第32話 炸裂!ファイアブリザード!!
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「よお、美波」
「はる……」
晴矢。そう呼びかけて、慌てて呑み込んだ。危ない危ない。かといってバーンと呼ぶ気にもならないから、口を閉じる。
「沖縄ぶりだな。このまま出てこないのかと思ったぜ」
「待たせてごめんね!」
「いや別に待ってねえけど」
「え」
「お前がいた方が面白いってだけだ」
それは……どういう意味だろう。分かるのは晴矢がこの状況を面白いと感じてるということで、それがなんだか嬉しくなってくる。
あたしがいることで、少しでも晴矢がサッカーを楽しんでくれたらって、思うんだ。
「ま、相手が美波だとしても、手は抜かないけどな」
「……分かってるよ。あたしだって負けない!マリンアクセル!」
蹴り出したパスを豪炎寺が受け取る。バラバラなディフェンス陣を抜いて、爆熱ストームが炸裂した。
3点目。試合の流れは、雷門側に傾いた。立て続けにツナミブースト、ゴッドノウズ、デスゾーン2が決まる。
まさしく怒涛の追い上げだ。点差が縮まっていって、カオスの背中が見えてきた。
カオスのチームワークは相変わらず。元ダイヤモンドダストと元プロミネンスで、完全に割れている。
「まさか、こいつら……」
風介の呟きが聞こえた。……気付いたんだ。まあ、ここまであからさまだとなあ。
「メガトンヘッド!」
ついに7ー10。大差から3点差まで追い付かれたことからか、カオスに険悪な雰囲気が漂う。晴矢と風介は、苛立ちを隠せない表情でメンバーを見ていた。
「コイツら、何をやってるんだ!」
「どうやら教えてやる必要がありそうだな。この試合の意味を!」
二人は、どう手を打ってくる?
試合が動き出すと、晴矢と風介はパスを出さずに二人だけで攻めてきた。呼び声も一切無視して、雷門側しか見ていない。
二人の連携は、他のメンバーはバラバラだとは思えない程に息が合っていた。
「皆見ていろ、私達の姿を!」
「この試合にかける俺達の思いを!」
ジャンプした二人が、タイミングを合わせるかのように、お互いの名を呼ぶ。ま、まさか!
「これが我らカオスの力!」
「宇宙最強チームの力だ!」
「「ファイアブリザード!!!」」
晴矢の炎の風介の氷。綺麗だな、なんて一瞬考えたけど、それどころじゃない。立向居は炎と氷の勢いを殺しきれなかった。また点差が開く。
……あの二人で連携シュートを撃つとは思いもしなかった。それはカオスも同じで、今までのプレーを悔いるように、互いに声をかけあっている。
ますます手強くなりそうで、どう考えたってピンチなのに、心のどこかでワクワクしてるあたしがいた。
「…………」
犬猿の仲の二人が連携技を編み出したことからか、カオスの動きが変わった。負けないという気迫が伝わってくる。
最初は渋っていたネッパーも、勝つ為に、元ダイヤモンドダストの選手にパスを出した。そのまま持ち込め、と。
「荒波!」
「ウォーターベール!」
「わっ!」
波は吹き出した水の勢いに押し流されてしまった。
加速するカオスを止められずに、雷門は攻め込まれていく。鬼道が言うには、リズムが変わったとか。
打って変わったような連携に、皆動揺を隠せてない。もちろんあたしも驚いてる。流石は晴矢と風介だ。
蹴り上げられたボール。またあのシュートがくるのかと構えたら、条兄が見事にカットして、追加点を阻止した。
……今の、あたしはシュートを撃たれるのを前提に、ブロックに入る準備をした。けど、条兄はシュートを撃たせない為に動いた。
勝つ為には、もっと前のめりになるくらいじゃないと駄目なんだ。
