットボールフロンティア決勝戦前。それからの過酷な戦い続きで、もうすっかりボロボロだ。
「(一郎太と、染岡達と、また楽しくサッカーが出来ますように)」
息を吐いて、靴下を上げる。壁山を見れば、あのサッカー部の部室の看板を持っていた。
「みんな、忘れちゃったんすかね」
「それなら、あたし達が思い出させればいい!雷門のサッカーで!」
「俺達はあんなに頑張ってサッカーを続けてきたんだ。だから、エイリア石なんかに潰されるはずがない!仲間は、ずっといつまでも仲間なんだ!」
「取り戻そう、本当のみんなを!」
「アイツらは、俺がサッカーを諦めかけた時、そばにいれくれた仲間だ!今度は俺達が!」
「ああ!」
「ウチも協力するで」
「俺達も、雷門イレブンだからな!」
「ああ、もちろんだよ」
「俺もやります!」
「俺だって、雷門イレブンだ!」
この旅で新しく仲間になったしろ君、塔子、夕弥、リカ、立向居、条兄。心は同じ、雷門イレブンなんだ!
「お前達、準備はいいか」
「響木監督」
「アイツらに見せてやれ。お前達のサッカーを!」
『はい!』
みんなで手を重ねて、意気込む。
「さあ行くぞ!みんな!」
「「「おうっ!」」」
それぞれポジションにつく。キャプテンマークを腕に付けた一郎太は、前線の位置にいた。
一郎太が、フォワード?ポジションを変えた?それなら、さっきの挨拶代わりのシュートにも納得がいく。……けど。
「(なんか、いやな予感がする)」
.
1/3ページ