第29話 円堂・新たなる挑戦!
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「あ、守兄。先家帰ってて!なんなら先にキャラバン行ってて!」
「どうかしたのか?」
「ちょっと行きたいとこがあるんだ」
「……分かった。気をつけろよ。いつ何があるか分からないからな」
「大丈夫だって!」
「もしかしたらエイリア学園の奴がいるかもしれないし」
「いやいや」
「なんなら俺も」
「行ってきます!」
稲妻町に帰ってきてはいるけど守兄はキャラバンに泊まるらしいから、あたしもそうするつもりではある。
その前に、だ。一旦家に帰ってシャワーを浴びてからも考えたけど、後回しにしたらずるずるそのまま逃げてしまいそうな気がした。
善は急げ。……一郎太に会いに行く。
稲妻町に帰るのが決まった時から考えてはいた。けど、なんだか無性に怖くて、遠ざけていた。
しろ君、ヒロト君、エイリア学園。他にもやるべき事や考える事は沢山あって、それを言い訳にしてた。
電話やメールは何度かしたけど、電話には出なくてメールの返事も来なかっただから、一郎太と直接話す為に来た。
一郎太が抱え込もうとするなら、あたしの方から行かないと。誤魔化されたって、隠されたって、聞かなきゃいけないんだ。
インターホンを押せば、ぴんぽーんと軽快な音が鳴った。一郎太のお母さんが出てきて、部屋にいることを教えてくれた。
何でも、帰ってきてからは部屋に籠りがちならしい。たまにサッカーをしに出てはいるとす聞いて、少しだけほっとした。サッカーを嫌いになった訳じゃないんだ。
思えば一郎太の家には、久しぶりに来た気がする。懐かしさを噛み締めながら、ドアの前に立った。深呼吸して心を落ち着かせて、ノックをする。
「……母さん?」
久しぶりに聞いた一郎太の声は、ドア越しだからかもしれないけど、掠れたように聞こえた。
「……ごめん、心配かけて。色々、考えたい事があってさ」
「…」
「分からないんだ、何をすればいいのか。どうするべきだったのか、どう向き合えばいいのか」
「……」
「自分が今まで何を何の為にしてきたかすら分からなくなる。俺は……」
「一郎太っ!」
思わず叫んだ。分からない、なんて。あたしも同じだ。一郎太にどんな言葉をかければいいか分からない。それでも、声を上げずにはいられなかった。
ぴたりと声が止まって、布擦れの音が微かに聞こえる。
「……美波?」
ドアの近くまできたのか、さっきより声がはっきりと聞こえた。
「久しぶり、一郎太」
「どうして稲妻町に」
「(やっぱりメール見てないんだ……)戻ってきたんだ。沖縄でイプシロンを倒して、一旦ね」
「……やっぱり凄いな。美波も、円堂も……羨ましいよ」
「羨ましいって」
自嘲するような言葉の中に、嫉妬や羨望の感情が見え隠れする。
「俺は強くないから。サッカーにおいても、何もかも。だから、気持ちでさえ強く持ち続けることも出来ない」
「そんなことない!」
そんなことない。心からの気持ちだった。
小学生の頃から一郎太と一緒だった。一緒に色んな所に行って、遊んだ。助けて、助けられもした。沢山と時間を過ごしてきた。
だから例え擦れ違っても、また分かり合えるって思ってた。
「また一緒に、サッカーやろうよ!」
けど、
「っ……美波に何が分かるんだっ!」
あたしが思ってる以上に、一郎太は苦しんでいたんだ。
「俺は円堂が羨ましかった。……俺には無いものを沢山持っていて、羨ましかった。そんなことはない?……何の根拠もないのに、よく言えるよな」
「なっ」
「何で俺は、栗松はキャラバンを降りた?何で半田達は入院した?強くないから。力がないから。そうだろ?だから負けるし、怪我をするし、逃げたくもなる。美波もそれはわかるだろ」
「……あたしも逃げたくなる時はあるよ。でも、逃げたら、後々もっと後悔するような気がするんだ」
「そうだな。……強大な力の前に、誰もが恐怖の感情を押さえられる訳がない。俺もその一人だった。それだけだ。俺は自分じゃ無理なんだって理解して、見切りをつけただけだ」
