第35話 最終決戦!ザ・ジェネシス・前編!!
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「しろ……士郎くん!」
「美波ちゃん」
右手を上げれば、パチンと音を立てて士郎くんの右手が合わさった。
「凄かったよ!あの、今のって、アツヤとの技だよね!」
「覚えててくれたんだ。……今の僕なら、使えると思ったんだ」
「そっか……。見つけられたんだね、士郎くんの完璧を」
「僕は、アツヤと僕が、二人がいれば完璧なんだと思ってた。でも、違うんだ。力を合わせて、仲間と一つになることが完璧なんだ」
「うんうん!さっきの豪炎寺との連携もバッチリだった!」
「雷門の、皆のおかげで、僕は一人じゃないんだって気付けた。……ね、どうだった?」
「え?もちろん、凄くカッコよかった!エース復活だ!」
「もう、美波ちゃんは……」
「ん?」
「凄いぞ!吹雪!」
皆も走り寄って来た。嬉しそうな士郎くんに、あたしの嬉しさも倍になる。
「やったね、士郎くん!」
「うん!」
「ん?あれ、呼び方……?」
「今は、士郎くんの方がいいかなって!」
思えばアツ君呼びはとっくにやめてるし。改めて吹雪士郎と向き合う上で、今の彼は士郎くんと呼ぶべきな気がした。
「へえ……」
「僕はなんでも。美波ちゃんに呼んでもらえるなら」
「……そうか」
「不機嫌になっている場合ではないぞ、円堂」
「……分かってるって。よし、皆!この調子で攻めていくぞ!」
「「「おーっ!」」」
士郎くんが見つけた"完璧"。そして、新必殺技ウルフレジェンドでの得点は、太刀打ち出来ないかもしれないないという一抹の不安を吹き飛ばしていった。
スコアボードは1ー1。まだまだ前半。油断なんて、一瞬でも出来ない。それでも、雷門には確実に追い風が吹き始めている。
「(あとは……)」
唯一、暗い色を浮かべる、今の雷門のゴールを守る彼だ。
ホイッスルが高らかに鳴り響き、ジェネシスのボールで試合が動き出す。
「ヒロト……!」
「……少しは認めてあげるよ。雷門は俺達と戦うに値すると!」
「どうせなら、全部認めてもらいたいな!」
舌打ちしたヒロト君がバックパスを出す。誰から攻めてくる。また玲名か、それとも。パスは、ダイレクトで即座にヒロト君へ返った。
「そっちかよ!っ、立向居!」
ヒロト君が塔子達を抜いた。ゴールを守るのは、立向居だけだ。
両の手のひらを見る立向居は、何か考えてるようだった。……もう、声はかけなくていい。大丈夫。立向居だって、諦めないという気持ちを、分かってるから!
「諦めない……俺だって……!」
「流星ブレード!」
「俺だって、雷門の、一員なんだ!!」
そう叫んだ立向居の顔は自信に満ち溢れていて、本当の意味で雷門のゴールキーパーになれたんだって思った。
両手を頭上で打ち合わせる。シュートを迎え撃つべく飛び出した黄金の腕の本数は、増えていた。
「ムゲン・ザ・ハンド!」
六本の腕はがっちりと流星ブレードを押さえ付け、見事に止め切った。……パワーアップしたんだ!
「究極奥義は進化するんだ!俺が諦めない限り、何度でも!」
「……グラン」
「たかがシュート一つ止められただけだ」
たかが、か……。ヒロト君達にとってはそうかもしれないけど、あたし達にとっては全然違う。
士郎くんがウルフレジェンドを決めて、立向居がムゲン・ザ・ハンドを進化させた。試合の中でも、攻守共にレベルアップしている。
仲間が頑張ってる。強くなってる。だから負けてられないって、また頑張る。仲間の活躍が、 あたし達の力になるんだ!
「その調子だ!立向居、頑張ろう!」
「はい!」
その時だった。爆音と共に、グラウンドが揺れた。何この震動……何が起きたの?
