第29話 円堂・新たなる挑戦!
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守兄がキーパーをやめる。……確かに、フィールドプレーヤーだったらと思ったことはある。
けど、ポジションを変えるまでは考えたこともなかった。雷門のキーパーはずっと守兄だったから。
「そんな、急にそんなこと言われても……!」
「あたしは反対です、監督!このチームのキーパーは円堂しかいません!」
「ああ、だよな。無茶苦茶だろ」
「どういうつもりでそんなことを言うんですか!」
顔をしかめた皆が監督に抗議する。そりゃあたしだって、守兄がキーパーを止めるのは流石に抵抗がある。
でも瞳子監督が意味のない事を言うとも思えないし、さっきの試合の事だってある。
連携技を撃つ度に、守兄がゴールを空けるのはリスクが高すぎる。そう簡単に止められるような相手でもない。
だとしても、豪炎寺とアフロディを抑えられたら、攻撃の手はなしじゃダメなんだ。
「鬼道はどう思う?」
「俺は監督に賛成だ」
冷静な賛同に、皆がギョッとした表情をした。気にせず鬼道は淡々と説明する。俺達は地上最強のサッカーチームにならなければならないのだと。
点を取る為に守兄が前へ出ることが、相手に得点のチャンスを与えてしまうのなら、それはチームにとって大きな弱点になる。
「弱点は克服しなければならない。そこで初めて、俺達は完璧な地上最強のチームを名乗ることが出来る」
「弱点を克服する為に守兄はキーパーをやめるってこと?」
「そうだ。円堂、お前はリベロになるんだ」
「リベロ?」
「鬼道くんも、同じことを考えていたのね」
「エイリア学園に勝つために、俺達はもっと大胆に変わらなくてはいけないんじゃないか。その鍵になるのが、円堂じゃないのか」
「ペナルティエリア外の、あのプレーか」
ガゼルのシュートを弾いた、土壇場で咄嗟に出たプレー。あれならシュートにもディフェンスにも使える必殺技になるに違いない。
「というか守兄、よく咄嗟に頭使うの思い付いたね」
「あ、あれな。美波がガゼル相手にやってただろ。あれで思い付いたんだ」
「お手柄だったな美波!」
「いやあたしは結局防ぎきれてはないし……」
「とにかく、あの技をマスターすれば、お前は攻守に優れたリベロになる」
「リベロ……」
鬼道に目を向けられた守兄は、当たり前だけど困惑してた。だってずっとキーパーをやってきたんだ。
じいちゃんのノートを元に特訓して実力つけて、今までそれで頑張ってきた。一番近くで見てた。守兄の努力は、よく知ってる。
キーパーというポジションにどれだけ拘っているか。……それでも、チームの為なら。答えは、聞かなくても分かっていた。
「……決めた!俺、やるよ。勝つ為に、強くなる為に、リベロになる!」
「リベロ円堂か……面白いじゃないか」
「ね!面白そう!」
吃驚した壁山がトイレに全速力で走って行った。壁山は弱小サッカー部だった頃から、キーパーの守兄をずっと見てるからなあ。
皆で盛り上がってたら、夕弥が誰がゴールを守るのかと言った。皆も考えてるけど、考える必要なんてない。
「そんな悩む必要なんてないよ!ね、守兄!立向居がいるんだから!」
「ああそうだ!立向居がいる!」
「俺、ですか?」
「俺さ、上手くいえないけど立向居から可能性を感じるんだ。なんか物凄い奴になる!そんな感じがするんだよな!こいつに任せておけば、大丈夫だって思うんだ」
「でも、俺……俺が雷門のゴールを守るんですか?」
「大丈夫!確かに経験は少ないけど、それはその分延びしろがまだまだあるってことだからね」
鬼道も守兄の後継者に相応しいと後押ししてくれた。立向居はゴッドハンドを身につけて、マジン・ザ・ハンドもマスターしてるもんね。
何より死に物狂いの努力を積み重ねられる奴だ。保証なんてどこにもないけど、きっと大丈夫だって思える。
「なっ、俺達のゴールを守ってくれ!」
「! はい!やります!」
「頑張れよ、立向居」
