第30話 対決!円堂VS豪炎寺!!
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「行くぞ!円堂!土門!デスゾーン開始!」
「「「デスゾーン!!!」」」
回転をかけながら跳躍した3人が、同時にボールへ蹴り込んだ。タイミングはピッタリ!
これは上手くいったんじゃないか。そう感じた矢先、段々とパワーは落ちていって、必殺技とは言えないシュートになってしまった。
立向居も目を閉じたまま止められたけど、行き詰まってるようだ。
「今のタイミング、完璧だったよな」
「ああ。今までで一番息が合っていた」
「なのに何故出せなかったんだ?」
「……俺にも分からない」
「面白いな。鬼道にも分からないデスゾーンか。ますます完成させたくなってきた!絶対完成させようぜ!」
「円堂……」
何度も何度もデスゾーンとムゲン・ザ・ハンドをやってみるけど、なかなか成功しない。
ムゲン・ザ・ハンドはともかく、デスゾーンは既にある必殺技だ。あとちょっとって感じなのにな……。
「佐久間はどう思う?」
「回転は十分だし、タイミングも合ってる。何が足りないのか、俺にも……」
自身もデスゾーンを撃っていて勝手が分かってる佐久間にも、何が足りないのか分からないなんて……。こっちも苦戦しそうだ。
「……ところで、美波はしないのか、練習。雷門、一人足りてないぞ」
「ちょっと今はね。スランプ気味……かな」
「スランプ?美波が?珍しいこともあるもんだな」
「あたしだってスランプくらいなるよ」
ボールが思うように蹴れない。こうなって初めて、しろ君の気持ちが少しだけ分かったかもしれない。
「……まあ、そうだな。誰だって、そういう時はあるか」
よいしょ、と松葉杖片手に立ち上がった佐久間は、ベンチ脇に転がっていたボールを一つ取り上げると、そのままベンチから離れていく。
急にどうしたんだろう。気になって追いかけると、振り向いた佐久間から「そこで止まってくれ」と声が飛んできた。
言われるままに立ち止まる。向き直った佐久間との距離は五メートルくらい。足元にボールを置いた佐久間は、なんと右足を振りかぶった。
佐久間が何をしようとしているのか。ここまで来れば流石に分かる。
「佐久間待って!」
あたしが叫ぶより早く、佐久間の右足がボールを捉えた。身体に染み着いてるのがよくわかる、綺麗なフォームだ。
真っ直ぐ飛ぶボールをよそに、バランスを崩した佐久間が尻もちをつく。心配で駆け寄りたいのに、自然とあたしはトラップの体勢を取っていた。
胸に当たったボールが浮く。勢いを殺しきれなかった。跳ねて変な方に転がったボールを追おうか迷って、佐久間を優先した。
「佐久間!」
「一本じゃ踏ん張れないな……。待ってろ」
あたしの心配をよそに、立ち上がった佐久間はベンチ裏から二本目の松葉杖を取り出した。まさかまだやる気!?
「何やってるの!せっかく治ってきたのに悪化しちゃうよ!」
「動かさないと鈍るからな。復帰する時、困るだろ」
答えになってない答えを返して、ボールを拾い上げる佐久間。その背中が妙に自信ありげで、どうしてそこまでするんだろうと思う。
「……今のあたしと練習しても意味ないよ」
「でも、正面で取れてはいただろ。体が覚えてる証拠だ」
「そうかな」
「そうだよ。ほら、やるぞ」
反論は聞かないと言わんばかりに、佐久間はボールを蹴る。ここまで言われて付き合わない方が悪い気がして、あたしも返す。
怪我を感じさせないお手本のようなパスを出す佐久間に対して、どうしてもあらぬ方向へ飛ばすあたし。取りに行く為に余計に足を使わせていて、申し訳なさしかない。
それでも何度も繰り返しているうちに、多少はマシになってきた。どうすれば上手くいくか試行錯誤して、今の状態で前みたく蹴る方法が分かってきた。
思えば、練習に参加しなくなってから、誰かとボールを蹴る事はなかった。邪魔になると思ったから、一人で蹴っていた。……それが余計に良くなかったのかな。
「なあ、美波」
「ん?」
「覚えてるか?練習試合の時の事。お前、俺に喧嘩売っただろ」
「……そうだっけ?」
「そうだよ。来いよ、って」
「あー……」
――……来いよ、佐久間ァ!
