第32話 炸裂!ファイアブリザード!!
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カオスの猛攻を防ぐ為に、ディフェンスラインを下げているから、中盤が手薄だ。
雷門の攻撃に持ち込みたくても、守兄を上げれば守りが崩れてしまう。このままじゃ、せっかくのデスゾーン2が使えない。
試合は完全にカオスのペースになっていた。前半の時間が残り少ない中、0ー10。前半で、こんなに点差がつけられるなんて。
何で。何で。思考が嫌な方向へ向かっていくのを感じる。……あ、これは、良くないやつだ。
「……秋、水ある?ドリンクじゃなくて水」
「え、水?予備ならあるけど……」
はい、と渡されたペットボトルの蓋を開けて、頭の上でひっくり返す。皆があっと声をあげる前に、ドバドバと水が降り注いだ。
「先輩!?何を……あっ、た、タオルです!」
「ありがと春ちゃん」
「美波、あなたね……」
「あはは。気合い入れたくてさ」
「……言いたい事はあるけど、さっきよりマシな顔になってはいるから今回は不問にするわ」
「え、そんなに酷い顔してた?」
なっちゃんの呆れた視線から逃げるように、気を取り直してフィールドに目を向ける。突破口はどこにある。……絶対にある。そう、信じるんだ。
攻めの中心は晴矢と風介。どちらかには繋がるように、連携は組み立てられている。的確なパス回しは出来たばかりのチームとは思えない。今もまた11番が……。
「ん?」
なんか、思ってたのと逆の方に、パスが通ったような。そっちなんだというか、裏をかくにしても何だろうこの違和感。
あ、今度はパス要求が無視された。見間違いじゃない。そしてまた11番。……これは、見つけたかもしれない。
「そこだ!」
思わず叫んだ時、マントが翻った。パスカットしたのは鬼道だ。絶好のチャンスを、守兄と土門は見逃さない。回転しながら跳び上がった三人の周りで紫が渦巻いた。
デスゾーンは意思統一から生まれた技、2は個性のぶつかり合い。帝国のが足し算なら、雷門のはかけ算だ!
「「「デスゾーン2!!!」」」
紫色のシュートがゴールに突き刺さって、スコアは1ー10となった。1点目、取った!
得点されたことで火がついたのか、今度は晴矢が攻めてくる。繰り出されたのはアトミックフレア。条兄と壁山のフォローも間に合わない。
でも、もう立向居は、怯まなかった。
「ムゲン・ザ・ハンド!」
手を合わせた立向居の背から、4本の腕が飛び出した。迫る火球をがっちりと押さえ込む。完成したんだ!ムゲン・ザ・ハンド!
二つの新しい必殺技。まだまだ危ない状況だけど、それでも皆の表情は、明るかった。……本当に凄いや、皆は。
9点差のまま、前半は終わった。後半でこの点差を巻き返せるのか。……いや、巻き返せるのか、じゃない。巻き返すんだ。
今までの試合を思い出してみる。追い詰められても、そこから力を合わせて勝ち抜いてきた。
皆なら、皆と一緒なら出来る。そんな底知れない、さっきまで涸れかけてた自信が、満ち溢れてくる。あたしも、皆と戦いたい!
「行かなきゃ!」
監督に伝えようとベンチを立ったら、後ろから軽くユニフォームの裾を引っ張られた。しろ君だ。
「しろ君」
「美波ちゃん……行くんだね」
「うん、行ってくる」
「……」
「待ってるから、追い付いて」
「僕に、出来るかな」
「出来るよ、絶対!あたしが保証する!だってしろ君も、雷門イレブンなんだから!」
後半に向けて話し合っている皆の輪へ向かう。皆あたしのことを見ていて、なんだか、あたしから言うのを待っていてくれてる気がした。
「瞳子監督!」
「何かしら」
「後半、出たいです!」
「足手まといになるかもしれなくても?」
「もう大丈夫です。全力で、勝ちにいきます。お願いします!」
「……分かったわ。後半はディフェンスに入って」
「ありがとうございます!」
よかった。よかった。試合に出られる。これで,二人と戦える……!
