第28話 最強の助っ人アフロディ!
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「行け!我々には勝利以外許されない!」
そう叫んだガゼルに頷いたダイヤモンドダストのディフェンダーが、豪炎寺とアフロディに激しいチェックをかける。
二人に対するパスは全てカットされて、攻撃の芽を悉く潰されてしまう。ぴったりと張り付かれているからか、二人共、表情に疲れの色が見え始めた。
「もう1点……あと1点取れば必ず勝てる!」
「でも豪炎寺もアフロディも動けない。別の攻め手で行くしかない!」
「……ならば!」
鬼道が守兄に目を向けて、一之瀬と土門が頷く。二人が絡まない雷門のシュートならこれだ。
「荒波!一之瀬っ!」
「よし、土門!円堂!」
守兄がゴール前から離れて、前線へ上って行く。土門も上がって空いたスペースを埋めるように、あたしは動いた。
「ゴールはどうするんだよ!」
「これしかないんだ!守兄が絡む連携必殺技……ザ・フェニックスでいく!」
「でも、もしボールを取られたらどうするんだ」
「……その時は全力で止めるしかないね!」
ゴールキーパーがゴールを空けるのはハイリスクだ。守る選手がいないゴールなんて、点を取ってくれと言っているようなものだ。
攻撃に前線まで上がったキーパーが絡むなんてそうそう無い。雷門みたく攻撃力が上がるメリットがあっても、それ以上にデメリットが大きすぎる。もし、ボールを奪われれば、
「フローズンスティール!」
相手にチャンスを与える事になる。
「これは……」
「まずい!」
「こっちだ!」
ゴールへ迫るガゼルにパスが出されて、冷や汗が吹き出す。止めに行きたいのに、ガゼルの指示であたしの行く手をミッドフィルダーが塞いでいた。
……ミッドフィルダーごと水龍でパスを押し流せないだろうか。それは流石にダメか。無理矢理マークを外そうとした時、条兄が雄叫びをあげながら飛び込んだ。
足から突っ込んだ衝撃で吹き飛んだボールが、外へと転がっていく。……条兄のおかげで、なんとか守れたな。
「サンキュー、綱海!」
「へっ、礼なんかいらねえよ!」
「土門!一之瀬!次は決めようぜ!」
「「おう!」」
守兄がゴールへ戻っていく。さっきは間に合ったけど、そう何度も出来る事じゃない。次は上手くいくかどうか。
「あと1点、どうしようか」
「連携技は、円堂くんがゴールエリアから離れ過ぎる……。あまりにも危険だよ」
「わかっている。しかし時間がないんだ。危険を背負わないといけない時もある」
「円堂くんが攻撃に加われるからこその、大きな落とし穴となる……」
雷門の連携技の大半は、守兄と豪炎寺が関わる。フィールドプレーヤーで前線にいることの多い豪炎寺はともかく、ゴールから上がらないといけない守兄は……。
いつぞやの鬼道じゃないけど、こういう時、守兄が二人いたら、フィールドプレーヤーの守兄がいたらと思ってしまう。
荒波で奪ったボールを鬼道に回すと、鬼道は攻め込みつつ守兄と豪炎寺とアイコンタクトを取った。
ということは、恐らくイナズマブレイクだ。もう時間はない。これが多分最後の得点のチャンス。
「行くぞ豪炎寺!円堂!」
三人が構えてボールが蹴り上げられた瞬間、軌道に入ったアイシーがカットした。十分な距離を置いていたと思ってたのに、終盤にきて想定より動きが早い。
これが最後のプレーになるのはダイヤモンドダストも同じ。攻め込んでくるガゼル達には、鬼気迫る迫力があった。
「円堂くん戻れ!早く!」
アフロディが食い止めている間に守兄が全速力で戻ってくる。けれど、それを待っていてくれる程、ガゼルは甘くない。
「思い知れ!凍てつく闇の恐怖を!ノーザンインパクト!」
「くっそ……水龍ッ!」
少しでも時間を稼いで、威力を落とせれば。水の龍がシュートにぶつかったそばから凍っていく。粉々に砕けるまで、そう時間はかからなかった。
振り向いた守兄がシュートを見て構えたけど、まだペナルティエリア外にいる。このままじゃ……!
「正義の鉄拳!」
「ダメだ!ペナルティエリア外だぞ!ハンドになる!」
鬼道の言葉に振り上げた腕を止めた、守兄は咄嗟に頭を突き出した。ぶつかりあって踏ん張るけど、ジリジリと押されていく。
その時、額から腕の形をしたエネルギーの塊が飛び出して、シュートを弾いてしまった。
「バカな……!」
「何、あれ。ヘッドで弾いた?」
ホイッスルが鳴って、同点のまま試合が終わった事に気づいてハッとする。マスターランクのチームと、引き分けた?
