第29話 円堂・新たなる挑戦!
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焦りを隠すかのように執拗に髪を梳きながら、冷たく無機質な星の使徒研究所の廊下をガゼルは歩いていた。
ダイヤモンドダストは用済み。その事実が、今までキャプテンとしてチームを率いてきた彼を焦らせる。
ガゼルは"あの方"の為に、日々血の滲むような努力をし続けてきた。それを、他でもない"あの方"に否定されたのだ。
それだけではない。気がかりなのは、今でこそ主従関係ではあるが数年前までは家族であったチームメイトのこと。
その家族を守らなくてはと思うことも度々あった。だがこの様だ。ジェネシスの称号がガイアに与えられ、用済みとなった今、どうなるか分からない。
キャプテンであった自分は、まだ使える駒として残される可能性がある。しかし、彼らはどうなる?追放以外の先はないのか?
唇を噛み締めれば、じわりと血の味が口内に広がり、ガゼルは口元を手の甲で擦った。
僅かに付いた血の赤が、ジェネシスの座に収まった男を思い出させた。誰よりも特別で、求められた男。苛立ちは更に募るばかりだ。
それと同時に冷静さを欠き、途方に暮れている自分に嫌気が指し、自嘲した。そんな時に浮かんだのは自分が想いを寄せる少女の笑顔。
「(美波が……雷門が、グランを倒せば)」
彼女が所属しエイリア学園と戦っている雷門がジェネシスに勝てば、この計画は終わる。
しかしこの考えは"あの方"への裏切りであり、今までの自分を否定するのと同義。結局、自分は"あの方"の為に尽くす道しかないのだ。そう結論を下す。
「やあ、ガゼル。いいのかい、こんな所にいて」
前方から歩いてきたグランが、貼り付けたような笑みを浮かべたのに対し、ガゼルは「黙れ」と吐き捨てた。
「雷門の17番を気にかけているお前に言われたくはないな」
「……彼女は関係ないだろう」
笑みを消したグランに、ガゼルは畳み掛けるかのように言葉を発し続ける。
「今更隠すのか。随分と腑抜けたものだ。まさか、好意を持っているとでも?」
「だとしたら?」
あっさりと返ってきた肯定とも取れる言葉にガゼルが動揺から口を閉じれば、その横をスッと通り過ぎて、グランは立ち去った。
確かにグランは美波を忘れていた。バーンやウルビダからの裏も取れている。当時のお日さま園にいた者の中で、美波を少しも思い出せなかったのはグランだけ。
それが、そんなグランが美波に好意を抱いた?
「……笑わせるなよ」
自分は忘れたことなどなかったのに。だのに、自ら望んで手放した癖に、それでもグランは自分より美波に近い場所にいる。
グランは美波でさえ自分から奪ってしまう。そう思えて仕方がない。
「……ふざけるな。忘れた分際で、好きだと?」
きっと、あの頃からずっと、特別だった。最初からわかっていた。だって、自分と彼女の始まりも、あの気に食わない男がいたからこそで。
――だとしても、そう易々と渡してなるものか。
そんな思いを胸の内に秘めながら、自分を呼び出したバーンが指定した場所へと、ガゼルは歩を進めた。
***
次の日、雷門イレブン大変身の記念に、守兄と立向居の新しいユニフォームを秋達が用意してくれた。
その場で早速着替えようとした二人を、キャラバンに押し込んで待つ。あたしは慣れてるからまだいいけど、流石にダメだ。鬼道を見るのが怖い。
着替えて出てきた二人を見て、皆で感嘆の声をあげた。ユニフォームを変えただけで、いつもと全然違って見える。これからはこれが"いつも"になるんだろうけど。
「似合ってるよ!」
「ありがとうございます!……なんだか気が引き締まりますね」
「大丈夫だって!」
「お、俺、今まで以上にマジン・ザ・ハンドを鍛えて、鉄壁の守りになります!」
「もちろんマジン・ザ・ハンドのパワーアップは大きな課題だけど、お前にはやって欲しい事がある」
立向居にやって欲しい事。守兄が取り出して渡したのは、じいちゃんの裏ノートだ。もしかして、というかもしかしなくても、究極奥義を?