「随分と遅い立ち直りだな」
「心配かけさせやがって!」
「すみません!」
「まあいい。美波、お前も気付いたんだろう。カオスの休止符を」
「休止符?」
「音村風に言えばな」
11番――ネッパーは、元ダイヤモンドダストを完全に無視していた。元プロミネンスだけで勝ちたいと思ってるから。
全体の攻撃を崩壊させる為に、ネッパーを中心に攻めて付け入る隙を作る。守兄も前へ出て、ゴールを狙いに行く。
「よーし、後半だ!逆転していくぞ!」
『おおっ!』
ポジションへ歩きながら、パンッと頬を軽く叩く。散々迷惑かけたんだ。ミスしないようにしないと。
「気合いを入れるなら、もっと強くやったらどうだ?」
「ひほー、いひゃい」
鬼道なりの発破なのかもしれないけど、わざわざつねりに来なくても。
頬をつままれたまま、敵陣へ視線を向けると、同じように見てたらしい二人と目が合った。
「(負けるもんか)」
ホイッスルが鳴り響く音を聞きながら、そう思った。後半、開始。風介からボールを受け取ったネッパーが攻めてくる。
ポジショニング的にリオーネに回すかと思いきや、ヒートへパスが出た。それを予測していた塔子が、カットする。
一度気付いてしまえば簡単だ。カオスの連携は、晴矢と風介以外、元ダイヤモンドダスト同士、元プロミネンス同士だけで成り立ってる。
「塔子こっち!」
「分かった!美波っ!」
「っと!」
塔子からのパスをトラップして前線へ目を向ける。アフロディが走り込んで来た。……見えた、よし!
「アフロディ!」
力いっぱいボールを蹴り出す。宙を舞ったボールは、しっかりとアフロディが受け取った。
良かった。ちゃんといつものプレーを出来てることに、ほっと息を吐きながら、シュート体勢に入ったアフロディの背中を見つめた。
純白の羽が広がった。この数日で更にパワーアップしたゴッドノウズが、バーンアウトを撃ち破る。これで追加点!
「ナイスシュート!」
「美波も、ちゃんと出来たじゃないか」
「心配かけてごめん」
流れは確実に雷門に来てる。カオスのペースが乱れている今が、点を取るチャンス。
ここまであからさまだと、直に二人も気付く。それまでに、出来るだけ点差を詰めておきたい。
.
雷門の攻撃に持ち込みたくても、守兄を上げれば守りが崩れてしまう。このままじゃ、せっかくのデスゾーン2が使えない。
試合は完全にカオスのペースになっていた。前半の時間が残り少ない中、0ー10。前半で、こんなに点差がつけられるなんて。
何で。何で。思考が嫌な方向へ向かっていくのを感じる。……あ、これは、良くないやつだ。
「……秋、水ある?ドリンクじゃなくて水」
「え、水?予備ならあるけど……」
はい、と渡されたペットボトルの蓋を開けて、頭の上でひっくり返す。皆があっと声をあげる前に、ドバドバと水が降り注いだ。
「先輩!?何を……あっ、た、タオルです!」
「ありがと春ちゃん」
「美波、あなたね……」
「あはは。気合い入れたくてさ」
「……言いたい事はあるけど、さっきよりマシな顔になってはいるから今回は不問にするわ」
「え、そんなに酷い顔してた?」
なっちゃんの呆れた視線から逃げるように、気を取り直してフィールドに目を向ける。突破口はどこにある。……絶対にある。そう、信じるんだ。
攻めの中心は晴矢と風介。どちらかには繋がるように、連携は組み立てられている。的確なパス回しは出来たばかりのチームとは思えない。今もまた11番が……。
「ん?」
なんか、思ってたのと逆の方に、パスが通ったような。そっちなんだというか、裏をかくにしても何だろうこの違和感。
あ、今度はパス要求が無視された。見間違いじゃない。そしてまた11番。……これは、見つけたかもしれない。
「そこだ!」
思わず叫んだ時、マントが翻った。パスカットしたのは鬼道だ。絶好のチャンスを、守兄と土門は見逃さない。回転しながら跳び上がった三人の周りで紫が渦巻いた。
デスゾーンは意思統一から生まれた技、2は個性のぶつかり合い。帝国のが足し算なら、雷門のはかけ算だ!
「「「デスゾーン2!!!」」」
紫色のシュートがゴールに突き刺さって、スコアは1ー10となった。1点目、取った!
