第39話 友情の究極奥義!
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点差は2点。流れは完全にダークエンペラーズにあって、翻弄されるばかり。突破口も見つからないまま、時間だけが刻々と過ぎていく。
「見ろ円堂!」
「これが俺達の真の力だ!」
「「レボリューションV!」」
「水龍!ぐ……あああっ!」
破られたけど、止められるとは最初から思ってない。少しでもパワーを落とせれば、それだけ立向居の負担が減る!
10本の腕が広がる。受け続けてる立向居にも疲れが見えてきた。ビキビキという嫌な音に、冷や汗が吹き出す。シュートは間一髪のところで守兄がクリアした。助かった……。
「大丈夫か?」
「手は?」
「はい。ちょっと痺れただけです。美波さん、ブロックありがとうございます」
「任せて!何度だってやってやるから!」
「ゴールは頼んだぞ!」
「はい!」
まったく追い付けないわけじゃない。けれど、スピードもパワーも、ダークエンペラーズはあたし達を上回っていた。
一郎太にボールを奪われた。また攻められると身構える前に、ホイッスルが鳴る。やっと、前半が終わった。こんなに長く感じた前半戦は初めてだ。
完全にこっちの動きを読まれていて、どう攻めても止められるの繰り返し。……当然だ。ずっと一緒にサッカーしてきたんだから、癖や弱点を知り尽くされてる。
それはあたし達だって同じだけど、追いかけるので必死で、それどころじゃない。焦ったら空回りして、余計に上手くいかなくなるのに……。
「それを逆手に取ればいい」
「監督?」
「お前達が動けばアイツらも動く。それを繰り返すんだ。切り札は綱海だ」
「え、俺?」
「ああ。お前のことをアイツらも読みきれないだろう」
「……そりゃそうだ。誰も俺のこと知らねーもんな」
条兄は最後にチームに加わった。それから離脱したメンバーは、助っ人に来てくれたアフロディくらい 。条兄のプレーはまったくの未知なんだ。
「アイツらを動かせば必ずどこかにスペースが空く。そこが狙いだ。フィールドに波のようなリズムを作り出すんだ。」
「波のリズムか。面白ぇ!波が引いた時がチャンスってわけだ!任せろ!俺に乗れねえ波はねえ!」
「よし、みんな!なんとしても勝つぞ!エイリア石の力なんかいらないってことを見せるんだ!」
エイリア石を否定するには、使ってないあたし達が勝つしかない。人の力の可能性は無限大だ。そのことを、思い出させるんだ!
後半が始まった。押し込まれて、ラインが下がり気味だ。雷門陣内でのプレーが多い。それでも、突破口になるリズムを見つけるまでは、しのぐしかない。
攻められずにいるあたし達に、一郎太達は気が大きくなってるようだった。実際、誰が見ても優勢なのはダークエンペラーズだと思う。……だからこそ、いつか必ず綻びは出来る。
抜こうとしたのをなんとか食い止める。食らいつく。
「絶対、通さない!この試合、絶対に、勝ってみせるっ!」
「っ、邪魔だあああっ!」
「守兄!」
ボールをぶつけられて吹っ飛んだ守兄を、士郎くんが起こす。なんて酷いラフプレーなんだ。こんなの、雷門の、一郎太のサッカーじゃない……。
「てめえ、何すんだ!お前ら仲間だったんじゃねえのかよ!円堂をボールで吹っ飛ばして、美波を傷つけて、なんとも思わねえのか!そんなにエイリア石が大事なのか!」
「お前に何がわかる!」
怒りを露にした条兄が怒鳴る。その言葉に激昂した一郎太が、今度は条兄に向けてボールを打ち込んだ。倒れた条兄を睨みつける一郎太に、静かに口を開いたのは士郎くんだった。
「いや、僕達だからこそ分かる」
「何!?」
「俺、このチームが好きだ!」
「っ……」
「そして、心からサッカーを愛する円堂が好きだ!あんた達と同じなんだ!」
「キャプテン達に出会えたから、今の僕があるんだ!」
「………!」
試合が始まってから、一郎太が初めて動揺を見せた。その一瞬の隙を、逃さない。
パーフェクトタワーで弾かれたボールをトラップして、即座に周りを見る。ディフェンスがばらけていた。見えた!ゴールまでの一本道!