託された究極奥義に、立向居は意気揚々とノートを開いた。……ちょっと待って。じいちゃんの字は……。
「えっと、円堂さん……読めません……」
「あり!?あ、悪い」
恐ろしく汚い字はやっぱり立向居には読めなかった。守兄のとちょっと似てるからあたしは読めるけど、読み辛いのは変わらない。
託す技はムゲン・ザ・ハンド。全てのシュートを見切る技で、極意はシュタタタタタン、ドババババーン。相変わらずの擬音だ。
上下左右前から後ろから、どんなシュートも防御することが出来るキーパー技。ポイントは目と耳。全身を目と耳にして、シュートを見切る。
どこからでも止められる技なんて想像もつかない。じいちゃんにも完成させられなかった未知の技。手探りの特訓になるけど、立向居ならきっと習得してくれる。
守兄のリベロ技と立向居の究極奥義。二チームに分かれて、それぞれ特訓をすることになった。あたしは守兄の方だ。
シュートを撃って、それを守兄が額に気を溜めて打ち返す。最初はアフロディが名乗り出て、シュートを放つ。守兄は額を突き出したものの、癖で手を出してしまった。
「違う!」
「あれっ?」
「お前はもうキーパーじゃないんだぞ!」
「だああああ!でもさあ、ついついやっちゃうんだよなあ……」
「こればっかりは慣れだしなあ。手、出しちゃうよね」
「ああ……。今度は俺がやろう」
今度は豪炎寺のシュート。次こそはと意気込んだものの、どうしても手を使ってしまう。。まず手を出さない癖をつけるところからか……。
「特訓のやり方、考え直さないか?」
「えー!折角考えたのに!」
「どう思う?あれ」
「額から正義の鉄拳を出す技なら、悪くない特訓方法だと思うけど……」
土門が呆れる気持ちもわかるのと、昨日までキーパーだったから仕方ないと思うのと。
「鬼道は?」
「……大介さんのノートを読み解き必殺技をものにしてきた円堂のアイディア、俺は円堂を信じる」
「ありがとう鬼道!正義の鉄拳は進化する!」
「究極奥義に完成なし、だったな」
「とはいえ、長年のキーパー体質はそう簡単には変えられないか」
「はあ……リベロって難しい……」
「手が出せないように出来ればいいんだけどね」
そんな簡単には上手くいかないか。とか考えてたら、ぽんっと鬼道に肩の手を置かれた。
「鬼道?」
「手が出せないようにすればいい。確かにその通りだ」
「え」
ニヤリと笑った鬼道はタイヤを使おうと言い出した。秋達にはロープの用意を頼む。
タイヤに守兄の体に通してロープで固定。これなら腕が動かせないから、手は出ない。シュートも額で返すしかなくなるってわけだ。
「これなら頭にパワーを集中しやすくなる」
「えー……」
「これでいくぞ」
「わかったよ。今度こそおでこにパワーを集中だ!」
ばっさりと鬼道に切り捨てられて肩を落としてた守兄が、勢いよく顔を上げて気合を入れ直す。
そういえば、立向居の方はどうやって練習してるのかな。気になってそっちを見たら、立向居は目を閉じた状態でシュートを取る練習をしていた。
……そうか。目を閉じたらシュートは見えないから、僅かな音を拾って距離を測るしかない。
「まだまだ……。次、お願いします!」
「いいガッツだな!そんじゃ遠慮なくいくぜ!」
あっちはあっちで条兄が引っ張ってくれてる。普段はあまり意識してないけど、こういう時、先輩って頼りになるな。
「あ」
じっと練習を見ていたしろ君と目が合った。手を振ったら振り返してくれた。少しは元気出た、かな?
