第31話 奇跡のチーム!ザ・カオス!!
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次の日、カオスとの試合当日。予想通りあたしはスタメンではなかった。昨日のこともあるし、分かりきってたことだ。
自分でも納得はしてる。それに瞳子監督は「いつでも出られるようにしておいて」とも言ってくれた。出番が来るまで、皆のプレーを観察して合わせられるようにするんだ。
ただそうじゃない人もいたみたいで、「本当にいいのか」とどこか不満げに聞いてきたのは、一之瀬だった。
「出たいよ。でも、今は待つ時だと思うから。自分の番まで待つ!だから大丈夫!」
「……そうか。わかった」
渋々と言った様子で一之瀬は引き下がった。一之瀬は元々監督をよくは思ってなかったし、そのことが影響してるんだろうな。
落下音と共に黒いサッカーボールが落ちてきた。砂煙の中から現れたのは、バーンとガゼル率いるカオス。
「おめでたい奴らだ」
「負けるとわかっていながら、のこのこ現れるとは。円堂守!宇宙最強のチームの挑戦を受けたことを、後悔させてやる!」
「負けるもんか!俺にはこの、地上最強の仲間達がいるんだ!」
カオスに対して守兄が啖呵を切って、両チームがポジションについた。
フィールドにあたしがいないのに気づいた晴矢と風介が、驚いた顔でベンチを見る。……ごめん、二人共。
「分かっているな。この試合、必ず勝つ」
「遠慮はいらねえ。お前達の力を思い知らせてやれ」
カオスのメンバーの目はギラギラとしていて、ベンチにいるのに気圧されそうだ。
「……頑張れ、皆」
甲高い笛の音が鳴り響いた。豪炎寺からのキックオフで試合が始まる。主導権を取る為か、雷門は最初から強気に攻め込んでいる。
塔子が元ダイヤモンドダストのドロルと対峙した。前の試合では突破出来た。でも今回は、ボールを取られてしまって、攻撃の流れを断ち切られた。
パワーアップしてるのは、雷門だけじゃない。この前とは全然違う展開だ。
「強くなってる……」
「スピードも、確実にアップしてるわね」
「スピードが?」
「ええ……」
「そんな。あれから何日も経ってへんで」
「それだけエイリア学園も特訓したってこと、かな」
楽しみにしてるって言われたのに、あたしはベンチにいて。一之瀬にはああ言ったのに、待つことしか出来ないのが、歯痒い。
「今度こそを教えてあげよう……。凍てつく闇の冷たさを!ノーザンインパクト!」
オーロラがフィールドを包み込む。対する立向居は、未完成のムゲン・ザ・ハンドではなく、確実性のあるマジン・ザ・ハンドを出した。
あれだけ練習してたんだから、マジン・ザ・ハンドだってパワーは上がっている。けれど風介のシュートはそれを上回っていて、立向居ははね飛ばされた。
ベンチに座っているあたしの足元まで冷気が漂ってきて、その影響からかなんなのか、冷や汗が流れたのを袖で拭った。
アフロディがチームに入ってくれた。守兄がリベロになって、メガトンヘッドも、デスゾーン2も完成した。……それなのに。
「これぞ我らの真の力」
「エイリア学園最強のチーム、カオスの実力だ」
彼らの気迫に押されて、フィールドで戦っているわけでもないのに、どうしようもない不安がせり上がってくる。
「気にするな!試合はまだ始まったばかりだ!」
……そうだよね。まだ、試合は始まったばかりだ。だから、まだ、大丈夫!
今度はアフロディが攻め上がる。ボールを奪いにくる11番を見たアフロディは、スッと腕を上げた。
「ヘブンズタイム!」
あたしも何度もくらってる、強力な必殺技だ。きっと今回も突破口になってくれる。そう、思っていた。
「なっ!」
ヘブンズタイムは破られて、ボールは軽々と奪われた。
元プロミネンスの選手だからか、関心したような顔の風介が、あたしを見る。「何故出ないんだい?」と、言われているように感じた。
もう一度、ボールを持ち込んだアフロディがヘブンズタイムを使う。それも11番が破った。二度目となればもうわかる。さっきのは、まぐれじゃない。
……ヘブンズタイムが通じない。カオス側も、豪炎寺へのマークを強めて、アフロディ中心に攻めてくるよう仕向けてる。
「ジェネシスの称号は、俺達にこそ相応しい!それを証明してやるぜ!アトミックフレア!」
「今度こそ!マジン・ザ・ハンド!うっ……く……」
「立向居っ!」
炎の勢いに押し潰されるように魔神は消し飛んで、カオスに追加点が入ってしまった。
皆が気を強く持とうとする中、カオスの猛攻が始まった。ノーザンインパクトにアトミックフレア。氷と炎が次々に巻き上がる。
強烈なシュートの連続で、その威力を落とすことすら出来ずに、10点差になってしまった。立向居のダメージも、少なくない。
「くっそ……」
思い返せば、この戦いが始まってから、フィールドの外からエイリア学園との試合を見ることはなかった。
力になれない。何も出来ない。それがこんなにももどかしいなんて。しろ君は、ずっとそう思って……。
「あたしは、なんで」
「美波ちゃん……」
「これで終わりだ!紅蓮の炎で焼き尽くしてやる!アトミックフレア!」
マズイ。思わず立ち上がった時、守兄のメガトンヘッドでなんとか止めることが出来た。
守兄のプレーに押されるように、負けてられないと皆の動きがよくなる。
カオスの動きが分かるようになってきたのか、相手を止めるのも多くなってきた。流れがいい方向に傾いてる……!
