第39話 友情の究極奥義!
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雷門は防戦一方で、体力はどんどん削られていく。膝をついては気力だけで立ち向かっていっている状況で、手も足も出ない。
体で弾き返した守兄も、倒れこんでしまった。
「もう邪魔する者はいない!」
「「「ダークフェニックス!」」」
「くっ……決めさせるものか! ムゲン・ザ・ハンド!」
じりじりと少しずつ立向居は押されていく。震える体を奮い起こして、足を動かす。あたしに、出来ることは……!
「立向居!」
「踏ん張れ!」
「円堂さん、美波さん……!」
守兄とで立向居の背中を支える。それだけでも伝わってくる、シュートの重さ。……止められなくてもいい。とにかく、ここでの追加点だけは阻止しないと、まずい。
「うおおおお! っく!」
「っあ!」
「うあっ!」
ボールはゴールポストに当たってラインを割った。良かった、防げた。
「大丈夫か!?」
「は、はい……ああっ」
「見せてみろ。……!」
「手、こんなになるまで……」
手を抑える立向居のグローブを取ると、シュートを受け続けたからか、赤く腫れあがっていた。肉刺も潰れている。
まだ戦えると断固として言い張る立向居に、あたしは首を振った。
「こんな怪我のままやったら、後に引くよ」
「でもっ、俺だって無茶は必殺技です!」
「うっ」
自分がよく言ってることを出されると、言い返しづらい。なんだかんだいって、無茶をするのは全員同じだ。
「どうする円堂。まだ続けるか?」
「何!?」
「見ろ、あの無様な姿を。もう諦めろ」
一郎太が目で示した先には、膝をつき、倒れている仲間達の姿があった。辛うじて立っているのは、あたしと守兄、立向居だけ。
……あたしは、みんなを無様だとは思わない。全力で戦ったんだ。それを格好悪いだなんて、思わない。
一郎太は、ああはなりたくない、おまえも同じだろうって、言いたいのかな。一郎太の言う力を得る前の自分を重ねて、否定したいのかな。
強さとか、弱さとか、基準も価値観も人それぞれで、簡単に片付けることはできない。それでも一つだけ、言い切れることがある。
「……いや、諦めない。諦めないぞ!」
守兄は、諦めない。
「ゴールは俺が守る!」
その言葉を待っていたかのように、ニヤリと一郎太が笑う。嬉しそうな様子に……怖いと思ってしまった。一郎太が怖いなんて、思いたくないのに。
「そうだ。美波、この試合が終わったら、ダークエンペラーズに入れよ」
「……何言ってるの」
「俺、お前と一緒に走りたかったんだ。……ずっと」
それだけ言うと、一郎太は背を向けた。不気味にうねる艶やかな水色が、今の歪んでしまった一郎太を表しているようだった。
一緒に、って。今までと何が違うっていうんだ。……あたしはずっと一緒にやってるつもりだったけど、一郎太はそうじゃなかったのかな。
「もう1点も入れさせない!何があっても!」
ユニフォームを着替え、守兄がキーパーに戻り、空いたポジションに立向居が入る。スローインを受けるなり、一郎太はゴール前に位置取った。
簡単には撃たせない。そのつもりでブロックに行こうとして、守兄に止められた。
「これは、俺と風丸の戦いだ!」
「円堂も言ってるんだ。やろうぜ、一対一で」
「……」
ここまで言われたら入るわけにはいかない。少し下がって、すぐに動けるよう構えておく。
「ははっ! ……勝負したかったんだ。キーパーのお前と!」
「臨むところだ!」
「行くぞ! はあああっ!」
「ぐ……うわっ!」
