第31話 奇跡のチーム!ザ・カオス!!
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河川敷についた。グラウンドでは、小さい子達がボールを蹴ってる。今日はKFCの練習日じゃないらしい。
「懐かしいな。このグラウンドね、まだ雷門が弱小サッカー部って言われてた頃、練習によく使ってたんだ」
「へえ……。思い出があるんだね」
「うん」
「……いいな」
グラウンドを眺めがら、しろ君はそう呟いた。
「……僕だってやりたいさ、皆と一緒にサッカーを。でも、ボールを蹴ったらアツヤが……。アツヤさえ、いなければっ……!」
……あたしは、アツヤもしろ君だと思ってる。しろ君が、完璧になる為に生み出した存在だから。
完璧になる。それは、本当にアツヤがいないと出来ない事なのかな……?
前にワイバーンブリザードを完成させた時、完璧な技だと言っていた。皆と一緒に、完璧になる事だって、出来るんじゃないか。
「(うーん)」
やっぱり難しい事を考えるのは苦手だ。それとも、難しく考えすぎてるのか。
「あ」
目の前にサッカーボールが転がってきた。堤防の上には二人の男の子がいて、落としたらしく取って欲しいと声が降ってくる。
小さく微笑んだしろ君はボールを拾い上げて投げようとしたけど、ふとその動きが止まった。何かを思い出しているような、そんな感じだ。
「しろ君、ボールボール!」
「……ごめんごめん!いくよ!」
投げられたボールを受け取った男の子達が、お礼を言って歩いて行くのを見送る。あたしにも守兄とあんな感じの時期があったな。
しろ君とアツヤはどうだったんだろう。あたしが聞く前に、しろ君は「アツヤ!」と声を張り上げた。
手を伸ばすしろ君と、突然の事に肩を揺らすあたし。そのまま固まっていると、マフラーを握りしめて、しろ君は俯いた。
「ごめんね、驚かせちゃって」
「大丈夫!アツヤの事、思い出してた?」
「……前に、アツヤがボールを飛ばして……その時の事をね」
……よくよく考えれば、あたしはアツヤの事を殆ど知らない。
共通点はサッカーくらい。聞こうにも、今のしろ君にとっては触れられたくない領域だと思う。
知りたいと思う気持ちがある反面、聞いてはいけないという気持ちもあって。
しろ君から話してくれるまで、こっちからは何も言わない方がいいんだろうな。
「やっぱり出来ないよ、アツヤを追い出すことなんて……。追い出したら、本当にほんとにアツヤはいなくなって……」
かける言葉が見つからない。
生まれる前からじいちゃんはいなかったし、友達がいなくなってしまった事はあっても、この旅で再会出来た。
それこそ永遠のお別れはアツヤが初めてで、じゃあしろ君の寂しさを理解出来るのかっていうと、そういう訳でもなくて。
あたしなんかじゃ想像もつかないそれは、しろ君だけのものだから。
「どうしたらいいんだっ………!」
しろ君はアツヤがいなくなるのを怖がってる。二度もアツヤを失う事になるから。また一人になるって思ってるから。
守兄、豪炎寺、鬼道、一之瀬、土門、壁山、塔子、夕弥、リカ、立向居、条兄。秋になっちゃんに春ちゃん。
しろ君には仲間がいる。けれど、しろ君は皆とサッカーをしたいと思ってる反面、皆が見えていないような気もしてならない。
どうしたら、仲間がいるって、一人じゃないって気づいてくれるのかな……。
……しろ君の中のアツヤは、どう思ってるんだろう。いなければと、追い出せないと、動けずにいるしろ君を。
「……アツヤ、どうしてる?」
「え……」
「あ、いや、ほら、最近見てないから……」
ちょっとでいいからアツヤと話せないかな。本当にそう思っただけなんだけど、言葉選びを間違えたと、直ぐに気づいた。
「アツヤと、サッカーしたい?美波ちゃんは、アツヤがいいの?」
「待って」
「そんなの、嫌だ。美波ちゃんは、僕と一緒にいてくれるって、いなくならないって」
「しろ君!」
「いなくならないよね!僕と一緒にいてくれるよね!」
「あの」
「やだよ、美波ちゃんまでいなくなっちゃうなんて」
「だから」
「もし、美波ちゃんがいなくなっちゃったら……僕は……」
「だーかーらーっ!一緒にいるよ!」
しろ君の言葉がなかなか途切れなくて痺れを切らしたので、無理矢理ぶったぎって、しろ君の髪を掻き回す。いつも豪炎寺にやられてるノリで。
「あたしは!吹雪士郎とサッカーがしたい!」
「っ!」
一緒にいる。当然だ。仲間がいると気づくまで。皆、待ってるんだから。
「皆だってそう。皆にとってはさ、しろ君もアツヤも吹雪士郎なんだよ」
