第31話 奇跡のチーム!ザ・カオス!!
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夕方。しろ君を雷門中まで送って、そのまま鉄塔広場の方に足を向けた。
考え事、というか、何か悩んだりもやもやした時は、鉄塔に行きたくなる。こんな時は、あそこからの景色を眺めるのが一番だ。
一人になりたい。
と思ってたら、守兄に豪炎時、鬼道、条兄が揃っていた。なんでも、条兄が鉄塔広場に行ってみたいと言ったとかで。
木に吊るされて、揺れるタイヤ。このタイヤを見るのも久しぶりだ。タイヤ相手に騒いでいる条兄達を横目に、ベンチの鬼道の隣に座る。
……変わらないな、ここからの景色は。あたしはこの旅で、どれくらい変わっただろう。
「美波、少しいいか」
「どしたの鬼道」
「グランをお前はどう思っている?」
「ヒロトのこと?そりゃ……」
友達だよ。迷わず言いかけて、慌てて呑み込んだ。鬼道は頭いいから、絶対詮索される。タオルの件もあるし。
「……悪い奴じゃない、と思う。だから、何であんなことしてるのか知りたいなー、とか?」
「そうか……。何を隠しているかは知らないが、言いたくなった時に言えばいい」
「えっ」
天才ゲームメーカーの目は誤魔化せなかった。全てを見通すような赤には、やっぱり敵わない。
とりあえず笑ってみたら、下手な作り笑いはやめろと頬をつねられた。いつもやられるのより、痛くなかった。
「鬼道って何でつねるの好きなの」
「好きな訳じゃない。よく伸びると思ってるだけだ」
「ええ……」
「そもそも最初にやってきたのはお前だ」
「いつの話だと……。まさか延々とやり返されるとは」
「されたいか」
「いや違うけど」
「冗談だ」
真顔で冗談と言われても、本当かと思ってしまう。相手が鬼道のだから尚更。からかわれてるのは分かってるけど。
続けて鬼道は「調子はどうだ」と聞いてきた。今日の練習、途中で抜けたのを気にしてるようだった。それに関しては謝るしかない。
調子。調子かあ……。佐久間のおかげで、思ってたよりは皆についていけてる。だから何とかなる……と思いたい。
まだ暫く鉄塔に居るという守兄達を置いて、一足先に雷門中に戻ると、校門前でアフロディと夕弥が待っていた。
「お帰り、美波」
「おっせーよ」
「アフロディに、夕弥?」
出迎えてくれたのは嬉しいけど、不思議な組み合わせだ。
「どしたの二人共」
「練習を抜けたきり戻ってこないから、少し心配でね。吹雪くんを送った足で鉄塔に行ってしまったと聞いたし」
「あー……心配かけてごめん。待っててくれてありがとうね」
「まあ、心配してたのは木暮くんなんだけどね。僕はその付き添い」
「え、夕弥?」
「ばっ、ちが……。い、今の美波はなんか変だし、仕方なくだからな!」
「素直じゃないなー」
「うるさい!美波なんかこうだ!」
ぽいっと投げつけられた緑色がジャージの袖に着地する。うにょん、と動いた。あっ、これ、駄目なやつ。
「ひぎゃああああ!」
「うっしっし!ざまーみろ!バーカ!」
「取って取って取って!」
「木暮くん!?美波、大丈夫かい?」
「取ってください……」
「ああ、うん……」
苦笑いのアフロディは緑色を摘まみ上げると、生け垣へ歩いて行った。た、助かった……!
