第39話 友情の究極奥義!
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意識が朦朧として、闇に落ちかけた時、声が聞こえた。
「らーいーもん!らーいーもん!らーいーもん!」
「らーいーもん!らーいーもん!らーいーもん!」
「らーいーもん!らーいーもん!らーいーもん!」
……秋達の声だ。雷門コール。ううん、秋達だけじゃない。雷門中の外からも聞こえる。
奈良、北海道、京都、大阪、福岡、沖縄……そして東京。今まで出会ってきた人達の声が、聞こえたように思えた。
立つんだ、立たないと。みんなが応援してくれてる。まだ戦える。震える手と足に力を込めて、あと、少し。
「美波ちゃん」
「しろう、くん」
「まだ、試合は終わってない。そうだよね」
自分もボロボロなのに、士郎くんは手を差し出して、あたしを立ち上がらせてくれた。少しふらついてしまったのを、条兄も笑いながら支えてくれる。
「おいおい大丈夫か!俺達、まだまだやれるだろ!なあ!」
「ああ!」
「もちろんさ!」
守兄もボールに手をかけて、ゆっくりと体を起こすと、ボールを投げた。
「まだまだ………終わってねーぞ!!!」
そうだね、守兄。まだまだ、試合は終わっちゃいない。
勝利の女神がどちらに微笑むかなんて、最後までわからない。だから諦めない。それが、雷門の、あたし達のサッカー!
「っ、うああああ!!!」
「「「ダークフェニックス!!!」」」
「うおおお!ゴッドハンドッ!」
虹色に光輝いた大きな手が、闇に染まったシュートを受け止めた。ゴッドハンドが、進化した……!
「思い出せ、みんなーーーッ!!!」
守兄が持ったボールから、優しい光が溢れる。
――サッカーやろうぜ!
響くのはお決まりの言葉だ。また、みんなで楽しいサッカーをしたい。ただ、それだけの思いが、胸を打つ。
「円堂……」
ぱりん、とエイリア石が割れた音と同時に聞こえた、一郎太の声。よかった、戻ったんだ。
「よかっ……た………」
「! 美波ちゃんっ!」
そこであたしの意識は途切れた。
……美波!……美波!
「うん……?」
「っ、美波!」
「……一郎太だ」
呼ぶ声に目を開ければ、そこには心配そうな顔の、いつもの一郎太がいた。
「ごめん、美波。俺……」
「謝るのはあたしの方。自分のことばかりで、一郎太を傷つけた。……ごめんなさい」
「いや、俺もだ。それに、無かったことにしようとしたのは、お互い様だろ」
「……うん」
会話が途切れた。お互いに忘れようとしていたこと。本当は、一郎太は言いたかった。でも諦めた。……あたしに合わせて、無かったことにしてくれたんだと思う。
「円堂が待ってる。行ってやったらどうだ」
「一郎太は?」
「……俺はいい」
「守兄は一郎太のことも待ってるよ!妹のあたしが保証する。だからさ、いつもみたく手を貸して!」
立ち上がって、膝をついてる一郎太に手を出す。守兄が起きた時、一番に目にするべきは、あたしじゃない。
一郎太が手を取ってくれるまで、テコでも動いてやらない。その気持ちを察したのか、苦笑いを浮かべて、一郎太はあたしの手を握り返してくれた。
「いつもと逆だな」
「今日だけだよ」
「それはそれでどうなんだ」
周りを見渡すと、それぞれ起きたり起こされたり。その中に、チラチラと守兄に視線をやっては気まずそうにしている二人を発見した。
「染岡ぁ!半田ぁ!集合!」
「げっ」
「げ、じゃない!というか雷門全員集まれ!守兄起こすから!」
「でも俺達……」
「うるさい!黙って来い!」
染岡と半田の腕を掴んで、引きずってやろうと思いきり引っ張っる。意外にも素直に従うつもりだったらしく、勢いあまって三人揃って転んだ。なんでこうなるんだ……。
「重い重い重い!」
「だってさ染岡」
「おまえも乗ってるだろうが!」
「なんでもいいから早くどいてくれよ……!」
「何してるんだ三人して……」
「ごめん一郎太、もっかい手貸して」
「仕方ないな」
「……嬉しそうだね」
「そりゃそうだよ。美波相手なんだから」
「影野!マックス!」
「いいからどいてくれないか!?」