「ご苦労様、鬼瓦刑事。しかし貴方達の苦労も残念ならが無駄だったようです」
モニターに吉良の姿が映る。この揺れは鬼瓦さん達がしたものだったんだ。吉良の話しぶりからして、爆発が起きたのはあのエイリア石の部屋。
人間を強化するエイリア石。鬼瓦さんは、そのエナジー供給を断つことで、ジェネシスを弱体化させようとした。
けれど、吉良の計画は更に上をいっていた。ジェミニストームやイプシロンを相手に、人間自身の能力を鍛えた。それがジェネシス。
「そうです!ジェネシスは、ジェネシスの力は、真の人間の力。弱点などない、最高最強の人間達なのです!」
「何だって……!?」
ジェネシスは、エイリア石を使ってない。あたし達と同じように、強くなった人間。
「くそっ」
あの時引っ掛かったのは、このことだったんだ……!だから、ヒロト君は……。
「ジェネシスこそ新たなる人の形。ジェネシス計画そのものなのです!」
「お前の勝手で!皆の大好きなサッカーを悪い事に使うな!」
「そうだ!ヒロト達は、本当にこれでいいの!?」
「……君達に、崇高な考えの父さんを理解出来るわけない!」
言い捨てるなり、雷門陣内深くまで切り込んだヒロト君は、流星ブレードを放った。パーフェクト・タワーで辛うじて防いで、すかさず守兄が士郎くんへボールを送る。
「ウルフレジェンド!」
「時空の壁!」
「なっ……」
跳ね返ったボールは、そのままパスとなってヒロト君の元まで戻ってきた。合わせてジェネシス側が動く。……まさか、連携技!
これは撃たせたらダメだ。近くにいた9番を追う。ウィーズ――いや……。
「……由宇!」
「呼ぶんじゃねえよ!」
「何度だって呼んでやる!由宇!布美子!ルル!」
覚えてる。ちゃんと、覚えてる。あの頃、お日さま園にいた子供達。あたしの、友達だ!
「……見せてやらなきゃわかんねえようだな!」
「あたしバカらしいから見てもわかんないかもね!」
「ハッ、じゃあ……試してみようぜ」
ヒロト君、玲名、由宇が、揃った。
「これが、ジェネシスの力だ!」
ボールを背を向けた状態で囲むと、エネルギーを孕んだ禍々しい紫色のオーラが立ち上る。高く跳躍した三人が、浮かび上がった気の塊に向かって、衝撃波を放つように足を振り上げた。
「「「スーパーノヴァ!!!」」」
スーパーノヴァ。その名の通り超新星爆発のようなシュートは、進化したムゲン・ザ・ハンドさえも破ってしまった。
「我ら、ジェネシスこそが最強ということだ!」
「ヒロト……」
まるで、これが正しい事なのだとあたし達に訴えかけるような、自分にも言い聞かせるような言葉に、あたしは何も言えなかった。
→あとがき
「美波ちゃん」
右手を上げれば、パチンと音を立てて士郎くんの右手が合わさった。
「凄かったよ!あの、今のって、アツヤとの技だよね!」
「覚えててくれたんだ。……今の僕なら、使えると思ったんだ」
「そっか……。見つけられたんだね、士郎くんの完璧を」
「僕は、アツヤと僕が、二人がいれば完璧なんだと思ってた。でも、違うんだ。力を合わせて、仲間と一つになることが完璧なんだ」
「うんうん!さっきの豪炎寺との連携もバッチリだった!」
「雷門の、皆のおかげで、僕は一人じゃないんだって気付けた。……ね、どうだった?」
「え?もちろん、凄くカッコよかった!エース復活だ!」
「もう、美波ちゃんは……」
「ん?」
「凄いぞ!吹雪!」
皆も走り寄って来た。嬉しそうな士郎くんに、あたしの嬉しさも倍になる。
「やったね、士郎くん!」
「うん!」
「ん?あれ、呼び方……?」
「今は、士郎くんの方がいいかなって!」
思えばアツ君呼びはとっくにやめてるし。改めて吹雪士郎と向き合う上で、今の彼は士郎くんと呼ぶべきな気がした。
「へえ……」
「僕はなんでも。美波ちゃんに呼んでもらえるなら」
「……そうか」
「不機嫌になっている場合ではないぞ、円堂」
「……分かってるって。よし、皆!この調子で攻めていくぞ!」
「「「おーっ!」」」
士郎くんが見つけた"完璧"。そして、新必殺技ウルフレジェンドでの得点は、太刀打ち出来ないかもしれないないという一抹の不安を吹き飛ばしていった。
スコアボードは1ー1。まだまだ前半。油断なんて、一瞬でも出来ない。それでも、雷門には確実に追い風が吹き始めている。
「(あとは……)」
唯一、暗い色を浮かべる、今の雷門のゴールを守る彼だ。
ホイッスルが高らかに鳴り響き、ジェネシスのボールで試合が動き出す。
「ヒロト……!」
「……少しは認めてあげるよ。雷門は俺達と戦うに値すると!」
「どうせなら、全部認めてもらいたいな!」
舌打ちしたヒロト君がバックパスを出す。誰から攻めてくる。また玲名か、それとも。パスは、ダイレクトで即座にヒロト君へ返った。
「そっちかよ!っ、立向居!」
ヒロト君が塔子達を抜いた。ゴールを守るのは、立向居だけだ。
両の手のひらを見る立向居は、何か考えてるようだった。……もう、声はかけなくていい。大丈夫。立向居だって、諦めないという気持ちを、分かってるから!
