第36話 最終決戦!ザ・ジェネシス・後編!!
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雷門からのボール。残り時間も少なくなってきたところで、点差をつけられた。けれど悪い感覚が全くないのは、このチームだからかな。
パスを受け取った守兄と、目が合った。
「行くぞ、美波!」
「うん!」
「遅い!」
「……負けないよ!」
ボールを奪いに来た玲名を守兄との連携で突破して、ヒロト君も鬼道へのパスでかわす。
「リミッターを解除した私達をかわすだと?何が起こっている……!?」
「まさか、これも……!」
「そうだよ。仲間を思う、心の力だ!」
「何をしている!ジェネシスは勝たねばならないのです!」
「豪炎寺!」
豪炎寺へのパスは、通る前にスライディングで飛ばされてしまう。けどボールがラインを割る間際、飛び込んだ士郎くんが蹴り戻した。
「このボールは、絶対に繋ぐ!」
「(吹雪。お前の魂、受け取った!)爆熱ストーム!」
「時空の壁!」
辛くも弾かれた爆熱ストームはゴールポストだ。まだ、ボールは死んでない!
「まだだあ!」
「行けえ美波!」
あらぬ方へ飛んだボールを追う。地面を思い切り蹴ったところで、玲名が追いかけてきた。……かかった!
「あたしじゃない、よ!」
「美波……!」
体を捻って、ボールを捉えた足を振り下ろす。その先には、雷門が誇る二人のエースストライカーだ。
「豪炎寺くん、いくよ!」
「おう!」
「「はああああっ!!!」」
猛炎と氷嵐。熱気と冷気が交差する。反する性質を併せ持ったシュートが、ゴールに突き刺さった。これで同点!目金命名、クロスファイア!
「凄いシュートだ……!豪炎寺!士郎くん!」
「これは、みんなで取った1点だね!」
「うん!どんどん攻めて行こう!」
誰一人、諦めることはない。同じ気持ちで勝利を目指す。みんなで繋いだ1点に、心が踊った。
「仲間がいるから強くなれる?これが、円堂くんのサッカーなのか……?」
……そうだよ、ヒロト。仲間がいるから、あたし達はどこまでも強くなれるんだ。
「だが……」
「最強なのはジェネシスの!」
「父さんのサッカーなんだ!」
「「「スペースペンギン!」」」
諦めないのは、雷門もジェネシスも同じ。吉良のために強くなった彼らは、本人達は否定するだろうけど、やっぱり仲間なんだと思う。
ヒロト君達の渾身のシュートが迫る。でもあたしは、あたし達は、立向居を信じてる!雷門のゴールキーパーは、負けない!
「……止めてみせる。もう1点も、やるわけにはいかないんだ!!!」
立向居が吠えた時、更に四本の腕が飛び出した。ペンギン達ごと押さえ込んで、ボールは立向居の手の中に収まっていた。
「やった!」
「ジェネシスの最強シュートが……!」
「何故決まらない!」
残り時間はあと僅か。これが、最後のチャンス!
立向居から始まって、次々にボールを回していく。……なんだろう。一つひとつのパスが軌跡を描いて、キラキラと輝いて見える。
それぞれの思いが込められたボールが、繋がってる。まるで、星達が星座を描いてるみたいだ。
……そうか。これは、皆の思いだ。ここにいる人達だけじゃない。この旅で出会った、サッカーを愛する、皆の。仲間を思う、心の力!
「守兄!今なら――!」
「ああ!」
今なら、ノートにあった必殺技を、あの究極奥義を、使うことが出来るかもしれない!
守兄もそれに気づいていたみたいで、並走するように走り込んできていた豪炎寺、士郎くんと目を合わせた。
三人の中心に、全員の気が集まって、注ぎ込まれていく。やがて立ち上ったエネルギーが、大きな球体を形成した。それに向かって三人が跳び上がる。
「「「ジ・アース!」」」
皆の心が一つになった時に初めて使える、あたし達が住む青い星の名を付けられた究極奥義――ジ・アース。
十一の矢のような形の光に分かれたかと思うと、一つになり、ディフェンスに入ったジェネシスメンバーを吹き飛ばしながら、ゴールに突き進んでいく。
それに立ち塞がったのはヒロト君と玲名で。入れさせまいと、足を打ちつけた。
「お父様のために!」
「負けるわけにはいかない!」
バチバチと力と力がぶつかり合う。大切な人のために。その思いが、痛いくらい伝わってくる。それでも、それでも……あたしは。
「……あたしは、もう、辛い思いをさせたくない!」
「「!」」
ヒロト君と玲名が目を見開いた時、より一層輝きを増したシュートは、二人をはね除けた。
「そうか……これが……」
彼の唇が動いたけれど、聞き取れはしなかった。思わず「ヒロト」と呼ぼうとして、得点を告げる笛の音にかき消される。
続けて試合終了のホイッスルが鳴った。一拍置いて、歓声が広がった。4-3。ついに、エイリア学園に勝ったんだ……!