……でも、最後は危なかった。威力を落とせてなかったら決められてた。それに、あのヘッドでのプレーは……。
「そこまでだよ、ガゼル」
「ヒロト!」
悔しげに睨み付けてくるガゼル――風介の前に、ヒロトと晴矢が歩いてきた。
「見せてもらったよ、円堂くん、美波ちゃん。短い間に、よくここまで強くなったね」
「エイリア学園を倒す為だったら、俺達はどこまでだって強くなって見せる!」
「……そうだ!あたし達は、地上最強のチームになるんだ!」
「いいね……。俺も見てみたいなあ、地上最強のチームを」
「本当に思っているのか」
いつもより低い声の守兄。その問い掛けに、一瞬ヒロトは微笑みを消した。そして曖昧に濁すように笑った。
わからない、ヒロトの本心が。
「じゃあ、またね」
「円堂守……。次は必ず、お前達を倒す!」
黒いサッカーボールが輝いて、ダイヤモンドダストとヒロト、晴矢は姿を消した。
何はともあれ試合は終わった。キャラバンまで戻って来ると、守兄はアフロディに向き直った。
「一緒に戦ってくれるんだな」
「ああ。よろしく」
「歓迎するわ」
「感謝します、監督。失礼ながら、今の雷門には決定力が不足していますからね」
「言ってくれるじゃないか」
「君達の強さは、こんなものじゃない筈だよ」
ニヤリと笑った豪炎寺に、アフロディが微笑む。アフロディの言う通り、あたし達はまだまだ強くなれる。それこそ、地上最強と呼べるくらいに。
「僕は君達を勝利に導く、力になりたいと思っているんだ」
「もうなってるよ!これからもよろしく!」
「##NANE1##……。こちらこそ、よろしく」
「うっししし、さっきは勝てなかったけどね~」
「こら!」
ごちん、と夕弥の頭に春ちゃんの拳骨が落ちた。一之瀬は、アフロディに張り合うリカに早く怪我を治すように言って抱きつかれている。
いつものやり取りで、場の雰囲気が少し和らいだ。それとしてリカ、アフロディは男の子だからクイーンじゃないよ。
「よーし、エイリア学園を完全にやっつけるまで、皆で頑張るぜ!」
『おーっ!』
やっつける、か。……間違ってない。エイリア学園は、倒さなくてはならない相手なんだから。
同じ気持ちになりきれない後ろめたさがある。皆が意気込む中、乗り切れずにいたら、静観していた瞳子監督が口を開いた。
「円堂くん」
「はい!」
「あなたには、ゴールキーパーをやめてもらうわ」
「え……!?」
キーパーをやめる。突然言い渡された衝撃的な言葉に、賑やかな空気から一転して、沈黙が訪れた。
→あとがき
そう叫んだガゼルに頷いたダイヤモンドダストのディフェンダーが、豪炎寺とアフロディに激しいチェックをかける。
二人に対するパスは全てカットされて、攻撃の芽を悉く潰されてしまう。ぴったりと張り付かれているからか、二人共、表情に疲れの色が見え始めた。
「もう1点……あと1点取れば必ず勝てる!」
「でも豪炎寺もアフロディも動けない。別の攻め手で行くしかない!」
「……ならば!」
鬼道が守兄に目を向けて、一之瀬と土門が頷く。二人が絡まない雷門のシュートならこれだ。
「荒波!一之瀬っ!」
「よし、土門!円堂!」
守兄がゴール前から離れて、前線へ上って行く。土門も上がって空いたスペースを埋めるように、あたしは動いた。
「ゴールはどうするんだよ!」
「これしかないんだ!守兄が絡む連携必殺技……ザ・フェニックスでいく!」
「でも、もしボールを取られたらどうするんだ」
「……その時は全力で止めるしかないね!」
ゴールキーパーがゴールを空けるのはハイリスクだ。守る選手がいないゴールなんて、点を取ってくれと言っているようなものだ。
攻撃に前線まで上がったキーパーが絡むなんてそうそう無い。雷門みたく攻撃力が上がるメリットがあっても、それ以上にデメリットが大きすぎる。もし、ボールを奪われれば、
「フローズンスティール!」
相手にチャンスを与える事になる。
「これは……」
「まずい!」
「こっちだ!」
ゴールへ迫るガゼルにパスが出されて、冷や汗が吹き出す。止めに行きたいのに、ガゼルの指示であたしの行く手をミッドフィルダーが塞いでいた。
……ミッドフィルダーごと水龍でパスを押し流せないだろうか。それは流石にダメか。無理矢理マークを外そうとした時、条兄が雄叫びをあげながら飛び込んだ。
足から突っ込んだ衝撃で吹き飛んだボールが、外へと転がっていく。……条兄のおかげで、なんとか守れたな。
「サンキュー、綱海!」
「へっ、礼なんかいらねえよ!」
「土門!一之瀬!次は決めようぜ!」
「「おう!」」
守兄がゴールへ戻っていく。さっきは間に合ったけど、そう何度も出来る事じゃない。次は上手くいくかどうか。
「あと1点、どうしようか」