ボールは豪炎寺に回って、そのまま持ち込んでいく。その前に、ボンバがイグナイトスティールを仕掛けてくる。
「っ、危ない!」
豪炎寺はイグナイトスティールをかわすことは出来た。ならなんであたしがそう叫んだのかというと、
「フローズンスティール!」
すぐその後にゴッカが控えていたからで、突破した直後の無防備なところを突かれて、豪炎寺は弾き飛ばされた。
……イグナイトスティールが抜かれたところに、即座にフローズンスティールのフォローが入る。二段構えの、分厚い壁。
1回目で止められればそれでよし。たとえ抜かれても、抜いた直後で隙が出来たところから、すぐに奪える。
突破しようにも、二つの必殺技の間隔を計るのは至難の技だ。隙が殆どないダブルディフェンス。抜くのには、高度なスキルが必要になる。
豪炎寺はもう一度挑むけど、そう簡単には抜かせてくれない。タイミングがシビア過ぎる……。
「勝負あったようだな」
「お前達に、宇宙最強のダブルディフェンス敗れない!」
宇宙最強かどうかは別として、強力なダブルディフェンスであるのは確かだ。一体、どうやって破ればいいんだろう。
「ガゼル様!」
「よし、行くぞバーン!」
「トドメ刺してやるぜ!」
二人はファイアブリザードを撃つ気だ。……あたしだって、やってやる!
「そこだ!水龍ッ!!」
空中のボールを、二人が蹴るよりも早く、吼えた龍がボールを呑み込む。弾かれたボールは一之瀬が拾ってくれた。よしっ!
「あのシュートはもう撃たせない!」
「やるじゃないか」
「けど、お前らの方は得点出来んのか?」
晴矢が顎で指した方では、今度は鬼道が行く手を阻まれていた。跳ねたボールがラインを越える。……あと4点は取りたいんだ。どうにか、あれを破らないと。
「何か方法は……」
「僕に任せて」
「え?」
「あのディフェンスは、僕が破る」
「アフロディが?」
「ああ」
確かにアフロディなら破れなくもないだろうけど、そう簡単に突破させてくれる程カオスも甘くない訳で。
同じように思ったらしい土門がそう言うけど、安心させるような穏やかな笑みを浮かべながら、「大丈夫だ」と返してきた。
「だから、僕にボールを集めて」
「アフロディ……」
「……よし。皆!アフロディにボールを集めるんだ!」
鬼道の指示に皆が頷いた。……今のところ他にいい方法は思い付かないし、ここはアフロディの意思を尊重しよう。
そのアフロディはというも、ベンチのしろ君を何か伝えたげに見つめていた。
「しろ君が気になる?」
「まあ、ね。……彼の背中を押せるようなプレーをしてみせるよ」
「あたしに手伝えることある?」
「いいや。美波はディフェンスに集中して。多分、あの二人には、美波が当たるのが一番いい」
「え……」
あの二人。それが誰を指すのか、分からない程鈍くはない。
バレたのか。そんな筈はくない。分かる訳が。でも、一連のプレーから、何か感じるものがあったのかもしれない。アフロディが気付けたなら、皆は……。
「でえい!」
「ぎゃーっ!」
「何ぼーっとしてんだよ間抜け!」
「夕弥!」
突然の膝カックンで尻もちをついた。完全に油断してた。夕弥の言う通り、試合中にぼーっとしてたあたしも悪いけど。
お尻が地味に痛い。ため息をつきつつ立ち上がろうとしたら、豪炎寺が手を貸してくれた。
「はあ……」
「風丸じゃなくて悪かったな」
「え、何で?」
「違ったか?」
「違うけど……」
「じゃあ俺がこういう役割は風丸担当だと思ってただけだ」
豪炎寺がポジションへ歩いていく。え、何だったんだ、今の。……やめよう、考えるの。気を取り直すことにして。
「気をつけてね、アフロディ」
「ああ。……でも、無茶は必殺技なんだろう?」
ああ、これは無理するな。と、漠然と思った。