「おもしれえじゃねえか!立向居はキーパーになりゃ、このチームもっと強くなるんだろ!だったらどこまでも強くなってやろうじゃねえか!」
「俺、頑張ります!よろしくお願いします!」
「そんなに緊張しなくていいって。ガチガチになってるよ」
「アンタもトイレ行ってきたらいいんちゃう?」
「さっき行ってきました!」
元気な返事が返ってきた。……リカ、あんまりからかわないであげてね。
「円堂くんのリベロ、アフロディくんのフォワード、立向居くんのキーパー。まさに、超攻撃型雷門イレブンの誕生です!」
新しい雷門イレブン。一体、どんなチームになるんだろう。
とりあえず、一度雷門中へ戻ることになった。
キャラバン内では守兄が立向居に色々と説明して……あ、夕弥が寝てる目金に落書きしてる。怒って追いかけ回されても、あたしはフォローしないからね。
「壁山ー!お菓子ちょっと分けて!チョコかかってるやつ!」
「はいっす!」
「はいよっと」
「中継ありがと、塔子。アフロディもいる?」
「いいのかい?」
「もっちろん!いいよね?」
「おう!前に何あったかは知んねえけど、今は仲間だからな!」
「……ありがとう」
お礼を言いながら受け取るアフロディは、嬉しそうだった。まさかアフロディと一緒にプレーすることになるなんて、思いもしなかったな。
それこそ、ヒロト君達と戦うことになるとも思わなかった。どんな思いで、ヒロト君達はサッカーをしているのか。答えの出ない問題を、ずっと考え続けている。
「どうかしたのかい?」
「へっ、あ、うん。ちょっとした考え事だよ」
「エイリア学園のこと?」
「……うん。何であんなことするのかなって」
「そうだね。……僕も君達に酷いことをしてしまった」
いつかの決勝戦を思い出しているのか、アフロディが自嘲する。もう、いいのにな。
「アフロディは強いと思うよ」
「え?」
「自分の弱いとこ全部を受け入れて、強くなろうって頑張って、自分を負かしたチームに協力してるんだから」
「……ふふ、美波らしいね。あんなに僕に対して冷たかったのに」
「だーかーらー!昔は昔で今は今なんだよ!アフロディはサッカー好きなんでしょ?ならもういいじゃん!」
結局アフロディも影山に利用されてただけで、根本にあったのは、サッカーが好きで強くなりたいという気持ちだ。
影山に利用されてたといえば明王ちゃんだ。潜水艦からは脱出しただろうけど、今頃何してるのかな。サッカーを続けていれば、また会えるかな。
そうこうしている内に雷門中について、監督があたし達を見渡した。
「皆、明日からは新しい体制で練習よ」
『おーっ!』
「それじゃあ、皆うちに来い!皆纏めて泊まってくれ!」
「おおっ!太っ腹!世話になるぜ!」
「なんか賑やかになりそうだね!ね、しろ君!」
「! ……うん、そうだね」
寂しそうにどこか遠くを見ているしろ君が心配になって、声をかける。そんなしろ君は豪炎寺を一瞥して、少し俯いていた。
それに気づいたのか気付いてないのか、条兄が荷物を渡して早く来いと呼ぶ。ぎこちなく笑い返したしろ君の背中を押して、あたし達もキャラバンを降りた。
「美波ちゃん」
「ん?」
「染岡くんが入院してる病院を教えて欲しいんだ。……少し、話しがしたくて」
「分かった!守兄!しろ君と稲妻総合病院に行ってくるから、先帰ってて!」
「おう!気をつけろよ!半田達にもよろしくな!」
「うん!じゃあ行こっか!」
そうだ、ついでにお土産も渡しちゃおう。喜んでもらえるといいな。
「最近美波が吹雪と二人きりになることが増えてる気がする」
「? いいんじゃねえの?仲がいいのはいいことだ!」
「……そうじゃない」
「え、円堂。吹雪は今、ほら、さ……」
「とばっちりくらいたくないし、ほっとこうぜ」
「それが賢明だろうな」
「いつものことじゃんあんなの」
「キャプテンが怖いのももう慣れたっす」
「どうにかなんないのかよ、アレ」
「シスコンにかける薬なんてあらへん」
「……苦労しているんだね、君達」