「これが円堂の力。グランを引きつけた、円堂の力か……」
「だか所詮は悪あがき」
「イグナイトスティール!」
炎が一閃した。一之瀬がボールを奪われる。警戒されたのか、さっきとはうって変わってパス繋がらない。
これ以上の失点を防ぐ為に、ディフェンスラインを下げてる。だから中盤が手薄になって、点を取られない代わりに攻めることも出来ない……。
デスゾーン2なら得点の可能性はある。流れを奪えると思う。でも、その為には守兄を上げなくちゃならない。
だけどそうすると、守りのバランスが崩れて、一気にカウンターで攻められる可能性もある。
「見えたな、この勝負」
「俺達こそが真のジェネシスだ」
勝利を確信したような言葉が悔しくて、何も出来ない自分が情けなくて、拳を握りしめる。
点差は10点。ここまで差をつけられては、巻き返せるかどうかも分からない。一郎太も、こんな思いをしたのかな……。
「分かんない……」
晴矢と風介が、あんなにも"ジェネシスの称号"というものに執着してる理由が。
いや、それ以上に、だ。
助ける為に強くなりたいと秘密を作ってまでやってきた癖に、簡単にボールを蹴れなくなった自分が。
しろ君の苦しみを理解してあげられなかった自分が。
支えられてばかりで、頼られたいと言いながら、仲間を頼る強さを持てない弱い自分が。
全部自業自得だ。許せないことをしたのは自分、それを許せないのもやっぱり自分で、堂々巡りで。
意識が、混沌とした。
→あとがき
自分でも納得はしてる。それに瞳子監督は「いつでも出られるようにしておいて」とも言ってくれた。出番が来るまで、皆のプレーを観察して合わせられるようにするんだ。
ただそうじゃない人もいたみたいで、「本当にいいのか」とどこか不満げに聞いてきたのは、一之瀬だった。
「出たいよ。でも、今は待つ時だと思うから。自分の番まで待つ!だから大丈夫!」
「……そうか。わかった」
渋々と言った様子で一之瀬は引き下がった。一之瀬は元々監督をよくは思ってなかったし、そのことが影響してるんだろうな。
落下音と共に黒いサッカーボールが落ちてきた。砂煙の中から現れたのは、バーンとガゼル率いるカオス。
「おめでたい奴らだ」
「負けるとわかっていながら、のこのこ現れるとは。円堂守!宇宙最強のチームの挑戦を受けたことを、後悔させてやる!」
「負けるもんか!俺にはこの、地上最強の仲間達がいるんだ!」
カオスに対して守兄が啖呵を切って、両チームがポジションについた。
フィールドにあたしがいないのに気づいた晴矢と風介が、驚いた顔でベンチを見る。……ごめん、二人共。
「分かっているな。この試合、必ず勝つ」
「遠慮はいらねえ。お前達の力を思い知らせてやれ」
カオスのメンバーの目はギラギラとしていて、ベンチにいるのに気圧されそうだ。
「……頑張れ、皆」
甲高い笛の音が鳴り響いた。豪炎寺からのキックオフで試合が始まる。主導権を取る為か、雷門は最初から強気に攻め込んでいる。
塔子が元ダイヤモンドダストのドロルと対峙した。前の試合では突破出来た。でも今回は、ボールを取られてしまって、攻撃の流れを断ち切られた。
パワーアップしてるのは、雷門だけじゃない。この前とは全然違う展開だ。
「強くなってる……」
「スピードも、確実にアップしてるわね」
「スピードが?」
「ええ……」
「そんな。あれから何日も経ってへんで」
「それだけエイリア学園も特訓したってこと、かな」
楽しみにしてるって言われたのに、あたしはベンチにいて。一之瀬にはああ言ったのに、待つことしか出来ないのが、歯痒い。
「今度こそを教えてあげよう……。凍てつく闇の冷たさを!ノーザンインパクト!」
オーロラがフィールドを包み込む。対する立向居は、未完成のムゲン・ザ・ハンドではなく、確実性のあるマジン・ザ・ハンドを出した。
あれだけ練習してたんだから、マジン・ザ・ハンドだってパワーは上がっている。けれど風介のシュートはそれを上回っていて、立向居ははね飛ばされた。
ベンチに座っているあたしの足元まで冷気が漂ってきて、その影響からかなんなのか、冷や汗が流れたのを袖で拭った。
アフロディがチームに入ってくれた。守兄がリベロになって、メガトンヘッドも、デスゾーン2も完成した。……それなのに。
「これぞ我らの真の力」
「エイリア学園最強のチーム、カオスの実力だ」
彼らの気迫に押されて、フィールドで戦っているわけでもないのに、どうしようもない不安がせり上がってくる。
「気にするな!試合はまだ始まったばかりだ!」
……そうだよね。まだ、試合は始まったばかりだ。だから、まだ、大丈夫!
