第26話 復活の爆炎!!
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本来のポジションはフォワードだったデザーム。放たれたグングニル。……究極奥義があんな簡単に破られるなんて。
前半終了のホイッスルが鳴った。タオルで汗を拭きながら見渡せば、皆暗い表情をしている。
……エースストライカーを欠いて、究極奥義も破られての1点ビハインドで折り返し。攻守共に不利なのは火を見るよりも明らかだ。
守兄はノートを見ながら首を傾げてる。まだ、正義の鉄拳が完成していないとしたら。一体、何が足りないんだろう?
「なーに!正義の鉄拳が通用しねえなら、その分俺達が頑張りゃいいだけだ!だろ?」
「……うん!そうだね、あたし達ディフェンスが頑張ればいいんだ!」
条兄の明るい励ましにそう続ける。相手のシュートを守兄一人で止める必要はない。皆で止めればいい!
ただ、1点差をつけられているこの状況、少なくとも2点は取らなければ勝てない。
「チャンスがあれば積極的にシュートを狙っていこう」
少しだけしろ君に目を向けた鬼道が、立ち上がりながらそう告げた。
鬼道の言うとおり、今キーパーをしているゼルがデザームより劣ってるとすれば、得点の可能性はさっきより上がってる筈だ。
「必ず点を取ろう!……そして、勝とう!」
鬼道の言葉に頷いて、皆はグラウンドへ入っていく。ベンチのしろ君は、タオルを被って下を向いたままだ。
「しろ君」
「……」
「絶対に、勝ってくるから!」
どうか届いてますように。そう願いながら、立向居と一緒にグラウンドに足を踏み入れる。
「ねえ、立向居。さっき守兄と何話してたの?正義の鉄拳のこと?」
「え?いや、俺も上手く言えないんですけど。ライオンはライオンでも、まだ子供のように感じて」
「じゃあやっぱりまだ完成してないってことか」
「完成していないというか、更に上があるような……」
「うーん?」
「すみません。後半前にこんな話」
「全然。聞いたのあたしだし。ありがとね、立向居」
考えていても埒が明かない。ポジションについて、フォワードの位置に立つデザームに目を向けた。
「ここまでだ。私のお前達に対する興味は無くなった。よって今からはお前達を潰しにいく。覚悟しろよ」
その言葉の意味は、後半開始を告げるホイッスルが鳴って直ぐに分からされた。
「グングニル!」
「正義の鉄拳!」
猛スピードでボールを奪ったデザームは、ディフェンスを蹴散らしてすぐさまシュート体勢に入った。
シュートブロックも少し威力を落とすので精一杯。次の瞬間、正義の鉄拳は破られて、シュートはゴールへと突き進む。
ラインを割る寸前、シュートの軌道上に条兄が滑り込んだ。押されかけたのを、右足をゴールポストに引っ掛けることで踏ん張って、追加点を阻止することが出来た。
「ナイスファイト!条兄!」
「ああ!この調子でいくぜ!」
止められたデザームはというと、ニヤリとどこか楽しげに笑っていた。後半早々、こんなにも追い詰められるなんて。
いとも簡単に攻められた。本気で、あたし達を潰す気なんだ。……潰されてたまるもんかよ!
「壁山ぁ!行くよ!」
「はいっす!」
「「ロックウォールダム!!」」
シュートが止められないなら、そもそも撃たせなければいい!
聳え立った壁を、両手のゴッドハンドで左右へ押し広げるように展開させる。行く手を阻む壁は、まるでダムだ。
取り囲んだ壁が、デザームをはじき返した。よし、特訓の成果!命名はもちろん目金だ。
「どうだ!」
「ほう、いいブロックだな。褒めてやろう」
「ありがとうね!」
そのまま前線へロングパス。けれどイプシロンもシュートを撃たせてくれないのは同じで、ディフェンスを突破しきれない。
再びのグングニル。押し返そうと守兄も踏ん張るけど、またも正義の鉄拳は破られた。……これ以上点差を広げる訳にはいかないんだ!
一瞬のアイコンタクト。土門達と一緒にシュートの前に立ち塞がる。人の壁ということだ。
簡単に吹き飛ばされてしまったけど、二点差になることはなかった。シュートが直撃した脇腹が痛む。それでも、構ってなんていられない。
「大丈夫か、美波」
「……大丈夫!」
鬼道に差し出された手を掴んで、立ち上がる。
「何にしたって、やるしかない!」
身体中は、ビリビリと痺れたように痛い。なんとか立ち上がるけど、ほぼ気力だけで保ってるようなもんだ。
シュートを止めようとする度にこうなるんじゃ、流石に持たない。だとしても、立ち上がれる限りは、何度だってやってやる!
「こんなものではない筈だ。立て、立って私を楽しませろ!」
「俺は……あの時誓ったんだ。決して諦めないと!究極奥義で、絶対、止めてみせる!」
……そうだ。諦めたら、ヒロト達を助けられない。
「地球では獅子は兎を全力で狩るという。私は、どんなに弱っていたとしても、お前達を全力で倒す!」
「止める!」
「グングニル!」
後半、三度目のグングニル。それは今までで一番威力が高いものに見えた。対抗出来るのは究極奥義だけ。
どうすればいいのか。固唾を飲んで見守るしかない。何かを考えていたらしい守兄は、ハッとした表情を浮かべた。
掴んだんだって、反射的に思った時、
――円堂ッ!