「だから、諦めたら」
「諦めなかったところで何になる?」
「っ……」
「勝てるかも分からない、終わりすら見えない戦いだ。それに、諦めずに努力しても結果が出なければ意味がない。もう、疲れたんだよ」
「いち、ろうた」
「……分かっただろ?今の俺に美波とボールを蹴る資格なんてない。……俺は、後悔してない。帰ってくれ」
胸がずきずきと傷んだ。苦しくて、涙が出そうになって、我慢して、一郎太の家を飛び出して、無我夢中で走った。
幼馴染みなのに。理解なんてこれっぽっちも出来てなかったんだって、思い知らされた。
ぼんやりとしながら暗くなってきた道を歩いて、キャラバンに向かう。家に帰って、シャワー浴びて、着替えて、色々した筈なのに、なんだか記憶が曖昧だ。
一郎太が言い放った言葉の数々が、頭がを離れない。
雷門中が見えてきて、立ち止まる。校舎は半分以上直っている。一足先に整備されているグラウンドを見て思い出したのは、日本一を目指して頑張った日々。
一郎太は一番に助っ人になってくれて、ディフェンスの要で、隣であたしを引っ張ってくれてた。なのに、
「(全然分かってなかったんだっ……!)」
どれだけ悩んでたのか、苦しんでたのか、辛い思いをしてきたのか、分かってなかった。
あたしだって、一郎太が言う程出来た人間じゃない。いつだって助けられてばっかり。……けど、もっと何か出来る事はあったかもしれない。
やっぱり、幼馴染み失格だ。
ぼんやりと空を見上げれば、星がちらほら見えた。そういえば、戻ってきてからはあまり見てなかったな。
ヒロト君は今頃何してるのかな。サッカー、やってるのかな……。
……最初はただ単純に、エイリア学園を倒してまた皆で楽しくサッカーをやりたいって思ってた。
ヒロト君達やお日さま園のことを思い出してからは、助けたいって思った。
しろ君とアツヤのことを知って、あたしが支えるんだって、居場所になるんだって。
「……欲張りだなあ」
誰にも言わないで、何でもかんでも全部一人やろうとした。そんなの、出来っこない癖に。
なかなか学校内に入る気分になれなくて、そのままそこで立ってたら、アフロディが顔を出した。
「遅かったね、美波。円堂くんが心配していたよ」
「……ごめん」
苦笑をしていたアフロディだけど、あたしをじっと見つめた後、すっとその笑みを消した。ああ、見透かされたな。
「何かあったのかい?」
「え、何かって」
「悩んでいるように見えたからね」
「そんなことないって」
「本当に?」
「……根拠は」
「今、無理して笑っているよね」
疑問ではなく、肯定。そう言われて、唇を噛み締めた。ダメだ、バレてた。隠すのが下手すぎた。
「流石はアフロディだね」
「僕でなくとも分かるよ」
「ぐっ……。……あのさ、ちょっと聞いていい?」
「なんだい?」
「もし、自分が凄く信頼してる大切な人のことを、ちゃんと分かってあげられなくて傷つけて、酷いこと言われたらどうする?」
思いきって聞いてみた。アフロディは手を顎に当てて考え込むような仕草をしてから、口を開いた。
「謝る、かな」
「拒絶されるかもしれないよ」
「たとえそうなったとしても、何かしら行動しなければそれまでだ。何も変わらないよりずっといい」
「………うん、そうだね。ありがとう、アフロディ」
また今度話そう。次はちゃんと顔を見て、謝るんだ。
「どうした、こんな所で」
「うわっ!?なんだ、豪炎寺か。豪炎寺もまだだったんだ。寄り道?」
「染岡に会ってきたんだ」
「そっか!久しぶりに話せた?」
「ああ。美波にもよろしくって言ってたよ」
「昨日あんまり話せなかったからかな。律儀だ。あ、あたし守兄探しに行くから、また後でね!」
とりあえず、心配してる守兄に顔だけでも見せに行かないと。
「……それで、いつから」
「最初からだな」
「誰に会ってきたと思う?」
「想像はつく。少し、気にしておいた方がいいだろうな」
