第36話 最終決戦!ザ・ジェネシス・後編!!
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勢い付いていた雷門に、ジェネシスの必殺技スーパーノヴァが牙を剥いた。
スコアボードをまじまじと見つめる。士郎くんのおかげで同点に追い付いたかと思えば、シュートは止められて、また差をつけられてしまった。
……気持ちを切り替えないと。ユニフォームの裾で冷や汗を拭った時、耳に飛び込んできた吉良の言葉に絶句した。
「ジェネシスこそ新たなる人の形。世界を支配する真の力を持つ子供達です」
なんだよ、それ。
「っ、大好きなサッカーを穢すな!」
「どういう意味です?」
「力とは、みんなが努力して付けるものなんだ!」
「忘れたんですか?貴方達もエイリア石でパワーアップしたジェミニやイプシロンと戦う事で、強くなったということを」
守兄の叫びを、吉良は切り捨てた。……確かに、確かにそうかもしれないけど、それだけじゃない。
唇を噛みしめ、拳を握る。みんなも、敵意を剥き出しにして吉良を睨み付けていた。
「そう、エイリア石を利用したという意味では、ジェネシスも雷門も同じなのです」
「……あたし達はエイリア学園を倒すために強くなった。けど、利用なんかしてない。雷門は特訓に特訓を重ねたんだ!」
「本当にそれだけなのでしょうか。雷門もすっかりメンバーが変わって強くなりましたね」
心臓が跳ねた。チームから離れた仲間達。前に、雷門だけど雷門じゃない奴も結構いるのだと、条兄に言われたのを思い出した。
「道具を入れ換えたこそここまで強くなれたんです。我がエイリア学園と同じく、弱い者を切り捨て、より強い者へ入れ換えたことで」
……道具?誰が?道具って、あたし達のことを指してるっていうのか。
入れ換えたから強くなった?一郎太が、染岡が、半田が、影野が、マックスが、栗松、宍戸、少林が……弱いだって?
「ふざけるな!弱いからじゃない!」
「みんなは弱くなんかないっ!」
ジェミニストームとの最初の試合で入院してしまい、ベッドの上で悔しげだった半田達。
真・帝国学園との試合の中での怪我が悪化して離脱した染岡。
……ジェネシスの圧倒的な力の前に、チームを離れた一郎太と栗松。
皆との思い出が、頭の中を駆け巡る。……皆を切り捨てたりなんかしてない。いつかまた一緒にサッカーが出来るって、そう信じてる!
それになんだ。こんな言い方、まるでリュウジや治達は弱いと、みんな道具だと言ってるようなもんだ。そんなの、絶対認めない!
「弱くなんかない!みんなを、サッカーを、侮辱するなッ!」
「いいえ、弱いのです。だから怪我をする。だからチームを去る。実力が無いから脱落してきたのです」
「違う!」
「彼らは、貴方達にとって無用の存在」
「違う、違う、違うッ!アイツらは弱くない!絶対に違う!俺が証明してやる!」
「あ……守兄!」
一人特攻していった守兄から、ヒロト君はすれ違いざまにボールを奪った。
何度も何度も突っ込んで、ぶつかり合って、衝動のままに怒りを向けるだけの、守兄らしくない荒々しいプレー。
それを流すように相手しているヒロト君は、笑っていた。まるで、遊んでいるみたいに。
……多分、一歩間違えたら、あたしも同じようにしていた。守兄が先に動いて、その怒りを込めたプレーを見たからこそ、逆に冷静になった。
気持ちはよく分かる。あたしだって怒ってる。でも、その怒りをサッカーを通してぶつけたらダメなんだ。
あたし達がそんなプレーをしちゃ、ダメなんだ。
「円堂くん、キーパーに戻りなよ。君がキーパーじゃないと、倒し甲斐がないよ」
「黙れ!」
守兄をかわしたヒロト君がスーパーノヴァを放った。土門達がブロックに入って、それでもムゲン・ザ・ハンドは破られてしまったけど、前線から戻ってきた豪炎寺と士郎くんが蹴り返した。
あたしはヒロト君に渡らないように、トラップしてボールを押さえる。……今、跳ね上がってゴールポストに当たったボールに、一瞬だけ炎と氷が見えた。これは、もしかすると。
「全員でカバーしなければならないキーパー。君達の弱点であり、敗因となる」
「……そんなことないよ」