懐かしい、アイツの声が聞こえた。
「正義の鉄拳!」
「何!?パワーアップしただと!?」
増した回転数。威圧感。迸るオーラ。パワーアップした正義の鉄拳が、グングニルを止めた!
「これが常に進化し続ける究極奥義、正義の鉄拳だ!」
「そうか!」
ノートに書いてあった究極奥義が未完成っていうのは、完成しなかったってことじゃなかったんだ。
常に進化し続ける。だから完成しない。未完成の必殺技、それが究極奥義!
「楽しませてくれるな。だが、技が進化しようと我らから点を取らない限り、お前に勝ち目はない」
「……そんなことない」
さっき聞こえた声。あれは間違いなくアイツの声だ。この沖縄にいて、やっと戻ってきてくれたんだ。
「そうだよね?」
ラインから出たボールを止めたフードを被ってる少年が、フィールドに入ってくる。
バサリと下ろされたフードの下から出てきたのは、見覚えのある特徴的な髪型。意思の強い、鋭い目。
おかえり!
「豪炎寺!」
「待たせたな」
「いつもお前は遅いんだよ!」
「ほんと、遅いんだから!」
いつもの頼れる笑みを見せた豪炎寺の背中を、帝国戦の時みたいにバカスカ叩く。
止めろとあしらわれるけど、久しぶりな訳だし、これくらいはいいよね?
「豪炎寺さんが……豪炎寺さんが帰ってきたっすーーー!」
壁山の叫びを皮切りに、皆が堰を切ったように豪炎寺を呼んだ。ずっと待ってたんだからね!
ベンチを見れば、少しだけ顔を上げてたしろ君が、ぼんやりとした目で豪炎寺を見つめているのが目に飛び込んできた。
……しろ君は豪炎寺の代わりなんかじゃない。しろ君が立ち上がるまで、見てるよ。
「監督!」
「選手交代!10番、豪炎寺修也が入ります!」
「これが豪炎寺さん?あの迫力、存在感……!」
ユニフォームを着た豪炎寺が入ってくるのを見た立向居が、目を輝かせた。
懐かしい背番号10。あの背中が、あたし達に戦う勇気と力をくれる。
「いつも豪炎寺が引っ張ってくれてたんだ。だから、今日も」
きっと、勝利に導いてくれる。
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前半終了のホイッスルが鳴った。タオルで汗を拭きながら見渡せば、皆暗い表情をしている。
……エースストライカーを欠いて、究極奥義も破られての1点ビハインドで折り返し。攻守共に不利なのは火を見るよりも明らかだ。
守兄はノートを見ながら首を傾げてる。まだ、正義の鉄拳が完成していないとしたら。一体、何が足りないんだろう?
「なーに!正義の鉄拳が通用しねえなら、その分俺達が頑張りゃいいだけだ!だろ?」
「……うん!そうだね、あたし達ディフェンスが頑張ればいいんだ!」
条兄の明るい励ましにそう続ける。相手のシュートを守兄一人で止める必要はない。皆で止めればいい!
ただ、1点差をつけられているこの状況、少なくとも2点は取らなければ勝てない。
「チャンスがあれば積極的にシュートを狙っていこう」
少しだけしろ君に目を向けた鬼道が、立ち上がりながらそう告げた。
鬼道の言うとおり、今キーパーをしているゼルがデザームより劣ってるとすれば、得点の可能性はさっきより上がってる筈だ。
「必ず点を取ろう!……そして、勝とう!」
鬼道の言葉に頷いて、皆はグラウンドへ入っていく。ベンチのしろ君は、タオルを被って下を向いたままだ。
「しろ君」
「……」
「絶対に、勝ってくるから!」
どうか届いてますように。そう願いながら、立向居と一緒にグラウンドに足を踏み入れる。
「ねえ、立向居。さっき守兄と何話してたの?正義の鉄拳のこと?」
「え?いや、俺も上手く言えないんですけど。ライオンはライオンでも、まだ子供のように感じて」
「じゃあやっぱりまだ完成してないってことか」
「完成していないというか、更に上があるような……」
「うーん?」
「すみません。後半前にこんな話」
「全然。聞いたのあたしだし。ありがとね、立向居」
考えていても埒が明かない。ポジションについて、フォワードの位置に立つデザームに目を向けた。
「ここまでだ。私のお前達に対する興味は無くなった。よって今からはお前達を潰しにいく。覚悟しろよ」
その言葉の意味は、後半開始を告げるホイッスルが鳴って直ぐに分からされた。
「グングニル!」
「正義の鉄拳!」
猛スピードでボールを奪ったデザームは、ディフェンスを蹴散らしてすぐさまシュート体勢に入った。
シュートブロックも少し威力を落とすので精一杯。次の瞬間、正義の鉄拳は破られて、シュートはゴールへと突き進む。
ラインを割る寸前、シュートの軌道上に条兄が滑り込んだ。押されかけたのを、右足をゴールポストに引っ掛けることで踏ん張って、追加点を阻止することが出来た。
「ナイスファイト!条兄!」
「ああ!この調子でいくぜ!」
止められたデザームはというと、ニヤリとどこか楽しげに笑っていた。後半早々、こんなにも追い詰められるなんて。
いとも簡単に攻められた。本気で、あたし達を潰す気なんだ。……潰されてたまるもんかよ!