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けど、ポジションを変えるまでは考えたこともなかった。雷門のキーパーはずっと守兄だったから。
「そんな、急にそんなこと言われても……!」
「あたしは反対です、監督!このチームのキーパーは円堂しかいません!」
「ああ、だよな。無茶苦茶だろ」
「どういうつもりでそんなことを言うんですか!」
顔をしかめた皆が監督に抗議する。そりゃあたしだって、守兄がキーパーを止めるのは流石に抵抗がある。
でも瞳子監督が意味のない事を言うとも思えないし、さっきの試合の事だってある。
連携技を撃つ度に、守兄がゴールを空けるのはリスクが高すぎる。そう簡単に止められるような相手でもない。
だとしても、豪炎寺とアフロディを抑えられたら、攻撃の手はなしじゃダメなんだ。
「鬼道はどう思う?」
「俺は監督に賛成だ」
冷静な賛同に、皆がギョッとした表情をした。気にせず鬼道は淡々と説明する。俺達は地上最強のサッカーチームにならなければならないのだと。
点を取る為に守兄が前へ出ることが、相手に得点のチャンスを与えてしまうのなら、それはチームにとって大きな弱点になる。
「弱点は克服しなければならない。そこで初めて、俺達は完璧な地上最強のチームを名乗ることが出来る」
「弱点を克服する為に守兄はキーパーをやめるってこと?」
「そうだ。円堂、お前はリベロになるんだ」
「リベロ?」
「鬼道くんも、同じことを考えていたのね」
「エイリア学園に勝つために、俺達はもっと大胆に変わらなくてはいけないんじゃないか。その鍵になるのが、円堂じゃないのか」
「ペナルティエリア外の、あのプレーか」
ガゼルのシュートを弾いた、土壇場で咄嗟に出たプレー。あれならシュートにもディフェンスにも使える必殺技になるに違いない。
「というか守兄、よく咄嗟に頭使うの思い付いたね」
「あ、あれな。美波がガゼル相手にやってただろ。あれで思い付いたんだ」
「お手柄だったな美波!」
「いやあたしは結局防ぎきれてはないし……」
「とにかく、あの技をマスターすれば、お前は攻守に優れたリベロになる」
「リベロ……」
鬼道に目を向けられた守兄は、当たり前だけど困惑してた。だってずっとキーパーをやってきたんだ。
じいちゃんのノートを元に特訓して実力つけて、今までそれで頑張ってきた。一番近くで見てた。守兄の努力は、よく知ってる。
キーパーというポジションにどれだけ拘っているか。……それでも、チームの為なら。答えは、聞かなくても分かっていた。
「……決めた!俺、やるよ。勝つ為に、強くなる為に、リベロになる!」
「リベロ円堂か……面白いじゃないか」
「ね!面白そう!」
吃驚した壁山がトイレに全速力で走って行った。壁山は弱小サッカー部だった頃から、キーパーの守兄をずっと見てるからなあ。
皆で盛り上がってたら、夕弥が誰がゴールを守るのかと言った。皆も考えてるけど、考える必要なんてない。
「そんな悩む必要なんてないよ!ね、守兄!立向居がいるんだから!」
「ああそうだ!立向居がいる!」
「俺、ですか?」
「俺さ、上手くいえないけど立向居から可能性を感じるんだ。なんか物凄い奴になる!そんな感じがするんだよな!こいつに任せておけば、大丈夫だって思うんだ」
「でも、俺……俺が雷門のゴールを守るんですか?」
「大丈夫!確かに経験は少ないけど、それはその分延びしろがまだまだあるってことだからね」
鬼道も守兄の後継者に相応しいと後押ししてくれた。立向居はゴッドハンドを身につけて、マジン・ザ・ハンドもマスターしてるもんね。
何より死に物狂いの努力を積み重ねられる奴だ。保証なんてどこにもないけど、きっと大丈夫だって思える。
「なっ、俺達のゴールを守ってくれ!」
「! はい!やります!」
「頑張れよ、立向居」
「おもしれえじゃねえか!立向居はキーパーになりゃ、このチームもっと強くなるんだろ!だったらどこまでも強くなってやろうじゃねえか!」