止め切れなかったシュートが上に滑った。勝利を確信したのか、一郎太がほくそ笑む。でも、
「まだだあっ!」
思いっきり地面を蹴った守兄は、背を反らせながら後方に跳んで、なんとかボールをキャッチした。一郎太の勝ち誇ったような笑みが崩れる。
「ゴールは俺が守る!」
「円堂……何故諦めない? ……それが、円堂……」
「風丸……。お前、どうしてエイリア石なんかに」
「俺は強くなりたかった。お前のように……!」
「!」
守兄が手を握り締める。辛そうな顔に、あたしも辛くなってくる。
強さってなんだろう。守兄にあって、一郎太にない強さって、なんだろう。もしそれがあったとして、一郎太にあって、守兄にはない強さも、あるんじゃないか。
……でも、一郎太の気持ちは、なんとなくわかる気がした。豪炎寺のシュートに憧れて、自分もあんな風になれたらと思ったことは何度もある。
まだ、帝国の練習試合から少し経った頃の話。焦る染岡に、守兄は言った。豪炎寺になろうとするな。おまえは染岡竜吾だって。
あたしはあたし。でも、憧れてしまったものはしょうがない。なりたいと思ってしまうのも。なりたい自分があるのは悪いことじゃない。原動力で、それも全部ひっくるめて、自分のサッカーだ。
守兄が、一郎太の足元へボールを投げた。
「来い! お前の全てを受け止める!」
「っ……はあああ!!!」
「ゴッドハンド!!!」
「何!?」
究極奥義の正義の鉄拳じゃない。守兄が最初に身に付けた必殺技、ゴッドハンド。弾くのではなく、受け止める。
止められたボールは、守兄の手によって、再び一郎太の元へ。……一郎太の全部を、受け止めるために。
「あたしだって……」
「……美波」
「止めてやる!来いよ、風丸一郎太!」
有無を言わせぬつもりで、塞がるように間に立つ。ここまで啖呵を切れば、一郎太も乗らざるを得ないはずだ。腹のあたりに力を込めて、まっすぐ見返せば、一郎太はゆっくりとボールに足をかけた。
振り抜かれた足に捉えられたボールは、風を切ってあたしに迫る。何故だか、止められる確信があった。あの時――ヒロトの流星ブレードを止めた時と同じ感覚。底知れないパワーを、自分の中に感じる。
腕を振って、呼び起こした龍は、今までで一番大きかった。逸れることはなく、取り零すことなくトラップする。やった。止められた。一郎太の、シュートを。
「凄いな。流石は美波だ」
「一郎太……」
「……なあ、美波。俺、美波が好きなんだ」
静かで、穏やかな声だった。
なのに、ガラガラと音を立てて、何かが崩れていったような……そんな気がした。
「は……ははっ……!やっと言えた、やっと……ああ……」
冷ややかな雰囲気はかき消えていた。けれど、喜んでいるのか、悲しんでいるのか、わからない。それ以上に、わからないのは。
「ずっと、好きだった。親友とか、仲間じゃない。一人の女として。……守りたかったんだ。美波に守られる俺じゃなくて、美波を守れる強い俺になりたかった」
「…………」
「でも、円堂も美波も俺を置いていく。俺が進もうとあがいている間に、先へ進んでいく。だから……だから、俺は強くなったんだ!もう、置いてかれたりはしない……!」
そう叫ぶ一郎太に、あたしはただただ立ち尽くしていた。あたしは一郎太のことを、幼馴染みで、親友で、仲間だと思ってた。
でも一郎太は違った。あたしの一郎太に対する"好き"と、一郎太のあたしに対する"好き"は違うんだ。あたしは、それを知らずに――。
「(……本当に?)」
――俺さ、美波のこと……。
そうだったっけ。
――こんな時間!もう、帰らないと!じゃあね!
本当に、あたしは、知らなかった?