だってそうだ。皆、アツヤと会った事はないんだから。吹雪士郎しか知らない。ディフェンダーも、フォワードも、全部そう。
……ディフェンダーだったしろ君が、エターナルブリザードを使うようになって、伝説のストライカーとまで呼ばれるようになった。
元々素質はあったのかもしれない。それでも、それ程の実力を身に付けるまでに、どれだけの努力があっただろう。
「待ってるからさ!」
いつかされたように、今度はあたしの方からしろ君を抱き締める。どうか、また皆でサッカー出来ますように。気付けますように。
暫くして、申し訳なさそうな顔で、しろ君は離れていった。
「……ごめんね」
「今日のしろ君は謝ってばっかだね」
「……ごめ」
「そうじゃなくて!こういう時は、ありがとうでいいんだよ!」
よくある話だ。謝るんじゃなくて、感謝するってやつ。
「僕は美波ちゃんに貰ってばかりだ」
「あたしの方こそ、しろ君に沢山貰ったよ。だからさ、こういう時こそ支え合うんだ。仲間なんだから!」
「仲間、か……」
「それに、なんとなく分かるんだ。しろ君のサッカーにはアツヤが必要だったんだね」
「……そう、僕にはアツヤが必要だった」
「あたしもさ、あたしのサッカーは、守兄がいてこそだから」
「キャプテン?」
「うん。守兄がいたから、あたしもサッカーを始めた」
話ながら顔を上げる。視線の先にあるのは、稲妻町のシンボルである鉄塔だ。二人でよく練習した場所。
「ポジションをディフェンダーにしたのも、守兄に勧められたからなんだよね」
「そうなの?」
「本当はシュート撃ちたかったんだけど……。あ、でも、今は好きだよディフェンダー!」
「だから豪炎寺くんが憧れだったんだ」
「まあね。でも、もっと頑張ればよかった。ディフェンダーだって、シュートは撃てるんだから」
両方を完璧にやるというしろ君は、いい意味で衝撃だった。どっちか片方だけじゃなきゃ駄目なんて、そんな道理ないよね。
「ディフェンダーもフォワードもするしろ君は凄いと思う。がんばり屋さんだ。それで、前にも言ったけど、あたしの憧れで目標!」
自分でも無茶苦茶な事を言ってる自覚はある。
それでもしろ君は「美波ちゃんなら、きっとなれるよ」と言ってくれた。それが、嬉しかった。
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「懐かしいな。このグラウンドね、まだ雷門が弱小サッカー部って言われてた頃、練習によく使ってたんだ」
「へえ……。思い出があるんだね」
「うん」
「……いいな」
グラウンドを眺めがら、しろ君はそう呟いた。
「……僕だってやりたいさ、皆と一緒にサッカーを。でも、ボールを蹴ったらアツヤが……。アツヤさえ、いなければっ……!」
……あたしは、アツヤもしろ君だと思ってる。しろ君が、完璧になる為に生み出した存在だから。
完璧になる。それは、本当にアツヤがいないと出来ない事なのかな……?
前にワイバーンブリザードを完成させた時、完璧な技だと言っていた。皆と一緒に、完璧になる事だって、出来るんじゃないか。
「(うーん)」
やっぱり難しい事を考えるのは苦手だ。それとも、難しく考えすぎてるのか。
「あ」
目の前にサッカーボールが転がってきた。堤防の上には二人の男の子がいて、落としたらしく取って欲しいと声が降ってくる。
小さく微笑んだしろ君はボールを拾い上げて投げようとしたけど、ふとその動きが止まった。何かを思い出しているような、そんな感じだ。
「しろ君、ボールボール!」
「……ごめんごめん!いくよ!」
投げられたボールを受け取った男の子達が、お礼を言って歩いて行くのを見送る。あたしにも守兄とあんな感じの時期があったな。
しろ君とアツヤはどうだったんだろう。あたしが聞く前に、しろ君は「アツヤ!」と声を張り上げた。
手を伸ばすしろ君と、突然の事に肩を揺らすあたし。そのまま固まっていると、マフラーを握りしめて、しろ君は俯いた。
「ごめんね、驚かせちゃって」
「大丈夫!アツヤの事、思い出してた?」
「……前に、アツヤがボールを飛ばして……その時の事をね」
……よくよく考えれば、あたしはアツヤの事を殆ど知らない。
共通点はサッカーくらい。聞こうにも、今のしろ君にとっては触れられたくない領域だと思う。
知りたいと思う気持ちがある反面、聞いてはいけないという気持ちもあって。
しろ君から話してくれるまで、こっちからは何も言わない方がいいんだろうな。
