第28話 最強の助っ人アフロディ!
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突然現れたアフロディに、空気が張り詰めたのを感じた。流石の守兄も、固い表情で油断なくアフロディを見つめていた。
「また会えたね、円堂くん」
「何しに来たんだ」
「戦うために来たのさ。……君達と」
「えっ!?」
「君達と共に……奴らを倒す!」
奴らというのはもちろんダイヤモンドダスト――エイリア学園のことだ。まさか、世宇子中のアフロディが雷門に加勢をするだって?
皆の顔が驚きに染まる。当然あたしも。この反応は予想していたようで、アフロディは静かに語り出す。あたし達の力になる為に来たのだと。
「雷門とエイリア学園の戦いは見てきた。そして、激戦を続ける君達の姿を、湧き上がる闘志を抑えられなくなったんだ。僕を、雷門の一員に加えて欲しい」
「ちょっと待ってくれ!」
「いきなり何言ってんだ。訳分かんねえよ」
困惑の表情を浮かべた一之瀬と土門がストップをかけた。脳裏を過ったのは、フットボールフロンティアの帝国の初戦。そして、決勝戦。
雷門も帝国も、怪我人が何人も出た。そう簡単には受け入れられない。皆の気持ちも分かる。あたしだってそうだ。けれど、目の前にいるアフロディは、前とは違う気がした。
「疑うのも無理はない。でも信じて欲しい。僕は、神のアクアに頼るようなことはもう二度としない。僕は君達に敗れて学んだんだ。再び立ち上がることの大切さを……。人は、倒れる度に強くなれる!」
力強く宣言したアフロディから、強い意思が伝わってきた。……変わったのはあたし達だけじゃない。アフロディもだ。
今のアフロディはあの頃よりずっと強い。そしてあたし達に力を貸してくれるという。それなら、迷う余地なんてない!
「本気なんだな」
「ああ」
「わかった、その目に嘘はない」
「一緒に戦おう!」
「ありがとう、円堂くん、美波」
力強く握手をする守兄とアフロディ。その目は真っ直ぐで、大丈夫だって自然と思った。
けど皆は受け入れるのにもう少しかかりそうだ。……気持ちはプレーに出る。アフロディのプレーを見たら、きっと皆も分かってくれる。あたしも、プレーで見極めるんだ。
「なんと!あの世宇子中のアフロディが雷門イレブンに加わったァ!これは予想もしなかった展開だ!」
響く角馬の声を聞きながら、雷門のユニフォームに身を包んだアフロディへ視線を向ける。
なんだか不思議な気分だ。アフロディが雷門だなんて。すっかり見慣れたけど、鬼道も最初はそうだったな。
ダイヤモンドダストのフリースローで止まっていた試合が動き出す。すかさず土門がボルケイノカットでブロックした。
「こっちだ!」
前線へ走るフリーのアフロディがパスを求める。けれど声をかけられた土門はパスを躊躇って、その隙を突かれてボールを奪われてしまった。
そこからはどうにも攻撃が繋がらなくなった。アフロディへのパスは通らずラインを割る、二人がかりのマークがついていても豪炎寺へパスを出す。まだ。アフロディを信用出来ていないから。
元々雷門のメンバーだけじゃない。不穏な空気からか新しく加入したメンバーもだ。……あの試合の中継を見てたなら、そうなるのも仕方ないか。
でもこの試合、アフロディの力が必要になる。豪炎寺が力不足って訳じゃない。決定力のあるフォワードが二人いる事で、攻撃や戦略の幅が広がるんだ。
だから早くこのズレを修正しないと。これを見逃がしてくれる程、ガゼルは甘くない。
「私を止められるのかな?」
「ナメんな!」
軽く蹴り上げられたボールを奪おうと条兄が突っ込む。……ダメだ!
「フェイントだ!」
「なっ……」
飲み込みが早くてどんどん上達してる条兄だけど、皆と比べると圧倒的に経験値不足。
そんな条兄はフェイントに対応出来なくて、ボールはヘディングで吸い付くようにガゼルの足元へ戻る。
「もらった!」
「水龍!」
端を狙った強力なノーマルシュートを、水龍でパワーを落として、守兄がキャッチする。得点は阻止することが出来た。
「やるじゃないか。だが、チームは噛み合ってないようだ。崩すのはたやすいね」
「くそっ……」
ガゼルの言う通り、またこのちぐはぐなプレーを崩されるのは時間の問題だ。点を取られれば一気に持って行かれる。先制点はなんとしても欲しい。
「旋風陣!どんなもんだい!」
「いい気になるな!」
「うわあ!?」
「夕弥こっち!」
「美波!」
迫るガゼルに慌てた夕弥のパスは少し遠い。乱れた。追いついて抑えた時には、ダイヤモンドダストのディフェンダーが迫っていた。
「マリンアクセル!」
突破して前線に目をやる。相変わらず豪炎寺にはマークがついて、アフロディはフリー。……絶好のチャンス!