今度はアフロディが攻め上がる。ボールを奪いにくる11番を見たアフロディは、スッと腕を上げた。
「ヘブンズタイム!」
あたしも何度もくらってる、強力な必殺技だ。きっと今回も突破口になってくれる。そう、思っていた。
「なっ!」
ヘブンズタイムは破られて、ボールは軽々と奪われた。
元プロミネンスの選手だからか、関心したような顔の風介が、あたしを見る。「何故出ないんだい?」と、言われているように感じた。
もう一度、ボールを持ち込んだアフロディがヘブンズタイムを使う。それも11番が破った。二度目となればもうわかる。さっきのは、まぐれじゃない。
……ヘブンズタイムが通じない。カオス側も、豪炎寺へのマークを強めて、アフロディ中心に攻めてくるよう仕向けてる。
「ジェネシスの称号は、俺達にこそ相応しい!それを証明してやるぜ!アトミックフレア!」
「今度こそ!マジン・ザ・ハンド!うっ……く……」
「立向居っ!」
炎の勢いに押し潰されるように魔神は消し飛んで、カオスに追加点が入ってしまった。
皆が気を強く持とうとする中、カオスの猛攻が始まった。ノーザンインパクトにアトミックフレア。氷と炎が次々に巻き上がる。
強烈なシュートの連続で、その威力を落とすことすら出来ずに、10点差になってしまった。立向居のダメージも、少なくない。
「くっそ……」
思い返せば、この戦いが始まってから、フィールドの外からエイリア学園との試合を見ることはなかった。
力になれない。何も出来ない。それがこんなにももどかしいなんて。しろ君は、ずっとそう思って……。
「あたしは、なんで」
「美波ちゃん……」
「これで終わりだ!紅蓮の炎で焼き尽くしてやる!アトミックフレア!」
マズイ。思わず立ち上がった時、守兄のメガトンヘッドでなんとか止めることが出来た。
守兄のプレーに押されるように、負けてられないと皆の動きがよくなる。
カオスの動きが分かるようになってきたのか、相手を止めるのも多くなってきた。流れがいい方向に傾いてる……!
「これが円堂の力。グランを引きつけた、円堂の力か……」
「だか所詮は悪あがき」
「イグナイトスティール!」
炎が一閃した。一之瀬がボールを奪われる。警戒されたのか、さっきとはうって変わってパス繋がらない。
これ以上の失点を防ぐ為に、ディフェンスラインを下げてる。だから中盤が手薄になって、点を取られない代わりに攻めることも出来ない……。
デスゾーン2なら得点の可能性はある。流れを奪えると思う。でも、その為には守兄を上げなくちゃならない。
だけどそうすると、守りのバランスが崩れて、一気にカウンターで攻められる可能性もある。
「見えたな、この勝負」
「俺達こそが真のジェネシスだ」
勝利を確信したような言葉が悔しくて、何も出来ない自分が情けなくて、拳を握りしめる。
点差は10点。ここまで差をつけられては、巻き返せるかどうかも分からない。一郎太も、こんな思いをしたのかな……。
「分かんない……」
晴矢と風介が、あんなにも"ジェネシスの称号"というものに執着してる理由が。
いや、それ以上に、だ。
助ける為に強くなりたいと秘密を作ってまでやってきた癖に、簡単にボールを蹴れなくなった自分が。
しろ君の苦しみを理解してあげられなかった自分が。
支えられてばかりで、頼られたいと言いながら、仲間を頼る強さを持てない弱い自分が。
全部自業自得だ。許せないことをしたのは自分、それを許せないのもやっぱり自分で、堂々巡りで。
意識が、混沌とした。
→あとがき