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「どうかしたのか?」
「ちょっと行きたいとこがあるんだ」
「……分かった。気をつけろよ。いつ何があるか分からないからな」
「大丈夫だって!」
「もしかしたらエイリア学園の奴がいるかもしれないし」
「いやいや」
「なんなら俺も」
「行ってきます!」
稲妻町に帰ってきてはいるけど守兄はキャラバンに泊まるらしいから、あたしもそうするつもりではある。
その前に、だ。一旦家に帰ってシャワーを浴びてからも考えたけど、後回しにしたらずるずるそのまま逃げてしまいそうな気がした。
善は急げ。……一郎太に会いに行く。
稲妻町に帰るのが決まった時から考えてはいた。けど、なんだか無性に怖くて、遠ざけていた。
しろ君、ヒロト君、エイリア学園。他にもやるべき事や考える事は沢山あって、それを言い訳にしてた。
電話やメールは何度かしたけど、電話には出なくてメールの返事も来なかっただから、一郎太と直接話す為に来た。
一郎太が抱え込もうとするなら、あたしの方から行かないと。誤魔化されたって、隠されたって、聞かなきゃいけないんだ。
インターホンを押せば、ぴんぽーんと軽快な音が鳴った。一郎太のお母さんが出てきて、部屋にいることを教えてくれた。
何でも、帰ってきてからは部屋に籠りがちならしい。たまにサッカーをしに出てはいるとす聞いて、少しだけほっとした。サッカーを嫌いになった訳じゃないんだ。
思えば一郎太の家には、久しぶりに来た気がする。懐かしさを噛み締めながら、ドアの前に立った。深呼吸して心を落ち着かせて、ノックをする。
「……母さん?」
久しぶりに聞いた一郎太の声は、ドア越しだからかもしれないけど、掠れたように聞こえた。
「……ごめん、心配かけて。色々、考えたい事があってさ」
「…」
「分からないんだ、何をすればいいのか。どうするべきだったのか、どう向き合えばいいのか」
「……」
「自分が今まで何を何の為にしてきたかすら分からなくなる。俺は……」
「一郎太っ!」
思わず叫んだ。分からない、なんて。あたしも同じだ。一郎太にどんな言葉をかければいいか分からない。それでも、声を上げずにはいられなかった。
ぴたりと声が止まって、布擦れの音が微かに聞こえる。
「……美波?」
ドアの近くまできたのか、さっきより声がはっきりと聞こえた。
「久しぶり、一郎太」
「どうして稲妻町に」
「(やっぱりメール見てないんだ……)戻ってきたんだ。沖縄でイプシロンを倒して、一旦ね」
「……やっぱり凄いな。美波も、円堂も……羨ましいよ」
「羨ましいって」
自嘲するような言葉の中に、嫉妬や羨望の感情が見え隠れする。
「俺は強くないから。サッカーにおいても、何もかも。だから、気持ちでさえ強く持ち続けることも出来ない」
「そんなことない!」
そんなことない。心からの気持ちだった。
小学生の頃から一郎太と一緒だった。一緒に色んな所に行って、遊んだ。助けて、助けられもした。沢山と時間を過ごしてきた。
だから例え擦れ違っても、また分かり合えるって思ってた。
「また一緒に、サッカーやろうよ!」
けど、
「っ……美波に何が分かるんだっ!」
あたしが思ってる以上に、一郎太は苦しんでいたんだ。
「俺は円堂が羨ましかった。……俺には無いものを沢山持っていて、羨ましかった。そんなことはない?……何の根拠もないのに、よく言えるよな」
「なっ」
「何で俺は、栗松はキャラバンを降りた?何で半田達は入院した?強くないから。力がないから。そうだろ?だから負けるし、怪我をするし、逃げたくもなる。美波もそれはわかるだろ」
「……あたしも逃げたくなる時はあるよ。でも、逃げたら、後々もっと後悔するような気がするんだ」
「そうだな。……強大な力の前に、誰もが恐怖の感情を押さえられる訳がない。俺もその一人だった。それだけだ。俺は自分じゃ無理なんだって理解して、見切りをつけただけだ」
「だから、諦めたら」
