第29話 円堂・新たなる挑戦!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
特に話題も思い付かなくて、黙って歩く。雷門中の裏門から出れば、稲妻総合病院は歩いてすぐそこだ。近いから便利!
ただ、たまに見かける豪炎寺のお父さんは、あたしはちょっと苦手だったり。……豪炎寺には言ってないけど、あまりよくは思われていないみたいで。
受付で聞くと、どうやら染岡は半田達と一緒の病室になったらしかった。まずあたしだけ顔を出して、染岡を呼ぶ。
「久しぶり皆の衆!」
「なんなんだよそのキャラ」
「ノリだよノリ!半田もノってきて!あ、染岡、しろ君が染岡と話したいんだって」
「吹雪が?分かった」
染岡は壁に立て掛けていた松葉杖を取り上げて立ち上がると、廊下で待つしろ君に屋上へ行こうと声をかけた。
多分、染岡なりに気を使ったんだと思う。今のしろ君は不安定だし、その気遣いは凄く助かる。
「何かお土産ないの?」
「あたしが怪我せずに帰ってきたのがお土産ってことで」
「却下」
「あーもー、あるよある!ちんすこうでしょ、サーターアンダギーでしょ、それから紅いもタルト!」
「今度は甘いものだけ?」
「嫌なら食べなくていいんだよ」
「お、俺、沖縄について聞きたいです!」
「キャプテンと美波さんのお祖父さんがいた陽花戸中ってどんな所だったんですか?」
「見てよマックス、このかわいい後輩達!」
沖縄に陽花戸の話かあ。大海原の事と、立向居の事と、じいちゃんの裏ノート!それから。
――サッカー、やろうよ。
――……ごめんな。
「……」
ジェネシスとの試合を思い出した。ヒロト君――グランに負けて、しろ君が倒れて、一郎太がチームを離れた。
これまでの事が次々に浮かんでは消える。中でもあの日は、昨日の事ように思い出せた。一郎太とこんなに顔を会わせないのが続いたの、今まであったっけ。
……ダイヤモンドダストとは引き分けたけど、あの風介がこのまま終わる訳がない。次に戦う時は勝てるかどうか。
晴矢だってヒロト君や風介に引けを取らない実力だ。あのシュートを防ぐのは、簡単に出来ることじゃない。挑んでくるのも時間の問題だ。
だから勝つ為に毎日練習をしてる。チームにとっても、あたしにとっても、それ以外に道はないから。
……日本中の人達にとってヒロト達は侵略者で、その思いを背負って戦う雷門の敵。もし会った事がなかったら、勝つ為だけに打ち込めたのかなあ。
でも半田達を思うと、許せるのかと問われたら、言葉に詰まる。というかそういうのは結局のところ半田達がどう思うのかの問題なんだけども。
「円堂さん?」
「うえっ!?どしたの、影野」
「さっきから黙ってたから」
「いやあ……あはは。で、アフロディがね、チームに入ったんだ。大丈夫、力になってくれてるから」
「いや美波が大丈夫じゃなさそうなんだけど。顔色悪いぞ?」
「美波はギャーギャー騒いでた方がいいよ」
「どうかしたんですか?」
「俺達に出来ることならなんでも言ってください!」
「皆……」
そう言ってくれるのは凄く嬉しい。いいチームメイトを持ったなってつくづく思う。……でも。
エイリア学園を許せる?なんて、聞けないや。
「ありがとね、皆。本当に大丈夫だから」
「とか言って溜め込むだろ」
「えー」
「仲間以前に友達だろ?そういう奴だって、とっくに分かってるんだからな」
「半田……無理して格好つけなくても」
「格好つけてねえよ!とにかく俺が言いたいのはだな、溜め込むな!」
半田の言葉にうんうんと頷いて同意するマックス達。そんなに信用ないか。……まあ、実際言えてない事は沢山あるしな。
「あ、そういえばさ、風丸とは連絡取ってる?」
「一方的には……。返信来ないんだよね」
「栗松は一回だけ来たけど、風丸は全然音沙汰ないんだよな」
「円堂さんすら分からないとなると、お手上げだね」
「なあ、美波が良かったら見に行ってやってくれよ。風丸も喜ぶだろ」
「……うん、分かった。時間作ってみる」
……今の一郎太が、あたしが会いに行って喜ぶとは思えないけど、改めてちゃんと話すべきだとは思うから。
「そろそろ面会時間終わりだってよ」
「染岡!しろ君とは話せた?」
「ああ。悪いな、お前と話す時間がなくなっちまった」
「いいのいいの!また来ればいいんだから」
そろそろ夕飯の時間だ。大人数で、家はきっと賑やかなことになってる。帰ったらお母さんの手伝いもしなきゃな。
廊下で待つしろ君は、心なしか顔色が良くて、どこか穏やかな雰囲気だった。染岡が励ましてくれたんだろうな。
「ありがとね、染岡」
「お礼言われるような事はしてねえよ。円堂達によろしくな」
「うん!皆、また一緒にサッカーやろうね!」
さて、今日の夕飯は何だろうな!