「そうはさせない」
「なっ」
「美波なら迷わずパスを出すだろうと思っていたよ」
パスコースを塞ぎに来たのはガゼルだった。やられた。読まれていた。
距離を詰めてきたガゼルを必死に避ける。ここで取られる訳にはいかない。無理でも何でも、このボールはアフロディに繋ぐ!
「条兄!」
無理矢理出したバックパスを、条兄はなんとか拾ってくれた。そこへ条兄がパスをしやすい位置に、アフロディが走り込む。……今だ!
「アフロディに回して!」
「お、丁度いいぜ!アフロディ!」
サッカーを始めたばかりで、フットボールフロンティアも知らなかった条兄なら、先入観なしでパスしてくれるかもしれない。その予想は当たった。
ちょっと驚いたようにパスをトラップしたアフロディ。……大丈夫。根拠なんかどこにもないけど、今のアフロディなら決めてくれる。
「……行くよ」
あの時から格段に上がったスピードで、敵陣奥深くにまで切り込んでいく。ヘブンズタイムでディフェンダー二人を抜いたアフロディの前に、ガゼルが立ちはだかった。
「フッ、堕落したものだ。君を神の座から引き摺り下ろした、雷門を味方するとは」
「引き摺り下ろした?違う。彼らは、円堂君の強さが僕を悪夢から目覚めさせてくれた。新たな力をくれたんだ」
「だが、君は神のアクアが無ければ……何も出来ない!」
「そんなもの必要ない」
ボールを奪おうとしたガゼルを、アフロディはボールを横へ軽く蹴って、後方から上がって来ていた豪炎寺に回した。
驚愕の表情を浮かべているガゼルを尻目に、再び豪炎寺からアフロディに渡る。
「見せよう……生まれ変わった僕の力を!ゴッドノウズ!」
六枚の光り輝く羽を広げて、アフロディが飛び立った。繰り出されたのは前より遥かにパワーアップしたゴッドノウズ。
放たれた強烈なシュートは、ダイヤモンドダストのゴールを抉じ開けた。
アフロディと豪炎寺とハイタッチを交わす。パンッと小気味いい乾いた音が響いた。1ー0、先制点は雷門だ!
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「また会えたね、円堂くん」
「何しに来たんだ」
「戦うために来たのさ。……君達と」
「えっ!?」
「君達と共に……奴らを倒す!」
奴らというのはもちろんダイヤモンドダスト――エイリア学園のことだ。まさか、世宇子中のアフロディが雷門に加勢をするだって?
皆の顔が驚きに染まる。当然あたしも。この反応は予想していたようで、アフロディは静かに語り出す。あたし達の力になる為に来たのだと。
「雷門とエイリア学園の戦いは見てきた。そして、激戦を続ける君達の姿を、湧き上がる闘志を抑えられなくなったんだ。僕を、雷門の一員に加えて欲しい」
「ちょっと待ってくれ!」
「いきなり何言ってんだ。訳分かんねえよ」
困惑の表情を浮かべた一之瀬と土門がストップをかけた。脳裏を過ったのは、フットボールフロンティアの帝国の初戦。そして、決勝戦。
雷門も帝国も、怪我人が何人も出た。そう簡単には受け入れられない。皆の気持ちも分かる。あたしだってそうだ。けれど、目の前にいるアフロディは、前とは違う気がした。
「疑うのも無理はない。でも信じて欲しい。僕は、神のアクアに頼るようなことはもう二度としない。僕は君達に敗れて学んだんだ。再び立ち上がることの大切さを……。人は、倒れる度に強くなれる!」
力強く宣言したアフロディから、強い意思が伝わってきた。……変わったのはあたし達だけじゃない。アフロディもだ。
今のアフロディはあの頃よりずっと強い。そしてあたし達に力を貸してくれるという。それなら、迷う余地なんてない!