「あれだ!行っけえ条兄!」
「よっしゃあ!波が引いたぜ!ツナミブースト!でえりゃあああ!」
「ダブルロケット!」
超ロングシュートは弾かれたものの、攻撃は終わらない。浮いたボールをすかさず士郎くんが拾って、シュート体勢に入る。
狼の咆哮が響き渡る。ウルフレジェンドは、見事にゴールを抉じ開けた。1点差に追いついた!……これなら!
「もらうよ!水龍!」
「!」
「条兄!」
「おうっ」
点を取られた動揺からか、動きが鈍くなった。ドリブルで上がる一郎太からボールを奪って、条兄中心でパスを回す。前線では、既に豪炎寺と士郎くんが上がっていた。
「「クロスファイア!」」
交差した炎と氷は、続けてゴールを破った。2-2、これで同点!あと1点。あと1点取れば、勝ち越せる!
戻ってきた二人とハイタッチをかわす。一郎太達の間に動揺が広がっている今、流れは雷門にある。絶好チャンスだ。このまま攻めきりたい。
「こんな……はずがっ……!」
一郎太が体を震わせた。染岡達も、こちらを凝視している。そんな彼らに、もっと能力を見せ付けてやれ、と研崎が発破をかけると、またエイリア石が発光した。
「……そうだ、俺達の力はこんなものじゃない」
「一郎太」
「美波、見せてやるよ。俺達の力を……!」
……動揺をそのままにしておくほど、研崎も甘くはないか。
次、攻めて来る。前の面影なんて欠片もないその表情に、身構えた。袖で流れる汗を拭って、しっかりと見据える。目を逸らしたらそこで負けだ。気持ちで負けてたまるか。
「俺達は最強の力を手に入れた。見せてやる、最強の必殺シュートを!染岡!マックス!」
「「おう!」」
一郎太と、染岡、マックスが同時にボールを蹴り上げる。ボールを中心に渦巻いたオーラが、不死鳥を練り上げた。
「「「ダークフェニックス!」」」
今までのと比べると、桁違いなパワーを感じる。一之瀬達のザ・フェニックスとは違う、禍々しいオーラを纏った紫の不死鳥。これが、ダークエンペラーズ最強のシュート……!
「ムゲン・ザ・ハンド!くっ………」
「無駄だ」
一郎太が言い捨てて間もなく、無情にもムゲン・ザ・ハンドは打ち砕かれた。
「どうだ円堂。俺達は、誰にも負けない!」
「くっ」
「そんなことない!あたしたちだって、絶対に負けない!」
「まだ足掻くんだな。そんなに傷だらけで」
「まだやれる。勝ちたいから!……それに、無茶はあたしの必殺技だからね!」
「……ああ、そうか。そうだったな」
忘れてたよ。
そう言って笑った一郎太に、愕然とした。
忘れていた。何を。誰が。一郎太が、なんで、だって、守兄を除けば、あたしを一番知ってるのは。
「美波!」
「豪炎寺……」
「全部を聞こうとするな。わかっているだろう、あの石の力を」
……そうだ。エイリア石は、人の記憶にも影響を及ぼす。それこそヒロトのように。
もちろん、みんなの言葉の全てが歪められたものとは思わない。増幅させられた感情だとしても、それはゼロでないからこそ。
どんな思いでチームを離れたのだろう。悔しいのは当然。何より責めたのは、チームの力になれない自分自身だったのかもしれない。
戦いさえ終われば、また一緒にサッカーを出来ると思っていた。みんなはそうじゃなかったなんて……想像もしてなかった。
「……今まで見てなかったからこそ、聞かなきゃいけない気がする」
「無理はするなよ」
「わかってて言ってる?」
「越したことはないだろう」
「それもそっか」
そこからはダークエンペラーズの猛攻だった。
レボリューションV、ダークトルネード、トリプルブースト。次々に繰り出される凄まじいシュートの数々と、フィールドに叩きつけられる仲間達。
立ち上がったそばから攻撃を仕掛けられて、みんなボロボロになっていく。今度はダークトルネードを止めようとした一之瀬が、吹っ飛ばされた。
「もう見てられへん!ウチが出る!ダーリン!」
「来るなリカ!俺達なら大丈夫だ!来るな!」
「ダーリン……」
「そうだよ。あたし達、まだ戦える!」
「……負けたら承知せえへんで!」
「打ち上げはリカのたこ焼きがいいな!」
「任せとき!ごっつ美味いの作ってるわ!」
まだ、戦える。もう、仲間が傷つくところなんか見たくないから。勝って、もう誰もエイリア石で傷つかないようにするんだ。
大切な仲間達と、ただひたすらにボールを追いかける日々を、取り戻すんだ。絶対に……!