――美波っ……。ごめん。また、明日な。
無かったことにしたのは、誰かなんて、わかってるくせに。
「……ごめん、一郎太」
「美波」
「あたしのせいだ」
無かったことにした。知らないことにした。一郎太と、友達でいたかったから。……そのために、一郎太を傷つけたという事実から、逃げた。
あたしが知らないままでいることが、最善だと思った。そして今、自分のことばかり考えて、先送りにし続けたツケが回ってきた。
「おまえに謝って欲しかったわけじゃない」
「……そうだね。結局、あたしが楽になりたいだけかもしれない」
「もう、いいんだ」
「よくない」
「いいんだよ……!!」
悲鳴にも似た叫びだった。あたしが何を言いたいのか、察したんだと思う。だってあたし達は、幼馴染みだ。
それでも、また酷いことをするとわかっていても、肯定はできない。
「……ボールを人を傷つけるために使うのを、強さとは思わない」
「美波」
「あたしは、今の一郎太は嫌だ!」
刹那、
「っ……ああぁ……ぅ……あああああっ!!!」
シュートが放たれたことに気づいたのは、ずしりとボールが腹にめり込んで、激痛が走った時だった。
息が詰まって、ただでさえふらついていた足が、完全にバランスを崩す。そのままあたしは、重力に逆らうこともできずに、地面に倒れた。
当たった所がズキズキと痛む。凄いなあ、一郎太。こんなパワーのシュート打てるようになったんだ。
「美波ちゃん!」
「美波……!」
「美波先輩!」
「美波!」
秋の、なっちゃんの、春ちゃんの、リカの声が聞こえる。けど、激痛に声を出すことが出来ない。
「美波っ……思い出してくれ!風丸!みんなっ!」
「黙れっ!」
「「「トリプルブースト!」」」
「ゴッドハンド!たあああっ!くっ……思い出してくれ……俺達の、サッカーを、思い出せえっ!!!」
どさり、とシュートを止めた守兄が倒れた音がする。
「勝負は……ついたな」
一郎太が見下すように、そう吐き捨てた。
「みんな立ちなさい!立ち上がって!」
なっちゃんの声が聞こえる。
立ち上がりたいのに、力が上手く入らない。腕も足も痛くて、震えている。
「(……体が重い)」
立ち上がれない。
.
体で弾き返した守兄も、倒れこんでしまった。
「もう邪魔する者はいない!」
「「「ダークフェニックス!」」」
「くっ……決めさせるものか! ムゲン・ザ・ハンド!」
じりじりと少しずつ立向居は押されていく。震える体を奮い起こして、足を動かす。あたしに、出来ることは……!
「立向居!」
「踏ん張れ!」
「円堂さん、美波さん……!」
守兄とで立向居の背中を支える。それだけでも伝わってくる、シュートの重さ。……止められなくてもいい。とにかく、ここでの追加点だけは阻止しないと、まずい。
「うおおおお! っく!」
「っあ!」
「うあっ!」
ボールはゴールポストに当たってラインを割った。良かった、防げた。
「大丈夫か!?」
「は、はい……ああっ」
「見せてみろ。……!」
「手、こんなになるまで……」
手を抑える立向居のグローブを取ると、シュートを受け続けたからか、赤く腫れあがっていた。肉刺も潰れている。
まだ戦えると断固として言い張る立向居に、あたしは首を振った。
「こんな怪我のままやったら、後に引くよ」
「でもっ、俺だって無茶は必殺技です!」
「うっ」
自分がよく言ってることを出されると、言い返しづらい。なんだかんだいって、無茶をするのは全員同じだ。
「どうする円堂。まだ続けるか?」
「何!?」
「見ろ、あの無様な姿を。もう諦めろ」
一郎太が目で示した先には、膝をつき、倒れている仲間達の姿があった。辛うじて立っているのは、あたしと守兄、立向居だけ。
……あたしは、みんなを無様だとは思わない。全力で戦ったんだ。それを格好悪いだなんて、思わない。