「今ならわかる。アフロディは神様だったんだ」
「基準がそれだと美波の周りは神様だらけだと思うんだけど……」
「じゃあ恩人!本当に助かったよ、ありがとう!」
「まさかあんなに怯えるとは思わなかったよ」
「アフロディも朝起きたら大量の生まれたてのカマキリに囲まれる経験をしたらこうなるよ」
「是非遠慮させてくれ」
真顔だった。なんか迫力が凄いな。
「……なんだろうね」
「ん?」
「美波は怖いものなんて無いと思ってたよ」
「そりゃあるよ、怖いものくらい。無敵ってわけでもないし」
「そう、君は無敵じゃない。だから、仲間を頼るべきだ」
じっと見詰められて、思わず視線をそらした。
「君を含めた皆が吹雪くんを待っているように、君以外の皆が美波を待っていると僕は思うよ」
そんなの、わかってるよ。
***
「……あのさ、何であたしの番号知ってるの?」
「そんなの調べたに決まってんだろ」
どやあ。そんな効果音が付きそうな声色で、晴矢はそう言った。電話の向こうでふんぞり返ってそう。
何でこうなったかというと、今日も今日とてキャラバンの上で星を見てたら、携帯に非通知の電話がかかってきた。
警戒しながら出たら、相手は晴矢で。どうやって調べたのかの答えは、笑いながらの「言うわけねーだろ」だった。
……試合を明日に控えた敵チーム同士なんて、到底思えないや。
「それで!突電話の理由は?手短によろしく!」
「そんなピリピリすんなよ。宣戦布告ってやつだ。他の奴らがいる時間じゃない方がいいだろ?」
「それは、そうだけど。……随分軽いね。あたし達、一応敵同士なのに」
「たまには気ぃ抜かせろよ」
「そんなこと言われても」
「少なくとも美波にとっては"友達"なんだろ」
それを言われてしまうと何も言えない。ちょっと嬉しくも思ってしまうんだから、我ながら単純だ。
照れ隠しに「晴矢も?」と聞いてみれば、「うるせえ」と一言だけ。晴矢も大概素直じゃない。……良かった。まだ、友達で。
「貸せ。私にも話させろ」
「テメッ、勝手に部屋入るんじゃねえ!」
「黙れ。やあ、美波。調子はどうかな?」
「まあ、ぼちぼち……」
突然出てきた風介に、そう曖昧に濁すように答えた。今の雷門の状況を教える訳にはいかない。
「私にはそうは思えないような声色だけど」
「雷門も色々あるの!……絶対に、負けないんだから!」
「それは私もだ。混合チームではあるが、私にとっては雪辱を晴らす為の戦いでもある。明日の試合、楽しみにしている」
「何綺麗に纏めようとしてんだ!つか明日はグランの野郎より俺らの方が上だって証明するんだろ!」
「それは言うまでもない。ジェネシスの称号を得るのは私達だ。その上で、美波との試合を純粋に楽しみたいというのもある」
「お前なあ……」
風介があたしとの試合を純粋に楽しみたいなら、それはそれであたしは嬉しい。
だってエイリア学園になってから、サッカーを楽しむことなんてなかっただろうから。
「今日はもう休むといい。おやすみ」
「チッ……。いいか、明日は万全で来い。そうじゃなきゃ、俺らの方がジェネシスに相応しいって証明にならねえ」
「あの、称号ってなに」
「覚悟してろよ!」
「あ、うん、おやすみなさい」
名残惜しいけど、こちらから電話を切る。切れた携帯を見下ろして、改めて思う。
「……試合、出たいな」
足を引っ張ってしまうかもしれないけど、それでも出たい。二人と戦いたい。二人とサッカーしたい。戦って、勝ちたい。
……何でそこまでジェネシスの称号?というのに拘るのかは、わからないけど。
思うように動いてくれなくなった足がもどかしくて、とりあえず気合いを入れる為に太ももとふくらはぎを叩く。