「半田ごめーん!」
ばか騒ぎになったけど、楽しかったのは秘密だ。気を取り直して守兄の元へ向かう。西垣には一之瀬と土門が、杉森には鬼道が付き添っている。
ゴール前で倒れている守兄に、みんなが円堂、キャプテンと口々に声をかける。少しして、守兄が目を開いた。
「……風丸、染岡」
「円堂」
「お前達……!」
「「「円堂!」」」
「「「キャプテン!」」」
「宍戸!栗松!少林!マックス!半田!影野!」
「……効いたよ、お前のゴッドハンドは」
「みんな……思い出したんだな!やった!やったぞーーーっ!」
グラウンドに守兄の声が響き渡る。中には泣いてる奴もいた。かくいうあたしも、頑張って耐えてる。
泣くなよ、とぽんと手を頭に置いてきた染岡のユニフォームで、涙と鼻水を拭いた。拭きにくいと文句をつけたら、チョップされた。だって拭きにくいし。
「きたねえ……」
「今更だけど全然似合ってないね。何それ、変なの」
「おい」
「もっと違うのがいいよ。青と黄色のとか」
「……そうかよ」
だってそうだ。一年以上、見てきたんだから。このユニフォームは仲間の証だ。
「美波ちゃん、ヒロトくん達のこと変なのって思ってたんだ」
「え? いやちがっ……ヒロトじゃなくてユニフォームだし……あれはあれでらしくて……?」
「無理せんでええよ」
「し、してないよ」
「よーし! 試合を続けるぞ!」
「「「おーっ!!」」」
思わぬ飛び火に焦る間もなく、試合は再開された。
そこからは、あたしがずっとやりたかった、楽しいサッカーだった。みんな笑顔でボールを追いかける。途中、豪炎寺のシュートが決まって3ー3の同点になった。
「いくぞ!」
「いいぞ! こい!」
どこか憑き物が落ちたような、晴れやかな顔の一郎太が放ったシュートを、守兄が止めた。
「いいシュートだ! 風丸!」
ピッピッピ――!
丁度そこでホイッスルが鳴る。試合は同点で終わった。決着はつかなかった。でも、それでいい。この試合は、これで良かったんだ。
「よーし! 円堂を胴上げだ!」
「「「おーっ!」」」
「え、何で!? ちょっと!」
「これはお礼だ!」
「えっ塔子!?」
みんなで集まったのに紛れて、塔子が守兄の頬にキスをした。うわ、守兄の顔が赤い。それとは対照的に、秋となっちゃんは青い顔をしている。
「塔子さんは積極的だなあ」
「……そうだね?」
「僕も見習おうかな。ねえ、美波ちゃん」
「えっ」
何を言ってるんだ。隣を向いた瞬間、士郎くんの顔のドアップに、思考が止まった。
「「あーーーっ!!!」」
叫び声を上げた守兄と一郎太が、物凄いスピードで走ってくる。一郎太は士郎くんを押し退けると、思いっきりあたしの頬を擦った。
「いたたたた! 摩擦が!」
「何やってんだ吹雪!」
「塔子さんの見てたよね?お礼だよ?」
「き、キスって……しかもこれがお礼って、何やってんだよ!」
「口ではないけどね」
「……そうなのか」
「う、うん」
士郎くんがしたのは口の端だ。だからセーフ……。いや何が……セーフなんだろう……。
さっきから守兄に両肩を掴まれ揺さぶられ続けている士郎くんは、どこ吹く風といった顔だ。凄い前後してるんだけど大丈夫なんだろうか。
「口の方が良かったかなあ」
「駄目に決まってるだろ」
「円堂、顔」
「オチが酷いな」
「もういいよ。ある意味いつも通りだから」
「久しぶりに見ました! キャプテンのアレ!」
「なんだか安心したでやんす!」
「やっぱりキャプテンはこうでないと!」
「いいんだ……これで……」
「というか風丸! さっきは」
「おい円堂! まだ胴上げは終わってないぞ!」
「うわっ」
あ、条兄が守兄を強制連行した。胴上げされるがままになってる。……凄いな、条兄。流石は三年生。
美波先輩もやりますか?という春ちゃんからの胴上げの提案を断ったところで、財前総理と響木監督の会話が聞こえてきた。
「まったく。彼は一体何者なんだ?」
「決まってるでしょう。世界一……いや、宇宙一のサッカーバカだ」
「彼にとって、最高の褒め言葉だな」
宇宙一のサッカーバカ、か。確かにそうかも。守兄なら、不可能も簡単に可能に変えてしまいそうだ。