「諦めなかったところで何になる?」
「っ……」
「勝てるかも分からない、終わりすら見えない戦いだ。それに、諦めずに努力しても結果が出なければ意味がない。もう、疲れたんだよ」
「いち、ろうた」
「……分かっただろ?今の俺に美波とボールを蹴る資格なんてない。……俺は、後悔してない。帰ってくれ」
胸がずきずきと傷んだ。苦しくて、涙が出そうになって、我慢して、一郎太の家を飛び出して、無我夢中で走った。
幼馴染みなのに。理解なんてこれっぽっちも出来てなかったんだって、思い知らされた。
ぼんやりとしながら暗くなってきた道を歩いて、キャラバンに向かう。家に帰って、シャワー浴びて、着替えて、色々した筈なのに、なんだか記憶が曖昧だ。
一郎太が言い放った言葉の数々が、頭がを離れない。
雷門中が見えてきて、立ち止まる。校舎は半分以上直っている。一足先に整備されているグラウンドを見て思い出したのは、日本一を目指して頑張った日々。
一郎太は一番に助っ人になってくれて、ディフェンスの要で、隣であたしを引っ張ってくれてた。なのに、
「(全然分かってなかったんだっ……!)」
どれだけ悩んでたのか、苦しんでたのか、辛い思いをしてきたのか、分かってなかった。
あたしだって、一郎太が言う程出来た人間じゃない。いつだって助けられてばっかり。……けど、もっと何か出来る事はあったかもしれない。
やっぱり、幼馴染み失格だ。
ぼんやりと空を見上げれば、星がちらほら見えた。そういえば、戻ってきてからはあまり見てなかったな。
ヒロト君は今頃何してるのかな。サッカー、やってるのかな……。
……最初はただ単純に、エイリア学園を倒してまた皆で楽しくサッカーをやりたいって思ってた。
ヒロト君達やお日さま園のことを思い出してからは、助けたいって思った。
しろ君とアツヤのことを知って、あたしが支えるんだって、居場所になるんだって。
「……欲張りだなあ」
誰にも言わないで、何でもかんでも全部一人やろうとした。そんなの、出来っこない癖に。
なかなか学校内に入る気分になれなくて、そのままそこで立ってたら、アフロディが顔を出した。
「遅かったね、美波。円堂くんが心配していたよ」
「……ごめん」
苦笑をしていたアフロディだけど、あたしをじっと見つめた後、すっとその笑みを消した。ああ、見透かされたな。
「何かあったのかい?」
「え、何かって」
「悩んでいるように見えたからね」
「そんなことないって」
「本当に?」
「……根拠は」
「今、無理して笑っているよね」
疑問ではなく、肯定。そう言われて、唇を噛み締めた。ダメだ、バレてた。隠すのが下手すぎた。
「流石はアフロディだね」
「僕でなくとも分かるよ」
「ぐっ……。……あのさ、ちょっと聞いていい?」
「なんだい?」
「もし、自分が凄く信頼してる大切な人のことを、ちゃんと分かってあげられなくて傷つけて、酷いこと言われたらどうする?」
思いきって聞いてみた。アフロディは手を顎に当てて考え込むような仕草をしてから、口を開いた。
「謝る、かな」
「拒絶されるかもしれないよ」
「たとえそうなったとしても、何かしら行動しなければそれまでだ。何も変わらないよりずっといい」
「………うん、そうだね。ありがとう、アフロディ」
また今度話そう。次はちゃんと顔を見て、謝るんだ。
「どうした、こんな所で」
「うわっ!?なんだ、豪炎寺か。豪炎寺もまだだったんだ。寄り道?」
「染岡に会ってきたんだ」
「そっか!久しぶりに話せた?」
「ああ。美波にもよろしくって言ってたよ」
「昨日あんまり話せなかったからかな。律儀だ。あ、あたし守兄探しに行くから、また後でね!」
とりあえず、心配してる守兄に顔だけでも見せに行かないと。
「……それで、いつから」
「最初からだな」
「誰に会ってきたと思う?」
「想像はつく。少し、気にしておいた方がいいだろうな」
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