「あるさ。現に、彼らは無駄に傷ついているじゃないか」
「無駄じゃない!力を合わせて戦う。それが仲間の、雷門のサッカーってだけ!」
「それもいつまで持つかな」
痛めつけるようなジェネシスの猛攻が始まった。ボールを奪おうと向かって行っても、押し切れずに吹き飛ばされてしまう。
何より守兄だ。アイツらは弱くない。俺が証明する。怒りに身を任せたプレーを続けて、動きも単調になっていって、翻弄されっぱなしだ。
なんとか弾いたボールがラインを割って、試合が一旦止まる。防戦一方で、体力の消耗が激しい。まずい。特に、守兄がこのままだと。
「ボールを寄越せえっ!」
こんな守兄は初めてだ。守兄はいつだってサッカーに対してまっすぐで、あんなプレーをするのは一度も見たことない。
それ程までに怒ってて、抑えきれずに爆発させて。ただただ、感情のままに動いてる。だから甘さが目立つプレーになってる。
フォローを入れつつも、誰も声をかけようとはしない。つまるところ、みんな気持ちは同じで、分かるからこそ何と言えばいいか分からない。
前半戦が終わった。
テクニカルエリアで座り込んだ守兄は、息を切らしながらも、吉良を怒りのこもった目で睨んでいる。
「円堂くん」
誰も何も言えない中で声をかけたのは、瞳子さんだった。
「風丸達は弱くない。俺が証明します!……しなきゃならないんです、俺が……!」
「……私も最初はそう思っていた。私一人の力で、父の目を覚まさせようって」
「監督?」
「でも、出来なかった。誰かの心を、考えを変えさせるなんて大変なこと。一人の力でなんて、とても出来ない」
「瞳子さん……」
「ただ、一人では無理でも、みんなの力をあわせれば、どんなことでも出来る。それを教えてくれたのは、円堂くん、貴方達よ」
「俺達……?」
「そうだよ、キャプテン。僕を間違った考えから解き放ってくれたのも、雷門のみんなだ」
「みんな……」
拳を握り締めた守兄は、右腕を振りかぶると、顔に向かって振り抜いた。衝撃でしりもちをついた守兄は、みんなが驚いてるのをよそに立ち上がると、頭を下げた。
「ごめん!」
「……円堂。怒っているのはお前だけじゃない」
「俺達全員、ここに来れなかった奴らの気持ちを引き継いでいるつもりだ」
「豪炎寺、鬼道」
「そいつらが弱くねえってこと、証明しようぜ!」
「やろう、円堂!一緒に!」
「みんな……」
いつものサッカーが大好きな守兄に戻った。お互いに顔を見合わせて、笑う。全員の気持ちが、改めて一つになる。
「絶対に、勝つ!」
「「「おーっ!」」」
フィールドに立ってても、ベンチに座ってても、勝ちたいという思いは同じ。今、本当の意味で、地上最強のチームになった。そんな気がした。
「立向居!頼んだぜ!」
「立向居なら、きっとやれるから!」
「は……はい!」
ピーッ!
「後半開始!1対2とリードされている雷門!ジェネシスの強烈な攻撃と鉄壁の守備に!どう立ち向かうのか!」
「……ヒロト!」
「君に俺を抜くことは出来ない」
「守兄、ヒロト……」
一瞬だけ守兄は歯を食い縛ると、意表を突くように、後ろから上がってきていた鬼道へバックパスを出した。
みんなが、仲間がいる。だから、一人でプレイする必要なんてない。ジェネシスが一人ひとりが最強を目指すというなら、雷門は全員で、チームで最強を目指す!
「甘く見ないでよね!」
「……前半とは違うというわけか!」
動きが乱れない。前半以上に周りが見える。息遣いさえもわかりそうだ。この感覚は、あの技の鍵になるかもしれない。
「マリンアクセル!」
「何だ……どうなっている!?」
……あたし達の仲間は、今ここにいる人達だけじゃない。ここまで戦ってきてくれた。新しく加わってくれた。いつも見守ってくれた。沢山の仲間がいたから、ここまで来れた!
「俺達の強さは、そんな仲間達と共にあるんだ!」
蹴り上げられたボールに向かって、守兄、鬼道、土門が三角形のサークルを描きながら跳び上がった。一度、二度蹴り込まれて、深い紫が炸裂する。
「「「デスゾーン2!!!」」」
時空の壁に阻まれつつも、勢いは殺されることなく、紫の光はゴールへと突き刺さった。これが仲間の、雷門の力だ!