「諦めない……俺だって……!」
「流星ブレード!」
「俺だって、雷門の、一員なんだ!!」
そう叫んだ立向居の顔は自信に満ち溢れていて、本当の意味で雷門のゴールキーパーになれたんだって思った。
両手を頭上で打ち合わせる。シュートを迎え撃つべく飛び出した黄金の腕の本数は、増えていた。
「ムゲン・ザ・ハンド!」
六本の腕はがっちりと流星ブレードを押さえ付け、見事に止め切った。……パワーアップしたんだ!
「究極奥義は進化するんだ!俺が諦めない限り、何度でも!」
「……グラン」
「たかがシュート一つ止められただけだ」
たかが、か……。ヒロト君達にとってはそうかもしれないけど、あたし達にとっては全然違う。
士郎くんがウルフレジェンドを決めて、立向居がムゲン・ザ・ハンドを進化させた。試合の中でも、攻守共にレベルアップしている。
仲間が頑張ってる。強くなってる。だから負けてられないって、また頑張る。仲間の活躍が、 あたし達の力になるんだ!
「その調子だ!立向居、頑張ろう!」
「はい!」
その時だった。爆音と共に、グラウンドが揺れた。何この震動……何が起きたの?
「ご苦労様、鬼瓦刑事。しかし貴方達の苦労も残念ならが無駄だったようです」
モニターに吉良の姿が映る。この揺れは鬼瓦さん達がしたものだったんだ。吉良の話しぶりからして、爆発が起きたのはあのエイリア石の部屋。
人間を強化するエイリア石。鬼瓦さんは、そのエナジー供給を断つことで、ジェネシスを弱体化させようとした。
けれど、吉良の計画は更に上をいっていた。ジェミニストームやイプシロンを相手に、人間自身の能力を鍛えた。それがジェネシス。
「そうです!ジェネシスは、ジェネシスの力は、真の人間の力。弱点などない、最高最強の人間達なのです!」
「何だって……!?」
ジェネシスは、エイリア石を使ってない。あたし達と同じように、強くなった人間。
「くそっ」
あの時引っ掛かったのは、このことだったんだ……!だから、ヒロト君は……。
「ジェネシスこそ新たなる人の形。ジェネシス計画そのものなのです!」
「お前の勝手で!皆の大好きなサッカーを悪い事に使うな!」
「そうだ!ヒロト達は、本当にこれでいいの!?」
「……君達に、崇高な考えの父さんを理解出来るわけない!」
言い捨てるなり、雷門陣内深くまで切り込んだヒロト君は、流星ブレードを放った。パーフェクト・タワーで辛うじて防いで、すかさず守兄が士郎くんへボールを送る。
「ウルフレジェンド!」
「時空の壁!」
「なっ……」
跳ね返ったボールは、そのままパスとなってヒロト君の元まで戻ってきた。合わせてジェネシス側が動く。……まさか、連携技!
これは撃たせたらダメだ。近くにいた9番を追う。ウィーズ――いや……。
「……由宇!」
「呼ぶんじゃねえよ!」
「何度だって呼んでやる!由宇!布美子!ルル!」
覚えてる。ちゃんと、覚えてる。あの頃、お日さま園にいた子供達。あたしの、友達だ!
「……見せてやらなきゃわかんねえようだな!」
「あたしバカらしいから見てもわかんないかもね!」
「ハッ、じゃあ……試してみようぜ」
ヒロト君、玲名、由宇が、揃った。
「これが、ジェネシスの力だ!」
ボールを背を向けた状態で囲むと、エネルギーを孕んだ禍々しい紫色のオーラが立ち上る。高く跳躍した三人が、浮かび上がった気の塊に向かって、衝撃波を放つように足を振り上げた。
「「「スーパーノヴァ!!!」」」
スーパーノヴァ。その名の通り超新星爆発のようなシュートは、進化したムゲン・ザ・ハンドさえも破ってしまった。
「我ら、ジェネシスこそが最強ということだ!」
「ヒロト……」
まるで、これが正しい事なのだとあたし達に訴えかけるような、自分にも言い聞かせるような言葉に、あたしは何も言えなかった。
→あとがき