「美波!余所見をするな!」
「あ、はいっ!」
ダイヤモンドダストは用済み。その事実が、今までキャプテンとしてチームを率いてきた彼を焦らせる。
ガゼルは"あの方"の為に、日々血の滲むような努力をし続けてきた。それを、他でもない"あの方"に否定されたのだ。
それだけではない。気がかりなのは、今でこそ主従関係ではあるが数年前までは家族であったチームメイトのこと。
その家族を守らなくてはと思うことも度々あった。だがこの様だ。ジェネシスの称号がガイアに与えられ、用済みとなった今、どうなるか分からない。
キャプテンであった自分は、まだ使える駒として残される可能性がある。しかし、彼らはどうなる?追放以外の先はないのか?
唇を噛み締めれば、じわりと血の味が口内に広がり、ガゼルは口元を手の甲で擦った。
僅かに付いた血の赤が、ジェネシスの座に収まった男を思い出させた。誰よりも特別で、求められた男。苛立ちは更に募るばかりだ。
それと同時に冷静さを欠き、途方に暮れている自分に嫌気が指し、自嘲した。そんな時に浮かんだのは自分が想いを寄せる少女の笑顔。
「(美波が……雷門が、グランを倒せば)」
彼女が所属しエイリア学園と戦っている雷門がジェネシスに勝てば、この計画は終わる。
しかしこの考えは"あの方"への裏切りであり、今までの自分を否定するのと同義。結局、自分は"あの方"の為に尽くす道しかないのだ。そう結論を下す。
「やあ、ガゼル。いいのかい、こんな所にいて」
前方から歩いてきたグランが、貼り付けたような笑みを浮かべたのに対し、ガゼルは「黙れ」と吐き捨てた。
「雷門の17番を気にかけているお前に言われたくはないな」
「……彼女は関係ないだろう」
笑みを消したグランに、ガゼルは畳み掛けるかのように言葉を発し続ける。
「今更隠すのか。随分と腑抜けたものだ。まさか、好意を持っているとでも?」
「だとしたら?」
あっさりと返ってきた肯定とも取れる言葉にガゼルが動揺から口を閉じれば、その横をスッと通り過ぎて、グランは立ち去った。
確かにグランは美波を忘れていた。バーンやウルビダからの裏も取れている。当時のお日さま園にいた者の中で、美波を少しも思い出せなかったのはグランだけ。
それが、そんなグランが美波に好意を抱いた?
「……笑わせるなよ」
自分は忘れたことなどなかったのに。だのに、自ら望んで手放した癖に、それでもグランは自分より美波に近い場所にいる。
グランは美波でさえ自分から奪ってしまう。そう思えて仕方がない。
「……ふざけるな。忘れた分際で、好きだと?」
きっと、あの頃からずっと、特別だった。最初からわかっていた。だって、自分と彼女の始まりも、あの気に食わない男がいたからこそで。
――だとしても、そう易々と渡してなるものか。
そんな思いを胸の内に秘めながら、自分を呼び出したバーンが指定した場所へと、ガゼルは歩を進めた。
***
次の日、雷門イレブン大変身の記念に、守兄と立向居の新しいユニフォームを秋達が用意してくれた。
その場で早速着替えようとした二人を、キャラバンに押し込んで待つ。あたしは慣れてるからまだいいけど、流石にダメだ。鬼道を見るのが怖い。
着替えて出てきた二人を見て、皆で感嘆の声をあげた。ユニフォームを変えただけで、いつもと全然違って見える。これからはこれが"いつも"になるんだろうけど。
「似合ってるよ!」
「ありがとうございます!……なんだか気が引き締まりますね」
「大丈夫だって!」
「お、俺、今まで以上にマジン・ザ・ハンドを鍛えて、鉄壁の守りになります!」
「もちろんマジン・ザ・ハンドのパワーアップは大きな課題だけど、お前にはやって欲しい事がある」
立向居にやって欲しい事。守兄が取り出して渡したのは、じいちゃんの裏ノートだ。もしかして、というかもしかしなくても、究極奥義を?