「やったあああ!!!」
「やったね!皆!」
「おう!勝ったぜ、俺達!」
「……これがサッカーなんだね、円堂くん」
あたし達を見つめているヒロト君に対して、玲名は座り込んで涙を流していた。お父様のために勝ちたかった。ただそれだけの思いが、あたしの胸を刺す。
泣いてほしかったわけじゃない。また笑い合えるようになりたかった。なんて、負かしておきながら、言えるわけもなくて。終わらせると、壊す覚悟で挑んだ結果だ。目を逸らしてはいけない。
「円堂くん」
「ヒロト」
「……仲間って、凄いんだね」
「そうさ!ヒロトにも、そのことがわかってもらえて嬉しいよ!」
守兄が差し出した手を、ヒロト君が握り返した。
「姉さんが伝えたかったこと、これだったんだね。……姉さん」
「ヒロトはみんなを思ってリミッター解除を躊躇ってた。ちゃんと、わかってたんだよ。ジェネシスのメンバーは、仲間だって」
「……」
「ヒロト?」
「……ごめん。君には酷いことを言ってしまって」
「いいよ。もう気にしてないから、ごめんは無し!あと、君じゃなくて美波って呼んでくれた方が嬉しい」
「ありがとう、美波ちゃん」
「だから……吉良、さん」
観覧席から降りてきた吉良さんが、グラウンドまで来ていた。憑き物が落ちたような雰囲気に見える。
「ヒロト。お前達を苦しめてすまなかった」
「父さん……」
「瞳子。私はあのエイリア石に取り憑かれていた。お前の……いや、お前のチームのおかげで、漸く分かった」
「父さん」
「そう。ジェネシス計画そのものが間違っていたのです」
吉良さんがそう言った瞬間、空気が張り詰めたのを肌で感じた。「ふざけるな!」と玲名の怒号が響く。
「これ程愛し、尽くしてきた私達を、よりによって貴方が否定するなあああっ!!!」
激しい怒りを滾らせたシュートが吉良さんへ飛ぶ。ダメだよ玲名。吉良さんを傷つけたら、絶対に後悔する!
庇いに飛び出しかければ、肩を押されて、戻された。
あたしの代わりに誰かが飛び出す。
綺麗な赤い髪が、揺れた。
→あとがき
パスを受け取った守兄と、目が合った。
「行くぞ、美波!」
「うん!」
「遅い!」
「……負けないよ!」
ボールを奪いに来た玲名を守兄との連携で突破して、ヒロト君も鬼道へのパスでかわす。
「リミッターを解除した私達をかわすだと?何が起こっている……!?」
「まさか、これも……!」
「そうだよ。仲間を思う、心の力だ!」
「何をしている!ジェネシスは勝たねばならないのです!」
「豪炎寺!」
豪炎寺へのパスは、通る前にスライディングで飛ばされてしまう。けどボールがラインを割る間際、飛び込んだ士郎くんが蹴り戻した。
「このボールは、絶対に繋ぐ!」
「(吹雪。お前の魂、受け取った!)爆熱ストーム!」
「時空の壁!」
辛くも弾かれた爆熱ストームはゴールポストだ。まだ、ボールは死んでない!
「まだだあ!」
「行けえ美波!」
あらぬ方へ飛んだボールを追う。地面を思い切り蹴ったところで、玲名が追いかけてきた。……かかった!
「あたしじゃない、よ!」
「美波……!」
体を捻って、ボールを捉えた足を振り下ろす。その先には、雷門が誇る二人のエースストライカーだ。
「豪炎寺くん、いくよ!」
「おう!」
「「はああああっ!!!」」
猛炎と氷嵐。熱気と冷気が交差する。反する性質を併せ持ったシュートが、ゴールに突き刺さった。これで同点!目金命名、クロスファイア!
「凄いシュートだ……!豪炎寺!士郎くん!」
「これは、みんなで取った1点だね!」
「うん!どんどん攻めて行こう!」
誰一人、諦めることはない。同じ気持ちで勝利を目指す。みんなで繋いだ1点に、心が踊った。
「仲間がいるから強くなれる?これが、円堂くんのサッカーなのか……?」
……そうだよ、ヒロト。仲間がいるから、あたし達はどこまでも強くなれるんだ。
「だが……」
「最強なのはジェネシスの!」
「父さんのサッカーなんだ!」
「「「スペースペンギン!」」」
諦めないのは、雷門もジェネシスも同じ。吉良のために強くなった彼らは、本人達は否定するだろうけど、やっぱり仲間なんだと思う。
ヒロト君達の渾身のシュートが迫る。でもあたしは、あたし達は、立向居を信じてる!雷門のゴールキーパーは、負けない!