「やっぱり出来ないよ、アツヤを追い出すことなんて……。追い出したら、本当にほんとにアツヤはいなくなって……」
かける言葉が見つからない。
生まれる前からじいちゃんはいなかったし、友達がいなくなってしまった事はあっても、この旅で再会出来た。
それこそ永遠のお別れはアツヤが初めてで、じゃあしろ君の寂しさを理解出来るのかっていうと、そういう訳でもなくて。
あたしなんかじゃ想像もつかないそれは、しろ君だけのものだから。
「どうしたらいいんだっ………!」
しろ君はアツヤがいなくなるのを怖がってる。二度もアツヤを失う事になるから。また一人になるって思ってるから。
守兄、豪炎寺、鬼道、一之瀬、土門、壁山、塔子、夕弥、リカ、立向居、条兄。秋になっちゃんに春ちゃん。
しろ君には仲間がいる。けれど、しろ君は皆とサッカーをしたいと思ってる反面、皆が見えていないような気もしてならない。
どうしたら、仲間がいるって、一人じゃないって気づいてくれるのかな……。
……しろ君の中のアツヤは、どう思ってるんだろう。いなければと、追い出せないと、動けずにいるしろ君を。
「……アツヤ、どうしてる?」
「え……」
「あ、いや、ほら、最近見てないから……」
ちょっとでいいからアツヤと話せないかな。本当にそう思っただけなんだけど、言葉選びを間違えたと、直ぐに気づいた。
「アツヤと、サッカーしたい?美波ちゃんは、アツヤがいいの?」
「待って」
「そんなの、嫌だ。美波ちゃんは、僕と一緒にいてくれるって、いなくならないって」
「しろ君!」
「いなくならないよね!僕と一緒にいてくれるよね!」
「あの」
「やだよ、美波ちゃんまでいなくなっちゃうなんて」
「だから」
「もし、美波ちゃんがいなくなっちゃったら……僕は……」
「だーかーらーっ!一緒にいるよ!」
しろ君の言葉がなかなか途切れなくて痺れを切らしたので、無理矢理ぶったぎって、しろ君の髪を掻き回す。いつも豪炎寺にやられてるノリで。
「あたしは!吹雪士郎とサッカーがしたい!」
「っ!」
一緒にいる。当然だ。仲間がいると気づくまで。皆、待ってるんだから。
「皆だってそう。皆にとってはさ、しろ君もアツヤも吹雪士郎なんだよ」
だってそうだ。皆、アツヤと会った事はないんだから。吹雪士郎しか知らない。ディフェンダーも、フォワードも、全部そう。
……ディフェンダーだったしろ君が、エターナルブリザードを使うようになって、伝説のストライカーとまで呼ばれるようになった。
元々素質はあったのかもしれない。それでも、それ程の実力を身に付けるまでに、どれだけの努力があっただろう。
「待ってるからさ!」
いつかされたように、今度はあたしの方からしろ君を抱き締める。どうか、また皆でサッカー出来ますように。気付けますように。
暫くして、申し訳なさそうな顔で、しろ君は離れていった。
「……ごめんね」
「今日のしろ君は謝ってばっかだね」
「……ごめ」
「そうじゃなくて!こういう時は、ありがとうでいいんだよ!」
よくある話だ。謝るんじゃなくて、感謝するってやつ。
「僕は美波ちゃんに貰ってばかりだ」
「あたしの方こそ、しろ君に沢山貰ったよ。だからさ、こういう時こそ支え合うんだ。仲間なんだから!」
「仲間、か……」
「それに、なんとなく分かるんだ。しろ君のサッカーにはアツヤが必要だったんだね」
「……そう、僕にはアツヤが必要だった」
「あたしもさ、あたしのサッカーは、守兄がいてこそだから」
「キャプテン?」
「うん。守兄がいたから、あたしもサッカーを始めた」
話ながら顔を上げる。視線の先にあるのは、稲妻町のシンボルである鉄塔だ。二人でよく練習した場所。
「ポジションをディフェンダーにしたのも、守兄に勧められたからなんだよね」
「そうなの?」
「本当はシュート撃ちたかったんだけど……。あ、でも、今は好きだよディフェンダー!」
「だから豪炎寺くんが憧れだったんだ」
「まあね。でも、もっと頑張ればよかった。ディフェンダーだって、シュートは撃てるんだから」
両方を完璧にやるというしろ君は、いい意味で衝撃だった。どっちか片方だけじゃなきゃ駄目なんて、そんな道理ないよね。
「ディフェンダーもフォワードもするしろ君は凄いと思う。がんばり屋さんだ。それで、前にも言ったけど、あたしの憧れで目標!」
自分でも無茶苦茶な事を言ってる自覚はある。
それでもしろ君は「美波ちゃんなら、きっとなれるよ」と言ってくれた。それが、嬉しかった。
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