託された究極奥義に、立向居は意気揚々とノートを開いた。……ちょっと待って。じいちゃんの字は……。
「えっと、円堂さん……読めません……」
「あり!?あ、悪い」
恐ろしく汚い字はやっぱり立向居には読めなかった。守兄のとちょっと似てるからあたしは読めるけど、読み辛いのは変わらない。
託す技はムゲン・ザ・ハンド。全てのシュートを見切る技で、極意はシュタタタタタン、ドババババーン。相変わらずの擬音だ。
上下左右前から後ろから、どんなシュートも防御することが出来るキーパー技。ポイントは目と耳。全身を目と耳にして、シュートを見切る。
どこからでも止められる技なんて想像もつかない。じいちゃんにも完成させられなかった未知の技。手探りの特訓になるけど、立向居ならきっと習得してくれる。
守兄のリベロ技と立向居の究極奥義。二チームに分かれて、それぞれ特訓をすることになった。あたしは守兄の方だ。
シュートを撃って、それを守兄が額に気を溜めて打ち返す。最初はアフロディが名乗り出て、シュートを放つ。守兄は額を突き出したものの、癖で手を出してしまった。
「違う!」
「あれっ?」
「お前はもうキーパーじゃないんだぞ!」
「だああああ!でもさあ、ついついやっちゃうんだよなあ……」
「こればっかりは慣れだしなあ。手、出しちゃうよね」
「ああ……。今度は俺がやろう」
今度は豪炎寺のシュート。次こそはと意気込んだものの、どうしても手を使ってしまう。。まず手を出さない癖をつけるところからか……。
「特訓のやり方、考え直さないか?」
「えー!折角考えたのに!」
「どう思う?あれ」
「額から正義の鉄拳を出す技なら、悪くない特訓方法だと思うけど……」
土門が呆れる気持ちもわかるのと、昨日までキーパーだったから仕方ないと思うのと。
「鬼道は?」
「……大介さんのノートを読み解き必殺技をものにしてきた円堂のアイディア、俺は円堂を信じる」
「ありがとう鬼道!正義の鉄拳は進化する!」
「究極奥義に完成なし、だったな」
「とはいえ、長年のキーパー体質はそう簡単には変えられないか」
「はあ……リベロって難しい……」
「手が出せないように出来ればいいんだけどね」
そんな簡単には上手くいかないか。とか考えてたら、ぽんっと鬼道に肩の手を置かれた。
「鬼道?」
「手が出せないようにすればいい。確かにその通りだ」
「え」
ニヤリと笑った鬼道はタイヤを使おうと言い出した。秋達にはロープの用意を頼む。
タイヤに守兄の体に通してロープで固定。これなら腕が動かせないから、手は出ない。シュートも額で返すしかなくなるってわけだ。
「これなら頭にパワーを集中しやすくなる」
「えー……」
「これでいくぞ」
「わかったよ。今度こそおでこにパワーを集中だ!」
ばっさりと鬼道に切り捨てられて肩を落としてた守兄が、勢いよく顔を上げて気合を入れ直す。
そういえば、立向居の方はどうやって練習してるのかな。気になってそっちを見たら、立向居は目を閉じた状態でシュートを取る練習をしていた。
……そうか。目を閉じたらシュートは見えないから、僅かな音を拾って距離を測るしかない。
「まだまだ……。次、お願いします!」
「いいガッツだな!そんじゃ遠慮なくいくぜ!」
あっちはあっちで条兄が引っ張ってくれてる。普段はあまり意識してないけど、こういう時、先輩って頼りになるな。
「あ」
じっと練習を見ていたしろ君と目が合った。手を振ったら振り返してくれた。少しは元気出た、かな?
「美波!余所見をするな!」
「あ、はいっ!」