「俺、頑張ります!よろしくお願いします!」
「そんなに緊張しなくていいって。ガチガチになってるよ」
「アンタもトイレ行ってきたらいいんちゃう?」
「さっき行ってきました!」
元気な返事が返ってきた。……リカ、あんまりからかわないであげてね。
「円堂くんのリベロ、アフロディくんのフォワード、立向居くんのキーパー。まさに、超攻撃型雷門イレブンの誕生です!」
新しい雷門イレブン。一体、どんなチームになるんだろう。
とりあえず、一度雷門中へ戻ることになった。
キャラバン内では守兄が立向居に色々と説明して……あ、夕弥が寝てる目金に落書きしてる。怒って追いかけ回されても、あたしはフォローしないからね。
「壁山ー!お菓子ちょっと分けて!チョコかかってるやつ!」
「はいっす!」
「はいよっと」
「中継ありがと、塔子。アフロディもいる?」
「いいのかい?」
「もっちろん!いいよね?」
「おう!前に何あったかは知んねえけど、今は仲間だからな!」
「……ありがとう」
お礼を言いながら受け取るアフロディは、嬉しそうだった。まさかアフロディと一緒にプレーすることになるなんて、思いもしなかったな。
それこそ、ヒロト君達と戦うことになるとも思わなかった。どんな思いで、ヒロト君達はサッカーをしているのか。答えの出ない問題を、ずっと考え続けている。
「どうかしたのかい?」
「へっ、あ、うん。ちょっとした考え事だよ」
「エイリア学園のこと?」
「……うん。何であんなことするのかなって」
「そうだね。……僕も君達に酷いことをしてしまった」
いつかの決勝戦を思い出しているのか、アフロディが自嘲する。もう、いいのにな。
「アフロディは強いと思うよ」
「え?」
「自分の弱いとこ全部を受け入れて、強くなろうって頑張って、自分を負かしたチームに協力してるんだから」
「……ふふ、美波らしいね。あんなに僕に対して冷たかったのに」
「だーかーらー!昔は昔で今は今なんだよ!アフロディはサッカー好きなんでしょ?ならもういいじゃん!」
結局アフロディも影山に利用されてただけで、根本にあったのは、サッカーが好きで強くなりたいという気持ちだ。
影山に利用されてたといえば明王ちゃんだ。潜水艦からは脱出しただろうけど、今頃何してるのかな。サッカーを続けていれば、また会えるかな。
そうこうしている内に雷門中について、監督があたし達を見渡した。
「皆、明日からは新しい体制で練習よ」
『おーっ!』
「それじゃあ、皆うちに来い!皆纏めて泊まってくれ!」
「おおっ!太っ腹!世話になるぜ!」
「なんか賑やかになりそうだね!ね、しろ君!」
「! ……うん、そうだね」
寂しそうにどこか遠くを見ているしろ君が心配になって、声をかける。そんなしろ君は豪炎寺を一瞥して、少し俯いていた。
それに気づいたのか気付いてないのか、条兄が荷物を渡して早く来いと呼ぶ。ぎこちなく笑い返したしろ君の背中を押して、あたし達もキャラバンを降りた。
「美波ちゃん」
「ん?」
「染岡くんが入院してる病院を教えて欲しいんだ。……少し、話しがしたくて」
「分かった!守兄!しろ君と稲妻総合病院に行ってくるから、先帰ってて!」
「おう!気をつけろよ!半田達にもよろしくな!」
「うん!じゃあ行こっか!」
そうだ、ついでにお土産も渡しちゃおう。喜んでもらえるといいな。
「最近美波が吹雪と二人きりになることが増えてる気がする」
「? いいんじゃねえの?仲がいいのはいいことだ!」
「……そうじゃない」
「え、円堂。吹雪は今、ほら、さ……」
「とばっちりくらいたくないし、ほっとこうぜ」
「それが賢明だろうな」
「いつものことじゃんあんなの」
「キャプテンが怖いのももう慣れたっす」
「どうにかなんないのかよ、アレ」
「シスコンにかける薬なんてあらへん」
「……苦労しているんだね、君達」
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