「また一緒に、か」
美波が去った病室で、そう復唱しながら、半田は自身の足を見下ろした。
既にリハビリは始まっている。始めてまず感じたのは、思うように動かせない体への驚愕だった。
ベッド上での生活が続いていたのだから、ある程度鈍るのは予想していた。それでも、現実は予想以上の状態だった。
シュートが、ドリブルが、ブロックが、ボールコントロールが。出来ていた筈の事が、出来なくなっている。
ここから以前のようになるまで、どれだけ時間がかかるだろう。この間にも、仲間達は最強となるべく、先へ進んでいるというのに。
「今のあいつらに、ついていけるのかな」
声を上げる者は、誰もいなかった。
***
「染岡くんと約束したんだ。また一緒に風になろうって」
「そっか……」
夕焼けに照らされている帰り道。どう話を切り出そうか考えてるうちに、先にしろ君が口を開いた。
「珍しいな、染岡がそんなこと言うなんて」
「そうなの?」
「ほら、つっけんどんで不器用なとこあるからさ」
「こういうのは得意じゃないって、染岡くんも言ってたよ」
「あはは、やっぱり!そんな染岡だから、伝わってくるものもあるんだけどね」
「うん。伝わったよ、ちゃんと」
しろ君が立ち止まった。つられてあたしも立ち止まる。目を伏せて胸に手を当てたしろ君は、暫くして真っ直ぐとあたしを見た。
「染岡くんも、美波ちゃんも、皆が、僕がまたサッカーを出来るようになるって信じてくれてる」
「うん」
「だから、僕はその思いに応えたい。力になりたい。今はまだ、上手く出来ないけど、それでも、雷門の一員として戦いたいんだ」
「待ってるよ。絶対、置いてかない!」
しろ君には時間が必要だ。……大丈夫。他ならないしろ君自身が立ち上がろうとしているんだから、きっと。
「あ、ここがあたし達の家!ただいまー!」
「お邪魔します」
あたしはいつも通りに、しろ君は控えめにそう言いながら庭の方に顔を出したら、守兄が出迎えてくれた。
「待ってたぜ!荷物置けよ!遅かったな!ほらほら、座れ!美波も荷物置け!」
「守兄ちょっとテンション高くない!?」
「ノリだよノリ!バーベキューはサバイバルだからな!ぐずぐずしてると肉がなくなっちまうぜ!」
「あんたが一番食べてるけどね、うっしっし。そーれっ」
「ぐえっ、あっつい!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「い、一応……」
口に焼きたての肉を突っ込まれて噎せた。立向居が渡してくれた水で一息つく。肉は美味しいけど、舌を火傷したような。
「おいおい何やってんだよ……。はい、これ美波の分な」
「ありがとね、塔子」
「母ちゃんの作ってくれた肉じゃがもあるぞ!美味いから食ってみろって!」
「ありがとう、キャプテン」
しろ君も嬉しそうに笑ってて、よかったと思いながら肉を口に運んだ。うん、いい焼き加減!