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「はる……」
晴矢。そう呼びかけて、慌てて呑み込んだ。危ない危ない。かといってバーンと呼ぶ気にもならないから、口を閉じる。
「沖縄ぶりだな。このまま出てこないのかと思ったぜ」
「待たせてごめんね!」
「いや別に待ってねえけど」
「え」
「お前がいた方が面白いってだけだ」
それは……どういう意味だろう。分かるのは晴矢がこの状況を面白いと感じてるということで、それがなんだか嬉しくなってくる。
あたしがいることで、少しでも晴矢がサッカーを楽しんでくれたらって、思うんだ。
「ま、相手が美波だとしても、手は抜かないけどな」
「……分かってるよ。あたしだって負けない!マリンアクセル!」
蹴り出したパスを豪炎寺が受け取る。バラバラなディフェンス陣を抜いて、爆熱ストームが炸裂した。
3点目。試合の流れは、雷門側に傾いた。立て続けにツナミブースト、ゴッドノウズ、デスゾーン2が決まる。
まさしく怒涛の追い上げだ。点差が縮まっていって、カオスの背中が見えてきた。
カオスのチームワークは相変わらず。元ダイヤモンドダストと元プロミネンスで、完全に割れている。
「まさか、こいつら……」
風介の呟きが聞こえた。……気付いたんだ。まあ、ここまであからさまだとなあ。
「メガトンヘッド!」
ついに7ー10。大差から3点差まで追い付かれたことからか、カオスに険悪な雰囲気が漂う。晴矢と風介は、苛立ちを隠せない表情でメンバーを見ていた。
「コイツら、何をやってるんだ!」
「どうやら教えてやる必要がありそうだな。この試合の意味を!」
二人は、どう手を打ってくる?
試合が動き出すと、晴矢と風介はパスを出さずに二人だけで攻めてきた。呼び声も一切無視して、雷門側しか見ていない。
二人の連携は、他のメンバーはバラバラだとは思えない程に息が合っていた。
「皆見ていろ、私達の姿を!」
「この試合にかける俺達の思いを!」
ジャンプした二人が、タイミングを合わせるかのように、お互いの名を呼ぶ。ま、まさか!
「これが我らカオスの力!」
「宇宙最強チームの力だ!」
「「ファイアブリザード!!!」」
晴矢の炎の風介の氷。綺麗だな、なんて一瞬考えたけど、それどころじゃない。立向居は炎と氷の勢いを殺しきれなかった。また点差が開く。
……あの二人で連携シュートを撃つとは思いもしなかった。それはカオスも同じで、今までのプレーを悔いるように、互いに声をかけあっている。
ますます手強くなりそうで、どう考えたってピンチなのに、心のどこかでワクワクしてるあたしがいた。
「…………」
犬猿の仲の二人が連携技を編み出したことからか、カオスの動きが変わった。負けないという気迫が伝わってくる。
最初は渋っていたネッパーも、勝つ為に、元ダイヤモンドダストの選手にパスを出した。そのまま持ち込め、と。
「荒波!」
「ウォーターベール!」
「わっ!」
波は吹き出した水の勢いに押し流されてしまった。
加速するカオスを止められずに、雷門は攻め込まれていく。鬼道が言うには、リズムが変わったとか。
打って変わったような連携に、皆動揺を隠せてない。もちろんあたしも驚いてる。流石は晴矢と風介だ。
蹴り上げられたボール。またあのシュートがくるのかと構えたら、条兄が見事にカットして、追加点を阻止した。
……今の、あたしはシュートを撃たれるのを前提に、ブロックに入る準備をした。けど、条兄はシュートを撃たせない為に動いた。
勝つ為には、もっと前のめりになるくらいじゃないと駄目なんだ。
ボールは豪炎寺に回って、そのまま持ち込んでいく。その前に、ボンバがイグナイトスティールを仕掛けてくる。
「っ、危ない!」
