第32話 炸裂!ファイアブリザード!!
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ボールを持ったアフロディが上がっていくと、その行く手にボンバとゴッカが立ち塞がった。
イグナイトスティールをかわす。でもフローズンスティールまではかわしきれなくて、アフロディは地面に叩きつけられた。
思わず止めようと口を開く前に、「ボールを集めて」と見越したように先に言われた。
「フッ、無駄なことを」
「遠慮はいらん、奴を叩き潰せ!」
そんなアフロディを容赦なく、ダブルディフェンスが襲う。
あのディフェンスを破らない限り、得点するのはまず無理だ。でも、それをアフロディ一人に任せるなんて無茶だ。
フォローに行こうにも、アフロディ中心に攻めの形を作っているのはカオスも理解していて、皆にマークがついて不用意に動けない。
そもそもアフロディ本人が一人で破ろうとしているから、今連携の為の動きをするのはかえって流れを崩すかもしれない。
……考えろ、考えろ!もっと他に、何か、有効な手は……。
「……え?」
聞き覚えのある、空気を切り裂くような落下音が聞こえた。
落ちてきたのはあの黒いサッカーボールで、落下点付近にいたアフロディは、吹っ飛ばされた。
「アフロディ!」
「あれは……!」
守兄の声で、呆然と立ち尽くしていたのから覚醒した。同じように上を見上げると、高い場所に見覚えのある赤がいた。
「皆楽しそうだね」
「「ヒロト!」」
「やあ、円堂くん、美波ちゃん」
ヒロト君だ。つまりさっきのボールはヒロト君ので、試合を止めに来たってこと?
飛び降りて着地したヒロト君と目が合う。楽しそうだねと微笑む割に、どこか威圧感があって、思わず顔を下に向けた。
「……一体何しに来たんだ」
「今日は君達に会いに来たんじゃないんだ。……何勝手なことをしている」
途端に低くなった声に、ハッとして顔を上げた。ヒロト君はカオスを睨み付けていて、その冷たい目に背筋が凍った。
それに対して怯む素振りは微塵も見せずに、反抗するかのように晴矢と風介が食って掛かる。
「俺は認めない!お前がジェネシスに選ばれたことなど!」
「我々は証明してみせる。雷門を倒し、誰がジェネシスに相応しいか!」
「……往生際が悪いな」
不快そうに吐き捨てるヒロト君と、光り出すボール。ヒロト君は意味深な笑みを浮かべて、カオスと共に消えてしまった。
……カオスは、風介と晴矢も、ジェミニストームやイプシロンと同じように、エイリア学園から追放されてしまうのだろうか。
彼らの身を案じてそんなことを考えていると、ドサッと鈍い音が響いた。
「あ、アフロディっ!」
無理なプレーが祟ったのか、アフロディが倒れていた。弾かれたように皆が駆け寄って、監督が救急車を呼ぶ。
カオスがいなくなってしまった為、試合は中断となった。……7ー11、追い付けなかった。
守兄がアフロディの付き添いで病院に残って、他は雷門中に戻って待機。それぞれ思い思いバラバラになって、あたしはキャラバンの上。
「……はあ」
「美波ちゃん」
「うわっ!? ……あ、しろ君か」
膝を抱えてため息をついていると、下からしろ君が顔を出して声をかけてきた。……一瞬、ヒロト君が来たのかと思った。
「どうかした?」
「病院に行きたいんだけど、一緒に来てくれないかな?」
「いいよ!染岡?」
「ううん、アフロディくん」
「!」
上手く言えないけれど伝えたいことがあるというしろ君に、あたしは二つ返事で承諾した。
病院に行くとアフロディの病室には誰もいなかった。守兄がいそうな場所はと当たりをつけて、階段を登る。予想通り、屋上に守兄とアフロディはいた。
「怪我の方は?」
「そこまで酷くはないよ。暫くは安静だけどね」
「にしてもどうしたんだ?」
「あ、しろ君がね、アフロディに言いたいことがあるって」
「僕に?」
しろ君は何を言いたいのだろう。黙って聞く体勢でいたら、「凄いね、君」と微笑んで、しろ君は階段の方へ足を向けた。えっ、終わり?