得点されたことで火がついたのか、今度は晴矢が攻めてくる。繰り出されたのはアトミックフレア。条兄と壁山のフォローも間に合わない。
でも、もう立向居は、怯まなかった。
「ムゲン・ザ・ハンド!」
手を合わせた立向居の背から、4本の腕が飛び出した。迫る火球をがっちりと押さえ込む。完成したんだ!ムゲン・ザ・ハンド!
二つの新しい必殺技。まだまだ危ない状況だけど、それでも皆の表情は、明るかった。……本当に凄いや、皆は。
9点差のまま、前半は終わった。後半でこの点差を巻き返せるのか。……いや、巻き返せるのか、じゃない。巻き返すんだ。
今までの試合を思い出してみる。追い詰められても、そこから力を合わせて勝ち抜いてきた。
皆なら、皆と一緒なら出来る。そんな底知れない、さっきまで涸れかけてた自信が、満ち溢れてくる。あたしも、皆と戦いたい!
「行かなきゃ!」
監督に伝えようとベンチを立ったら、後ろから軽くユニフォームの裾を引っ張られた。しろ君だ。
「しろ君」
「美波ちゃん……行くんだね」
「うん、行ってくる」
「……」
「待ってるから、追い付いて」
「僕に、出来るかな」
「出来るよ、絶対!あたしが保証する!だってしろ君も、雷門イレブンなんだから!」
後半に向けて話し合っている皆の輪へ向かう。皆あたしのことを見ていて、なんだか、あたしから言うのを待っていてくれてる気がした。
「瞳子監督!」
「何かしら」
「後半、出たいです!」
「足手まといになるかもしれなくても?」
「もう大丈夫です。全力で、勝ちにいきます。お願いします!」
「……分かったわ。後半はディフェンスに入って」
「ありがとうございます!」
よかった。よかった。試合に出られる。これで,二人と戦える……!
「随分と遅い立ち直りだな」
「心配かけさせやがって!」
「すみません!」
「まあいい。美波、お前も気付いたんだろう。カオスの休止符を」
「休止符?」
「音村風に言えばな」
11番――ネッパーは、元ダイヤモンドダストを完全に無視していた。元プロミネンスだけで勝ちたいと思ってるから。
全体の攻撃を崩壊させる為に、ネッパーを中心に攻めて付け入る隙を作る。守兄も前へ出て、ゴールを狙いに行く。
「よーし、後半だ!逆転していくぞ!」
『おおっ!』
ポジションへ歩きながら、パンッと頬を軽く叩く。散々迷惑かけたんだ。ミスしないようにしないと。
「気合いを入れるなら、もっと強くやったらどうだ?」
「ひほー、いひゃい」
鬼道なりの発破なのかもしれないけど、わざわざつねりに来なくても。
頬をつままれたまま、敵陣へ視線を向けると、同じように見てたらしい二人と目が合った。
「(負けるもんか)」
ホイッスルが鳴り響く音を聞きながら、そう思った。後半、開始。風介からボールを受け取ったネッパーが攻めてくる。
ポジショニング的にリオーネに回すかと思いきや、ヒートへパスが出た。それを予測していた塔子が、カットする。
一度気付いてしまえば簡単だ。カオスの連携は、晴矢と風介以外、元ダイヤモンドダスト同士、元プロミネンス同士だけで成り立ってる。
「塔子こっち!」
「分かった!美波っ!」
「っと!」
塔子からのパスをトラップして前線へ目を向ける。アフロディが走り込んで来た。……見えた、よし!
「アフロディ!」
力いっぱいボールを蹴り出す。宙を舞ったボールは、しっかりとアフロディが受け取った。
良かった。ちゃんといつものプレーを出来てることに、ほっと息を吐きながら、シュート体勢に入ったアフロディの背中を見つめた。
純白の羽が広がった。この数日で更にパワーアップしたゴッドノウズが、バーンアウトを撃ち破る。これで追加点!
「ナイスシュート!」
「美波も、ちゃんと出来たじゃないか」
「心配かけてごめん」
流れは確実に雷門に来てる。カオスのペースが乱れている今が、点を取るチャンス。
ここまであからさまだと、直に二人も気付く。それまでに、出来るだけ点差を詰めておきたい。
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