第37話 終わりなき脅威!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
辺りを見回していればまた揺れた。バランスを崩して転びかけたら、ヒロト君が腕を掴んで支えてくれた。
「大丈夫?」
「うん。ありがとう、ヒロト」
守兄の絶叫が聞こえたような気がしなくもないけど……気にしないでおこう。
それよりも、だ。次第に数が増していく瓦礫に、冷たい汗が流れる。今すぐ逃げないと。でも、落ちてきた瓦礫で出口は塞がれてしまった。
「どうしよう……」
「何か音が聞こえるよ!」
「ほんとだ!」
音の方を見れば、別の通路からキャラバンが凄いスピードで飛び込んできた。
「皆!早く乗るんだ!」
「「古株さん!」」
瓦礫をかわして、大急ぎでキャラバンに乗り込む。全員乗ったか確認しようと振り向けば、なんと吉良さんが座ったままだった。
「父さん!」
「っ、吉良さん!」
「ヒロト!美波!」
弾かれたように駆け出したヒロト君の背中を追って、吉良さんの元へ駆け寄る。何で、逃げようとしないの……?
「父さん、逃げるんだ!早く!」
ヒロト君がそう手を手を差し伸べても、吉良さんは首を振るだけだった。
「私は、ここでエイリア石の最後を見届ける。それが、お前達に対するせめてもの償いだ」
「!」
「そんな……」
「何バカなこと言ってんだ!こんな所で死んでどうするんだ!そんなことしてヒロト達が喜ぶわけ無いだろ!まだ分からないのか!皆にはあんたが必要なんだよ!」
言葉を失ったあたしとヒロト君の代わりに、守兄が怒鳴り声をあげた。あたしも、息を吸い込む。
「そうだよ!こんな償い方なんてないよ!またヒロトや玲名達を苦しめるだけだ!だから、ここで死のうなんて思わないで!」
「……!」
ヒロト君はまだ立ち尽くしている。ダメだ。あたし達だけじゃダメなんだ。他ならない、ヒロト君の言葉じゃないと。
それに、言いたいことを抱え込んだまま終わるなんて、絶対ダメだ!
「ヒロト!」
「……俺は」
「もう、言っていいんだよ!自分の思ってること!ヒロトの望みは何!?」
「俺の……望み……」
これまで通り吉良さんの望みを優先するというなら、吉良さんがこの場に残るのを良しとすることになってしまう。
ヒロト君の本当の気持ちを伝えないと。ヒロト君がどうしたいのか、どうして欲しいのか、どう在りたいのかを。
「……行こう、父さん」
しゃがみこんで手を差しのべたヒロト君。それが、答えだった。
「こんな酷い事をした私を……ヒロト、お前は許してくれるというのか……」
ヒロト君は目尻に涙を浮かべながら、微笑んで頷いた。あたしも涙をグッと堪えて立ち上がる。泣くなら後だ。今はとにかく、逃げるのが先決だ。
守兄が先導して、その後ろを吉良さん、あたしとヒロト君で走る。……地面が揺れて、走りにくい。
地面に亀裂が入って、それはどんどん大きくなっていく。バキバキッと嫌な音がした。じきにここも崩れる。早く脱出しないと。
そう踏み出した足元に、大きなヒビが入った。
「あ……!」
体のバランスが崩れた。立て直そうとした足が宙をかく。体が後ろへ傾いた。
振り向いたヒロト君が焦った顔で手を伸ばして、あたしを掴んで、身体が浮いて、
「ヒロト君……!!」
ヒロト君の体が投げ出された。
「っう……」
「くっ」
落ちていくヒロト君の腕に無我夢中でしがみつく。まずいまずいまずいまずい!あたしの体は崖っぷちで、ヒロト君にいたっては腕以外崖の下だ。
皆があたしとヒロト君を呼ぶ声が聞こえる。でも返事する余裕なんて無い。どうしよう、どうしよう!
「離すんだ!」
「絶対嫌!」
「君まで落ちる!」
「嫌!手、離さないでよ!離したら、あたしも落ちてやる!」
「でも」
「うるさいバカ!絶対、離さない……!」
「……!!」
ただでさえ上から瓦礫が落ちてきてるのに、一歩も動けない状態。今は砂が降ってくるくらいだけど、いつ大きな塊が頭上に落ちてくるか分からない。
怖い。死にたくない。まだやりたい事が沢山ある。やっとここまで来れたのに、これからなのに、皆ともっとサッカーしたいのに!