そういえばそんなこと言ったな。何度も何度もシュートを撃たれては立ち上がって、絶対止めてやる!って。
「それだったら佐久間……帝国だって!あたしなんか眼中にないみたいで!」
「そうだったな。強そうにも見えないし、数合わせだろって思ってた」
「改めて言われるとなんかムカつくな!」
冗談半分で混ぜ返せば、佐久間は「ごめん」と一言。罪悪感でいっぱいみたいな顔をしていて、慌ててかける言葉を考える。
「確かに、実力差は歴然だったよね。あの頃のあたしじゃそう思われるのも仕方ないか」
「それでも美波は諦めようとはしなかった。どんなに劣勢でも、兄妹揃って立ち上がるんだからな」
「褒めても何も出ないよ?」
「本音を言ってるだけだ。その闘志を燃やし続ける目に、俺は……」
「佐久間?」
「ああいや……正直、怯んだ。怖くなって、退けようとした」
「でも最後はよくやったよ、って言ってくれた」
「聞こえてたのか」
「バッチリね!」
最後の最後で、あたしは佐久間のシュートを止めた。体を使って、腹で受けたボールを必死に抑え込んで、不恰好だったけれど。
その直後にあたしは倒れた。流石に直ぐには立ち上がれなくて、せっかく止めたのにボールキープ出来ないのが悔しくて、そんな時に聞こえた声。
……認めてくれたのが、嬉しかった。あたしを、選手をとして、対戦相手として対等に扱ってくれたのが。
1ー20。雷門にとって始まりの試合。あたしにとっても、一人の選手として始まった試合。
「……もう大丈夫そうだな」
「え?」
「顔つきが変わったって話。今日顔を見た時はまるで迷子みたいだって思ったけど」
「そんな顔してた!?」
「してた」
一郎太との事があって数日だ。何が引っ掛かってるかの自覚はあるし、後はあたしの気持ちの問題な訳で。守兄も何も言わないから……。
足元に転がったボール。佐久間と交わしたパス。……佐久間の言う通り、もう大丈夫だって思えた。
「ありがとう、佐久間。おかげで初心を思い出せた気がする」
「……どういたしまして。美波の力になれてよかったよ」
「どしたの」
「今更だけど、呼び方変えたんだな」
「え、ああ。戻す?」
「……いや、いい。その方が対等な気がする」
「え!今まで対等に感じてなかった!?」
「そうじゃない。俺も改めて始めたいってだけだ」
意図までは分からなかったけど、佐久間がいいなら、あたしが言う事はない。佐久間は佐久間なんだし。
一段落したところで、喉がカラカラなのに気づいた。佐久間も「喉渇いたな」と呟く。ボールを蹴っては話してで、全然水分を取ってなかったしな。
「春ちゃん、ドリンク余ってたら欲しいんだけど……」
「はい!美波先輩と佐久間さんの分もちゃんとありますよ!」
どうぞ!と、待ってましたとばかりに差し出された二本のボトル。少し離れた所から、秋となっちゃんも様子を窺うように視線を向けている。
……本当、心配かけちゃったよな。次の試合に備えて、早く調子を取り戻さないと。
ピーッとホイッスルが鳴って、グラウンドの皆も暫く休憩を取ることになったのか、鬼道がベンチの方へ歩いてきた。
そんな鬼道に佐久間は何か言いたげに口を開きかけたけど、迷っているのか直ぐに閉じてしまう。
「何か言いたいんじゃないの?佐久間」
「いや……。いいんだ、技には関係ないから」
「関係なくても、もしかしたら成功に繋がるかもしれないよ」
「でも」
「それに、今思ったんなら今言わなきゃ!伝えたいことは、直ぐ言わないと逃しちゃうよ!」
「伝えたいことは直ぐ言わないとって……簡単に言ってくれるよな」
呆れたような目で見られて、何故かため息を吐かれてしまった。
「……そうだな。確かに美波の言う通りだ」
「でしょ!じゃあ席外すねー」
「ああ、ありがとう」
.