「壁山ぁ!行くよ!」
「はいっす!」
「「ロックウォールダム!!」」
シュートが止められないなら、そもそも撃たせなければいい!
聳え立った壁を、両手のゴッドハンドで左右へ押し広げるように展開させる。行く手を阻む壁は、まるでダムだ。
取り囲んだ壁が、デザームをはじき返した。よし、特訓の成果!命名はもちろん目金だ。
「どうだ!」
「ほう、いいブロックだな。褒めてやろう」
「ありがとうね!」
そのまま前線へロングパス。けれどイプシロンもシュートを撃たせてくれないのは同じで、ディフェンスを突破しきれない。
再びのグングニル。押し返そうと守兄も踏ん張るけど、またも正義の鉄拳は破られた。……これ以上点差を広げる訳にはいかないんだ!
一瞬のアイコンタクト。土門達と一緒にシュートの前に立ち塞がる。人の壁ということだ。
簡単に吹き飛ばされてしまったけど、二点差になることはなかった。シュートが直撃した脇腹が痛む。それでも、構ってなんていられない。
「大丈夫か、美波」
「……大丈夫!」
鬼道に差し出された手を掴んで、立ち上がる。
「何にしたって、やるしかない!」
身体中は、ビリビリと痺れたように痛い。なんとか立ち上がるけど、ほぼ気力だけで保ってるようなもんだ。
シュートを止めようとする度にこうなるんじゃ、流石に持たない。だとしても、立ち上がれる限りは、何度だってやってやる!
「こんなものではない筈だ。立て、立って私を楽しませろ!」
「俺は……あの時誓ったんだ。決して諦めないと!究極奥義で、絶対、止めてみせる!」
……そうだ。諦めたら、ヒロト達を助けられない。
「地球では獅子は兎を全力で狩るという。私は、どんなに弱っていたとしても、お前達を全力で倒す!」
「止める!」
「グングニル!」
後半、三度目のグングニル。それは今までで一番威力が高いものに見えた。対抗出来るのは究極奥義だけ。
どうすればいいのか。固唾を飲んで見守るしかない。何かを考えていたらしい守兄は、ハッとした表情を浮かべた。
掴んだんだって、反射的に思った時、
――円堂ッ!
懐かしい、アイツの声が聞こえた。
「正義の鉄拳!」
「何!?パワーアップしただと!?」
増した回転数。威圧感。迸るオーラ。パワーアップした正義の鉄拳が、グングニルを止めた!
「これが常に進化し続ける究極奥義、正義の鉄拳だ!」
「そうか!」
ノートに書いてあった究極奥義が未完成っていうのは、完成しなかったってことじゃなかったんだ。
常に進化し続ける。だから完成しない。未完成の必殺技、それが究極奥義!
「楽しませてくれるな。だが、技が進化しようと我らから点を取らない限り、お前に勝ち目はない」
「……そんなことない」
さっき聞こえた声。あれは間違いなくアイツの声だ。この沖縄にいて、やっと戻ってきてくれたんだ。
「そうだよね?」
ラインから出たボールを止めたフードを被ってる少年が、フィールドに入ってくる。
バサリと下ろされたフードの下から出てきたのは、見覚えのある特徴的な髪型。意思の強い、鋭い目。
おかえり!
「豪炎寺!」
「待たせたな」
「いつもお前は遅いんだよ!」
「ほんと、遅いんだから!」
いつもの頼れる笑みを見せた豪炎寺の背中を、帝国戦の時みたいにバカスカ叩く。
止めろとあしらわれるけど、久しぶりな訳だし、これくらいはいいよね?
「豪炎寺さんが……豪炎寺さんが帰ってきたっすーーー!」
壁山の叫びを皮切りに、皆が堰を切ったように豪炎寺を呼んだ。ずっと待ってたんだからね!
ベンチを見れば、少しだけ顔を上げてたしろ君が、ぼんやりとした目で豪炎寺を見つめているのが目に飛び込んできた。
……しろ君は豪炎寺の代わりなんかじゃない。しろ君が立ち上がるまで、見てるよ。
「監督!」
「選手交代!10番、豪炎寺修也が入ります!」
「これが豪炎寺さん?あの迫力、存在感……!」
ユニフォームを着た豪炎寺が入ってくるのを見た立向居が、目を輝かせた。
懐かしい背番号10。あの背中が、あたし達に戦う勇気と力をくれる。
「いつも豪炎寺が引っ張ってくれてたんだ。だから、今日も」
きっと、勝利に導いてくれる。
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