「「みんな! サッカーやろうぜ!」」
→あとがき
「らーいーもん!らーいーもん!らーいーもん!」
「らーいーもん!らーいーもん!らーいーもん!」
「らーいーもん!らーいーもん!らーいーもん!」
……秋達の声だ。雷門コール。ううん、秋達だけじゃない。雷門中の外からも聞こえる。
奈良、北海道、京都、大阪、福岡、沖縄……そして東京。今まで出会ってきた人達の声が、聞こえたように思えた。
立つんだ、立たないと。みんなが応援してくれてる。まだ戦える。震える手と足に力を込めて、あと、少し。
「美波ちゃん」
「しろう、くん」
「まだ、試合は終わってない。そうだよね」
自分もボロボロなのに、士郎くんは手を差し出して、あたしを立ち上がらせてくれた。少しふらついてしまったのを、条兄も笑いながら支えてくれる。
「おいおい大丈夫か!俺達、まだまだやれるだろ!なあ!」
「ああ!」
「もちろんさ!」
守兄もボールに手をかけて、ゆっくりと体を起こすと、ボールを投げた。
「まだまだ………終わってねーぞ!!!」
そうだね、守兄。まだまだ、試合は終わっちゃいない。
勝利の女神がどちらに微笑むかなんて、最後までわからない。だから諦めない。それが、雷門の、あたし達のサッカー!
「っ、うああああ!!!」
「「「ダークフェニックス!!!」」」
「うおおお!ゴッドハンドッ!」
虹色に光輝いた大きな手が、闇に染まったシュートを受け止めた。ゴッドハンドが、進化した……!
「思い出せ、みんなーーーッ!!!」
守兄が持ったボールから、優しい光が溢れる。
――サッカーやろうぜ!
響くのはお決まりの言葉だ。また、みんなで楽しいサッカーをしたい。ただ、それだけの思いが、胸を打つ。
「円堂……」
ぱりん、とエイリア石が割れた音と同時に聞こえた、一郎太の声。よかった、戻ったんだ。
「よかっ……た………」
「! 美波ちゃんっ!」
そこであたしの意識は途切れた。
……美波!……美波!
「うん……?」
「っ、美波!」
「……一郎太だ」
呼ぶ声に目を開ければ、そこには心配そうな顔の、いつもの一郎太がいた。
「ごめん、美波。俺……」
「謝るのはあたしの方。自分のことばかりで、一郎太を傷つけた。……ごめんなさい」
「いや、俺もだ。それに、無かったことにしようとしたのは、お互い様だろ」
「……うん」
会話が途切れた。お互いに忘れようとしていたこと。本当は、一郎太は言いたかった。でも諦めた。……あたしに合わせて、無かったことにしてくれたんだと思う。
「円堂が待ってる。行ってやったらどうだ」
「一郎太は?」
「……俺はいい」
「守兄は一郎太のことも待ってるよ!妹のあたしが保証する。だからさ、いつもみたく手を貸して!」
立ち上がって、膝をついてる一郎太に手を出す。守兄が起きた時、一番に目にするべきは、あたしじゃない。
一郎太が手を取ってくれるまで、テコでも動いてやらない。その気持ちを察したのか、苦笑いを浮かべて、一郎太はあたしの手を握り返してくれた。
「いつもと逆だな」
「今日だけだよ」
「それはそれでどうなんだ」
周りを見渡すと、それぞれ起きたり起こされたり。その中に、チラチラと守兄に視線をやっては気まずそうにしている二人を発見した。
「染岡ぁ!半田ぁ!集合!」
「げっ」
「げ、じゃない!というか雷門全員集まれ!守兄起こすから!」
「でも俺達……」
「うるさい!黙って来い!」
染岡と半田の腕を掴んで、引きずってやろうと思いきり引っ張っる。意外にも素直に従うつもりだったらしく、勢いあまって三人揃って転んだ。なんでこうなるんだ……。
「重い重い重い!」
「だってさ染岡」
「おまえも乗ってるだろうが!」
「なんでもいいから早くどいてくれよ……!」
「何してるんだ三人して……」
「ごめん一郎太、もっかい手貸して」
「仕方ないな」
「……嬉しそうだね」
「そりゃそうだよ。美波相手なんだから」
「影野!マックス!」
「いいからどいてくれないか!?」
「半田ごめーん!」