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「見ろ円堂!」
「これが俺達の真の力だ!」
「「レボリューションV!」」
「水龍!ぐ……あああっ!」
破られたけど、止められるとは最初から思ってない。少しでもパワーを落とせれば、それだけ立向居の負担が減る!
10本の腕が広がる。受け続けてる立向居にも疲れが見えてきた。ビキビキという嫌な音に、冷や汗が吹き出す。シュートは間一髪のところで守兄がクリアした。助かった……。
「大丈夫か?」
「手は?」
「はい。ちょっと痺れただけです。美波さん、ブロックありがとうございます」
「任せて!何度だってやってやるから!」
「ゴールは頼んだぞ!」
「はい!」
まったく追い付けないわけじゃない。けれど、スピードもパワーも、ダークエンペラーズはあたし達を上回っていた。
一郎太にボールを奪われた。また攻められると身構える前に、ホイッスルが鳴る。やっと、前半が終わった。こんなに長く感じた前半戦は初めてだ。
完全にこっちの動きを読まれていて、どう攻めても止められるの繰り返し。……当然だ。ずっと一緒にサッカーしてきたんだから、癖や弱点を知り尽くされてる。
それはあたし達だって同じだけど、追いかけるので必死で、それどころじゃない。焦ったら空回りして、余計に上手くいかなくなるのに……。
「それを逆手に取ればいい」
「監督?」
「お前達が動けばアイツらも動く。それを繰り返すんだ。切り札は綱海だ」
「え、俺?」
「ああ。お前のことをアイツらも読みきれないだろう」
「……そりゃそうだ。誰も俺のこと知らねーもんな」
条兄は最後にチームに加わった。それから離脱したメンバーは、助っ人に来てくれたアフロディくらい 。条兄のプレーはまったくの未知なんだ。
「アイツらを動かせば必ずどこかにスペースが空く。そこが狙いだ。フィールドに波のようなリズムを作り出すんだ。」
「波のリズムか。面白ぇ!波が引いた時がチャンスってわけだ!任せろ!俺に乗れねえ波はねえ!」
「よし、みんな!なんとしても勝つぞ!エイリア石の力なんかいらないってことを見せるんだ!」
エイリア石を否定するには、使ってないあたし達が勝つしかない。人の力の可能性は無限大だ。そのことを、思い出させるんだ!
後半が始まった。押し込まれて、ラインが下がり気味だ。雷門陣内でのプレーが多い。それでも、突破口になるリズムを見つけるまでは、しのぐしかない。
攻められずにいるあたし達に、一郎太達は気が大きくなってるようだった。実際、誰が見ても優勢なのはダークエンペラーズだと思う。……だからこそ、いつか必ず綻びは出来る。
抜こうとしたのをなんとか食い止める。食らいつく。
「絶対、通さない!この試合、絶対に、勝ってみせるっ!」
「っ、邪魔だあああっ!」
「守兄!」
ボールをぶつけられて吹っ飛んだ守兄を、士郎くんが起こす。なんて酷いラフプレーなんだ。こんなの、雷門の、一郎太のサッカーじゃない……。
「てめえ、何すんだ!お前ら仲間だったんじゃねえのかよ!円堂をボールで吹っ飛ばして、美波を傷つけて、なんとも思わねえのか!そんなにエイリア石が大事なのか!」
「お前に何がわかる!」
怒りを露にした条兄が怒鳴る。その言葉に激昂した一郎太が、今度は条兄に向けてボールを打ち込んだ。倒れた条兄を睨みつける一郎太に、静かに口を開いたのは士郎くんだった。
「いや、僕達だからこそ分かる」
「何!?」
「俺、このチームが好きだ!」
「っ……」
「そして、心からサッカーを愛する円堂が好きだ!あんた達と同じなんだ!」
「キャプテン達に出会えたから、今の僕があるんだ!」
「………!」
試合が始まってから、一郎太が初めて動揺を見せた。その一瞬の隙を、逃さない。
パーフェクトタワーで弾かれたボールをトラップして、即座に周りを見る。ディフェンスがばらけていた。見えた!ゴールまでの一本道!
「あれだ!行っけえ条兄!」
「よっしゃあ!波が引いたぜ!ツナミブースト!でえりゃあああ!」
「ダブルロケット!」
超ロングシュートは弾かれたものの、攻撃は終わらない。浮いたボールをすかさず士郎くんが拾って、シュート体勢に入る。
狼の咆哮が響き渡る。ウルフレジェンドは、見事にゴールを抉じ開けた。1点差に追いついた!……これなら!
