第25話 逆襲!イプシロン改!!
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大海原中に現れたイプシロン。まさか正義の鉄拳を完成させた直後に来るなんて。しろ君も万全じゃないなのに……!
「手を強く握りすぎだ」
「鬼道……ありがとね」
鬼道に言われて無意識に手を握りしめてたのに気づく。開いたら、うっすらと跡がついていた。
「我々はパワーアップし、イプシロン改となった」
「イプシロン改?」
「我々は雷門に勝負を挑む!」
「ジェネシスの命令か!」
「命令ではない。デザーム様、そして我らイプシロン改の意思だ」
「もう一度楽しみたいのだ。実力が拮抗する者同士によるギリギリの戦いの緊張感、高揚感。あの抑えられない興奮を感じながらお前達雷門を倒す!これ以上の理由がいると思うか?」
勝手な理由だ。けれど断ればその辺の学校が破壊されると言われてしまえば、受けるしかない。自然豊かな沖縄を、破壊させるわけにはいかない!
充血したみたいに赤い目をしてるイプシロン改を見据える。今度こそ、勝つんだ!
「なあ美波、アレが噂の宇宙人って奴か?」
「あ、うん」
「面白い……。俺も力を貸すぜ!あんな宇宙人共にでかい顔させておくわけにはいかねえ!」
鼻息荒く意気込む条兄。力を貸すってことは、チームに入ってくれるんだ!
瞳子監督もキャラバンに誘おうと思っていたのだと頷いた。サーフィンで鍛えられた身体能力は頼りになるもんね。
「じゃあユニフォームを……」
「それならもう着てるぜ!」
条兄が大海原のユニフォームを脱ぐ。その下には、雷門のユニフォームがあった。……いつの間に着たんだろ。
「よろしく、綱海」
「おう!よろしく頼むぜ!」
「今日こそあいつらとの決着をつけるぞ!」
『おーっ!』
今回はリカの1トップで、しろ君はディフェンダーに入った。雰囲気ががらりと変わったデザーム達。守備を強化するに越したことはない。
マキュアのキックオフで試合が始まった。大阪の時よりドリブルもパスも速くなってる!
必殺技を出す前にあたしも抜かれて、雷門ゴール前にボールが上がる。そこへ走りこんでくるのはマキュア、メトロン、ゼル。
これは前回は止められなかったシュートだ。でも、あたし達だって成長してる!
「「「ガイアブレイク!!」」」
「正義の鉄拳!」
完成した正義の鉄拳は、難なくガイアブレイクを弾き返した。流石は究極奥義だ!
「なんだろう、この感じ。円堂さん……」
「? 立向居?」
「いえ、なんでもないです」
不思議そうな立向居に、ちょっと違和感。ちゃんとシュートは止めた……よね?
「水龍!」
イプシロンの攻撃を防いで、フリーのリカへ回す。けれどローズスプラッシュはワームホールに止められてしまった。
やっぱりデザームは強敵だ、そう簡単には破れない。……ドリルスマッシャーまで使わせるのも至難の業だ。
「お前だ。お前が撃ってこい!」
そう言ったデザームが蹴ったボールは、しろ君の足元へ転がった。
確かに、今の雷門でデザームを破る可能性があるのはしろ君だけだ。だから楽しみたいというデザームが、しろ君のシュートを求める理由は分かる。
でも最近のしろ君は見るからに不調だ。福岡で倒れた時から、ずっと。……本当に、このまま撃たせていいのかな。
「気にするな吹雪!お前は自分のプレーをすればいいんだ!」
「わかってる。始めからそのつもりさ!」
ギッとデザームを睨み付けてドリブルで上がっていくしろ君。いや、アツヤ。
勢いに任せて、無理矢理突破していく。乱暴で、荒くて、焦りが滲み出てるプレー。
シュートを決めることがここにいる意味なのだと叫ぶ姿に、やっぱり駄目だと、漠然と思った。
「エターナルブリザード!」
「予想通り、楽しめそうだな!ドリルスマッシャー!」
二つの必殺技の鬩ぎ合い。勝ったのはデザームのドリルスマッシャーで、弾かれたボールを目で追うアツヤがボールを要求する。