ばか騒ぎになったけど、楽しかったのは秘密だ。気を取り直して守兄の元へ向かう。西垣には一之瀬と土門が、杉森には鬼道が付き添っている。
ゴール前で倒れている守兄に、みんなが円堂、キャプテンと口々に声をかける。少しして、守兄が目を開いた。
「……風丸、染岡」
「円堂」
「お前達……!」
「「「円堂!」」」
「「「キャプテン!」」」
「宍戸!栗松!少林!マックス!半田!影野!」
「……効いたよ、お前のゴッドハンドは」
「みんな……思い出したんだな!やった!やったぞーーーっ!」
グラウンドに守兄の声が響き渡る。中には泣いてる奴もいた。かくいうあたしも、頑張って耐えてる。
泣くなよ、とぽんと手を頭に置いてきた染岡のユニフォームで、涙と鼻水を拭いた。拭きにくいと文句をつけたら、チョップされた。だって拭きにくいし。
「きたねえ……」
「今更だけど全然似合ってないね。何それ、変なの」
「おい」
「もっと違うのがいいよ。青と黄色のとか」
「……そうかよ」
だってそうだ。一年以上、見てきたんだから。このユニフォームは仲間の証だ。
「美波ちゃん、ヒロトくん達のこと変なのって思ってたんだ」
「え? いやちがっ……ヒロトじゃなくてユニフォームだし……あれはあれでらしくて……?」
「無理せんでええよ」
「し、してないよ」
「よーし! 試合を続けるぞ!」
「「「おーっ!!」」」
思わぬ飛び火に焦る間もなく、試合は再開された。
そこからは、あたしがずっとやりたかった、楽しいサッカーだった。みんな笑顔でボールを追いかける。途中、豪炎寺のシュートが決まって3ー3の同点になった。
「いくぞ!」
「いいぞ! こい!」
どこか憑き物が落ちたような、晴れやかな顔の一郎太が放ったシュートを、守兄が止めた。
「いいシュートだ! 風丸!」
ピッピッピ――!
丁度そこでホイッスルが鳴る。試合は同点で終わった。決着はつかなかった。でも、それでいい。この試合は、これで良かったんだ。
「よーし! 円堂を胴上げだ!」
「「「おーっ!」」」
「え、何で!? ちょっと!」
「これはお礼だ!」
「えっ塔子!?」
みんなで集まったのに紛れて、塔子が守兄の頬にキスをした。うわ、守兄の顔が赤い。それとは対照的に、秋となっちゃんは青い顔をしている。
「塔子さんは積極的だなあ」
「……そうだね?」
「僕も見習おうかな。ねえ、美波ちゃん」
「えっ」
何を言ってるんだ。隣を向いた瞬間、士郎くんの顔のドアップに、思考が止まった。
「「あーーーっ!!!」」
叫び声を上げた守兄と一郎太が、物凄いスピードで走ってくる。一郎太は士郎くんを押し退けると、思いっきりあたしの頬を擦った。
「いたたたた! 摩擦が!」
「何やってんだ吹雪!」
「塔子さんの見てたよね?お礼だよ?」
「き、キスって……しかもこれがお礼って、何やってんだよ!」
「口ではないけどね」
「……そうなのか」
「う、うん」
士郎くんがしたのは口の端だ。だからセーフ……。いや何が……セーフなんだろう……。
さっきから守兄に両肩を掴まれ揺さぶられ続けている士郎くんは、どこ吹く風といった顔だ。凄い前後してるんだけど大丈夫なんだろうか。
「口の方が良かったかなあ」
「駄目に決まってるだろ」
「円堂、顔」
「オチが酷いな」
「もういいよ。ある意味いつも通りだから」
「久しぶりに見ました! キャプテンのアレ!」
「なんだか安心したでやんす!」
「やっぱりキャプテンはこうでないと!」
「いいんだ……これで……」
「というか風丸! さっきは」
「おい円堂! まだ胴上げは終わってないぞ!」
「うわっ」
あ、条兄が守兄を強制連行した。胴上げされるがままになってる。……凄いな、条兄。流石は三年生。
美波先輩もやりますか?という春ちゃんからの胴上げの提案を断ったところで、財前総理と響木監督の会話が聞こえてきた。
「まったく。彼は一体何者なんだ?」
「決まってるでしょう。世界一……いや、宇宙一のサッカーバカだ」
「彼にとって、最高の褒め言葉だな」
宇宙一のサッカーバカ、か。確かにそうかも。守兄なら、不可能も簡単に可能に変えてしまいそうだ。
「「みんな! サッカーやろうぜ!」」
→あとがき