「もらうよ!水龍!」
「!」
「条兄!」
「おうっ」
点を取られた動揺からか、動きが鈍くなった。ドリブルで上がる一郎太からボールを奪って、条兄中心でパスを回す。前線では、既に豪炎寺と士郎くんが上がっていた。
「「クロスファイア!」」
交差した炎と氷は、続けてゴールを破った。2-2、これで同点!あと1点。あと1点取れば、勝ち越せる!
戻ってきた二人とハイタッチをかわす。一郎太達の間に動揺が広がっている今、流れは雷門にある。絶好チャンスだ。このまま攻めきりたい。
「こんな……はずがっ……!」
一郎太が体を震わせた。染岡達も、こちらを凝視している。そんな彼らに、もっと能力を見せ付けてやれ、と研崎が発破をかけると、またエイリア石が発光した。
「……そうだ、俺達の力はこんなものじゃない」
「一郎太」
「美波、見せてやるよ。俺達の力を……!」
……動揺をそのままにしておくほど、研崎も甘くはないか。
次、攻めて来る。前の面影なんて欠片もないその表情に、身構えた。袖で流れる汗を拭って、しっかりと見据える。目を逸らしたらそこで負けだ。気持ちで負けてたまるか。
「俺達は最強の力を手に入れた。見せてやる、最強の必殺シュートを!染岡!マックス!」
「「おう!」」
一郎太と、染岡、マックスが同時にボールを蹴り上げる。ボールを中心に渦巻いたオーラが、不死鳥を練り上げた。
「「「ダークフェニックス!」」」
今までのと比べると、桁違いなパワーを感じる。一之瀬達のザ・フェニックスとは違う、禍々しいオーラを纏った紫の不死鳥。これが、ダークエンペラーズ最強のシュート……!
「ムゲン・ザ・ハンド!くっ………」
「無駄だ」
一郎太が言い捨てて間もなく、無情にもムゲン・ザ・ハンドは打ち砕かれた。
「どうだ円堂。俺達は、誰にも負けない!」
「くっ」
「そんなことない!あたしたちだって、絶対に負けない!」
「まだ足掻くんだな。そんなに傷だらけで」
「まだやれる。勝ちたいから!……それに、無茶はあたしの必殺技だからね!」
「……ああ、そうか。そうだったな」
忘れてたよ。
そう言って笑った一郎太に、愕然とした。
忘れていた。何を。誰が。一郎太が、なんで、だって、守兄を除けば、あたしを一番知ってるのは。
「美波!」
「豪炎寺……」
「全部を聞こうとするな。わかっているだろう、あの石の力を」
……そうだ。エイリア石は、人の記憶にも影響を及ぼす。それこそヒロトのように。
もちろん、みんなの言葉の全てが歪められたものとは思わない。増幅させられた感情だとしても、それはゼロでないからこそ。
どんな思いでチームを離れたのだろう。悔しいのは当然。何より責めたのは、チームの力になれない自分自身だったのかもしれない。
戦いさえ終われば、また一緒にサッカーを出来ると思っていた。みんなはそうじゃなかったなんて……想像もしてなかった。
「……今まで見てなかったからこそ、聞かなきゃいけない気がする」
「無理はするなよ」
「わかってて言ってる?」
「越したことはないだろう」
「それもそっか」
そこからはダークエンペラーズの猛攻だった。
レボリューションV、ダークトルネード、トリプルブースト。次々に繰り出される凄まじいシュートの数々と、フィールドに叩きつけられる仲間達。
立ち上がったそばから攻撃を仕掛けられて、みんなボロボロになっていく。今度はダークトルネードを止めようとした一之瀬が、吹っ飛ばされた。
「もう見てられへん!ウチが出る!ダーリン!」
「来るなリカ!俺達なら大丈夫だ!来るな!」
「ダーリン……」
「そうだよ。あたし達、まだ戦える!」
「……負けたら承知せえへんで!」
「打ち上げはリカのたこ焼きがいいな!」
「任せとき!ごっつ美味いの作ってるわ!」
まだ、戦える。もう、仲間が傷つくところなんか見たくないから。勝って、もう誰もエイリア石で傷つかないようにするんだ。
大切な仲間達と、ただひたすらにボールを追いかける日々を、取り戻すんだ。絶対に……!
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