「あ、あたししろ君と行くね!」
「美波」
とりあえず追いかけようとしたら、アフロディに呼び止められた。
「どしたの?」
「君には仲間がいるんだ。無茶もいいけど、言葉にするのも大切だと思うよ」
「……うん」
やっぱりアフロディは何か感じ取っていたらしい。……晴矢と風介に、声かけられたりしたしな。
守兄がどんな顔をしてるか見たくなくて、足早にしろ君を追う。普通に階段のとこで待っててくれた。
「お待たせ。あれだけでよかったの?」
「うん。……アフロディくんは、本当に凄いね」
「そうだね」
神のアクアに囚われていたアフロディはもういない。純粋なサッカープレーヤーで、仲間なら心強くて、敵なら手強い選手だ。
神のアクアのことは伏せてそのことを話そうとしろ君を見ると、しろ君はどこか上の空で、出かけた言葉は引っ掛かったように出てこなくなった。
「僕も、彼みたいに、皆の力になれたら……」
「しろ君……。失敗したっていいんだからね!」
「え?」
「ほら、アフロディだって何度も挑んでた訳だし、成功するまでやればいいんだよ!」
その成功するまでやるが大変なのは分かってる。続けた先で、努力が報われなかったらを考えたら、怖くなる。でも。
「しろ君なら、やれるよ!」
「……美波ちゃんはどうして僕をそこまで信じられるの?」
「しろ君が頑張ってるの、見てきたからね。報われて欲しいから、そう信じたいって思うのもあるけど」
「ありがとう。僕も、美波ちゃんが努力してきたの、知ってるよ」
「自分じゃまだまだだって感じてるけどさ、ありがとね!もっとやってやるって力が湧いてくる!」
「うん。僕だって、皆の為に、完璧に……今度こそアツヤと……」
「あ、そうだ!ついでに染岡達と話してこ!」
慌てて話を変えて、背中を押す。アツヤだけじゃない。仲間がいる。でも、そのことは教えるんじゃなくてしろ君自身が気づかなきゃ。
……あたしが言えることでもないしね。
「染岡ー、半田ー……あれ?」
「いないね」
染岡達の病室はリハビリ中なのか誰もいなかった。暫く待っても戻ってくる気配がないので、アフロディと別れて降りてきた守兄と合流して、雷門へ戻ることにした。
この時のあたしに、
「それじゃあ、待ってるから。――姉さん」
ヒロト君が雷門に来てただなんて、これっぽっちも想像出来る訳がなかった。
→あとがき
イグナイトスティールをかわす。でもフローズンスティールまではかわしきれなくて、アフロディは地面に叩きつけられた。
思わず止めようと口を開く前に、「ボールを集めて」と見越したように先に言われた。
「フッ、無駄なことを」
「遠慮はいらん、奴を叩き潰せ!」
そんなアフロディを容赦なく、ダブルディフェンスが襲う。
あのディフェンスを破らない限り、得点するのはまず無理だ。でも、それをアフロディ一人に任せるなんて無茶だ。
フォローに行こうにも、アフロディ中心に攻めの形を作っているのはカオスも理解していて、皆にマークがついて不用意に動けない。
そもそもアフロディ本人が一人で破ろうとしているから、今連携の為の動きをするのはかえって流れを崩すかもしれない。
……考えろ、考えろ!もっと他に、何か、有効な手は……。
「……え?」
聞き覚えのある、空気を切り裂くような落下音が聞こえた。
落ちてきたのはあの黒いサッカーボールで、落下点付近にいたアフロディは、吹っ飛ばされた。
「アフロディ!」
「あれは……!」
守兄の声で、呆然と立ち尽くしていたのから覚醒した。同じように上を見上げると、高い場所に見覚えのある赤がいた。
「皆楽しそうだね」
「「ヒロト!」」
「やあ、円堂くん、美波ちゃん」
ヒロト君だ。つまりさっきのボールはヒロト君ので、試合を止めに来たってこと?