「「「デスゾーン!!!」」」
回転をかけながら跳躍した3人が、同時にボールへ蹴り込んだ。タイミングはピッタリ!
これは上手くいったんじゃないか。そう感じた矢先、段々とパワーは落ちていって、必殺技とは言えないシュートになってしまった。
立向居も目を閉じたまま止められたけど、行き詰まってるようだ。
「今のタイミング、完璧だったよな」
「ああ。今までで一番息が合っていた」
「なのに何故出せなかったんだ?」
「……俺にも分からない」
「面白いな。鬼道にも分からないデスゾーンか。ますます完成させたくなってきた!絶対完成させようぜ!」
「円堂……」
何度も何度もデスゾーンとムゲン・ザ・ハンドをやってみるけど、なかなか成功しない。
ムゲン・ザ・ハンドはともかく、デスゾーンは既にある必殺技だ。あとちょっとって感じなのにな……。
「佐久間はどう思う?」
「回転は十分だし、タイミングも合ってる。何が足りないのか、俺にも……」
自身もデスゾーンを撃っていて勝手が分かってる佐久間にも、何が足りないのか分からないなんて……。こっちも苦戦しそうだ。
「……ところで、美波はしないのか、練習。雷門、一人足りてないぞ」
「ちょっと今はね。スランプ気味……かな」
「スランプ?美波が?珍しいこともあるもんだな」
「あたしだってスランプくらいなるよ」
ボールが思うように蹴れない。こうなって初めて、しろ君の気持ちが少しだけ分かったかもしれない。
「……まあ、そうだな。誰だって、そういう時はあるか」
よいしょ、と松葉杖片手に立ち上がった佐久間は、ベンチ脇に転がっていたボールを一つ取り上げると、そのままベンチから離れていく。
急にどうしたんだろう。気になって追いかけると、振り向いた佐久間から「そこで止まってくれ」と声が飛んできた。
言われるままに立ち止まる。向き直った佐久間との距離は五メートルくらい。足元にボールを置いた佐久間は、なんと右足を振りかぶった。
佐久間が何をしようとしているのか。ここまで来れば流石に分かる。
「佐久間待って!」
あたしが叫ぶより早く、佐久間の右足がボールを捉えた。身体に染み着いてるのがよくわかる、綺麗なフォームだ。
真っ直ぐ飛ぶボールをよそに、バランスを崩した佐久間が尻もちをつく。心配で駆け寄りたいのに、自然とあたしはトラップの体勢を取っていた。
胸に当たったボールが浮く。勢いを殺しきれなかった。跳ねて変な方に転がったボールを追おうか迷って、佐久間を優先した。
「佐久間!」
「一本じゃ踏ん張れないな……。待ってろ」
あたしの心配をよそに、立ち上がった佐久間はベンチ裏から二本目の松葉杖を取り出した。まさかまだやる気!?
「何やってるの!せっかく治ってきたのに悪化しちゃうよ!」
「動かさないと鈍るからな。復帰する時、困るだろ」
答えになってない答えを返して、ボールを拾い上げる佐久間。その背中が妙に自信ありげで、どうしてそこまでするんだろうと思う。
「……今のあたしと練習しても意味ないよ」
「でも、正面で取れてはいただろ。体が覚えてる証拠だ」
「そうかな」
「そうだよ。ほら、やるぞ」
反論は聞かないと言わんばかりに、佐久間はボールを蹴る。ここまで言われて付き合わない方が悪い気がして、あたしも返す。
怪我を感じさせないお手本のようなパスを出す佐久間に対して、どうしてもあらぬ方向へ飛ばすあたし。取りに行く為に余計に足を使わせていて、申し訳なさしかない。
それでも何度も繰り返しているうちに、多少はマシになってきた。どうすれば上手くいくか試行錯誤して、今の状態で前みたく蹴る方法が分かってきた。
思えば、練習に参加しなくなってから、誰かとボールを蹴る事はなかった。邪魔になると思ったから、一人で蹴っていた。……それが余計に良くなかったのかな。
「なあ、美波」
「ん?」
「覚えてるか?練習試合の時の事。お前、俺に喧嘩売っただろ」
「……そうだっけ?」
「そうだよ。来いよ、って」
「あー……」
――……来いよ、佐久間ァ!