「……止めてみせる。もう1点も、やるわけにはいかないんだ!!!」
立向居が吠えた時、更に四本の腕が飛び出した。ペンギン達ごと押さえ込んで、ボールは立向居の手の中に収まっていた。
「やった!」
「ジェネシスの最強シュートが……!」
「何故決まらない!」
残り時間はあと僅か。これが、最後のチャンス!
立向居から始まって、次々にボールを回していく。……なんだろう。一つひとつのパスが軌跡を描いて、キラキラと輝いて見える。
それぞれの思いが込められたボールが、繋がってる。まるで、星達が星座を描いてるみたいだ。
……そうか。これは、皆の思いだ。ここにいる人達だけじゃない。この旅で出会った、サッカーを愛する、皆の。仲間を思う、心の力!
「守兄!今なら――!」
「ああ!」
今なら、ノートにあった必殺技を、あの究極奥義を、使うことが出来るかもしれない!
守兄もそれに気づいていたみたいで、並走するように走り込んできていた豪炎寺、士郎くんと目を合わせた。
三人の中心に、全員の気が集まって、注ぎ込まれていく。やがて立ち上ったエネルギーが、大きな球体を形成した。それに向かって三人が跳び上がる。
「「「ジ・アース!」」」
皆の心が一つになった時に初めて使える、あたし達が住む青い星の名を付けられた究極奥義――ジ・アース。
十一の矢のような形の光に分かれたかと思うと、一つになり、ディフェンスに入ったジェネシスメンバーを吹き飛ばしながら、ゴールに突き進んでいく。
それに立ち塞がったのはヒロト君と玲名で。入れさせまいと、足を打ちつけた。
「お父様のために!」
「負けるわけにはいかない!」
バチバチと力と力がぶつかり合う。大切な人のために。その思いが、痛いくらい伝わってくる。それでも、それでも……あたしは。
「……あたしは、もう、辛い思いをさせたくない!」
「「!」」
ヒロト君と玲名が目を見開いた時、より一層輝きを増したシュートは、二人をはね除けた。
「そうか……これが……」
彼の唇が動いたけれど、聞き取れはしなかった。思わず「ヒロト」と呼ぼうとして、得点を告げる笛の音にかき消される。
続けて試合終了のホイッスルが鳴った。一拍置いて、歓声が広がった。4-3。ついに、エイリア学園に勝ったんだ……!
「やったあああ!!!」
「やったね!皆!」
「おう!勝ったぜ、俺達!」
「……これがサッカーなんだね、円堂くん」
あたし達を見つめているヒロト君に対して、玲名は座り込んで涙を流していた。お父様のために勝ちたかった。ただそれだけの思いが、あたしの胸を刺す。
泣いてほしかったわけじゃない。また笑い合えるようになりたかった。なんて、負かしておきながら、言えるわけもなくて。終わらせると、壊す覚悟で挑んだ結果だ。目を逸らしてはいけない。
「円堂くん」
「ヒロト」
「……仲間って、凄いんだね」
「そうさ!ヒロトにも、そのことがわかってもらえて嬉しいよ!」
守兄が差し出した手を、ヒロト君が握り返した。
「姉さんが伝えたかったこと、これだったんだね。……姉さん」
「ヒロトはみんなを思ってリミッター解除を躊躇ってた。ちゃんと、わかってたんだよ。ジェネシスのメンバーは、仲間だって」
「……」
「ヒロト?」
「……ごめん。君には酷いことを言ってしまって」
「いいよ。もう気にしてないから、ごめんは無し!あと、君じゃなくて美波って呼んでくれた方が嬉しい」
「ありがとう、美波ちゃん」
「だから……吉良、さん」
観覧席から降りてきた吉良さんが、グラウンドまで来ていた。憑き物が落ちたような雰囲気に見える。
「ヒロト。お前達を苦しめてすまなかった」
「父さん……」
「瞳子。私はあのエイリア石に取り憑かれていた。お前の……いや、お前のチームのおかげで、漸く分かった」
「父さん」
「そう。ジェネシス計画そのものが間違っていたのです」
吉良さんがそう言った瞬間、空気が張り詰めたのを肌で感じた。「ふざけるな!」と玲名の怒号が響く。
「これ程愛し、尽くしてきた私達を、よりによって貴方が否定するなあああっ!!!」
激しい怒りを滾らせたシュートが吉良さんへ飛ぶ。ダメだよ玲名。吉良さんを傷つけたら、絶対に後悔する!
庇いに飛び出しかければ、肩を押されて、戻された。
あたしの代わりに誰かが飛び出す。
綺麗な赤い髪が、揺れた。
→あとがき