寝る前に少し走ろうか。立ち上がろうとした時、キャラバンの下に気配を感じた。
「美波、いるか?」
「守兄!どしたの?」
「いや、なんか……良くない事が起きてる気がして」
「えっ」
今まさに、エイリア学園の晴矢と風介と電話してたところだ。あからさまにギクッとしてしまう。
「とにかく!早く寝ろよ?」
「うん。……あのさ」
「ん?」
「……ごめん」
「なんのことだ?」
わかってるはずなのに、それでもいつもみたくニカッと笑う守兄に、罪悪感でいっぱいになった。
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考え事、というか、何か悩んだりもやもやした時は、鉄塔に行きたくなる。こんな時は、あそこからの景色を眺めるのが一番だ。
一人になりたい。
と思ってたら、守兄に豪炎時、鬼道、条兄が揃っていた。なんでも、条兄が鉄塔広場に行ってみたいと言ったとかで。
木に吊るされて、揺れるタイヤ。このタイヤを見るのも久しぶりだ。タイヤ相手に騒いでいる条兄達を横目に、ベンチの鬼道の隣に座る。
……変わらないな、ここからの景色は。あたしはこの旅で、どれくらい変わっただろう。
「美波、少しいいか」
「どしたの鬼道」
「グランをお前はどう思っている?」
「ヒロトのこと?そりゃ……」
友達だよ。迷わず言いかけて、慌てて呑み込んだ。鬼道は頭いいから、絶対詮索される。タオルの件もあるし。
「……悪い奴じゃない、と思う。だから、何であんなことしてるのか知りたいなー、とか?」
「そうか……。何を隠しているかは知らないが、言いたくなった時に言えばいい」
「えっ」
天才ゲームメーカーの目は誤魔化せなかった。全てを見通すような赤には、やっぱり敵わない。
とりあえず笑ってみたら、下手な作り笑いはやめろと頬をつねられた。いつもやられるのより、痛くなかった。
「鬼道って何でつねるの好きなの」
「好きな訳じゃない。よく伸びると思ってるだけだ」
「ええ……」
「そもそも最初にやってきたのはお前だ」
「いつの話だと……。まさか延々とやり返されるとは」
「されたいか」
「いや違うけど」
「冗談だ」
真顔で冗談と言われても、本当かと思ってしまう。相手が鬼道のだから尚更。からかわれてるのは分かってるけど。
続けて鬼道は「調子はどうだ」と聞いてきた。今日の練習、途中で抜けたのを気にしてるようだった。それに関しては謝るしかない。
調子。調子かあ……。佐久間のおかげで、思ってたよりは皆についていけてる。だから何とかなる……と思いたい。
まだ暫く鉄塔に居るという守兄達を置いて、一足先に雷門中に戻ると、校門前でアフロディと夕弥が待っていた。
「お帰り、美波」
「おっせーよ」
「アフロディに、夕弥?」
出迎えてくれたのは嬉しいけど、不思議な組み合わせだ。
「どしたの二人共」
「練習を抜けたきり戻ってこないから、少し心配でね。吹雪くんを送った足で鉄塔に行ってしまったと聞いたし」
「あー……心配かけてごめん。待っててくれてありがとうね」
「まあ、心配してたのは木暮くんなんだけどね。僕はその付き添い」
「え、夕弥?」
「ばっ、ちが……。い、今の美波はなんか変だし、仕方なくだからな!」
「素直じゃないなー」
「うるさい!美波なんかこうだ!」
ぽいっと投げつけられた緑色がジャージの袖に着地する。うにょん、と動いた。あっ、これ、駄目なやつ。
「ひぎゃああああ!」
「うっしっし!ざまーみろ!バーカ!」
「取って取って取って!」
「木暮くん!?美波、大丈夫かい?」
「取ってください……」
「ああ、うん……」
苦笑いのアフロディは緑色を摘まみ上げると、生け垣へ歩いて行った。た、助かった……!