「連携技は、円堂くんがゴールエリアから離れ過ぎる……。あまりにも危険だよ」
「わかっている。しかし時間がないんだ。危険を背負わないといけない時もある」
「円堂くんが攻撃に加われるからこその、大きな落とし穴となる……」
雷門の連携技の大半は、守兄と豪炎寺が関わる。フィールドプレーヤーで前線にいることの多い豪炎寺はともかく、ゴールから上がらないといけない守兄は……。
いつぞやの鬼道じゃないけど、こういう時、守兄が二人いたら、フィールドプレーヤーの守兄がいたらと思ってしまう。
荒波で奪ったボールを鬼道に回すと、鬼道は攻め込みつつ守兄と豪炎寺とアイコンタクトを取った。
ということは、恐らくイナズマブレイクだ。もう時間はない。これが多分最後の得点のチャンス。
「行くぞ豪炎寺!円堂!」
三人が構えてボールが蹴り上げられた瞬間、軌道に入ったアイシーがカットした。十分な距離を置いていたと思ってたのに、終盤にきて想定より動きが早い。
これが最後のプレーになるのはダイヤモンドダストも同じ。攻め込んでくるガゼル達には、鬼気迫る迫力があった。
「円堂くん戻れ!早く!」
アフロディが食い止めている間に守兄が全速力で戻ってくる。けれど、それを待っていてくれる程、ガゼルは甘くない。
「思い知れ!凍てつく闇の恐怖を!ノーザンインパクト!」
「くっそ……水龍ッ!」
少しでも時間を稼いで、威力を落とせれば。水の龍がシュートにぶつかったそばから凍っていく。粉々に砕けるまで、そう時間はかからなかった。
振り向いた守兄がシュートを見て構えたけど、まだペナルティエリア外にいる。このままじゃ……!
「正義の鉄拳!」
「ダメだ!ペナルティエリア外だぞ!ハンドになる!」
鬼道の言葉に振り上げた腕を止めた、守兄は咄嗟に頭を突き出した。ぶつかりあって踏ん張るけど、ジリジリと押されていく。
その時、額から腕の形をしたエネルギーの塊が飛び出して、シュートを弾いてしまった。
「バカな……!」
「何、あれ。ヘッドで弾いた?」
ホイッスルが鳴って、同点のまま試合が終わった事に気づいてハッとする。マスターランクのチームと、引き分けた?
……でも、最後は危なかった。威力を落とせてなかったら決められてた。それに、あのヘッドでのプレーは……。
「そこまでだよ、ガゼル」
「ヒロト!」
悔しげに睨み付けてくるガゼル――風介の前に、ヒロトと晴矢が歩いてきた。
「見せてもらったよ、円堂くん、美波ちゃん。短い間に、よくここまで強くなったね」
「エイリア学園を倒す為だったら、俺達はどこまでだって強くなって見せる!」
「……そうだ!あたし達は、地上最強のチームになるんだ!」
「いいね……。俺も見てみたいなあ、地上最強のチームを」
「本当に思っているのか」
いつもより低い声の守兄。その問い掛けに、一瞬ヒロトは微笑みを消した。そして曖昧に濁すように笑った。
わからない、ヒロトの本心が。
「じゃあ、またね」
「円堂守……。次は必ず、お前達を倒す!」
黒いサッカーボールが輝いて、ダイヤモンドダストとヒロト、晴矢は姿を消した。
何はともあれ試合は終わった。キャラバンまで戻って来ると、守兄はアフロディに向き直った。
「一緒に戦ってくれるんだな」
「ああ。よろしく」
「歓迎するわ」
「感謝します、監督。失礼ながら、今の雷門には決定力が不足していますからね」
「言ってくれるじゃないか」
「君達の強さは、こんなものじゃない筈だよ」
ニヤリと笑った豪炎寺に、アフロディが微笑む。アフロディの言う通り、あたし達はまだまだ強くなれる。それこそ、地上最強と呼べるくらいに。
「僕は君達を勝利に導く、力になりたいと思っているんだ」
「もうなってるよ!これからもよろしく!」
「##NANE1##……。こちらこそ、よろしく」
「うっししし、さっきは勝てなかったけどね~」
「こら!」
ごちん、と夕弥の頭に春ちゃんの拳骨が落ちた。一之瀬は、アフロディに張り合うリカに早く怪我を治すように言って抱きつかれている。
いつものやり取りで、場の雰囲気が少し和らいだ。それとしてリカ、アフロディは男の子だからクイーンじゃないよ。
「よーし、エイリア学園を完全にやっつけるまで、皆で頑張るぜ!」
『おーっ!』
やっつける、か。……間違ってない。エイリア学園は、倒さなくてはならない相手なんだから。
同じ気持ちになりきれない後ろめたさがある。皆が意気込む中、乗り切れずにいたら、静観していた瞳子監督が口を開いた。
「円堂くん」
「はい!」
「あなたには、ゴールキーパーをやめてもらうわ」
「え……!?」
キーパーをやめる。突然言い渡された衝撃的な言葉に、賑やかな空気から一転して、沈黙が訪れた。
→あとがき