次の攻撃も、最初と同じ結果になった。三度目に至っては、デザームが使ったのは以前破られたワームホールだ。
……エターナルブリザードのパワーが目に見えて落ちてる。それこそ、ドリルスマッシャーを使わなくても済むくらいに。
「荒波!」
「こっちだ、美波!寄越せ!」
回したく、ないな。
これ以上は駄目だ。そう思った。鬼道の方を見ると、状況もあってか流石にパスの指示を躊躇っているようだった。
奪いに来るイプシロンをどうにか避けてボールキープする。敵陣中盤、ゴールは見えてる。……いっそのこと、あたしが撃つか。
ボールを蹴り上げるより早く、靡くマフラーが視界に入ってきた。
「おい!回せって言ってるだろ!」
「……一旦落ち着こうよ。このまま撃っても、点にはならないよ」
「うるせえ!今度こそ決める!」
「っ、だから話聞いてよ!」
「オレはっ……豪炎寺って奴に、負ける訳にはいかねえんだ……!」
豪炎寺。思いがけない名前に動揺したのが駄目だった。
あたしの足元にあった筈のボールは、いつの間にかなくなっていて。
「待って!」
「オレは、完璧にならなきゃならないんだ!」
パリン
砕け散る音がした。粉々になった氷が宙を舞う。
技もなしに、片手で止められた。
「そんな、バカな……」
「楽しみにしていたがこの程度とはな。お前はもう必要ない」
デザームは絶対に言ってはいけない言葉を、冷たく、吐き捨てるように言い放った。
「必要ない………」
「……!」
必要ない。そんなことを、今のしろ君に言ったら……っ!
「士郎としても必要ない……アツヤとしても必要ない……。じゃあ、僕は、オレは、オレは、僕は…………」
「しろ、くん」
「なんなんだーッ!!」
「――!」
その悲痛な叫びに思わず耳を塞ぎかけて、ドサリという音にその手を止める。
音の方を見れば、虚ろな瞳をして座り込んだしろ君と、名前を呼びながら駆け寄る皆がいた。
「吹雪!吹雪!」
「監督!これ以上無理をさせたら吹雪くんは!」
「……選手交代!」
皆の声が聞こえるけど、何一つ頭に入ってこない。
――あたしが居場所になるからさ!
居場所になる、なんて。
なんて、無責任な言葉だったんだろう。
.
「手を強く握りすぎだ」
「鬼道……ありがとね」
鬼道に言われて無意識に手を握りしめてたのに気づく。開いたら、うっすらと跡がついていた。
「我々はパワーアップし、イプシロン改となった」
「イプシロン改?」
「我々は雷門に勝負を挑む!」
「ジェネシスの命令か!」
「命令ではない。デザーム様、そして我らイプシロン改の意思だ」
「もう一度楽しみたいのだ。実力が拮抗する者同士によるギリギリの戦いの緊張感、高揚感。あの抑えられない興奮を感じながらお前達雷門を倒す!これ以上の理由がいると思うか?」
勝手な理由だ。けれど断ればその辺の学校が破壊されると言われてしまえば、受けるしかない。自然豊かな沖縄を、破壊させるわけにはいかない!
充血したみたいに赤い目をしてるイプシロン改を見据える。今度こそ、勝つんだ!
「なあ美波、アレが噂の宇宙人って奴か?」
「あ、うん」
「面白い……。俺も力を貸すぜ!あんな宇宙人共にでかい顔させておくわけにはいかねえ!」
鼻息荒く意気込む条兄。力を貸すってことは、チームに入ってくれるんだ!
瞳子監督もキャラバンに誘おうと思っていたのだと頷いた。サーフィンで鍛えられた身体能力は頼りになるもんね。
「じゃあユニフォームを……」
「それならもう着てるぜ!」
条兄が大海原のユニフォームを脱ぐ。その下には、雷門のユニフォームがあった。……いつの間に着たんだろ。
「よろしく、綱海」
「おう!よろしく頼むぜ!」
「今日こそあいつらとの決着をつけるぞ!」
『おーっ!』
今回はリカの1トップで、しろ君はディフェンダーに入った。雰囲気ががらりと変わったデザーム達。守備を強化するに越したことはない。
マキュアのキックオフで試合が始まった。大阪の時よりドリブルもパスも速くなってる!