.
ただ、たまに見かける豪炎寺のお父さんは、あたしはちょっと苦手だったり。……豪炎寺には言ってないけど、あまりよくは思われていないみたいで。
受付で聞くと、どうやら染岡は半田達と一緒の病室になったらしかった。まずあたしだけ顔を出して、染岡を呼ぶ。
「久しぶり皆の衆!」
「なんなんだよそのキャラ」
「ノリだよノリ!半田もノってきて!あ、染岡、しろ君が染岡と話したいんだって」
「吹雪が?分かった」
染岡は壁に立て掛けていた松葉杖を取り上げて立ち上がると、廊下で待つしろ君に屋上へ行こうと声をかけた。
多分、染岡なりに気を使ったんだと思う。今のしろ君は不安定だし、その気遣いは凄く助かる。
「何かお土産ないの?」
「あたしが怪我せずに帰ってきたのがお土産ってことで」
「却下」
「あーもー、あるよある!ちんすこうでしょ、サーターアンダギーでしょ、それから紅いもタルト!」
「今度は甘いものだけ?」
「嫌なら食べなくていいんだよ」
「お、俺、沖縄について聞きたいです!」
「キャプテンと美波さんのお祖父さんがいた陽花戸中ってどんな所だったんですか?」
「見てよマックス、このかわいい後輩達!」
沖縄に陽花戸の話かあ。大海原の事と、立向居の事と、じいちゃんの裏ノート!それから。
――サッカー、やろうよ。
――……ごめんな。
「……」
ジェネシスとの試合を思い出した。ヒロト君――グランに負けて、しろ君が倒れて、一郎太がチームを離れた。
これまでの事が次々に浮かんでは消える。中でもあの日は、昨日の事ように思い出せた。一郎太とこんなに顔を会わせないのが続いたの、今まであったっけ。
……ダイヤモンドダストとは引き分けたけど、あの風介がこのまま終わる訳がない。次に戦う時は勝てるかどうか。
晴矢だってヒロト君や風介に引けを取らない実力だ。あのシュートを防ぐのは、簡単に出来ることじゃない。挑んでくるのも時間の問題だ。
だから勝つ為に毎日練習をしてる。チームにとっても、あたしにとっても、それ以外に道はないから。
……日本中の人達にとってヒロト達は侵略者で、その思いを背負って戦う雷門の敵。もし会った事がなかったら、勝つ為だけに打ち込めたのかなあ。
でも半田達を思うと、許せるのかと問われたら、言葉に詰まる。というかそういうのは結局のところ半田達がどう思うのかの問題なんだけども。
「円堂さん?」
「うえっ!?どしたの、影野」
「さっきから黙ってたから」
「いやあ……あはは。で、アフロディがね、チームに入ったんだ。大丈夫、力になってくれてるから」
「いや美波が大丈夫じゃなさそうなんだけど。顔色悪いぞ?」
「美波はギャーギャー騒いでた方がいいよ」
「どうかしたんですか?」
「俺達に出来ることならなんでも言ってください!」
「皆……」
そう言ってくれるのは凄く嬉しい。いいチームメイトを持ったなってつくづく思う。……でも。
エイリア学園を許せる?なんて、聞けないや。
「ありがとね、皆。本当に大丈夫だから」
「とか言って溜め込むだろ」
「えー」
「仲間以前に友達だろ?そういう奴だって、とっくに分かってるんだからな」
「半田……無理して格好つけなくても」
「格好つけてねえよ!とにかく俺が言いたいのはだな、溜め込むな!」
半田の言葉にうんうんと頷いて同意するマックス達。そんなに信用ないか。……まあ、実際言えてない事は沢山あるしな。
「あ、そういえばさ、風丸とは連絡取ってる?」
「一方的には……。返信来ないんだよね」
「栗松は一回だけ来たけど、風丸は全然音沙汰ないんだよな」
「円堂さんすら分からないとなると、お手上げだね」
「なあ、美波が良かったら見に行ってやってくれよ。風丸も喜ぶだろ」
「……うん、分かった。時間作ってみる」
……今の一郎太が、あたしが会いに行って喜ぶとは思えないけど、改めてちゃんと話すべきだとは思うから。
「そろそろ面会時間終わりだってよ」
「染岡!しろ君とは話せた?」
「ああ。悪いな、お前と話す時間がなくなっちまった」
「いいのいいの!また来ればいいんだから」
そろそろ夕飯の時間だ。大人数で、家はきっと賑やかなことになってる。帰ったらお母さんの手伝いもしなきゃな。
廊下で待つしろ君は、心なしか顔色が良くて、どこか穏やかな雰囲気だった。染岡が励ましてくれたんだろうな。
「ありがとね、染岡」
「お礼言われるような事はしてねえよ。円堂達によろしくな」
「うん!皆、また一緒にサッカーやろうね!」
さて、今日の夕飯は何だろうな!