豪炎寺はイグナイトスティールをかわすことは出来た。ならなんであたしがそう叫んだのかというと、
「フローズンスティール!」
すぐその後にゴッカが控えていたからで、突破した直後の無防備なところを突かれて、豪炎寺は弾き飛ばされた。
……イグナイトスティールが抜かれたところに、即座にフローズンスティールのフォローが入る。二段構えの、分厚い壁。
1回目で止められればそれでよし。たとえ抜かれても、抜いた直後で隙が出来たところから、すぐに奪える。
突破しようにも、二つの必殺技の間隔を計るのは至難の技だ。隙が殆どないダブルディフェンス。抜くのには、高度なスキルが必要になる。
豪炎寺はもう一度挑むけど、そう簡単には抜かせてくれない。タイミングがシビア過ぎる……。
「勝負あったようだな」
「お前達に、宇宙最強のダブルディフェンス敗れない!」
宇宙最強かどうかは別として、強力なダブルディフェンスであるのは確かだ。一体、どうやって破ればいいんだろう。
「ガゼル様!」
「よし、行くぞバーン!」
「トドメ刺してやるぜ!」
二人はファイアブリザードを撃つ気だ。……あたしだって、やってやる!
「そこだ!水龍ッ!!」
空中のボールを、二人が蹴るよりも早く、吼えた龍がボールを呑み込む。弾かれたボールは一之瀬が拾ってくれた。よしっ!
「あのシュートはもう撃たせない!」
「やるじゃないか」
「けど、お前らの方は得点出来んのか?」
晴矢が顎で指した方では、今度は鬼道が行く手を阻まれていた。跳ねたボールがラインを越える。……あと4点は取りたいんだ。どうにか、あれを破らないと。
「何か方法は……」
「僕に任せて」
「え?」
「あのディフェンスは、僕が破る」
「アフロディが?」
「ああ」
確かにアフロディなら破れなくもないだろうけど、そう簡単に突破させてくれる程カオスも甘くない訳で。
同じように思ったらしい土門がそう言うけど、安心させるような穏やかな笑みを浮かべながら、「大丈夫だ」と返してきた。
「だから、僕にボールを集めて」
「アフロディ……」
「……よし。皆!アフロディにボールを集めるんだ!」
鬼道の指示に皆が頷いた。……今のところ他にいい方法は思い付かないし、ここはアフロディの意思を尊重しよう。
そのアフロディはというも、ベンチのしろ君を何か伝えたげに見つめていた。
「しろ君が気になる?」
「まあ、ね。……彼の背中を押せるようなプレーをしてみせるよ」
「あたしに手伝えることある?」
「いいや。美波はディフェンスに集中して。多分、あの二人には、美波が当たるのが一番いい」
「え……」
あの二人。それが誰を指すのか、分からない程鈍くはない。
バレたのか。そんな筈はくない。分かる訳が。でも、一連のプレーから、何か感じるものがあったのかもしれない。アフロディが気付けたなら、皆は……。
「でえい!」
「ぎゃーっ!」
「何ぼーっとしてんだよ間抜け!」
「夕弥!」
突然の膝カックンで尻もちをついた。完全に油断してた。夕弥の言う通り、試合中にぼーっとしてたあたしも悪いけど。
お尻が地味に痛い。ため息をつきつつ立ち上がろうとしたら、豪炎寺が手を貸してくれた。
「はあ……」
「風丸じゃなくて悪かったな」
「え、何で?」
「違ったか?」
「違うけど……」
「じゃあ俺がこういう役割は風丸担当だと思ってただけだ」
豪炎寺がポジションへ歩いていく。え、何だったんだ、今の。……やめよう、考えるの。気を取り直すことにして。
「気をつけてね、アフロディ」
「ああ。……でも、無茶は必殺技なんだろう?」
ああ、これは無理するな。と、漠然と思った。
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