あたしの力じゃヒロト君を支えるのが精一杯で引き上げられない。しかも、ちょっとずつあたしの体も引っ張られてる。こんなことで、力不足を思い知るなんて。
そもそも、手に上手く力が入らない。ドアを抉じ開けた時に火傷したからだ。足さえあればなんとかなると思ってたのに、ここに来て後悔した。
体が強張る。汗で張り付いたユニフォームが寒い。指先が冷たくなってくのを感じる。皮が剥けた。血が滲む。でも、ヒロト君の手を離すわけにはいかない!
歯を食い縛って力を込める。こうなったら火事場の馬鹿力というのを信じるしかない。思い切り引っ張ろうとした時、二つの手が上に重ねられた。
「よく踏ん張ったな美波!」
「守……!」
「大丈夫。あと一息だよ」
「士郎くん!」
「せーので行くぞ!」
「「「せーのっ!」」」
三人で力いっぱい引っ張れば、掴んでない方のヒロト君の手が淵にかかった。すかさずそっちを掴んだ守兄が、更に引き上げる。程なくして、ヒロト君は戻ってきた。
「よ、良かった……」
「ありがとう、円堂くん、美波ちゃん。それと……吹雪くん」
「どういたしまして。さあ、早く離れよう」
「急げ!」
古株さんがキャラバンをすぐそばまで走らせてくれて、ドアを開けてくれた。瓦礫を避けながら、転がる様にキャラバンに乗り込む。
全員が乗ったのを確認して、通路を猛スピードでキャラバンが駆け抜ける。後ろを見ると、天井がどんどん崩れていっていた。そしてまた爆発音。何でこんな爆発が……?
「う……」
「ヒロト?」
額に手を当てたヒロト君が苦しそうに呻いた。立っていられないようで膝をつく。汗びっしょりで、前髪が張り付いてる。
ヒロト君があたしのユニフォームを掴む。その手は震えていて、何か怖がってるようにも見えた。
明らかに尋常じゃないけど、原因も分からない。どうすればいいかも分からなくて、手を重ねて、震えるヒロト君の背中を擦る。
「ダメだ、追い付かれる!」
「出口よ!」
小さな外の光が見えて、みるみる内に大きくなっていく。キャラバンが大きく跳ねて、飛び出した。
その次の瞬間、後方で一番大きな爆発音が聞こえた。
窓から様子を見ると、黒い煙を上げながら崩れ落ちていく星の使徒研究所が見えた。
.
「大丈夫?」
「うん。ありがとう、ヒロト」
守兄の絶叫が聞こえたような気がしなくもないけど……気にしないでおこう。
それよりも、だ。次第に数が増していく瓦礫に、冷たい汗が流れる。今すぐ逃げないと。でも、落ちてきた瓦礫で出口は塞がれてしまった。
「どうしよう……」
「何か音が聞こえるよ!」
「ほんとだ!」
音の方を見れば、別の通路からキャラバンが凄いスピードで飛び込んできた。
「皆!早く乗るんだ!」
「「古株さん!」」
瓦礫をかわして、大急ぎでキャラバンに乗り込む。全員乗ったか確認しようと振り向けば、なんと吉良さんが座ったままだった。
「父さん!」
「っ、吉良さん!」
「ヒロト!美波!」
弾かれたように駆け出したヒロト君の背中を追って、吉良さんの元へ駆け寄る。何で、逃げようとしないの……?
「父さん、逃げるんだ!早く!」
ヒロト君がそう手を手を差し伸べても、吉良さんは首を振るだけだった。
「私は、ここでエイリア石の最後を見届ける。それが、お前達に対するせめてもの償いだ」
「!」
「そんな……」
「何バカなこと言ってんだ!こんな所で死んでどうするんだ!そんなことしてヒロト達が喜ぶわけ無いだろ!まだ分からないのか!皆にはあんたが必要なんだよ!」
言葉を失ったあたしとヒロト君の代わりに、守兄が怒鳴り声をあげた。あたしも、息を吸い込む。
「そうだよ!こんな償い方なんてないよ!またヒロトや玲名達を苦しめるだけだ!だから、ここで死のうなんて思わないで!」
「……!」
ヒロト君はまだ立ち尽くしている。ダメだ。あたし達だけじゃダメなんだ。他ならない、ヒロト君の言葉じゃないと。
それに、言いたいことを抱え込んだまま終わるなんて、絶対ダメだ!