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スコアボードをまじまじと見つめる。士郎くんのおかげで同点に追い付いたかと思えば、シュートは止められて、また差をつけられてしまった。
……気持ちを切り替えないと。ユニフォームの裾で冷や汗を拭った時、耳に飛び込んできた吉良の言葉に絶句した。
「ジェネシスこそ新たなる人の形。世界を支配する真の力を持つ子供達です」
なんだよ、それ。
「っ、大好きなサッカーを穢すな!」
「どういう意味です?」
「力とは、みんなが努力して付けるものなんだ!」
「忘れたんですか?貴方達もエイリア石でパワーアップしたジェミニやイプシロンと戦う事で、強くなったということを」
守兄の叫びを、吉良は切り捨てた。……確かに、確かにそうかもしれないけど、それだけじゃない。
唇を噛みしめ、拳を握る。みんなも、敵意を剥き出しにして吉良を睨み付けていた。
「そう、エイリア石を利用したという意味では、ジェネシスも雷門も同じなのです」
「……あたし達はエイリア学園を倒すために強くなった。けど、利用なんかしてない。雷門は特訓に特訓を重ねたんだ!」
「本当にそれだけなのでしょうか。雷門もすっかりメンバーが変わって強くなりましたね」
心臓が跳ねた。チームから離れた仲間達。前に、雷門だけど雷門じゃない奴も結構いるのだと、条兄に言われたのを思い出した。
「道具を入れ換えたこそここまで強くなれたんです。我がエイリア学園と同じく、弱い者を切り捨て、より強い者へ入れ換えたことで」
……道具?誰が?道具って、あたし達のことを指してるっていうのか。
入れ換えたから強くなった?一郎太が、染岡が、半田が、影野が、マックスが、栗松、宍戸、少林が……弱いだって?
「ふざけるな!弱いからじゃない!」
「みんなは弱くなんかないっ!」
ジェミニストームとの最初の試合で入院してしまい、ベッドの上で悔しげだった半田達。
真・帝国学園との試合の中での怪我が悪化して離脱した染岡。
……ジェネシスの圧倒的な力の前に、チームを離れた一郎太と栗松。
皆との思い出が、頭の中を駆け巡る。……皆を切り捨てたりなんかしてない。いつかまた一緒にサッカーが出来るって、そう信じてる!
それになんだ。こんな言い方、まるでリュウジや治達は弱いと、みんな道具だと言ってるようなもんだ。そんなの、絶対認めない!
「弱くなんかない!みんなを、サッカーを、侮辱するなッ!」
「いいえ、弱いのです。だから怪我をする。だからチームを去る。実力が無いから脱落してきたのです」
「違う!」
「彼らは、貴方達にとって無用の存在」
「違う、違う、違うッ!アイツらは弱くない!絶対に違う!俺が証明してやる!」
「あ……守兄!」
一人特攻していった守兄から、ヒロト君はすれ違いざまにボールを奪った。
何度も何度も突っ込んで、ぶつかり合って、衝動のままに怒りを向けるだけの、守兄らしくない荒々しいプレー。
それを流すように相手しているヒロト君は、笑っていた。まるで、遊んでいるみたいに。
……多分、一歩間違えたら、あたしも同じようにしていた。守兄が先に動いて、その怒りを込めたプレーを見たからこそ、逆に冷静になった。
気持ちはよく分かる。あたしだって怒ってる。でも、その怒りをサッカーを通してぶつけたらダメなんだ。
あたし達がそんなプレーをしちゃ、ダメなんだ。
「円堂くん、キーパーに戻りなよ。君がキーパーじゃないと、倒し甲斐がないよ」
「黙れ!」
守兄をかわしたヒロト君がスーパーノヴァを放った。土門達がブロックに入って、それでもムゲン・ザ・ハンドは破られてしまったけど、前線から戻ってきた豪炎寺と士郎くんが蹴り返した。
あたしはヒロト君に渡らないように、トラップしてボールを押さえる。……今、跳ね上がってゴールポストに当たったボールに、一瞬だけ炎と氷が見えた。これは、もしかすると。
「全員でカバーしなければならないキーパー。君達の弱点であり、敗因となる」
「……そんなことないよ」
「あるさ。現に、彼らは無駄に傷ついているじゃないか」
「無駄じゃない!力を合わせて戦う。それが仲間の、雷門のサッカーってだけ!」