飛び降りて着地したヒロト君と目が合う。楽しそうだねと微笑む割に、どこか威圧感があって、思わず顔を下に向けた。
「……一体何しに来たんだ」
「今日は君達に会いに来たんじゃないんだ。……何勝手なことをしている」
途端に低くなった声に、ハッとして顔を上げた。ヒロト君はカオスを睨み付けていて、その冷たい目に背筋が凍った。
それに対して怯む素振りは微塵も見せずに、反抗するかのように晴矢と風介が食って掛かる。
「俺は認めない!お前がジェネシスに選ばれたことなど!」
「我々は証明してみせる。雷門を倒し、誰がジェネシスに相応しいか!」
「……往生際が悪いな」
不快そうに吐き捨てるヒロト君と、光り出すボール。ヒロト君は意味深な笑みを浮かべて、カオスと共に消えてしまった。
……カオスは、風介と晴矢も、ジェミニストームやイプシロンと同じように、エイリア学園から追放されてしまうのだろうか。
彼らの身を案じてそんなことを考えていると、ドサッと鈍い音が響いた。
「あ、アフロディっ!」
無理なプレーが祟ったのか、アフロディが倒れていた。弾かれたように皆が駆け寄って、監督が救急車を呼ぶ。
カオスがいなくなってしまった為、試合は中断となった。……7ー11、追い付けなかった。
守兄がアフロディの付き添いで病院に残って、他は雷門中に戻って待機。それぞれ思い思いバラバラになって、あたしはキャラバンの上。
「……はあ」
「美波ちゃん」
「うわっ!? ……あ、しろ君か」
膝を抱えてため息をついていると、下からしろ君が顔を出して声をかけてきた。……一瞬、ヒロト君が来たのかと思った。
「どうかした?」
「病院に行きたいんだけど、一緒に来てくれないかな?」
「いいよ!染岡?」
「ううん、アフロディくん」
「!」
上手く言えないけれど伝えたいことがあるというしろ君に、あたしは二つ返事で承諾した。
病院に行くとアフロディの病室には誰もいなかった。守兄がいそうな場所はと当たりをつけて、階段を登る。予想通り、屋上に守兄とアフロディはいた。
「怪我の方は?」
「そこまで酷くはないよ。暫くは安静だけどね」
「にしてもどうしたんだ?」
「あ、しろ君がね、アフロディに言いたいことがあるって」
「僕に?」
しろ君は何を言いたいのだろう。黙って聞く体勢でいたら、「凄いね、君」と微笑んで、しろ君は階段の方へ足を向けた。えっ、終わり?
「あ、あたししろ君と行くね!」
「美波」
とりあえず追いかけようとしたら、アフロディに呼び止められた。
「どしたの?」
「君には仲間がいるんだ。無茶もいいけど、言葉にするのも大切だと思うよ」
「……うん」
やっぱりアフロディは何か感じ取っていたらしい。……晴矢と風介に、声かけられたりしたしな。
守兄がどんな顔をしてるか見たくなくて、足早にしろ君を追う。普通に階段のとこで待っててくれた。
「お待たせ。あれだけでよかったの?」
「うん。……アフロディくんは、本当に凄いね」
「そうだね」
神のアクアに囚われていたアフロディはもういない。純粋なサッカープレーヤーで、仲間なら心強くて、敵なら手強い選手だ。
神のアクアのことは伏せてそのことを話そうとしろ君を見ると、しろ君はどこか上の空で、出かけた言葉は引っ掛かったように出てこなくなった。
「僕も、彼みたいに、皆の力になれたら……」
「しろ君……。失敗したっていいんだからね!」
「え?」
「ほら、アフロディだって何度も挑んでた訳だし、成功するまでやればいいんだよ!」
その成功するまでやるが大変なのは分かってる。続けた先で、努力が報われなかったらを考えたら、怖くなる。でも。
「しろ君なら、やれるよ!」
「……美波ちゃんはどうして僕をそこまで信じられるの?」
「しろ君が頑張ってるの、見てきたからね。報われて欲しいから、そう信じたいって思うのもあるけど」
「ありがとう。僕も、美波ちゃんが努力してきたの、知ってるよ」
「自分じゃまだまだだって感じてるけどさ、ありがとね!もっとやってやるって力が湧いてくる!」
「うん。僕だって、皆の為に、完璧に……今度こそアツヤと……」
「あ、そうだ!ついでに染岡達と話してこ!」
慌てて話を変えて、背中を押す。アツヤだけじゃない。仲間がいる。でも、そのことは教えるんじゃなくてしろ君自身が気づかなきゃ。
……あたしが言えることでもないしね。
「染岡ー、半田ー……あれ?」
「いないね」
染岡達の病室はリハビリ中なのか誰もいなかった。暫く待っても戻ってくる気配がないので、アフロディと別れて降りてきた守兄と合流して、雷門へ戻ることにした。
この時のあたしに、
「それじゃあ、待ってるから。――姉さん」
ヒロト君が雷門に来てただなんて、これっぽっちも想像出来る訳がなかった。
→あとがき