一郎太は、ああはなりたくない、おまえも同じだろうって、言いたいのかな。一郎太の言う力を得る前の自分を重ねて、否定したいのかな。
強さとか、弱さとか、基準も価値観も人それぞれで、簡単に片付けることはできない。それでも一つだけ、言い切れることがある。
「……いや、諦めない。諦めないぞ!」
守兄は、諦めない。
「ゴールは俺が守る!」
その言葉を待っていたかのように、ニヤリと一郎太が笑う。嬉しそうな様子に……怖いと思ってしまった。一郎太が怖いなんて、思いたくないのに。
「そうだ。美波、この試合が終わったら、ダークエンペラーズに入れよ」
「……何言ってるの」
「俺、お前と一緒に走りたかったんだ。……ずっと」
それだけ言うと、一郎太は背を向けた。不気味にうねる艶やかな水色が、今の歪んでしまった一郎太を表しているようだった。
一緒に、って。今までと何が違うっていうんだ。……あたしはずっと一緒にやってるつもりだったけど、一郎太はそうじゃなかったのかな。
「もう1点も入れさせない!何があっても!」
ユニフォームを着替え、守兄がキーパーに戻り、空いたポジションに立向居が入る。スローインを受けるなり、一郎太はゴール前に位置取った。
簡単には撃たせない。そのつもりでブロックに行こうとして、守兄に止められた。
「これは、俺と風丸の戦いだ!」
「円堂も言ってるんだ。やろうぜ、一対一で」
「……」
ここまで言われたら入るわけにはいかない。少し下がって、すぐに動けるよう構えておく。
「ははっ! ……勝負したかったんだ。キーパーのお前と!」
「臨むところだ!」
「行くぞ! はあああっ!」
「ぐ……うわっ!」
止め切れなかったシュートが上に滑った。勝利を確信したのか、一郎太がほくそ笑む。でも、
「まだだあっ!」
思いっきり地面を蹴った守兄は、背を反らせながら後方に跳んで、なんとかボールをキャッチした。一郎太の勝ち誇ったような笑みが崩れる。
「ゴールは俺が守る!」
「円堂……何故諦めない? ……それが、円堂……」
「風丸……。お前、どうしてエイリア石なんかに」
「俺は強くなりたかった。お前のように……!」
「!」
守兄が手を握り締める。辛そうな顔に、あたしも辛くなってくる。
強さってなんだろう。守兄にあって、一郎太にない強さって、なんだろう。もしそれがあったとして、一郎太にあって、守兄にはない強さも、あるんじゃないか。
……でも、一郎太の気持ちは、なんとなくわかる気がした。豪炎寺のシュートに憧れて、自分もあんな風になれたらと思ったことは何度もある。
まだ、帝国の練習試合から少し経った頃の話。焦る染岡に、守兄は言った。豪炎寺になろうとするな。おまえは染岡竜吾だって。
あたしはあたし。でも、憧れてしまったものはしょうがない。なりたいと思ってしまうのも。なりたい自分があるのは悪いことじゃない。原動力で、それも全部ひっくるめて、自分のサッカーだ。
守兄が、一郎太の足元へボールを投げた。
「来い! お前の全てを受け止める!」
「っ……はあああ!!!」
「ゴッドハンド!!!」
「何!?」
究極奥義の正義の鉄拳じゃない。守兄が最初に身に付けた必殺技、ゴッドハンド。弾くのではなく、受け止める。
止められたボールは、守兄の手によって、再び一郎太の元へ。……一郎太の全部を、受け止めるために。
「あたしだって……」
「……美波」
「止めてやる!来いよ、風丸一郎太!」
有無を言わせぬつもりで、塞がるように間に立つ。ここまで啖呵を切れば、一郎太も乗らざるを得ないはずだ。腹のあたりに力を込めて、まっすぐ見返せば、一郎太はゆっくりとボールに足をかけた。
振り抜かれた足に捉えられたボールは、風を切ってあたしに迫る。何故だか、止められる確信があった。あの時――ヒロトの流星ブレードを止めた時と同じ感覚。底知れないパワーを、自分の中に感じる。