「今ならわかる。アフロディは神様だったんだ」
「基準がそれだと美波の周りは神様だらけだと思うんだけど……」
「じゃあ恩人!本当に助かったよ、ありがとう!」
「まさかあんなに怯えるとは思わなかったよ」
「アフロディも朝起きたら大量の生まれたてのカマキリに囲まれる経験をしたらこうなるよ」
「是非遠慮させてくれ」
真顔だった。なんか迫力が凄いな。
「……なんだろうね」
「ん?」
「美波は怖いものなんて無いと思ってたよ」
「そりゃあるよ、怖いものくらい。無敵ってわけでもないし」
「そう、君は無敵じゃない。だから、仲間を頼るべきだ」
じっと見詰められて、思わず視線をそらした。
「君を含めた皆が吹雪くんを待っているように、君以外の皆が美波を待っていると僕は思うよ」
そんなの、わかってるよ。
***
「……あのさ、何であたしの番号知ってるの?」
「そんなの調べたに決まってんだろ」
どやあ。そんな効果音が付きそうな声色で、晴矢はそう言った。電話の向こうでふんぞり返ってそう。
何でこうなったかというと、今日も今日とてキャラバンの上で星を見てたら、携帯に非通知の電話がかかってきた。
警戒しながら出たら、相手は晴矢で。どうやって調べたのかの答えは、笑いながらの「言うわけねーだろ」だった。
……試合を明日に控えた敵チーム同士なんて、到底思えないや。
「それで!突電話の理由は?手短によろしく!」
「そんなピリピリすんなよ。宣戦布告ってやつだ。他の奴らがいる時間じゃない方がいいだろ?」
「それは、そうだけど。……随分軽いね。あたし達、一応敵同士なのに」
「たまには気ぃ抜かせろよ」
「そんなこと言われても」
「少なくとも美波にとっては"友達"なんだろ」
それを言われてしまうと何も言えない。ちょっと嬉しくも思ってしまうんだから、我ながら単純だ。
照れ隠しに「晴矢も?」と聞いてみれば、「うるせえ」と一言だけ。晴矢も大概素直じゃない。……良かった。まだ、友達で。
「貸せ。私にも話させろ」
「テメッ、勝手に部屋入るんじゃねえ!」
「黙れ。やあ、美波。調子はどうかな?」
「まあ、ぼちぼち……」
突然出てきた風介に、そう曖昧に濁すように答えた。今の雷門の状況を教える訳にはいかない。
「私にはそうは思えないような声色だけど」
「雷門も色々あるの!……絶対に、負けないんだから!」
「それは私もだ。混合チームではあるが、私にとっては雪辱を晴らす為の戦いでもある。明日の試合、楽しみにしている」
「何綺麗に纏めようとしてんだ!つか明日はグランの野郎より俺らの方が上だって証明するんだろ!」
「それは言うまでもない。ジェネシスの称号を得るのは私達だ。その上で、美波との試合を純粋に楽しみたいというのもある」
「お前なあ……」
風介があたしとの試合を純粋に楽しみたいなら、それはそれであたしは嬉しい。
だってエイリア学園になってから、サッカーを楽しむことなんてなかっただろうから。
「今日はもう休むといい。おやすみ」
「チッ……。いいか、明日は万全で来い。そうじゃなきゃ、俺らの方がジェネシスに相応しいって証明にならねえ」
「あの、称号ってなに」
「覚悟してろよ!」
「あ、うん、おやすみなさい」
名残惜しいけど、こちらから電話を切る。切れた携帯を見下ろして、改めて思う。
「……試合、出たいな」
足を引っ張ってしまうかもしれないけど、それでも出たい。二人と戦いたい。二人とサッカーしたい。戦って、勝ちたい。
……何でそこまでジェネシスの称号?というのに拘るのかは、わからないけど。
思うように動いてくれなくなった足がもどかしくて、とりあえず気合いを入れる為に太ももとふくらはぎを叩く。
寝る前に少し走ろうか。立ち上がろうとした時、キャラバンの下に気配を感じた。
「美波、いるか?」
「守兄!どしたの?」
「いや、なんか……良くない事が起きてる気がして」
「えっ」
今まさに、エイリア学園の晴矢と風介と電話してたところだ。あからさまにギクッとしてしまう。
「とにかく!早く寝ろよ?」
「うん。……あのさ」
「ん?」
「……ごめん」
「なんのことだ?」
わかってるはずなのに、それでもいつもみたくニカッと笑う守兄に、罪悪感でいっぱいになった。
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