「ヒロト!」
「……俺は」
「もう、言っていいんだよ!自分の思ってること!ヒロトの望みは何!?」
「俺の……望み……」
これまで通り吉良さんの望みを優先するというなら、吉良さんがこの場に残るのを良しとすることになってしまう。
ヒロト君の本当の気持ちを伝えないと。ヒロト君がどうしたいのか、どうして欲しいのか、どう在りたいのかを。
「……行こう、父さん」
しゃがみこんで手を差しのべたヒロト君。それが、答えだった。
「こんな酷い事をした私を……ヒロト、お前は許してくれるというのか……」
ヒロト君は目尻に涙を浮かべながら、微笑んで頷いた。あたしも涙をグッと堪えて立ち上がる。泣くなら後だ。今はとにかく、逃げるのが先決だ。
守兄が先導して、その後ろを吉良さん、あたしとヒロト君で走る。……地面が揺れて、走りにくい。
地面に亀裂が入って、それはどんどん大きくなっていく。バキバキッと嫌な音がした。じきにここも崩れる。早く脱出しないと。
そう踏み出した足元に、大きなヒビが入った。
「あ……!」
体のバランスが崩れた。立て直そうとした足が宙をかく。体が後ろへ傾いた。
振り向いたヒロト君が焦った顔で手を伸ばして、あたしを掴んで、身体が浮いて、
「ヒロト君……!!」
ヒロト君の体が投げ出された。
「っう……」
「くっ」
落ちていくヒロト君の腕に無我夢中でしがみつく。まずいまずいまずいまずい!あたしの体は崖っぷちで、ヒロト君にいたっては腕以外崖の下だ。
皆があたしとヒロト君を呼ぶ声が聞こえる。でも返事する余裕なんて無い。どうしよう、どうしよう!
「離すんだ!」
「絶対嫌!」
「君まで落ちる!」
「嫌!手、離さないでよ!離したら、あたしも落ちてやる!」
「でも」
「うるさいバカ!絶対、離さない……!」
「……!!」
ただでさえ上から瓦礫が落ちてきてるのに、一歩も動けない状態。今は砂が降ってくるくらいだけど、いつ大きな塊が頭上に落ちてくるか分からない。
怖い。死にたくない。まだやりたい事が沢山ある。やっとここまで来れたのに、これからなのに、皆ともっとサッカーしたいのに!
あたしの力じゃヒロト君を支えるのが精一杯で引き上げられない。しかも、ちょっとずつあたしの体も引っ張られてる。こんなことで、力不足を思い知るなんて。
そもそも、手に上手く力が入らない。ドアを抉じ開けた時に火傷したからだ。足さえあればなんとかなると思ってたのに、ここに来て後悔した。
体が強張る。汗で張り付いたユニフォームが寒い。指先が冷たくなってくのを感じる。皮が剥けた。血が滲む。でも、ヒロト君の手を離すわけにはいかない!
歯を食い縛って力を込める。こうなったら火事場の馬鹿力というのを信じるしかない。思い切り引っ張ろうとした時、二つの手が上に重ねられた。
「よく踏ん張ったな美波!」
「守……!」
「大丈夫。あと一息だよ」
「士郎くん!」
「せーので行くぞ!」
「「「せーのっ!」」」
三人で力いっぱい引っ張れば、掴んでない方のヒロト君の手が淵にかかった。すかさずそっちを掴んだ守兄が、更に引き上げる。程なくして、ヒロト君は戻ってきた。
「よ、良かった……」
「ありがとう、円堂くん、美波ちゃん。それと……吹雪くん」
「どういたしまして。さあ、早く離れよう」
「急げ!」
古株さんがキャラバンをすぐそばまで走らせてくれて、ドアを開けてくれた。瓦礫を避けながら、転がる様にキャラバンに乗り込む。
全員が乗ったのを確認して、通路を猛スピードでキャラバンが駆け抜ける。後ろを見ると、天井がどんどん崩れていっていた。そしてまた爆発音。何でこんな爆発が……?
「う……」
「ヒロト?」
額に手を当てたヒロト君が苦しそうに呻いた。立っていられないようで膝をつく。汗びっしょりで、前髪が張り付いてる。
ヒロト君があたしのユニフォームを掴む。その手は震えていて、何か怖がってるようにも見えた。
明らかに尋常じゃないけど、原因も分からない。どうすればいいかも分からなくて、手を重ねて、震えるヒロト君の背中を擦る。
「ダメだ、追い付かれる!」
「出口よ!」
小さな外の光が見えて、みるみる内に大きくなっていく。キャラバンが大きく跳ねて、飛び出した。
その次の瞬間、後方で一番大きな爆発音が聞こえた。
窓から様子を見ると、黒い煙を上げながら崩れ落ちていく星の使徒研究所が見えた。
.