「それもいつまで持つかな」
痛めつけるようなジェネシスの猛攻が始まった。ボールを奪おうと向かって行っても、押し切れずに吹き飛ばされてしまう。
何より守兄だ。アイツらは弱くない。俺が証明する。怒りに身を任せたプレーを続けて、動きも単調になっていって、翻弄されっぱなしだ。
なんとか弾いたボールがラインを割って、試合が一旦止まる。防戦一方で、体力の消耗が激しい。まずい。特に、守兄がこのままだと。
「ボールを寄越せえっ!」
こんな守兄は初めてだ。守兄はいつだってサッカーに対してまっすぐで、あんなプレーをするのは一度も見たことない。
それ程までに怒ってて、抑えきれずに爆発させて。ただただ、感情のままに動いてる。だから甘さが目立つプレーになってる。
フォローを入れつつも、誰も声をかけようとはしない。つまるところ、みんな気持ちは同じで、分かるからこそ何と言えばいいか分からない。
前半戦が終わった。
テクニカルエリアで座り込んだ守兄は、息を切らしながらも、吉良を怒りのこもった目で睨んでいる。
「円堂くん」
誰も何も言えない中で声をかけたのは、瞳子さんだった。
「風丸達は弱くない。俺が証明します!……しなきゃならないんです、俺が……!」
「……私も最初はそう思っていた。私一人の力で、父の目を覚まさせようって」
「監督?」
「でも、出来なかった。誰かの心を、考えを変えさせるなんて大変なこと。一人の力でなんて、とても出来ない」
「瞳子さん……」
「ただ、一人では無理でも、みんなの力をあわせれば、どんなことでも出来る。それを教えてくれたのは、円堂くん、貴方達よ」
「俺達……?」
「そうだよ、キャプテン。僕を間違った考えから解き放ってくれたのも、雷門のみんなだ」
「みんな……」
拳を握り締めた守兄は、右腕を振りかぶると、顔に向かって振り抜いた。衝撃でしりもちをついた守兄は、みんなが驚いてるのをよそに立ち上がると、頭を下げた。
「ごめん!」
「……円堂。怒っているのはお前だけじゃない」
「俺達全員、ここに来れなかった奴らの気持ちを引き継いでいるつもりだ」
「豪炎寺、鬼道」
「そいつらが弱くねえってこと、証明しようぜ!」
「やろう、円堂!一緒に!」
「みんな……」
いつものサッカーが大好きな守兄に戻った。お互いに顔を見合わせて、笑う。全員の気持ちが、改めて一つになる。
「絶対に、勝つ!」
「「「おーっ!」」」
フィールドに立ってても、ベンチに座ってても、勝ちたいという思いは同じ。今、本当の意味で、地上最強のチームになった。そんな気がした。
「立向居!頼んだぜ!」
「立向居なら、きっとやれるから!」
「は……はい!」
ピーッ!
「後半開始!1対2とリードされている雷門!ジェネシスの強烈な攻撃と鉄壁の守備に!どう立ち向かうのか!」
「……ヒロト!」
「君に俺を抜くことは出来ない」
「守兄、ヒロト……」
一瞬だけ守兄は歯を食い縛ると、意表を突くように、後ろから上がってきていた鬼道へバックパスを出した。
みんなが、仲間がいる。だから、一人でプレイする必要なんてない。ジェネシスが一人ひとりが最強を目指すというなら、雷門は全員で、チームで最強を目指す!
「甘く見ないでよね!」
「……前半とは違うというわけか!」
動きが乱れない。前半以上に周りが見える。息遣いさえもわかりそうだ。この感覚は、あの技の鍵になるかもしれない。
「マリンアクセル!」
「何だ……どうなっている!?」
……あたし達の仲間は、今ここにいる人達だけじゃない。ここまで戦ってきてくれた。新しく加わってくれた。いつも見守ってくれた。沢山の仲間がいたから、ここまで来れた!
「俺達の強さは、そんな仲間達と共にあるんだ!」
蹴り上げられたボールに向かって、守兄、鬼道、土門が三角形のサークルを描きながら跳び上がった。一度、二度蹴り込まれて、深い紫が炸裂する。
「「「デスゾーン2!!!」」」
時空の壁に阻まれつつも、勢いは殺されることなく、紫の光はゴールへと突き刺さった。これが仲間の、雷門の力だ!
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