「本気なんだな」
「ああ」
「わかった、その目に嘘はない」
「一緒に戦おう!」
「ありがとう、円堂くん、美波」
力強く握手をする守兄とアフロディ。その目は真っ直ぐで、大丈夫だって自然と思った。
けど皆は受け入れるのにもう少しかかりそうだ。……気持ちはプレーに出る。アフロディのプレーを見たら、きっと皆も分かってくれる。あたしも、プレーで見極めるんだ。
「なんと!あの世宇子中のアフロディが雷門イレブンに加わったァ!これは予想もしなかった展開だ!」
響く角馬の声を聞きながら、雷門のユニフォームに身を包んだアフロディへ視線を向ける。
なんだか不思議な気分だ。アフロディが雷門だなんて。すっかり見慣れたけど、鬼道も最初はそうだったな。
ダイヤモンドダストのフリースローで止まっていた試合が動き出す。すかさず土門がボルケイノカットでブロックした。
「こっちだ!」
前線へ走るフリーのアフロディがパスを求める。けれど声をかけられた土門はパスを躊躇って、その隙を突かれてボールを奪われてしまった。
そこからはどうにも攻撃が繋がらなくなった。アフロディへのパスは通らずラインを割る、二人がかりのマークがついていても豪炎寺へパスを出す。まだ。アフロディを信用出来ていないから。
元々雷門のメンバーだけじゃない。不穏な空気からか新しく加入したメンバーもだ。……あの試合の中継を見てたなら、そうなるのも仕方ないか。
でもこの試合、アフロディの力が必要になる。豪炎寺が力不足って訳じゃない。決定力のあるフォワードが二人いる事で、攻撃や戦略の幅が広がるんだ。
だから早くこのズレを修正しないと。これを見逃がしてくれる程、ガゼルは甘くない。
「私を止められるのかな?」
「ナメんな!」
軽く蹴り上げられたボールを奪おうと条兄が突っ込む。……ダメだ!
「フェイントだ!」
「なっ……」
飲み込みが早くてどんどん上達してる条兄だけど、皆と比べると圧倒的に経験値不足。
そんな条兄はフェイントに対応出来なくて、ボールはヘディングで吸い付くようにガゼルの足元へ戻る。
「もらった!」
「水龍!」
端を狙った強力なノーマルシュートを、水龍でパワーを落として、守兄がキャッチする。得点は阻止することが出来た。
「やるじゃないか。だが、チームは噛み合ってないようだ。崩すのはたやすいね」
「くそっ……」
ガゼルの言う通り、またこのちぐはぐなプレーを崩されるのは時間の問題だ。点を取られれば一気に持って行かれる。先制点はなんとしても欲しい。
「旋風陣!どんなもんだい!」
「いい気になるな!」
「うわあ!?」
「夕弥こっち!」
「美波!」
迫るガゼルに慌てた夕弥のパスは少し遠い。乱れた。追いついて抑えた時には、ダイヤモンドダストのディフェンダーが迫っていた。
「マリンアクセル!」
突破して前線に目をやる。相変わらず豪炎寺にはマークがついて、アフロディはフリー。……絶好のチャンス!
「そうはさせない」
「なっ」
「美波なら迷わずパスを出すだろうと思っていたよ」
パスコースを塞ぎに来たのはガゼルだった。やられた。読まれていた。
距離を詰めてきたガゼルを必死に避ける。ここで取られる訳にはいかない。無理でも何でも、このボールはアフロディに繋ぐ!
「条兄!」
無理矢理出したバックパスを、条兄はなんとか拾ってくれた。そこへ条兄がパスをしやすい位置に、アフロディが走り込む。……今だ!
「アフロディに回して!」
「お、丁度いいぜ!アフロディ!」
サッカーを始めたばかりで、フットボールフロンティアも知らなかった条兄なら、先入観なしでパスしてくれるかもしれない。その予想は当たった。
ちょっと驚いたようにパスをトラップしたアフロディ。……大丈夫。根拠なんかどこにもないけど、今のアフロディなら決めてくれる。
「……行くよ」
あの時から格段に上がったスピードで、敵陣奥深くにまで切り込んでいく。ヘブンズタイムでディフェンダー二人を抜いたアフロディの前に、ガゼルが立ちはだかった。
「フッ、堕落したものだ。君を神の座から引き摺り下ろした、雷門を味方するとは」
「引き摺り下ろした?違う。彼らは、円堂君の強さが僕を悪夢から目覚めさせてくれた。新たな力をくれたんだ」
「だが、君は神のアクアが無ければ……何も出来ない!」
「そんなもの必要ない」
ボールを奪おうとしたガゼルを、アフロディはボールを横へ軽く蹴って、後方から上がって来ていた豪炎寺に回した。
驚愕の表情を浮かべているガゼルを尻目に、再び豪炎寺からアフロディに渡る。
「見せよう……生まれ変わった僕の力を!ゴッドノウズ!」
六枚の光り輝く羽を広げて、アフロディが飛び立った。繰り出されたのは前より遥かにパワーアップしたゴッドノウズ。
放たれた強烈なシュートは、ダイヤモンドダストのゴールを抉じ開けた。
アフロディと豪炎寺とハイタッチを交わす。パンッと小気味いい乾いた音が響いた。1ー0、先制点は雷門だ!
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