腕を振って、呼び起こした龍は、今までで一番大きかった。逸れることはなく、取り零すことなくトラップする。やった。止められた。一郎太の、シュートを。
「凄いな。流石は美波だ」
「一郎太……」
「……なあ、美波。俺、美波が好きなんだ」
静かで、穏やかな声だった。
なのに、ガラガラと音を立てて、何かが崩れていったような……そんな気がした。
「は……ははっ……!やっと言えた、やっと……ああ……」
冷ややかな雰囲気はかき消えていた。けれど、喜んでいるのか、悲しんでいるのか、わからない。それ以上に、わからないのは。
「ずっと、好きだった。親友とか、仲間じゃない。一人の女として。……守りたかったんだ。美波に守られる俺じゃなくて、美波を守れる強い俺になりたかった」
「…………」
「でも、円堂も美波も俺を置いていく。俺が進もうとあがいている間に、先へ進んでいく。だから……だから、俺は強くなったんだ!もう、置いてかれたりはしない……!」
そう叫ぶ一郎太に、あたしはただただ立ち尽くしていた。あたしは一郎太のことを、幼馴染みで、親友で、仲間だと思ってた。
でも一郎太は違った。あたしの一郎太に対する"好き"と、一郎太のあたしに対する"好き"は違うんだ。あたしは、それを知らずに――。
「(……本当に?)」
――俺さ、美波のこと……。
そうだったっけ。
――こんな時間!もう、帰らないと!じゃあね!
本当に、あたしは、知らなかった?
――美波っ……。ごめん。また、明日な。
無かったことにしたのは、誰かなんて、わかってるくせに。
「……ごめん、一郎太」
「美波」
「あたしのせいだ」
無かったことにした。知らないことにした。一郎太と、友達でいたかったから。……そのために、一郎太を傷つけたという事実から、逃げた。
あたしが知らないままでいることが、最善だと思った。そして今、自分のことばかり考えて、先送りにし続けたツケが回ってきた。
「おまえに謝って欲しかったわけじゃない」
「……そうだね。結局、あたしが楽になりたいだけかもしれない」
「もう、いいんだ」
「よくない」
「いいんだよ……!!」
悲鳴にも似た叫びだった。あたしが何を言いたいのか、察したんだと思う。だってあたし達は、幼馴染みだ。
それでも、また酷いことをするとわかっていても、肯定はできない。
「……ボールを人を傷つけるために使うのを、強さとは思わない」
「美波」
「あたしは、今の一郎太は嫌だ!」
刹那、
「っ……ああぁ……ぅ……あああああっ!!!」
シュートが放たれたことに気づいたのは、ずしりとボールが腹にめり込んで、激痛が走った時だった。
息が詰まって、ただでさえふらついていた足が、完全にバランスを崩す。そのままあたしは、重力に逆らうこともできずに、地面に倒れた。
当たった所がズキズキと痛む。凄いなあ、一郎太。こんなパワーのシュート打てるようになったんだ。
「美波ちゃん!」
「美波……!」
「美波先輩!」
「美波!」
秋の、なっちゃんの、春ちゃんの、リカの声が聞こえる。けど、激痛に声を出すことが出来ない。
「美波っ……思い出してくれ!風丸!みんなっ!」
「黙れっ!」
「「「トリプルブースト!」」」
「ゴッドハンド!たあああっ!くっ……思い出してくれ……俺達の、サッカーを、思い出せえっ!!!」
どさり、とシュートを止めた守兄が倒れた音がする。
「勝負は……ついたな」
一郎太が見下すように、そう吐き捨てた。
「みんな立ちなさい!立ち上がって!」
なっちゃんの声が聞こえる。
立ち上がりたいのに、力が上手く入らない。腕も足も痛くて、震えている。
「(……体が重い)」
立ち上がれない。
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