必殺技を出す前にあたしも抜かれて、雷門ゴール前にボールが上がる。そこへ走りこんでくるのはマキュア、メトロン、ゼル。
これは前回は止められなかったシュートだ。でも、あたし達だって成長してる!
「「「ガイアブレイク!!」」」
「正義の鉄拳!」
完成した正義の鉄拳は、難なくガイアブレイクを弾き返した。流石は究極奥義だ!
「なんだろう、この感じ。円堂さん……」
「? 立向居?」
「いえ、なんでもないです」
不思議そうな立向居に、ちょっと違和感。ちゃんとシュートは止めた……よね?
「水龍!」
イプシロンの攻撃を防いで、フリーのリカへ回す。けれどローズスプラッシュはワームホールに止められてしまった。
やっぱりデザームは強敵だ、そう簡単には破れない。……ドリルスマッシャーまで使わせるのも至難の業だ。
「お前だ。お前が撃ってこい!」
そう言ったデザームが蹴ったボールは、しろ君の足元へ転がった。
確かに、今の雷門でデザームを破る可能性があるのはしろ君だけだ。だから楽しみたいというデザームが、しろ君のシュートを求める理由は分かる。
でも最近のしろ君は見るからに不調だ。福岡で倒れた時から、ずっと。……本当に、このまま撃たせていいのかな。
「気にするな吹雪!お前は自分のプレーをすればいいんだ!」
「わかってる。始めからそのつもりさ!」
ギッとデザームを睨み付けてドリブルで上がっていくしろ君。いや、アツヤ。
勢いに任せて、無理矢理突破していく。乱暴で、荒くて、焦りが滲み出てるプレー。
シュートを決めることがここにいる意味なのだと叫ぶ姿に、やっぱり駄目だと、漠然と思った。
「エターナルブリザード!」
「予想通り、楽しめそうだな!ドリルスマッシャー!」
二つの必殺技の鬩ぎ合い。勝ったのはデザームのドリルスマッシャーで、弾かれたボールを目で追うアツヤがボールを要求する。
次の攻撃も、最初と同じ結果になった。三度目に至っては、デザームが使ったのは以前破られたワームホールだ。
……エターナルブリザードのパワーが目に見えて落ちてる。それこそ、ドリルスマッシャーを使わなくても済むくらいに。
「荒波!」
「こっちだ、美波!寄越せ!」
回したく、ないな。
これ以上は駄目だ。そう思った。鬼道の方を見ると、状況もあってか流石にパスの指示を躊躇っているようだった。
奪いに来るイプシロンをどうにか避けてボールキープする。敵陣中盤、ゴールは見えてる。……いっそのこと、あたしが撃つか。
ボールを蹴り上げるより早く、靡くマフラーが視界に入ってきた。
「おい!回せって言ってるだろ!」
「……一旦落ち着こうよ。このまま撃っても、点にはならないよ」
「うるせえ!今度こそ決める!」
「っ、だから話聞いてよ!」
「オレはっ……豪炎寺って奴に、負ける訳にはいかねえんだ……!」
豪炎寺。思いがけない名前に動揺したのが駄目だった。
あたしの足元にあった筈のボールは、いつの間にかなくなっていて。
「待って!」
「オレは、完璧にならなきゃならないんだ!」
パリン
砕け散る音がした。粉々になった氷が宙を舞う。
技もなしに、片手で止められた。
「そんな、バカな……」
「楽しみにしていたがこの程度とはな。お前はもう必要ない」
デザームは絶対に言ってはいけない言葉を、冷たく、吐き捨てるように言い放った。
「必要ない………」
「……!」
必要ない。そんなことを、今のしろ君に言ったら……っ!
「士郎としても必要ない……アツヤとしても必要ない……。じゃあ、僕は、オレは、オレは、僕は…………」
「しろ、くん」
「なんなんだーッ!!」
「――!」
その悲痛な叫びに思わず耳を塞ぎかけて、ドサリという音にその手を止める。
音の方を見れば、虚ろな瞳をして座り込んだしろ君と、名前を呼びながら駆け寄る皆がいた。
「吹雪!吹雪!」
「監督!これ以上無理をさせたら吹雪くんは!」
「……選手交代!」
皆の声が聞こえるけど、何一つ頭に入ってこない。
――あたしが居場所になるからさ!
居場所になる、なんて。
なんて、無責任な言葉だったんだろう。
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