そういえばそんなこと言ったな。何度も何度もシュートを撃たれては立ち上がって、絶対止めてやる!って。
「それだったら佐久間……帝国だって!あたしなんか眼中にないみたいで!」
「そうだったな。強そうにも見えないし、数合わせだろって思ってた」
「改めて言われるとなんかムカつくな!」
冗談半分で混ぜ返せば、佐久間は「ごめん」と一言。罪悪感でいっぱいみたいな顔をしていて、慌ててかける言葉を考える。
「確かに、実力差は歴然だったよね。あの頃のあたしじゃそう思われるのも仕方ないか」
「それでも美波は諦めようとはしなかった。どんなに劣勢でも、兄妹揃って立ち上がるんだからな」
「褒めても何も出ないよ?」
「本音を言ってるだけだ。その闘志を燃やし続ける目に、俺は……」
「佐久間?」
「ああいや……正直、怯んだ。怖くなって、退けようとした」
「でも最後はよくやったよ、って言ってくれた」
「聞こえてたのか」
「バッチリね!」
最後の最後で、あたしは佐久間のシュートを止めた。体を使って、腹で受けたボールを必死に抑え込んで、不恰好だったけれど。
その直後にあたしは倒れた。流石に直ぐには立ち上がれなくて、せっかく止めたのにボールキープ出来ないのが悔しくて、そんな時に聞こえた声。
……認めてくれたのが、嬉しかった。あたしを、選手をとして、対戦相手として対等に扱ってくれたのが。
1ー20。雷門にとって始まりの試合。あたしにとっても、一人の選手として始まった試合。
「……もう大丈夫そうだな」
「え?」
「顔つきが変わったって話。今日顔を見た時はまるで迷子みたいだって思ったけど」
「そんな顔してた!?」
「してた」
一郎太との事があって数日だ。何が引っ掛かってるかの自覚はあるし、後はあたしの気持ちの問題な訳で。守兄も何も言わないから……。
足元に転がったボール。佐久間と交わしたパス。……佐久間の言う通り、もう大丈夫だって思えた。
「ありがとう、佐久間。おかげで初心を思い出せた気がする」
「……どういたしまして。美波の力になれてよかったよ」
「どしたの」
「今更だけど、呼び方変えたんだな」
「え、ああ。戻す?」
「……いや、いい。その方が対等な気がする」
「え!今まで対等に感じてなかった!?」
「そうじゃない。俺も改めて始めたいってだけだ」
意図までは分からなかったけど、佐久間がいいなら、あたしが言う事はない。佐久間は佐久間なんだし。
一段落したところで、喉がカラカラなのに気づいた。佐久間も「喉渇いたな」と呟く。ボールを蹴っては話してで、全然水分を取ってなかったしな。
「春ちゃん、ドリンク余ってたら欲しいんだけど……」
「はい!美波先輩と佐久間さんの分もちゃんとありますよ!」
どうぞ!と、待ってましたとばかりに差し出された二本のボトル。少し離れた所から、秋となっちゃんも様子を窺うように視線を向けている。
……本当、心配かけちゃったよな。次の試合に備えて、早く調子を取り戻さないと。
ピーッとホイッスルが鳴って、グラウンドの皆も暫く休憩を取ることになったのか、鬼道がベンチの方へ歩いてきた。
そんな鬼道に佐久間は何か言いたげに口を開きかけたけど、迷っているのか直ぐに閉じてしまう。
「何か言いたいんじゃないの?佐久間」
「いや……。いいんだ、技には関係ないから」
「関係なくても、もしかしたら成功に繋がるかもしれないよ」
「でも」
「それに、今思ったんなら今言わなきゃ!伝えたいことは、直ぐ言わないと逃しちゃうよ!」
「伝えたいことは直ぐ言わないとって……簡単に言ってくれるよな」
呆れたような目で見られて、何故かため息を吐かれてしまった。
「……そうだな。確かに美波の言う通りだ」
「でしょ!じゃあ席外すねー」
「ああ、ありがとう」
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