「また一緒に、か」
美波が去った病室で、そう復唱しながら、半田は自身の足を見下ろした。
既にリハビリは始まっている。始めてまず感じたのは、思うように動かせない体への驚愕だった。
ベッド上での生活が続いていたのだから、ある程度鈍るのは予想していた。それでも、現実は予想以上の状態だった。
シュートが、ドリブルが、ブロックが、ボールコントロールが。出来ていた筈の事が、出来なくなっている。
ここから以前のようになるまで、どれだけ時間がかかるだろう。この間にも、仲間達は最強となるべく、先へ進んでいるというのに。
「今のあいつらに、ついていけるのかな」
声を上げる者は、誰もいなかった。
***
「染岡くんと約束したんだ。また一緒に風になろうって」
「そっか……」
夕焼けに照らされている帰り道。どう話を切り出そうか考えてるうちに、先にしろ君が口を開いた。
「珍しいな、染岡がそんなこと言うなんて」
「そうなの?」
「ほら、つっけんどんで不器用なとこあるからさ」
「こういうのは得意じゃないって、染岡くんも言ってたよ」
「あはは、やっぱり!そんな染岡だから、伝わってくるものもあるんだけどね」
「うん。伝わったよ、ちゃんと」
しろ君が立ち止まった。つられてあたしも立ち止まる。目を伏せて胸に手を当てたしろ君は、暫くして真っ直ぐとあたしを見た。
「染岡くんも、美波ちゃんも、皆が、僕がまたサッカーを出来るようになるって信じてくれてる」
「うん」
「だから、僕はその思いに応えたい。力になりたい。今はまだ、上手く出来ないけど、それでも、雷門の一員として戦いたいんだ」
「待ってるよ。絶対、置いてかない!」
しろ君には時間が必要だ。……大丈夫。他ならないしろ君自身が立ち上がろうとしているんだから、きっと。
「あ、ここがあたし達の家!ただいまー!」
「お邪魔します」
あたしはいつも通りに、しろ君は控えめにそう言いながら庭の方に顔を出したら、守兄が出迎えてくれた。
「待ってたぜ!荷物置けよ!遅かったな!ほらほら、座れ!美波も荷物置け!」
「守兄ちょっとテンション高くない!?」
「ノリだよノリ!バーベキューはサバイバルだからな!ぐずぐずしてると肉がなくなっちまうぜ!」
「あんたが一番食べてるけどね、うっしっし。そーれっ」
「ぐえっ、あっつい!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「い、一応……」
口に焼きたての肉を突っ込まれて噎せた。立向居が渡してくれた水で一息つく。肉は美味しいけど、舌を火傷したような。
「おいおい何やってんだよ……。はい、これ美波の分な」
「ありがとね、塔子」
「母ちゃんの作ってくれた肉じゃがもあるぞ!美味いから食ってみろって!」
「ありがとう、キャプテン」
しろ君も嬉しそうに笑ってて、よかったと思いながら肉を口に運んだ。うん、いい焼き加減!
.